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image0441.png公開年:1997年 
公開国:アメリカ
時 間:127分  
監 督:ガス・ヴァン・サント
出 演:マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ、ミニー・ドライバー、ベン・アフレック、ステラン・スカルスゲールド、ケイシー・アフレック、ステラン・スカルスガルド、コール・ハウザー 他
受 賞:【1997年/第70回アカデミー賞】助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、脚本賞(ベン・アフレック、マット・デイモン)
【1998年/第48回ベルリン国際映画祭】銀熊賞:貢献賞(マット・デイモン:脚本と演技において)
【1997年/第55回ゴールデン・グローブ】脚本賞(マット・デイモン、ベン・アフレック)
【1997年/第3回放送映画批評家協会賞】オリジナル脚本賞(ベン・アフレック、マット・デイモン)、ブレイクスルー賞(マット・デイモン))
コピー:あなたに会えて、ほんとうによかった。

ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃にうけた虐待の影響と、その天才ゆえに社会から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介し、社会性を向上させようする。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、ランボーは政府機関や大企業に彼を紹介しようとする…というストーリー。

ガロアしかりポアンカレ予想を証明したペレルマンしかり、数学の際立った才能の持ち主は社会性が欠如していることが多い。この二つはトレードオフなのか?人間は社会性を獲得するために、研ぎ澄まされた武器を手放したのか。この手の話を見聞きするたびに、考えさせられる。これにスポットを当てたのは、いいセンスである。

ガロアは決闘などしでかして刺殺され、ペレルマンは完全に隠遁。このストーリーの最後も、彼らと同じように慈悲無き切ない結末がやってくるのか…と、ハラハラとそればかりを気にして観ていた(結果は言わないが)。おかげで、おそらく多くの人にとって、泣きのポイントであったであろう「君のせいではない」のシーンも、泣きにいたらなかった。

本作の脚本はマット・デイモンとベン・アフレックによるものだが、彼らが選出した『夏休みのレモネード』と似ている(と、私は思う)。底辺に大きな潮流のようなテーマがあるように見えて、実は無い(というか、あってもさほど深くはない)。特徴的なシチュエーションをセッティングし、それらを動かしつつ、キャラクター達に脚本家の心の叫びを吐露させる。この創り方はうまくいく時はいくが、ダメなときは、シナリオの体にすらならない。ラッキーパンチとまでは言わないが、この手のライターは、同じクオリティの作品は続かないと思われる。

本作は、実に青臭く深みは無い(米アカデミー脚本賞だからといって、遠慮はしないよ)。しかし、あからさまな主張や深いテーマが無いことが、逆に先読みさせないすっきりとした展開を生み出し、さらに、割れそうな白磁の器のようなハートと、その器から表面張力でこぼれそうなパンパンの美酒のような才能をもったキャラクターと相まって、緊張感と共感を感じさせるいい作品になってる。

結果オーライだろうがなんだろうが、いい着地をしたと思う。これまで十年以上、観ないでいたのをちょっぴりだけ後悔している。未見の人は是非みてほしい。きびしい境遇でも一縷の希望にかける気持ちがあれば、そして微塵でもいいから周囲の後押しがあれば、生き方を変えることができる…と力づけられる人もいるかもしれない。

#穿った見方かもしれないが、社会性を獲得した彼は、数学の才をその手からこぼしてしまったのではないか…と、そういう変な想像をしたのは私だけか?
 

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