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image1168.png公開年:1994年 
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:111分  
監 督:ジョエル・コーエン
出 演:ティム・ロビンス、ポール・ニューマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、チャールズ・ダーニング、スティーブ・ブシェミ、ジム トゥルー 他
受 賞:【1994年/第20回LA批評家協会賞】美術賞(デニス・ガスナー)
コピー:ニューヨークの時間が止まるとき、あなたの夢がかなうかもしれない



1950年代のニューヨークで、巨大企業の社長が突然ビルから飛び降りて自殺。会社買収を狙う役員たちの陰謀によって新入社員バーンズが新社長に。役員の思惑通り株価は急落するが、バーンズのアイデア商品が思いがけないヒットとなり…というストーリー。

これまで、『ファーゴ』『赤ちゃん泥棒』『ノーカントリー』『バーン・アフター・リーディング』など色々観てきたが、コーエン兄弟の作品は総じて好きなので、本作も期待した(古めに作品だけどね)。

いやあ、すっかり忘れていた。彼らのコメディで『レディ・キラーズ』というがっかり作品があったということを…。

コーエン兄弟の作品は、別に笑わせようとしなくても、ニヤリと笑いがこみ上げてくるのがいいのだ。だから笑わせようなんてしなくていいのに、本作ではやってしまっている。ほうら、笑うところですよって、そんなんで笑えるかよ。いらいらする。とんとん拍子で社長になってうまくいくくだりはもちろん、ポール・ニューマンの陰謀によってころげ落ちるところ、特に最悪ではずかしくて顔を手で覆ってしまいそうになったのが、街の人たちから追いかけられるシーン。

さらに、(ネタバレだが)このオチはなんなんだろう。突然、超常現象が発生である。これが長年コーエン兄弟があっためていたアイデアというのは信じがたい。

もうしわけないが、本作は観なくていいと思う。今後も、コーエン兄弟が、シリアスもコメディーもできるメジャーな役者をメインに据えた、正面から“コメディ”映画としている作品は、要注意だ!要注意だ!

#こんなに笑いのセンスが無いとは…。
 

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image1432.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:105分  
監 督:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
出 演:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、アリシア・キーズ、クリス・エヴァンス、ニコラス・リース・アート、ドナ・マーフィ、ポール・ジアマッティ 他





大学卒業後、一流企業を目指すも、なりゆきでセレブ家庭の“ナニー(子守り)”になり、雇い主の押しつける無理難題やその息子のワガママに振り回される若い女性のストーリー。

『アメリカン・スプレンダー』の監督(夫婦)である。前作の『アメリカン・スプレンダー』の時は、かなり好印象なレビューを書いたと思う。

どうやら、この監督の演出は、私の好みに合っているようだ。まず、フレーム(というかユニークな枠組み)をかっちりつくる。『アメリカン・スプレンダー』の時は漫画のキャラクターとしての見せ方。本作は人類学的な視点。
日本の青年向け漫画なんかにはありそうなノリだけど、アメリカ映画ではあんまり無いかんじかな。

前作にあった荒削りさは無くなって、非常に洗練されてはいるのだが、その荒削りさにとても魅力があったんだろう。その“アク”がなくなったおかげて、惹きつける要素が少し減ったと思う。ということは、『アメリカン・スプレンダー』の面白さの何割かはラッキーパンチかビギナーズラックだったのかも。
社会学的に不要な部分は捨象するっていうっていうことで、雇い主は「X」だったり、言い寄ってくる男の名前は“ピー”だったりするのだが、前作だったらもっと病的にやってただろう。

まあ、次回作に期待する程度の首の皮は繋がっているとは思う(私は次回作も必ずチェックすると思うよ)。
ただ、前作ほど胸を張ってお薦めするほどではない。『アメリカン・スプレンダー』を観て、良い!と思った人は観てください。

#スカーレット・ヨハンソンってかわいんだかなんだかわかんないけど、そこが魅力なんでしょうね。
 なんとなくな予感だけど、この子役は、将来、結構な役者になっているような気がする。

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image0261.png公開年:1997年 
公開国:アメリカ
時 間:97分  
監 督:バリー・レヴィンソン
出 演:ダスティン・ホフマン、ロバート・デ・ニーロ、アン・ヘッシュ、ウディ・ハレルソン、デニス・リアリー 他
受 賞:【1998年/第48回ベルリン国際映画祭】銀熊賞(バリー・レヴィンソン)
コピー:やっちゃった。バレちゃった。
大統領はセクハラ隠しのため、ヤラセの戦争をおこした!


アメリカ大統領が執務室で少女と淫行に及ぶという衝撃的事件が発生。自称もみ消し屋のブリーンが、大衆の目を事件からそらすために、ハリウッドのプロデューサー、モッツを利用し、架空の戦争をでっちあげるが…というストーリー。

『ダイナー』『グッドモーニング,ベトナム』『レインマン』等々のレヴィンソン監督の作品である。彼の作品には、何が“アメリカ”というものを作っているのか?という視点がいつもある。本作は、アメリカを形作っているメディアの虚構っぷりを皮肉ったというところだろうか。

冒頭で、“なぜ犬は尻尾を振るのか?それは尻尾より犬が賢いから尻尾のほうが賢けりゃ尻尾が犬を振る”っていう格言なんだかアメリカンジョークなんだかよくわからない、“wag the dog(犬を振る)”っていうタイトルの説明がある。しかし、観終わっても、なにがdogでなにがtailなんだかよく判らなかった(dog=国民、tail=大統領? それともdog=大統領、tail=もみ消し屋のこと?)。

戦争映像がニュースとして流れるという衝撃を世界に与えた湾岸戦争の後のことなので、こういうアイデアが閃いたのもよく判るのだが、これが、湾岸戦争と9.11の間に作られた映画だと思うと、なにやら複雑な気分になる。
そして、閃いたアイデアだけでグイグイ進めて、最後はダスティン・ホフマンを特にヒネリも無く終わらせているのも、なんとももったいない。そして、観終わった後には、だから何?しか残らない(何が言いたかったのかと思索を巡らせていると、理由はわからないが何かイライラしてくる)。どの部分が評価されて銀熊賞なのかね(映画賞っていうのは、どういう部分に対して評価をしたのかわからないから、こまったものだよ)。
時代を先取りした映画だったんだね…とか評価される作品があるけれど、本作はまったく逆で、あっというまに時代に追い抜かされて、陳腐化した作品である。まあ、当時はこれでよかったんでしょう。

なんだかんだいって駄作だと思う。二大俳優をつかってこのザマである。観る必要なし。以降のレヴィンソン作品も、おそらく観るに値しないんだろう。残念。

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image1263.png公開年:2007年 
公開国:アメリカ
時 間:102分  
監 督:マイク・ニコルズ
出 演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ネッド・ビーティ、オム・プリ、エミリー・ブラント、ケン・ストット、ジョン・スラッテリー、デニス・オヘア、ジャド・タイラー、ピーター・ゲレッティ、ブライアン・マーキンソン、クリストファー・デナム、トレイシー・フィリップス、ウィン・エヴァレット、メアリー・ボナー・ベイカー、レイチェル・ニコルズ、シリ・アップルビー 他
ノミネート:【2007年/第80回アカデミー賞】助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)
【2007年/第65回ゴールデン・グローブ】作品賞[コメディ/ミュージカル]、男優賞[コメディ/ミュージカル](トム・ハンクス)、助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)、助演女優賞(ジュリア・ロバーツ)、脚本賞(アーロン・ソーキン)
【2007年/第61回英国アカデミー賞】助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】助演男優賞(フィリップ・シーモア・ホフマン)、脚本賞(アーロン・ソーキン)
コピー:たったひとりで世界を変えた本当にウソみたいな話。“Based On The True Story”

実話を元にした、たったひとりでアフガニスタン紛争を終結させたテキサス州の下院議員の話…。

ということなのだが、本作の評価云々の前に、このキャッチコピーとか配給会社や販売元が出しているあらすじの内容にあきれてしまった。本作はコメディなのか?本作を観てコメディに分類するやつの気が知れない。「たったひとりで世界を変えた本当にウソみたいな話。」だと?こんなお気楽なコピーをつけたやつは、とっとと配給会社を辞めるべきである。
すべてが壮大なシニカル(皮肉)だろう。国際情勢通を気取るつもりはさらさら無いが、普通にニュースを見ている人間が、最後のせりふを聞けば、本作のスタンスが判らない訳はないと思うのだが…。アフガンの紛争を解決してソ連を撤退させたものの、その後の戦後処理を誤って、タリバンの増長と反アメリカの構図を生み出し、結局9.11に繋がる“笑えない”話なのだから。それを実録政治コメディというか?私ならそんなこと言ってしまったら、はずかしくて街を歩けない。

ただ一介の国会議員が奮闘して大きなことをやり遂げた顛末を楽しむ映画ではなく、そのすべてが惨劇に繋がったという話。且つそれがたかだか一人の国会議員と、国家諜報組織の、それも大した権限もない人間によってなされたという、システムの恐ろしさ。民主主義とは名ばかりの権利の簒奪。ゾッとする話である。コメディ的な部分など、その恐ろしさを増幅する仕掛けにすぎない。
こうすれば成功したなどという、簡単な答えは歴史にはないが、本作を観ると国際貢献とは何なのか。今、正しいと思っていることが本当に正しいことなのか、信念の根元が揺らぐ気さえしてくる。

本作は色々ノミネートされたが受賞に至らなかった。作品の質として『シリアナ』より劣っているとは思わないので、なにかひとつくらい受賞してもよさそうなものだが、やはり、まだ生々しすぎて後味が悪く、純粋に作品として楽しむことはできない。そういう点も受賞に至らない理由だろう。

短めの作品でかつテンポもよいので、私は結構引き込まれてしまい、ふと気づくと残り30分をすぎていた。当時のアフガンの状況はあまり知られてもいなかったし、なんで、9.11が発生したのか…という遠因(直接原因な気もするが)も腑に落ちる。観ておくべき映画だと思うので、“あえて”お薦めする。もう一度いうが、これはコメディではないよ。

余談。あまりフィジカルな点をあげつらうのはよくないと思うが、ちょっとジュリア・ロバーツの眼窩にはぎょっとしてしまった。昔からあんな感じだったろうか…。

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image0178.png公開年:2001年  
公開国:フランス
時 間:108分  
監 督:コリーヌ・セロー
出 演:ヴァンサン・ランドン、カトリーヌ フロ、ラシダ・ブラクニ、リーヌ・ルノー、オレリアン・ウィイク  他
受 賞:【2001年/第27回セザール賞】有望若手女優賞(ラシダ・ブラクニ)
コピー:平凡な主婦 meet 謎の娼婦
大変なこともあるけれど、元気です


家事に追われるだけの日常に疑問を感じていた平凡な主婦エレーヌ。車に乗っていた夫とエレーヌのもとに血まみれの女が助けを求めてやって来るが、殴られる女を無視して走り去る。翌日、女のことが心配になったエレーヌは、彼女が収容された病院を探し出し、看病するのだったが、事件に巻き込まれていく…というストーリー。

ヨーロッパ映画で女の生き様が云々かんぬんと聞かされると、『オール・アバウト・マイ・マザー』とか『トーク トゥーハー』のようなちょっと重いテイストを想像してしまったのだが、まったく違った。軽快でドキドキあり笑いありで、とても楽しい作品。

さほど評判を聞かないのは、私をスキーにつれてってばりのダサい邦題と、パッケージのあおり文句が、内容とズレているせいではなかろうか(かといって原題のCHAOSがぴったりかというと、それもピンとこないが)。
#まあ、実は最後まで見れば、邦題もわからなくはないのだが、ダサいものはダサい。
宣伝用の画像がないのか、パッケージに使われている写真が、すべて本編中の画像で、見栄えがしないのも良くないかもしれない。

女性監督らしい視点なのは良いが、あまりに男性が陳腐に描かれており、偏っているとみられるかもしれない。でも、そこは、単なる演出だと考えて、気にしないで観るのがよい。本作にでてくる宗教問題・売春・人身売買・麻薬問題など、これが現実だとすると、恐ろしいかぎりなのだが(冷静に考えると、フランスにいくのがイヤになるくらい怖いかも)、それすらひっくるめて楽しめるのは、この監督の才能だろう。観始めたら、引き込まれること、間違いない。

ただし、残念な点はある。まず、娼婦ノエミが簡単に快復しすぎ。半身不随でチューブだらけだった人間が、簡単にスタスタ歩けるようになるのは、あまりに不自然。もうちょっと工夫してほしかった。それに、娼婦ノエミのこれまでの生い立ちを語るシーンが、あまりにあまりに長すぎ。もうちょっと、さりげなく、うまいこと表現することはできなかったものか。

それでも、その中ダルミからグイッと元のテンポに戻し、スカっとして微笑んでエンドロールを迎えることができた。『キンキー・ブーツ』と一緒で、いい拾いものであった。男性は、パッケージで敬遠するかもしれないが、その先入観は捨てて観て欲しい。お勧めする。






 

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image0247.png公開年:2005年  
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:107分  
監 督:ジュリアン・ジャロルド
出 演:ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー、リンダ・バセット、ニック・フロスト、ユアン・フーパー、ロバート・パフ 他
ノミネート:【2006年/第64回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](キウェテル・イジョフォー)
コピー:幸せへと導くブーツ、お作りします。


田舎町ノーサンプトンの伝統ある靴工場の跡取り息子チャーリー・プライスは、家業がいやで、婚約者の転勤にくっついて自分もロンドンへ。しかし到着早々、父親が死んでしまい、突然に工場を引き継ぐことになってしまう。おまけに、実は倒産寸前だったことが判明。嫌々ながらも従業員を解雇するなど、どうにか工場を立て直そうとするが、解決策は見えず。そんなある日、ひょんなことから知り合ったドラッグクイーンのローラの悩みをヒントに、女装者向けブーツの開発に活路を見出す。はたして工場が立ち直るか…というストーリー。

いきなり褒めてしまうが、本作はかなりおもしろい。
冒頭30分の無駄を極力排除した編集は、敬服に値する。話の展開がお約束的で大体予想がつくところは、ポンポンとテンポよく進め、感情表現の部分や、演出的に見せたい部分はゆっくりと。この緩急こそ演出の妙。観客を乗せるツボがよくわかっている。

ストーリーとしては、ピンチと克服と成長という『フル・モンティ』や日本の『ウォーター・ボーイズ』なんかにも見られる、陳腐といってもよいほど使い古されたパターンなのだが、努力・友情・勝利といった少年ジャンプ的な匂いすら感じられ、見終わった後は爽快感があった(ちょっと語弊があるかも)。

素人の私がこんなこといっても仕方ないのだが、靴が出来上がった後、工場の人たちが踊り始めるシーンがあるのだが、もし、私が脚本家だったら、ここにこのシーンを挟めただろうか…と、考えさせられてしまった。私にはそれを放り込むバイタリティは無いかも。そういうシーン達が、ありきたりなパターンの映画を、更にその上をいく作品へとグレードアップさせているのだと思う。

いきなり、始めに「実話を元にしてます」という必要があるかは微妙なところだが、『カレンダー・ガール』のスタッフによるものらしいので、二匹目のドジョウ的なノリか。『カレンダー・ガール』は見ていないのだが、観ようという気がおこってきた。そのくらい楽しめた。

見終わった後に、にっこりした表情で終われる作品はそう無い(私はにっこりだった)。まったく受賞歴がないが、もっと評価されてよいのに…と個人的は強く強く思う。メジャーな役者も出ていないし、よくあるタイプの映画だし…という先入観は捨てて、是非観ていただいて、単純に楽しんでもらいたい。お薦めする。

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GoodByeLenin.Png公開年:2003年  
公開国:ドイツ
時 間:121分  
監 督:ヴォルフガング・ベッカー
出 演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・ザース、マリア・シモン、チュルパン・ハマートヴァ、フロリアン・ルーカス  他
受 賞:【2003年/第53回ベルリン国際映画祭】ヨーロピアンフィルム賞 (ヴォルフガング・ベッカー)
【2002年/第37回ヨーロッパ映画賞】作品賞、男優賞(ダニエル・ブリュール)、脚本賞(ベルント・リヒテンベルグ)、観客賞[監督賞](ヴォルフガング・ベッカー)、観客賞[男優賞](ダニエル・ブリュール)、観客賞[女優賞](カトリーン・ザース)
【2003年/第29回セザール賞】EU[欧州連合]作品賞(ヴォルフガング・ベッカー)
コピー:時代は変わっても、心は変わらない。

1989年、東ベルリン。バリバリの社会主義者の母が心臓発作後に昏睡状態になるが、その間に東西ドイツが統一。意識を取り戻した母が再びショックを受けないよう、息子は消滅前の東ドイツを必死に見せ続けるようと奮闘する…というストーリー。

おしい。実におしい。あとちょっと何とかすれば、名作なんだが。とにかくおしい。それが、本作を見ての感想だ。

ネタバレになってしまうが、遠慮せずに苦情をいうと、、、、
お母さんが全然瀕死に見えないので、ウソをつくメリットがまったく感じられず、すぐに本当のことをいったほうがよいのでは?と思わざるを得ない。だから、主人公に共感できないし、それが滑稽だとも思えない。こりゃ、たしかにウソをついたほうがいいかも…を思わせるような状態をつくらないといけない。
主人公の年齢をもうちょっと下にしたり、協力してくれる人たちが、もっとユニークな変人たちだったりすると、さらに、効果的だったかもしれないし、むしろ泣ける演出になったかも。とにかく、観ている方がそのウソを応援したくなるようにしなくては。

また、統一間もないのに、東ドイツの品物を探すのにそこまで苦労するものか。ピクルスのビンをこの映画のアイコンにしたかったのかもしれないが、失敗している。
部屋を偽装するときのテケテケも、稚拙すぎるし、ちょこちょこうっとしい演出が挿入されるのも気になる。母親の貯金がパーになるくだりは、必要だっただろうか?どういう目的で挿入したのだろう。なんで家具がいつまでも家の前にあるかも、よくわからないし。とにかく、設定の練り上げが甘い。

一番残念だったのは、はじめはお母さんのためだったのに、途中から自分のためになっている…という部分に、あまり焦点が当たっていないこと。もっとクローズアップすべきだ。むしろ、この映画の主テーマに据えてもいいくらいで、母親は気付いているのに、だまされているフリをしなくてはと、いつのまにか立場が逆転…的な展開を明確にしないと。

いやはや、なんとも残念。すごくいいところに目をつけたのに、映画のテクニックが追いついていない悲劇。是非とも、イギリスかどこかで、もっとコメディのツボを心得ている監督にリメイクしてもらいたい。

結構けなしてしまったが、なんだかんだ最後の20分くらいで、まとめあげているので、決して駄作ではない。皆さんも、私と同じように、凡作になってしまった残念さを噛みしめてみるといいだろう。

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image0093.png公開年:2003年  
公開国:ウルグアイ、アルゼンチン、ドイツ、スペイン
時 間:94分  
監 督:フアン・パブロ・レベージャ、パブロ・ストール
出 演:アンドレス・パソス、ミレージャ・パスクアル、ホルヘ・ボラーニ、ダニエル・エンドレール、アナ・カッツ、アルフォンソ・トール  他
受 賞:【2004年/第57回カンヌ国際映画祭】オリジナル視点賞、国際批評家連盟賞【2004年/第17回東京国際映画祭】東京グランプリ・都知事賞、最優秀女優賞(ミレージャ・パスクアル)
コピー:“ウィスキー”は幸せの合言葉

ブラジルとアルゼンチンの間の小国ウルグアイで作られためずらしい映画。はじめてみた。
さびれた靴下工場の経営者ハコボの下で、中年女性マルタが助手として働いている。弟エルマンが、死んだ母の墓の建立式のためにブラジルから帰国する。ハコボは弟が滞在する間、マルタに夫婦の振りをして欲しいと頼むが…というストーリー。
南米の国の関係はよくわからないが、ブラジルなんかとくらべると、豊かさの面でかなり劣る様子である。文化的背景でも、わからない点がある。母親の墓の建立式の様子をみると、ユダヤ人のようである。ウルグアイではユダヤ人が多いのか?また、社会的な地位は高いのだろうか(工場経営者だしね)。また、妻のふりをしてくれと頼むと、さもあたりまえのようにマルタは了解する。ウルグアイでは一人身でいることがはずかしいことなのだろうか。

などなど、ちょっとニュアンス的に掴みかねる部分はあるのだが、そんなことはどうでもよいと思えるくらい、特徴的なのが、あまりにもゆるーい時間の流れ。その中で、ほぼ3人だけで繰り広げられる不思議な小旅行。ドラマチックな展開があるわけでもないし、ストーリーの裏になにか寓意があるわけでもない。とにかく淡々と淡々と。その中で、かたつむりの速度のようだが、それぞれの心にかすかな変化がおこる。
これだけ緩ければ、途中で飽きることがありそうなものだが、その隙を与えない監督のテクニックや、演技(特にマルタ役)は、なかなかのものだ。

まあ、正直最後の展開は、なんでそうなっちゃうかなぁ…と思わなくもないのだが、最後にマルタの心に何が起こったのかを、観た人それぞれが想像していただければよいだろう。明確な答えを出さない所も、この映画のいいところ。
特別に傑作というわけでもないが、他の映画ではなかなか味わえない感覚が得られる、おもしろい映画だ。過剰な情とか欲とは対極にあるので、心静かにさせてくれる。興奮を煽るような映画に疲れている人や飽きている人は、一旦リセットする意味でも、観るとよい。お薦めの映画だ。

ちなみに、“ウィスキー”とはいっても、本作とお酒は関係ありません。写真を撮るときの掛け声です。チーズとかキムチと同じ。

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image1400.png公開年:2008年  
公開国:アメリカ
時 間:104分  
監 督:ペイトン・リード
出 演:ジム・キャリー、ゾーイ・デシャネル、ブラッドレイ・クーパー、ジョン・マイケル・ヒギンズ、テレンス・スタンプ、リス・ダービー、ダニー・マスターソン、フィオヌラ・フラナガン、サッシャ・アレクサンダー、モリー・シムズ、ブレント・ブリスコー、ロッキー・キャロル、ジョン・コスラン・Jr.、スペンサー・ギャレット、ショーン・オブライアン他
受 賞:【2009年/第18回MTVムービー・アワード】コメディ演技賞(ジム・キャリー)
コピー:それは、今まで誰も気づかなかった幸せになる方法

銀行で貸し付けを担当しているカール。離婚以来、友人からの誘いをいつも断り、仕事でも申請を却下し続ける毎日。ある日、親友の婚約パーティまでもすっぽかしてしまい、友人から“生き方を変えない限り、お前はひとりぼっちになる”と脅され、その改善に、とあるセミナーへ参加することに。セミナーの主宰者から、意味のある人生を送るためには、そんなことに対しても全て“イエス”と言うのだと説かれ、そのとおりイエスを連発していくと、不思議なことに物事が好転し始め…というストーリー。

近年観たジム・キャリー作品は、「ナンバー23」「エターナル・サンシャイン」と、非コメディ系。その間に「ディック&ジェーン 復讐は最高!」というコメディ映画があるようだが、見ていない。予告を見た限り、「ブルース・オールマイティ」なんかの方に近そうだが、いかがなものかな…と鑑賞。

彼のコメディ系作品は、SFとかファンタジーとか非現実的な要素が、幾分入っていることが多いが、今回はそういう魔法チックな仕掛けはなしだった。ストーリは予告にあったとおり。後ろ向きな人生を送っていた男が、参加したセミナーの主宰者から、意味のある人生を送るための唯一のルールはなんでも“イエス”と言うことだ、と説かれる。それを実行していくと、次第に物事が好転し始める…、というモノ。本当に予告の通り。
とあるバラエティTV番組の新作映画紹介コーナーでは、予告以上に内容を説明していたのだが、あれは全部のストーリーを言ったに等しかったな。「ああ、予告で言ってたとおりだなぁ…」と既視感すら漂う始末。じゃあ、つまらなかったのか?と聞かれれば、否。実に、おもしろかった!

事前に内容がわかっていたようなものなのに、おもしろかったというのは、スゴイことではかなろうか。なんでおもしろかったのか?と、すっかり楽しんだ本人が、振り返って自己分析するというのは、ちょと難しい作業のような気もするが(理由を考えながら楽しんでるわけじゃないからね)、できるかぎりがんばって挙げてみよう。

・後ろ向きというよりは、もはや偏屈に近い主人公のキャラクターなのだが、かといって、在り得ないほど特異な人物にも思えない。むしろ、うまくいかない時の自分に思えて、かなり感情移入できた。
・“イエス”“イエス”を連発して、様々なことが起こるのだが、わらしべ長者のように、「さすがにそこまで連鎖しないだろう~」的な無理は感じなかった。なにせ、世の中に普通にありそうなことに対して、個別に“イエス”といっているだけなので、本気でやろうと思えば、自分も同じ状況になる。個人融資を連発してかえってうまくいっちゃう…なんて、今のご時勢、本当におこってもおかしくない。
・銀行の上司の趣味だって、恋する女性のいろんな活動だって、そういうセミナーの存在だって、変わってはいるけど、実際ありえなくもない。最後のオチだって、そういうセミナーが存在するなら、そういう行動を取ったって別に不思議ではない。

そうか。設定、シナリオ、全てにおいて、実際にありえなくもない線を絶対に外さないように展開しているから、「それはないだろう」的な興醒めを一切感じさせないで、そのおかげで、ストーリーに引き込まれ、没頭することができたのだ。これは絶妙なシナリオの勝利だ。
で、ライターは誰かというと、ニコラス・ストーラー、ジャレッド・ポール、アンドリュー・モーゲルの3人がクレジットされている。他作品で脚本経験があるのは、ニコラス・ストーラーだけで、「ディック&ジェーン復讐は最高!」に携わっているのだが、これも共同脚本。この人の才能のおかげかどうかよくわからないなぁ。

とにかく、それなりにがんばっているのに、イマイチうまくいかないなぁと、日々感じている人ならば、本作を観ることで、少なくとも小石2・3個分は気が晴れるのは間違いないので、お勧めする。

#そういえば、前にも、生き方を変えるルールを実行していく…的な作品があったような、、、。そうだ、『ペイ・フォワード』だ。まだ未見なので、観て比較してみることにしよう。

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プロフィール
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クボタカユキ
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趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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