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公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:163分
監 督:ザック・スナイダー
出 演:マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、マシュー・グード、カーラ・グギーノ、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジェフリー・ディーン・モーガン、パトリック・ウィルソン、スティーヴン・マクハティ、マット・フルーワー、ローラ・メネル、ロブ・ラベル、ゲイリー・ヒューストン、ジェームズ・マイケル・コナー、ロバート・ウィスデン、ダニー・ウッドバーン 他
コピー:知ってはならない、真実がある──。
かつて、“ウォッチメン(監視者)”と呼ばれる世界の重大事件に関わり、人間人々を見守り続ける特殊能力者たちがいた。しかし、1977年、政府は彼らの活動を禁止、ある者は引退し、ある者は非合法に活動を継続していた。1985年、未だニクソン大統領が権力を持ち、ソ連との核戦争が危ぶまれる緊張状態のアメリカで、エドワード・ブレイクという男が高層ビルから突き落とされる事件が発生。そのそばには血の付いたスマイルバッジが落ちていた。スマイルバッジは、かつてブレイクがスーパーヒーロー“コメディアン”として活躍していたときのトレードマークだった。同じくかつてウォッチメンの一人だった“顔のない男”ロールシャッハは、陰謀の臭いを嗅ぎとり、独自に調査を解しするのだったが…というストーリー。
監督は「300」続いてアメコミの映画化のザックス・スタイナー。「300」では独特のビジュアルセンスを見せてくれたが、本作でもその才能は際立っている。
ヒーローたちが次々と殺される…みたいな感じで、バットマンとおぼしき人が攻撃されているCMだったので、なにやらアメコミヒーロー総出演的な作品を想像していたのだが、まったくの勘違い。出てくるのは、私には馴染みのないウォッチメンオリジナルのヒーローたち。バットマンと勘違いしていたのは、ナイトオウルというキャラク
ターだったようだ。
バットマンくらいメジャーなキャラクターなら知っているが、正直、「ウォッチメン」という作品自体、まったく知らなかった(結構有名なアメコミのようだ。それもDCコミック)。思い込みが外れたまま、半ば置いてきぼり状態で、観進めることになったのだが、本作は、ヒーローこそ出てくるが、ヒーロー作品ではないことが、15分くらいで分かる。
CMの言葉通りに、ヒーローが殺されていく現在と、歴史的事件への関与や、その能力や特権を逆に疎ましく思う世論によって彼らが衰退していった過去が、交錯しながらストーリー進行していく。殺しの犯人探しが、現在でも違法に活動を続けている唯一のヒーロー“ロールシャッハ”を狂言回しにして進められていくのだが、存命ヒーローたちが、あまりにも人間くさく(良くも悪くも)魅力的で、なかなかよい。
で、結局残り30分が過ぎ、いざ謎解きという段になると、この映画の真のテーマが明らかになってきて、地滑りのように話が変わってしまう(そのテーマというのは「地球が静止する日/地球の静止する日」でレビュした通りなので、そちらを参照してほしい)。
そのヒーローをスケープゴートにして、「地球が静止する日」の宇宙人の役目をさせ
る。
振り返れば、そのオチのために、一生懸命仕掛けをしていたのに気付くわけだが、は
じめから明確なオチを決め、魅力的な設定やキャラを作り、いかにオチに気付かれな
いように適度に観客を誘導するか…ということは、ドラマ作りの上で非常な大事な技
術であり、本作はそれを見事に達成しているといえるのだ(原作の段階で元々素晴ら
しいのか、映画のシナリオが素晴らしいのかはわからないが)。
そう考えると、「地球が静止する日」の設定や展開は、稚拙に思えてならない。本作
は、最後の最後に(ロールシャッハがらみで)ひと仕掛けあるのだが、それを深読みす
れば、「地球が静止する日」のような終わり方を鼻で笑っているとも思え、それも好
感が持てる。
私は、少なくとも「地球が静止する日」を観るくらいなら本作を観たほうがよいと思
うし、アメコミヒーローものと思って、毛嫌いしていた人がいるならば、そういう映
画ではないよ、と教えてあげたい。
ちなみに、アイディンティィのレビューでもそうだったし、本作でもロールシャッハ
を気に入ってしまうし、私はちょっと精神的に常人から逸脱しているキャラが好きな
ようだ。好きな映画を10本挙げろといわれれば、「リーサル・ウェポン」を入れる
人間である。そういう人間の映画レビューだと思って、今後も読んでほしい。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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