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公開年:1978年
公開国:日本
時 間:105分
監 督:深作欣二
出 演:ビック・モロー、フィリップ・カズノフ、ペギー・リー・ブレナン、真田広之、岡部正純、志穂美悦子、千葉真一、成田三樹夫、天本英世、佐藤允、織本順吉、丹波哲郎、三谷昇、サンダー杉山、中田博久、林彰太郎、小林稔侍、ウィリアム・ロ 他
惑星ジルーシアは邪悪な皇帝ロクセイア率いるガバナス帝国に占領された。ジルーシアの長老は、遥か彼方にある太陽系に向けて“リアベの実”を8個放ち、リアベの実に選ばれた8人の勇士を導くために孫娘のエメラリーダと戦士ウロッコを送り出す。この実を手に入れた8人の勇者がガバナスとの壮絶な戦いを繰り広げる…というストーリー。
“東映特撮ヒーロー THE MOVIE”という、昔の東映まんがまつりの特撮作品だけをまとめたDVDがあるのだが、その中に『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』というTVシリーズを編集した1本があった。TVシリーズは観たことがないのだが、石森章太郎作のマンガ(たぶんTVマガジンだと思う)で、ある星で巨大な蟹に襲われて戦うのだが、じつはその蟹の甲羅がやわらかくて…みたいなエピソードがものすごく記憶に残っている。
いや、まてよ。たしか『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』って一番はじめは映画だったよな…。噂では知っていたが、そういえば観たことないぞ…と思い出し、本作をレンタルしてみたのだ。
実は、本作、製作までの経緯がとても興味深い(というかワタシ的に言わせてもらえればフザけているのだが…)。元々、別の特撮映画の企画進行中だったが、海外で『スター・ウォーズ』が大ブームの報を聞き、日本で『スター・ウォーズ』が公開される前に、似たようなのやっちゃおうぜ!ってことで、企画を変更。突貫工事で製作されたのが本作なのだ。
噂に聞けば、『スター・ウォーズ』がヒットといっても、それを海外で実際に観たものは数名で、ほとんどのスタッフが断片的な情報を元に、模倣に走ったとのこと。できうるかぎりのSF要素に八犬伝のモチーフを加え、なんとか映画にした感じである。
そんな作品なのだが、その後の特撮で多様されるような技術も初導入されており(光がぴゅんぴゅん飛ぶような合成)、日本特撮界的にはパイオニア的な部分もあるのだが、実はその技術の用い方で、技術に対する考え方が、日米で異なっていることが露見している。『スターウォーズ』では、様々な特撮技術が、製作者の脳内にあるイメージを実現するための“こだわり”に利用されているのに対して、本作では実現したいイメージを安易に(安価にというのが正しいか)表現するために用いられているのだ。同じく目的を実現するためでも、前者はより研ぎ澄ますために、後者はちゃっちゃっと作るために、この差は大きい。この姿勢は、作品の端々に現れる。戦闘機内のパイプや計器、ヘッドセットなど、普通の電気街や工具店で民生品として売っているようなものを流用。宇宙時代の酒場のキッチンにも民家にあるような食器棚、服装も商店街で売っていそうなジャケット、等々、細部へのこだわりは何も無いのだ。
映画の出来不出来を云々言う前に、もう、この姿勢にうんざりしてしまう。
実は、本作のDVDには、当時の製作発表のCM(映画館で流したもの)が入っている。『未知との遭遇』『スターウォーズ』に続いて『宇宙からのメッセージ』だ!(って、スターウォーズは公開していないわけで、逆にスターウォーズの宣伝になってやしないかい?)。海外スターの起用で大作っぷりをアピール。そのCMの中での特撮は結構まともで、期待が持てるのだ。でも、煽るだけ煽って、出来上がったものは、こだわりのかけらもないレベル。ストーリーも陳腐でガッカリしてしまう。
これでよしとする、深作欣二っていうのは、いったいどういう神経をしているのやら(まあ、深作欣二って人の作品でよいと思ったものはあまりないので、なんか本作を観て、その理由がわかった気もするんだけどね)。
ちなみに、本格SF作品とうたっているわりには、口に酸素マスクだけをつけて宇宙空間に飛び出し、さらにすいすいと手足で掻き分けて前に進んだり方向転換するなど、科学常識を著しく無視(それも、ジョークでやってるとは思えない感じで)。これをSFといった時点で、総スカンだと思うのだが、一体なにを考えているのか。
アメリカで『スターウォーズ』をやっているときに、日本ではコレ。その後、アメリカのSFX技術はCGをいう武器を得てますます発展し、日本では特撮ヒーロー番組は、息も絶え絶えながら何とか生き延びている状態。この差はなにか。映画技術に対する、真摯な姿勢と敬意の違いだ。ちょくちょく苦言を呈しているが、ライティング一つとっても大違い。日本映画は、もっと技術に敬意を払いなさい。
もちろん、珍作を観たいという人以外は観るまでもない。
#ちなみに、TVシリーズの『宇宙からのメッセージ 銀河大戦』は『スターウォーズ』公開後にTV放映されているのだが、チューバッカ的なキャラが登場するなど、より『スターウォーズ』へのパクリ度は増し、それに反比例し特撮技術は程度が落ちていく。チューバッカ的なキャラなんか、口すら動かないのに流暢にしゃべるのだ。いくら子供番組でも、笑いを通り越して怒りすら覚えるね(でも、なぜか、日本でも流行らなかったのに、フランスでは人気があったという。不思議だね)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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