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公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:マイク・ニューウェル
出 演:ジュリア・ロバーツ、キルステン・ダンスト、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホール、ジニファー・グッドウィン、ドミニク・ウェスト、ジュリエット・スティーヴンソン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジョン・スラッテリー、マリアン・セルデス、ドナ・ミッチェル、テレンス・リグビイ、トファー・グレイス、ジョン・スカーティ、ローラ・アレン 他
受 賞:【2003年/第61回ゴールデン・グローブ】歌曲賞(作曲:エルトン・ジョン、作詞:Bernie Taupin“The Heart Of Every Girl”)
【2003年/第9回放送映画批評家協会賞】歌曲賞(作曲:エルトン・ジョン、作詞:Bernie Taupin“The Heart Of Every Girl”)
コピー:誰もがみんな愛に迷っていたあの頃――輝きをくれたのはあなたでした。
1953年。自由な考え方をもった美術教師キャサリン・ワトソンは、ニューイングランド地方にある名門ウェルズリー大学に助教授として採用され、カリフォルニアから赴任してくる。アメリカ一保守的といわれるウェルズリー大学に、自由な考え方を吹き込もうと意気揚々と着任するが、生徒や他の教師たちは、大学でエリートの恋人を見つけ結婚することが女性の理想という考え方で、彼女の教育方針は一蹴されてしまう。それでも彼女は諦めることなく、絵を通して学生たちを変えようとするのだが…というストーリー。
教育現場のお話なんだけど、『陽のあたる教室』みたいな直球の教師モノではない。というか、美術史教師なのに、美術を通して生徒の心を変えていくって部分が、非常に弱い。
教師云々ではなく、女性の価値観のぶつかり合い。最終的に彼女の授業は人気が出たけれど、教師として信頼を勝ち取ったんじゃなく、友達というかお姉さんとして仲良くなっただけだと思う。
生徒たちは、彼女を好きになるけど、元々大学の方針や教師たちのことが好きなわけでもなく、猫をかぶっていただけで、彼女たちの何かが変わったわけではない。伝統を振りかざして、彼女を煙たがる古株教師たちの考え方を変えるわけでもない。彼女たちを縛り続ける、親をはじめとする町の人々の考え方がわかるわけでもない。心の拠り所でもあった、彼女と付き合う男たちが、彼女のことをわかってくれたわけでもない。
1950年代の状況を考えると、こういう軋轢は判るんだけど、これまでの慣習を重んじる人たちの考えが悪いともいえないんだもん。っていうか、生徒たちがあそこまで優秀だったら文句いう必要ないわ。自由にさせてやれって感じ。
途中で、生徒たちが、先生の思い通りに動かないから気に喰わないんでしょ?っていうんだけど、私もその通りだと思ったもの。
はじめから最後まで何も変わっていないと思う。映画というのは基本的に、何かが変化していく様子を観るものだから、そういう意味では、映画足りえていのではないか。
教師モノっていうのは、涙や感動を与えられないならば、正しいかどうかは別にして何らか“答え”を出さないと、私はダメだと思うのね。結局“モナリザ・スマイル”を彼女たちがどう捉えて、自分たちの何になぞらえて、それをどうすべきと考えたのか。私にはピンとこなかった。
とはいえ、、ジュリア・ロバーツ、キルステン・ダンストら、彼女たちの演技がなかなかウマく、駄作にならず踏みとどめている(特にマギー・ギレンホールがいいね)。凡作中の凡作で、あえて観る必要を感じない作品。
公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:123分
監 督:リチャード・ラグラヴェネーズ
出 演:ヒラリー・スワンク、パトリック・デンプシー、スコット・グレン、イメルダ・スタウントン、マリオ アンドレ、エイプリル・リー・エルナンデス、ジェイソン・フィン、ハンター・パリッシュ、クリスティン・ヘレラ、ディーンス・ワイアット、ガブリエル・チャバリア、、アントニオ・ガルシア、ヴァネッタ・スミス、ティム・ハリガ
コピー:昨日までの涙が、インクになる。
それは、一人の新米教師と、一冊のノートが起こした奇跡の実話。
1994年、ロサンジェルスのウィルソン高校に、理想と情熱を持って赴任してきた新任国語教師エリン。しかし、2年前のロス暴動以来、民族間の対立が激化し、彼女の教室も同様の状況に。街は銃やドラッグがはびこり、生徒達は日々を生き抜くのが精一杯で、将来を考える余裕などない。エリンは、そんな生徒たちに対してどのような授業を行えばよいか苦心するが、ある日、全員に日記帳を配り、思ったことを何でもいいから毎日書くようにと提案する。生徒達が徐々に本音を綴り始めるにつれ、エリンに対しても心を開き始める…というストーリー。
この子供世代の対立だけがひどいわけではなく彼らの親世代からしてこの状況であり、すでに教育現場云々という次元ではない。政府の“人種統合政策”の机上の空論ぶりが実に腹立たしくなってしまうのと同時に、あまりに過酷な状況と閉塞感で、非常に重い気持ちになり辛かった。
日本でも外国人への参政権付与が話題になっているが、将来的には多くの移民を受け入れる方向に傾くかもしれない。日本人は異文化間の軋轢をさほど経験していないから簡単に考えがちだが、本作と同様のカオス状態になるのは容易に予想がつく。今のうちから真剣に本気で考えておかないと、本作の状況になるのは必至。“こうあるべき”というだけの“人種統合政策”は、かつての中国の文化大革命と同じで、その理論に現実を当てはめようとすると、崇高なお題目のために大量の死者が出る。我々はそれを歴史から学ぶべききである。
そういう反面教師的なロジックが、頭の中を占め続け、辛いだけの内容に半ばうんざりしかけた中盤から、ストーリーは変化してくる。
詳しくは書かないが、エリンはとにかく身を削る。精神的にもフィジカル的にも、そして経済的にも。ある意味、自分の生命を削ることを厭わず、教師として“命をかける”行いをする。ホロコーストのくだり、そして、ある人物を高校に招いたところで、私の心のボルテージは上がりに上がって、肌がピリピリしてくるのを感じた。今年、初泣き映画かも。まさに感涙。
はじめは、ヒラリー・スワンクには向いていない役だなぁとみていたのだが、彼女がこの仕事を請けた理由が、よくわかった。
これを観て、情熱も常識もない教師や教員組合組織、くだらない要求ばかりしたり無関心だったりの保護者に、微塵も変化がないのだったら、日本の教育現場はおしまいだろう。本作は、若い世代も大人も広く、見るべき。いや、職業を通して社会を変えるという“職”に命をかけるという点では、すべての立場・職業の人たちに通じるだろう。
強く強くお薦めする。ただ、一度みたら、もう一度みることはないだろう。やはり、あまりにも辛い情勢すぎるので。でも人生が一期一会であるように、そういう映画があってもいいだろう。娯楽作品とはいえないが観るべき作品。
公開年:1997年
公開国:アメリカ
時 間:127分
監 督:ガス・ヴァン・サント
出 演:マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ、ミニー・ドライバー、ベン・アフレック、ステラン・スカルスゲールド、ケイシー・アフレック、ステラン・スカルスガルド、コール・ハウザー 他
受 賞:【1997年/第70回アカデミー賞】助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、脚本賞(ベン・アフレック、マット・デイモン)
【1998年/第48回ベルリン国際映画祭】銀熊賞:貢献賞(マット・デイモン:脚本と演技において)
【1997年/第55回ゴールデン・グローブ】脚本賞(マット・デイモン、ベン・アフレック)
【1997年/第3回放送映画批評家協会賞】オリジナル脚本賞(ベン・アフレック、マット・デイモン)、ブレイクスルー賞(マット・デイモン))
コピー:あなたに会えて、ほんとうによかった。
ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃にうけた虐待の影響と、その天才ゆえに社会から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介し、社会性を向上させようする。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、ランボーは政府機関や大企業に彼を紹介しようとする…というストーリー。
ガロアしかりポアンカレ予想を証明したペレルマンしかり、数学の際立った才能の持ち主は社会性が欠如していることが多い。この二つはトレードオフなのか?人間は社会性を獲得するために、研ぎ澄まされた武器を手放したのか。この手の話を見聞きするたびに、考えさせられる。これにスポットを当てたのは、いいセンスである。
ガロアは決闘などしでかして刺殺され、ペレルマンは完全に隠遁。このストーリーの最後も、彼らと同じように慈悲無き切ない結末がやってくるのか…と、ハラハラとそればかりを気にして観ていた(結果は言わないが)。おかげで、おそらく多くの人にとって、泣きのポイントであったであろう「君のせいではない」のシーンも、泣きにいたらなかった。
本作の脚本はマット・デイモンとベン・アフレックによるものだが、彼らが選出した『夏休みのレモネード』と似ている(と、私は思う)。底辺に大きな潮流のようなテーマがあるように見えて、実は無い(というか、あってもさほど深くはない)。特徴的なシチュエーションをセッティングし、それらを動かしつつ、キャラクター達に脚本家の心の叫びを吐露させる。この創り方はうまくいく時はいくが、ダメなときは、シナリオの体にすらならない。ラッキーパンチとまでは言わないが、この手のライターは、同じクオリティの作品は続かないと思われる。
本作は、実に青臭く深みは無い(米アカデミー脚本賞だからといって、遠慮はしないよ)。しかし、あからさまな主張や深いテーマが無いことが、逆に先読みさせないすっきりとした展開を生み出し、さらに、割れそうな白磁の器のようなハートと、その器から表面張力でこぼれそうなパンパンの美酒のような才能をもったキャラクターと相まって、緊張感と共感を感じさせるいい作品になってる。
結果オーライだろうがなんだろうが、いい着地をしたと思う。これまで十年以上、観ないでいたのをちょっぴりだけ後悔している。未見の人は是非みてほしい。きびしい境遇でも一縷の希望にかける気持ちがあれば、そして微塵でもいいから周囲の後押しがあれば、生き方を変えることができる…と力づけられる人もいるかもしれない。
#穿った見方かもしれないが、社会性を獲得した彼は、数学の才をその手からこぼしてしまったのではないか…と、そういう変な想像をしたのは私だけか?
公開年:2003年
公開国:アメリカ
時 間:119分
監 督:マイク・トーリン
出 演:キューバ・グッディング・Jr、エド・ハリス、アルフレ・ウッダード、デブラ・ウィンガー、S・エパサ・マーカーソン 他
コピー:少し、休みませんか?しあわせを用意しています。
実話を元にしたシナリオで、且つ知的障害の話ということで、重かろう、お涙頂戴だろうと、敬遠して今に至る。
「いい話でしょ?」という押し売りになりがちだが、あっさりしたノリ。過剰に困難な運命を背負わせたり、ステレオタイプな悪役を登場させたりということをしないにもかかわらず、映画全体がぐっと締まっているのは、エド・ハリスと、キューバ・グッディング・Jrのキレのある演技のおかげ。無冠だがいい仕事としている。彼らに引っ張られて、周りの演者たちも、映画の雰囲気を壊さない良い芝居ができていると思う。
ベタベタな内容かもしれない。でも、本作を観て、地域スポーツってこうあるべきだなと本心から思えたし、自分が過去に置いてきた心のひっかかりや傷っていうのは、後の人生において力になるんだな…と。
いつも、どんなにいい映画でも、斜めに作品を見ているフシのある私だが、本作は素直に観ることができた。
正直、ラストのラストで、実際の映像が重なるところで、涙が出てしまった(通勤電車の中で観てたんだけどさ)。
#私、『陽のあたる教室』とかも好きですから…
こういうエピソードがある地域スポーツの歴史を持つアメリカ。捨てたもんじゃないね。地域の人がアマチュアスポーツで繋がっている文化って、日本ではありそうでない。すべてがいい面ばかりではないことはわかっているけれど、本作を観る限りは、とてもステキでうらやましく思えた。地味にいい作品なので、是非是非観て欲しい。お薦めする。
#でも、毎度こういう指摘をしなくてはいけないことに、うんざりなのだが、この邦題はナシ。『RADIO』だけがどうしても問題があるならば、せめて『アイム・レィディオ』とかにしてくださいな。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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