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image0157.png公開年:1997年
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ジェイ・ローチ
出 演:マイク・マイヤーズ、エリザベス・ハーレイ、ロバート・ワグナー、マイケル・ヨーク、ミミ・ロジャース、セス・グリーン、ファビアナ・ウーデニオ、ミンディ・スターリング、ポール・ディロン、チャールズ・ネイピア、ウィル・フェレル、ジョアン・リクター、アナスタシア・サケラリス、クリント・ハワード、マーク・ブリングルソン、ジョー・サン、ロビン・ガンメル、ジム・マクマラン、バート・バカラック、キャリー・フィッシャー、ロブ・ロウ、クリスチャン・スレイター、トム・アーノルド、プリシラ・プレスリー、エリヤ・バスキン 他
受 賞:【1998年/第7回MTVムービー・アワード】ダンス・シーン賞(マイク・マイヤーズ)、悪役賞(マイク・マイヤーズ)
コピー:バカも休み休みyeah!
スウィンギング・ロンドンから 蘇った伝説のスパイ ついに日本上陸!

1967年。世界制服を企てるドクター・イーヴルは、英国諜報部員オースティン・パワーズの抹殺を計画。パワーズはその動きを察知し、逆に追い詰めるが、イーヴルは自ら冷凍睡眠装置に入って宇宙に脱出してしまう。英国諜報部は、イーヴルが戻ってきたときのために、パワーズも冷凍睡眠することに。そして30年後。ドクター・イーヴルは帰還し、世界征服計画を再開。核弾頭を奪取して地下ミサイルを作成し、内部から地球を破壊する“バルカン計画”を遂行する。それを阻止するために、さっそく目覚めさせられたパワーズは、30年前にパートナーだったミセス・ケンジントンの娘ヴァネッサとコンビを組むが、任務そっちのけで彼女に夢中になってしまい…というストーリー。

サイケデリックな美術センスだけではなく、荒削りというか雑ともいえるギャグが、ある意味、様式美の域まで達している。下ネタには違いないけど、下品…ってよりも「くだらねー」って素直に思えるレベルをキープ。公開当時の時事ネタもほとんどないので、15年経ってもでもそんなに古臭くは感じない(まあそこは、30年間冷凍睡眠していたっていうプロットの勝利かも)。それどころか、韓国キャラの扱いを見ると、先見の明っていうか、冷静な視点を基盤にしていることが伺える。

でも、こういうしつこい笑いを日本人やっても、絶対にアウトなのは明白で、こういう緩急もなにもあったもんじゃない“ひたすらバカ”が成立するアメリカがうらやましい。
唯一残念なのは、風呂敷を広げている間は楽しいのだが、いざ話をまとめようという段階になり、戦闘シーンになるとイマイチ面白みがトーンダウンする点。さすがにおっぱいマシンガンのアンドロイドを変な動きで撃退とかは、つまんないわ。作り手側もこのバカ話を延々と続けたくて、終わらせることなんかまともに考えてなかったんじゃないか、とすら思える(そのくらい、おバカの連打)。
#まあ、結果として、このバカ話を続けたいという欲求は結実して、続編が作られるわけだが。

今、同じようなテイストの作品を作るとしたら、CG満載になると思うんだが、本作は特殊メイクやらアナログテクニックでがんばっている(少しくらいCGあったかもしれんけど)。ところが、このアナログ感満載な映像が妙に心休まる。実に不思議。前に観たときは、ただただクダラネーって思っただけだった…っていう人。ちょっと今、見直してごらんなさい。最近のCGが当たり前の作品ってのは、“不気味の壁”みたいな空気が漂ってるってことを、確認できるから。

酒を飲みながら観て、結末にたどり着くまでに、寝ちゃう。これが本作の正しい観方だな。前に観たときよりもおもしろかったわ。
#歯並びが悪い=イギリスっているのはガチのイメージなんだな。
 

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image1631.png公開年:2009年
公開国:韓国
時 間:132分
監 督:チャン・ジン
出 演:チャン・ドンゴン、イ・スンジェ、コ・ドゥシム、イム・ハリョン、ハン・チェヨン、パク・ヘイル、イ・ムンス 他
コピー:愛すべき大統領へ、国民もあなたの幸せを願っています。




任期満了まであと半年の大統領キム・ジョンホだったが、パフォーマンスで購入した宝くじが高額当選していしまう。しかし、当選の暁には全額寄付すると宣言してしまっていた手前、表立って当選を宣言することもできない。なんとか、老後の優雅な生活のために自分の懐に入れる手段はないか、大いに悩むのだったが…というストーリー。

コメディをやりたいのであれば、大統領のキャラクターは、もっと俗っぽく、そしてクソ人間であればあるほどおもしろいと思うのだが、中途半端。

たった6桁(番号が6つじゃないからね、1桁を6つだからね)、それもマークシート式なのに、超高額宝くじってどういうこと?それも当選者一人って…。よくわからん。
それに、いくら高額だからって、既に一国の大統領として名声を得ているわけだし、退任後もそれなりの生活もできるのだろうから(まあ、韓国大統領は退任後、逮捕されるか殺されるかが基本だけどさ(笑))、そこまで金に執着するのが不自然。たかだか二十数億円の金と、全額寄付して得られる名声と満足を深くしたら、前者が勝るとは思えない。そう考えたら、選択の結果は見えてるじゃないか。何が面白いんだか、さっぱりわからなくなってきた。まさか、この宝くじネタで二時間以上ひっぱるつもりなのか?と思ってたら、早々に、記者会見で寄付するって宣言してしまう。あれ?この後どういう展開にする気?逆に斬新じゃん!
ところが、すぐに次の若い大統領の話にチェンジ。あれ、どういうこと?

よくわからないなぁ…と思っていると、急に、日本をコケにし始め、国際問題にストーリーをシフト。国際紛争を舞台したコメディにしたいようなのだが、単に他国をコケにして喜んでいるだけのように見える。まるで、虫を踏み潰してストレスを解消している、病んだ子供を見ているようで、笑えるどころかかわいそうになってくる。
ところでさっきの宝くじのくだりとどう繋がるのかな?と思っていると、さらに、腎臓移植をもとめる暴漢の話に。移植を求める声にこたえる心優しき大統領を演出…っていう全然違う話に。あれ?さっきの日本の軍事演習がどうしたこうしたってのはどうなったのよ。
大統領は注射嫌いとかいう設定をもってきて、思い出したようにコメディを再開しようとするんだけど、もう、笑えるわけがない。手遅れ。
ところどころで、変な音楽のシーンが差し込まれるのだが、それもどうやら“笑うところ”らしい。もちろん笑えない。
#調理場で花札。あなたたちが大嫌いな日本文化だと思うんだけど、いいんかい(笑)。

意味がわかんないなーと困惑しきり…ってところで、また別のお話に。ここで気付く。「これオムニバスなのか!?」と。愕然とした。昔、『バカヤロー』っていうシリーズがあったけど、そんなノリを目指してるのかもしれない。けれど、あまりにも一つ一つのパートのクオリティが低すぎるし、大体にして、コメディとしてオチていない。三文コント…っていうか、ここまで、笑いのツボが違うと、もう人としての基盤が全然違うんだな…と思えてくる。

最後は、むりやり『天皇の料理番』みたいなまとめかたにもっていくが、料理人はさほど噛んでいないし。何がなにやら。

私ははじめから最後まで、眉をひそめて首を傾げ続けていた。とにかく笑いの概念のことなる世界の人がつくったコメディ。宇宙人の笑いを体現したい人にはお薦めするが、まともな人にはお薦めしない。
#まあ、韓国コメディなんかを観ようとした私が間違いなんだろう(でも、知り合いから借りただけで、金はらってレンタルしたわけじゃないしな。それでも時間の無駄だったと思えるレベルだけど)。

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image1849.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:マイケル・レンベック
出 演:ニア・ヴァルダロス、トニ・コレット、デヴィッド・ドゥカヴニー、スティーヴン・スピネラ、ダッシュ・ミホク、アレック・マパ、デビー・レイノルズ、イアン・ゴメス、ニック・サンドウ 他
コピー:キラキラしてる?




幼なじみのコニーとカーラは、子供のころからスターを夢見て、歌と踊りを続けてきた。しかし、芽が出ることはなく、今は空港にあるカフェテリアで、通りすがりの客相手に歌う程度の日々を送っている。そんなある日、知り合いがギャングに殺される場面に遭遇してしまい、口封じのためにギャングに追われる身となってしまった。逃亡先はロサンジェルス。とりあえず生活の糧を得るために仕事に就こうとするがうまくいかず、途方に暮れている時に、ゲイ専門のナイトクラブのパフォーマー募集の貼り紙を発見。ゲイに化けていればギャングから身を隠すこともできて一石二鳥ということで、オーディションを受けてみるとあっさり合格。それどころか二人のパフォーマンスは評判となり、クラブは連日満員となるのだったが…というストーリー。

ん~、実は『テルマ&ルイーズ』を借りるつもりだったのに、何を勘違いしたのか本作を借りてしまった…。

『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』で脚本&主演だったニア・ヴァルダロスが、同じく脚本・主演の作品。才能のある人なんだと思うけど、どうも釈然としない。

まず、これって『天使にラブ・ソングを…』とまるっきり同じプロットなんだよね。ギャングの殺人を見てしまって逃亡。全然違う姿で潜伏するけど、そこで持ち前の能力を発揮して人気者になっちゃうって。
違うのは二人組みってことなんだけど、そっちはドラァグクイーン映画の金字塔『プリシラ』が頭をよぎる。DVDジャケットもそっちに近いしなぁ。
合成パクリっていわれても、否定できないと思うんだけど。

『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』もそうだったんだけど、なんか三谷幸喜の作品を観てる時と同じ感じで、いまいち腹の底から笑えない感じ。笑いのセンスが違うってことは、人としての基盤レベルで違うってことだからねぇ。この差はなかなかうめられない。本作をおもしろいという人はけっこういるんだけど、私は一箇所たりともクスリともできなかった。
いくら声を低くしたからって、体つきはどうひっくり返しても女性にしか見えない。トニ・コレットは、ファラオの呪いみたいな外見だけど、それでも、女性は女性なんだわ。大金かけて全改造終わっている…っていう設定とか、もうすこしそれなりに説明してくれないと…。そういう杜撰さも笑えない理由かもしれない。
ラスト、自分を殺しに来るマフィアに居場所がばれちゃった!ってなったその後、『天使にラブ・ソングを…』と比較するとやっぱり陳腐に感じると思う。

ゲイの優しさとか心のキャパの広さとか、そういうものに乗っかっちゃって、杜撰な部分をごまかしているだけだと思う。かといって、同性愛者のシビアな心模様とかそういう部分も描ききれておらず、全方向で甘いと感じる。コメディだからこそ、細かいところをいい加減に処理してはいけないと私は思うんだけど。

別に駄作というわけじゃないんだけど、これを観る時間があるなら、『天使にラブ・ソングを…』と『プリシラ』を再度観たほうが、有意義な時間を過ごせると思う。

#今から、『テルマ&ルイーズ』借りにいくわ…

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image1836.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:トッド・フィリップス
出 演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィナーキス、ケン・チョン、ジェフリー・タンバー、ジャスティン・バーサ、ポール・ジアマッティ、ジェイミー・チャン、メイソン・リー、マイク・タイソン、サーシャ・バレス、ジリアン・ヴィグマン、ニルット・シリジャンヤー、ヤスミン・リー、ニック・カサヴェテス、ブライアン・カレン 他
ノミネート:【2011年/第32回ゴールデン・ラズベリー賞】ワースト前編・リメイク・盗作・続編賞
コピー:飛べ、異国の地へ!! 飛ぶな、昨夜の記憶!!

2年前にベガスでとんでもない騒動を巻き起こしたフィル、ダグ、ステュの3人。歯科医のステュがタイ出身の女性と結婚することになり、式をタイで挙げることに。同じ過ちを繰り返したくないステュは、一番の問題児アランを招待しないことにしていたが、ダグに説得されて渋々了承することに。花嫁の弟テディも加わり、タイへ降り立った一行は、このまま滞りなく2日後の結婚式を迎えるはずだった。しかし、その夜、彼らは焚き火を囲んで軽くビールを口にしただけのはずが、目覚めてみると見覚えのない場所に。なぜかアランは坊主頭で、ステュは顔にタトゥ、部屋には洋服をきた猿がいる。最悪なのは義父が溺愛するテディが行方不明なこと。結婚式が明日に迫る中、とにかくテディを探すことにするのだったが…というストーリー。

二番煎じだってツッコミたくなる人がいるかもしれないが、そんなこと判ってやってる。ただただ、エスカレートさせるしかない一方通行の地獄道。それなりの覚悟で二番煎じをやってるんだから、野暮なことは言わないこと。とはいえ、アランが行かないなんて選択肢は有り得ないし、酩酊することは判りきっているので、さすがにどこかで目覚めるまでのくだりは、正直鬱陶しかったが、通行税みたいなモノだと割り切って我慢するしかない。通過したら、そこから先は見ごたえ充分。話にのめりこめる面白さ。

さすがに異国の地のできごとゆえに、その絶望感たるや前作を遥かに超える。私は、見知らぬ土地で、どこかに向かっているがなかなか到達できないという夢を見ることがあるので、妙にしっくりくる内容だったりする。下品でお馬鹿なシチュエーションであること極まりないのだが、小さなヒントを頼りに謎解きしていく展開は、前作同様にきっちりとミステリーに仕上がっているのが秀逸だ。
意外と英語が普通に使えてしまっているのが、ちょっと腑に落ちないが、そこまで制限を付けてしまうと逆につまらなくなったかもしれない。その他諸々、おかしな表現はある。最後も無理やりまとめた感じもある。だけど、細けーこたぁどーでもいいんだ状態。一緒になって“バンコクに囚われ”りゃあいいんだ。

やっぱりあの中国人は出すんだな…と思ったら、いきなり死亡(まあ、その先にひと展開あるけど)。さらにテディの指が落ちてるなんて、そういう一線は超えない作品なのかと思ってたけど、お構いなしだった。

ネタ晴らしはエンドロールで…ってのも前作と同じだが、下品さはグレードアップ。何だよ、指、自分で切てやがんの、アホか…って、腰砕ける。
まあ、さすがに続編はないだろう(やったら大した勇気だよ。失敗しても感心するわ)。花火が消える間際の最後の輝きに近い、おもしろくなりゃ何でもいいじゃないか! っていうなりふりかまわずさ。そういう感じかな。お薦め。
 

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image1732.png公開年:2009年
公開国:アメリカ、カナダ
時 間:86分
監 督:ジョン・シュルツ
出 演:カーター・ジェンキンス、オースティン・バトラー、アシュリー・ティスデール、アシュリー・ボーチャー、ヘンリー・ヤング、リーガン・ヤング、ドリス・ロバーツ、ロバート・ホフマン、ケヴィン・ニーロン、ジリアン・ヴィグマン、アンディ・リクター、ティム・メドウス、マレス・ジョー、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ジョシュ・ペック、J・K・シモンズ、カリ・ワールグレン 他


数学が得意なトム・ピアソンは、頭が良いことでかえって学校でいじめられている。だから、わざとテストで悪い成績になるように手を抜いたが、今度は両親から大目玉を喰らうことに。ピアソン一家は夏休みに借りた別荘にいくことになっていたが、自分のことを判ってくれない両親や、自分を馬鹿にする姉や妹と一緒に過ごすのがイヤなトムは、成績を落としたことの罰として家に居残りしようとするが、強制的に連れて行かれる。別荘には、祖母と叔父一家もやってくるが、ガキ大将の従兄弟とは相性が悪く、さらにいけすかない姉の恋人まで押しかけてくる始末で、まったく楽しくなりそうな気配はなし。そんな時、突然TVが映らなくなったため、トムがアンテナ修理を命ぜられ屋根に昇ると、そこには小さなエイリアンたちが潜んでおり…というストーリー。

ストⅡパロディとか、日本サブカルにかなり媚を売ってるのに、日本では未公開という悲しい作品。目立った役者も出ていないし、ストーリーもありがちだし、肝心のエイリアンが愛嬌も無けりゃ格好いいわけでもないので、致し方ない…とは思う。子供の喰い付きが悪そうなのが致命的。本国でもコケたという噂だし、劇場公開するにはかなりの勇気を要する。おそらく、小さい子供に観せたら、すぐに飽きると思う。

メジャーな作品と比べれば、シナリオも映像技術もレベルはそれほど高くないは間違いない。宇宙人が登場してくるまでが、長く感じる。タイトルからして宇宙人がくるのが明白なのに、ウザい家族親族ネタが20分くらい繰り広げられる。また、大人たちが宇宙人の存在に気付かないというありがち且つ稚拙とも思える演出や、主人公のいじめられかたもステレオタイプ極まりない。
しかし、ここのところ重い作品ばかりだったので、あえて軽いものを…と思ってチョイスしたわけだが、結果として案外愉しめた。人間をリモコンで操るというくだりが、たいしたアイデアじゃないのはわかっているんだけど、サクサク、ヌルヌル動く感じが、妙にしっくりきて何か愉快なの。この1点だけで、充分(裏を返せば、この点以外はおもしろくない…ともいえるのだが)。
レンタル料金100円なら、OKだと思う。幼稚だとは思うけど不快にはなることは無いもの(加点もないけど明確な減点もない)。特にこれ以上の感想も思い浮かばないほどの、ユルさ。でも、土曜の夕方とかにTV放映してたら何気に見入っちゃうレベル。

でも、このクラスのB級作品で、しっかりとCGで作りこんでくるアメリカさん。日本も早く安価で短納期でこのレベルのCGが使えるようになってほしい。大都市圏にあるクリエイター系の専門学校じゃ、2DアニメのCG技術者しか養成しとらんのかねぇ。3Dのテクニックを習得した人はゲーム業界にいっちゃうのかしら。とにかく映画の世界での3D技術者の裾野が広がっていないように思える。映画じゃ喰えないのかなぁ。実写との合成とか単純な3DCG技術だけでは済まないから、養成が必要だと思うんだけど(まだ、アメリカに修行にいかないといけない業界のレベルなのかな)。




負けるな日本

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image1804.png公開年:2009年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:ウディ・アレン
出 演:ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソン、ヘンリー・カヴィル、エド・ベグリー・Jr、マイケル・マッキーン、コンリース・ヒル、ジョン・ギャラガー・Jr、ジェシカ・ヘクト、キャロリン・マコーミック、クリストファー・エヴァン・ウェルチ、オレク・クルパ 他
コピー:これぞ、ハッピー・エンディング


偏屈な初老の物理学者ボリスは、かつてはノーベル賞候補になるほどの天才で家庭も築いていたが、自殺未遂を機にすっかり落ちぶれ、寂しい独身生活を送っている。近所の子供に悪態を付きながらチェスを教えるなどして、日々をやり過ごすボリスだったが、ある日帰宅すると、若い娘が泊めて欲しいと押しかけてくる。南部の田舎町から家出してきたメロディという娘に、幾ばくか同情した彫りすは、渋々ながらも数日間だけ泊めてやることにする。知的レベルも常識も年齢もまったく異なる二人の会話はかみ合うことはなあったが、なぜか、メロディはボリスを愛してしまい…というストーリー。

1977年の『アニー・ホール』から、一足飛びに2009年の本作に続いたのは、間違いだったかもしれない。もうちょっと間の作品を挟めばよかったかも…。

偏屈な男が、知的レベルは自分より低いが見た目美しい女性と交際し、その女性の知見が高まったあと、捨てられる…というプロットは『アニー・ホール』とまったく一緒。焼き直しなんじゃないかと思ったほど。もしかすると、意図的に狙ったのか?とも思ったのだが、そういう面での作為的な笑いは感じられず。画面の向こうに話しかけるボリスに、周囲の子供が「一人で話してる!」とか指摘するところなんか、笑いどころなのかどうかもよくわからない。『アニー・ホール』のときのキレキレの演出は鳴りを潜めた感じで、むしろ、グレードダウンした印象が拭えない。

「ハイゼンベルクの不確定性原理」等々、物理素人の私でもピンとくるようなキーワードこそ出てくるが、ボリスの発言から彼が天才物理学者である片鱗が見えてこない。私の知識が乏しくて物理通の人ならニヤリとできるのか、演出上の失敗なのかはよくわからないが、とにかく私にはそうは見えなかった。

とはいえ、焼き直しに感じたとしても、知的な格差のある二人の日々の生活は、なんとなく面白くて、それなりに見ごたえはあった。しかし、母親が登場したあたりで、くっだらないアメリカドラマになりそうな雰囲気が漂って一旦鑑賞を中断。まあ、我慢して鑑賞を再開すると、“内なる自分に正直に生きる”という流れに変貌する。フリーセックスやホモセクシュアルに目覚めるメロディの両親。両方とも敬虔なクリスチャンであり愛国者だったのに。そういう共和党的な価値観を否定したいのかもしれないが、手法が古臭くはないだろうか。挙句の果てには、メロディまで、自分の肉体的な性の欲求を認識するに至り、別の男に走る。結局は、ボリスが良しとする永遠の愛はない!とか固定観念は捨てろ!とかいうポリシーどおりの人種に彼らが変貌と遂げるんだけど、当のボリスは再自殺してしまう。

これ、どういうことやねん。世間の何も考えていないやつらのポリシーとか行動様式なんてのは、偉そうに言っていてもこの程度の薄っぺらなものなんだってことをいいたいのかな?それに比べて、俺はそれより何枚も上まで考えてるんだぜ! メタ意識を持っているから私は天才(キリッ!)とか、そんな程度で周りを見下されてもね…。なんかトホホ感ばかりで笑うに笑えないのは私だけか?

大体にして、自殺したらたまたま歩いてる女性がクッションになって助かりましたって…。、その女性と病室で話すことにリアリティがないし(ふつう、傷害罪で逮捕でしょ)、仲良く会話して付き合っちゃうとか、笑うに笑えない。その女性が占い師で…とかも、笑うところらしいけど、面白くもなんともない。

時間が経過するにつれて、内容が汚れていき、最後には後ろ足で砂をかけられたみたい。これ、なかなかの駄作だと思うんだけど…。



負けるな日本  

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image1791.png公開年:2009年
公開国:ドイツ、フランス、イタリア
時 間:99分
監 督:ファティ・アキン
出 演:アダム・ボウスドウコス、モーリッツ・ブライブトロイ、ビロル・ユーネル、ウド・キア、アンナ・ベデルケ、フェリーネ・ロッガン、ルーカス・グレゴロヴィチ、ドルカ・グリルシュ、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、デミール・ゲクゲル、モニカ・ブライブトロイ、マルク・ホーゼマン、セム・アキン 他
受 賞:【2009年/第66回ヴェネチア国際映画祭】審査員特別賞(ファティ・アキン)
コピー:心(ソウル)も満たすレストラン

ドイツ・ハンブルク。ジノス青年が経営するレストラン“ソウル・キッチン”は、いいかげんな料理を出しながらも、いいかげんな料理で満足している近所の客で、それなりに賑わっていた。そんな中、ジノスの恋人ナディーンが上海へ転勤することになり、遠距離恋愛に。そこからジノスの生活はあらゆる面で、右肩下がりに。ぎっくり腰になってキッチンに立てなくなり、税務署から滞納している税金を迫られたり、服役中の兄が仮出所のためい雇えといってきたり、衛生局から改善をしないと営業停止にするといわれたり。とうとう、万策尽きて休業となり、心が折れたジノスは、ナディーンのいる上海へ行くことを決意するのたが…というストーリー。

日本の料理マンガをパクった韓国映画のタイトルみたいだけど、違うよ。ドイツが舞台の欧州産コメディ作品。でも、私は何一つ笑えなかったけど。

やとわれシェフも兄貴もユニークなキャラではあるけれど、それららサブキャラがしっかり立っているかというとそうでもない。リアリティも薄い。もう少し、その苦労とか料理が人の心を魅了するとか、そういう部分を描くのかと思ったけど、皆無。じゃあ、主人公ジノスはいろんな事件に襲われるトホホな役に徹しているか?それとも狂言回し役なのか?っていうと、どちらでもない中途半端な位置。主人公のジノスは確かに画面上に映ってはいるが、全部のエピソードが主人公不在で展開する印象。
半分以上すぎてからやっとまとに料理するシーンが差し込まれはじめて、はじめて料理がウマそうに見えてくる。でも、料理への情熱とか食べ物への敬意とかイマイチ感じられない。多分、監督さん自体に美味いものに対するこだわりなんかがないからだろう。
ちょっと、簡単に店がうまくいきすぎるところで興醒めするし、さらに、店を取られるくだり、彼女が寝取られるくだりと、ドタバタコメディがやりたかったのかもしれないが、いまいちドタバタできておらず、地団駄踏んでるだけの感じ。ハジけ足りず。笑いの小ネタのつもりだろうがいまいち笑えない。ドイツ人ってのは、つまんねえのか?と、思ってしまったほど。

もしかして、ものすごく高尚な笑いで、私がついて行けてないだけなのか?と、途中から本気で不安になってしまった(私の気分は、サスペンス映画を観ている気分に近くなってきた)。

(ネタバレだけど)
サンドバッグ状態になった末に、あたらしい道を歩み始めるのかな?というところでおしまい。は?これからどうやって盛り返すのか?というところで面白くなるんじゃないのか?苦しみから逃れられそうな雰囲気を出すだけで、コメディ映画として成立するものなのか?

シナリオが特別長けているわけでもないし、斬新な視点なわけでもない。社会風刺がきいていて人々の心に訴えるものがあるわけでもないし、笑いの波状攻撃があるわけでもない。こんな作品が、国際的な映画祭において受賞できるなんて、ちょと考えにくい。多分、他の作品が小難しいのばっかりで、あまりにもうんざりしたためか、欧州人の笑いのネジが狂ってしまったかのどちらかだと思う。こんな映画一本で判断できるものではないが、ドイツ社会は「ああ、もうこんな生活イヤだ!」という後ろ向きな感情で充満して、疲弊しきっているのではないだろうか。

経済危機に見舞われているヨーロッパだが、もう、笑いの感覚がおかしくなるほどヤバいんじゃないだろうか…と考えてしまうほど。お薦めのしようがない。





負けるな日本

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image1801.png公開年:1964年
公開国:イギリス、アメリカ
時 間:93分
監 督:スタンリー・キューブリック
出 演:ピーター・セラーズ、ジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン、キーナン・ウィン、スリム・ピケンズ、ピーター・ブル、トレイシー・リード、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ジャック・クレリー、ポール・タマリン 他
受 賞:【1964年/第30回NY批評家協会賞】監督賞(スタンリー・キューブリック)
【1964年/第18回英国アカデミー賞】作品賞[総合]、作品賞[国内]、美術賞[モノクロ]、国連賞
【1989年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品

アメリカ軍基地の司令官ジャック・リッパー将軍が精神に異常をきたし、ソ連の核施設への核攻撃(R作戦)を発令した。司令官の行動を知った副官であるマンドレイク英国空軍大佐は、司令官を止めようとするが逆に執務室に監禁されてしまう。大統領は、ソ連と連絡を取って事態の収拾を図ろうとするが、ソ連は他国から攻撃された場合に、地球上の全生物を放射性物質によって絶滅させる爆弾が自動的に発射される兵器が配備済であることを告げる…というストーリー。

副題は“または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか”。はじめは気づかなかったけど、ピーター・セラーズが、ストレンジラヴ博士・マンドレイク大佐・アメリカ大統領の3役をこなしてるのね。
正直、世で持ち上げられているほど大傑作とは思わなかったんだけど、それは、キューブリックのこと、ピーター・セラーズのこと、当時の社会情勢…のそれぞれがどれだけピンときているかの度合いによるのかもしれないね。

でも、観終わってすぐはそうは思わないんだけど、すこし落ち着いて振り返ってみると、「ああ、傑作じゃん」って思える。
悲観的に表現していないから逆に怖いっていう効果や、笑わかそうとするのがコメディではないということを体現してる点。それに、ナチスの亡霊とか日本の技術力への納得いかなさとか、枢軸国への揶揄をチラ見せして、東西冷戦にだけ焦点を当てさせないセンスなど、すばらしいと思う。

核戦争がアホな誰かのせいではじまってしまう…とか、人間が自分で作ったシステムのせいで首を絞められてしまう…なんていうのは誰でも考え付く内容。それを、お構いなしの疾走感と、笑いの寸止め具合で、絶妙な出来映えに仕上がっている。大統領へ電話をかけるくだりなんて、あれ以上笑いを取ろうとして何か加えたら、絶対に醒めるもの。正直、私は表面的に笑った場面は一切ない(ニヤリともしなかった)。でも、心の中では笑っていたのは間違いない。

それほど高額な予算をかけているわけでもなさそうな点も感心する。爆撃機の飛行シーンの合成も、それほどハイテクではないし。でも、米軍基地での戦闘シーンの迫力など、できることはきっちりとやろうという、子供騙しと思われない線がキープされている。

ラストでたくさんの核爆発の映像が流れるけれど、これは実際の実験時の記録フィルムかな。当時はあきれるくらいたくさん実験してたからね。その頃の大気は放射性物質満載だったんだろうね。

そのままのオチであることも、逆に大インパクト。そのインパクトの後ろにSee you agein.と曲が流れる、空気の作り方が絶妙。
観ないまま死ぬのは勿体ない名作だね。





負けるな日本

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image1219.png公開年:2007年
公開国:アメリカ
時 間:96分
監 督:ジェイソン・ライトマン
出 演:エレン・ペイジ、マイケル・セラ、ジェイソン・ベイトマン、ジェニファー・ガーナー、J・K・シモンズ、アリソン・ジャニー、レイン・ウィルソン、オリビア・サールビー 他
受 賞:【2007年/第80回アカデミー賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第61回英国アカデミー賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第23回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、主演女優賞(エレン・ペイジ)、新人脚本賞(ディアブロ・コディ)
【2007年/第13回放送映画批評家協会賞】脚本賞(ディアブロ・コディ)、コメディ作品賞
【2008年/第17回MTVムービー・アワード】女優賞(エレン・ペイジ)
コピー: そのつもり。ジュノ16歳。いちばん大人。

16歳の高校生ジュノは、同級生のポーリーと興味本位でした1度のセックスで妊娠をしてしまう。両親には内緒で中絶することを決意するが、病院を目の前にして気持ちが揺らぎ、中絶することを諦める。他に策がないか考えたジュノは、赤ん坊を産んでから養子に出すことに。早速、リアと一緒に養子希望の広告を探しはじめるが…というストーリー。

仮にも、世に“未婚の母 映画ムーブメント”をつくった作品なので、一応押さえで観ておこうとは思っていたのだが、どうも、展開が予想できる気がして、観始めてすぐに観るのをやめていた。今回、改めて再チャレンジ。
断念した理由は、妊娠しちゃってすったもんだ…っていう、作品紹介や宣伝がなされているわけで、内容以上の何かがあるような感じがしなかったから…。

やっぱり男にはちょっと感情的にピンとこないところが多いかも。機能的な性教育だけじゃなく、感情面や情緒面や制度面での性教育をすべきだな…なんて、醒めた目で観ちゃう。
まあ、キリスト教原理主義者みたいなガチガチな世界がある一方で、本作みたいな世界が並存しているアメリカを、根幹的な部分で間逆な勢力が二分していていつ分裂してもおかしくない危うい国家とみるか、ダイナミズムのある国家と見るか…。私は後者だけどね。
日本でも養子縁組の制度は、もう少しアクティブに行われるねきだとは思うけど、安易にやりすぎるとこうなっちゃんだな…という戒めにもなる。いつもやりすぎてアホを晒してくれるアメリカよ、ありがとう(笑)。いずれにせよ、未成年が単独で中絶できたりするなんて、アメリカ、クレイジーすぎるだろう。

本作が評価されている理由は、重くなりがちなテーマを軽妙に表現しているから。軽く捉えようにも軽くならない現実を、人間ドラマとしてうまく見せている。相手の夫婦側に変化が生じる展開はおもしろかった。
エレン・ペイジの軽い演技が、この作品のおもしろさの半分を形成しているといってよい。まさに出世作。デコッぱちとへの字まゆげが、不思議な魅力。
#DVDに関して言えば、彼女の日本語吹き替えやった声優さんの力は大きい。

意外と親が冷静だったりしておもしろい(まあ、実際はこんなもんだろうけど)。10代で子供を産むような親の環境は劣悪だと言われ、ブチ切れるジュノの母親。言ってやったわ!ばりのドヤ顔をするんだけど、今、ここでエコーで見ている赤ん坊を養子に出すっていうシチュエーションなのにね(笑)。オメデタい馬鹿アメリカの象徴。

どうせお約束のお話なんでしょ?と思ってる方々。私もそうだったけど、観て損はなかった。なんだかんだ面白かったので、お薦めしたい。
#日本にそんな“薄い本”はない(笑)。




負けるな日本

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image1779.png公開年:2006年
公開国:スイス
時 間:89分
監 督:ベティナ・オベルリ
出 演:シュテファニー・グラーザー、ハイジ・マリア・グレスナー、アンネマリー・デューリンガー、モニカ・グブザー、ハンスペーター・ミュラー=ドロサート 他
コピー: 縫い残した未来が輝きはじめる




スイスの地方の寒村トループ。80歳のマルタは、夫に先立たれ生きる意欲を失っていた。そんなある日、気分転換に友人に連れ出された街で、ランジェリーショップを見かけ、強く興味を惹かれる。実は、マルタは若い頃、自分でデザインし刺繍したランジェリーを売ることを夢見ていたのだ。元気がなくなっていたマルタを心配していた友人たちは、その夢を追うべきと彼女を後押しするのだったが、村の人々は、彼女が開いたランジェリーショップを破廉恥だと非難する…というストーリー。

夫の死で生きる意味を見失うマルタが、久々に出た街で見かけたランジェリーショップを見て、心に長らく潜めていたかつて抱いた夢が沸きがってくる様子に、観ているこちらもワクワクしてくる。しかし、当然ながら、華美な下着なんてふしだらだ!という、閉鎖的で遅れた考え方の村人と対立してしまう。あまりにお約束の展開なんだけど、『キンキーブーツ』系の話と『やさしい嘘』が混ざったような話で、そこがおもしろい。私の好みのジャンル。その他のおばあちゃん達のこまり事もしっかりと伏線になっていて、かなりガッチリしたシナリオだと思う。

人の死とは、変化を望まなくなること。つまり、年齢は若くても、マルタのランジェリーショップにやみくもに反対する村の男たちのほうが、死んでいるってこと。ましてや、自分が好き勝手やってるくせに、他人には変化をすることを許さないなんて、それは“殺人者”と同じである。

軽妙な中に、グっと考えさせるテーマも織り込まれており、なかなか秀逸。始めは、たまごボーロみたいに刺激のない作品だと思っていたのだが、結果的になかなか熱い作品だった。お薦めしたい。

#老後のことを考えると、手に職を付けておくことは重要だな…なんて考えちゃった。



負けるな日本

 

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image0340.png公開年:2004年
公開国:アメリカ
時 間:104分
監 督:イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン
出 演:トム・ハンクス、イルマ・P・ホール、ライアン・ハースト、J・K・シモンズ、ツィ・マー、マーロン・ウェイアンズ、ジョージ・ウォレス、ジェイソン・ウィーヴァー、スティーヴン・ルート、グレッグ・グランバーグ 他
受 賞:【2004年/第57回カンヌ国際映画祭】審査員賞(イルマ・P・ホール)
コピー: ただひとつの誤算は、ひとりの老婦人…。


敬虔なクリスチャンであるマンソン夫人宅の貸し部屋の貼り紙をみて申し込んできた一人の男。大学教授を名乗るその男は、紳士的な態度でマンソン夫人の信頼を得たが、実は彼は指名手配中の知能犯。彼は、船内カジノの地下金庫に納められた現金の強奪を計画しており、マンソン夫人宅の地下室から金庫までのトンネルを掘ろうとしているのだ。バンドの練習と偽り地下室を借りることに成功すると、募った4人の仲間と一緒にに計画を遂行するのだったが…というストーリー。

コーエン兄弟とトム・ハンクスのノリがマッチしていない。登場一発目で違和感を感じる。
冒頭20分でキャラが細かく登場してくるのだが、彼らが何をしようしているのかが見えてきても何かワクワクしない。彼らの参加動機がいまいちピンとくるようなバックボーンが描ききれていないからだと思う。単にお金が欲しい人が集まってきて、穴を掘ることになったんだってさ…だけじゃ、そんなに面白く感じるはずがない。

ただ、世の中の評判がものすごく悪いけれど(コーエン兄弟作品中、最大の駄作という人もいるほど)、私はそれほど悪いと思っていない。カトリック馬鹿のばあさんが計画の障害になるのもおもしろいし、次々死んでいき“そして誰もいなくなった”的なベタベタさは嫌いじゃない。こういうベタなコメデイをやりたかかったんでしょう。

ただ、ほとんどが地下室付近で展開するせせこましさや、パラレルな展開がないのは、コーエン兄弟らしくないかも。舞台がもすうこし広がれば面白くなる気がしないでもない。
トム・ハンクス演じる教授の口八丁手八丁もいまいちつまらないし、トム・ハンクスのしゃべりに頼りすぎ…といいたくもなるが、むしろ単にしゃべりすぎで、鬱陶しさすら覚える。

逆にトム・ハンクスなんか超ビッグネームを持ってこないで、小物揃いにしたほうが納まりがよかったかもしれない。無駄な期待を煽ってしまったんだよ。要するにミスキャスト。
本当にトム・ハンクスに対する世の中の人の期待と、コーエン兄弟ならこんな感じで展開するだろう…みたいな期待が裏切られているというのが、大きいんだと思う。

こういう部分が克服されれば、『ビッグ・リボウスキ』のようにカルトファンを獲得する作品になったかもしれない。ちょっと残念でおしい作品。お薦めはできない。
#この作品から、兄弟両名が監督・製作にクレジットするようになったのだが、その理由も、よくわからん。なんか本作から、製作姿勢に変化があったのかしら。




負けるな日本

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image1793.png公開年:1998年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:ジョエル・コーエン
出 演:ジェフ・ブリッジス、ジョン・グッドマン、ジュリアン・ムーア、スティーヴ・ブシェミ、ピーター・ストーメア、サム・エリオット、ジョン・タートゥーロ、デヴィッド・ハドルストン、ベン・ギャザラ、リチャード・ガント、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・マン、デヴィッド・シューリス 他
ノミネート:【1998年/第11回ヨーロッパ映画賞】インターナショナル[非ヨーロッパ]作品賞(ジョエル・コーエン)
コピー:人生は 最高に おもしろい★

無職ながらも自由気ままに暮らすジャフ・リボウスキは、仲間からは“デュード”と呼ばれている。ある日、彼の家に突然2人の男が女房の借金を返せと怒鳴り込んできて、家の中を破壊したり敷物に放尿したりと大暴れ。そんな借金に身に覚えは無いし、大体にしてデュードには妻はいない。その後、同姓同名の大金持ちと間違えられたことに気付き、敷物の弁償を求めて“ビッグ・リボウスキ”邸を訪れる。ビッグ・リボウスキはデュードを怠け者と見下し、問答無用で追い返すが、デュードは無断で屋敷から高価な敷物を持ち帰る。その後、デュードはビッグ・リボウスキから呼び出される。盗んだ敷物を返却しろといわれるのかと思いきや、誘拐されたビッグ・リボウスキの妻バニーの身代金の引渡し役をして欲しいと頼まれ…というストーリー。

次々とアクの強いトンチンカンな人物が登場して、こじれにこじれる…というコーエン兄弟コメディのお決まりパターンではあるけれど、なんとも納まりのより作品。コーエン兄弟のコメディ調作品の中では、最高傑作だと思う。

なんでもベトナム戦争の話にもっていき周囲を侮蔑するウォルターに、だれでも怠け者呼ばわりして周囲を見下すビッグ・リボウスキ。強いアメリカを掲げながらも、相対的な価値にしか立脚できず、むしろ自分より下位の者をつくって、相対的に自分の立場を上にしようという浅ましいアメリカの精神構造。
#貧困者に怠け者のレッテルを貼って侮蔑した結果、デモをおこされるアメリカは、今でもその構造に変化は無い。
そういう“アメリカ”ってものへの侮蔑を端々で見受けられるんだけど、侮蔑は超越すると愛に変わるんだな…って感じ。まあ、愛といっても諦めが入り混じった愛ではあるけれど。
#もしかして、ボウリングってアメリカでは低所得層の娯楽って位置づけなのか?

主人公たちのだらだらした行動と、ころころ変わる切迫した状況との相乗効果でうまれる緩急。不条理ではあるけれど、リアルと虚構の間にある薄い膜は絶対に破らない。これがコーエン兄弟。
誰一人、成長したり心境が変化するような人はいないわけで、観終わっても“何も無い”、これこそシチュエーションコメディの最たるものだ!そう感じるなぁ。

昨日の『バートン・フィンク』にも出演したジョン・グッドマン。話を聞きゃぁしねぇ役をやらせたら、ほんとにピカ一。チョイ役だけどジュリアン・ムーアもいい味を出している。
これはお薦め。眠れない夜に何気に観始めるとハマる一作。




負けるな日本

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imageX0033.Png公開年:2003年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:ジョエル・コーエン
出 演:ジョージ・クルーニー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジェフリー・ラッシュ、セドリック・ジ・エンターテイナー、エドワード・ハーマン、ポール・アデルスタイン、リチャード・ジェンキンス、ビリー・ボブ・ソーントン、ジュリア・ダフィ、ジョナサン・ハダリー 他
コピー:結婚――この世で最も危険な約束。


ロスで離婚訴訟を専門に扱う弁護士のマイルズ・マッシー。彼は、誰がどう考えても不利と思える状況でも、必ず顧客を勝訴に導く辣腕弁護士だった。そんな彼のもとに、妻マリリンから離婚訴訟を起こされた不動産王レックスロスが依頼にやってくる。浮気現場をビデオに撮られており、絶対に勝ち目は無いにもかかわらず、1ドルたりとも妻に払いたくないと要望。この無茶な条件で請け負ったマイルズは、マリリンを食事に差し出した隙に、探偵を彼女の家に進入させ住所録のコピーを入手。その住所録から、彼女が財産目当てにレックスロスと結婚したと証言する人物を探り出し、その証言によりマリリンを敗訴に追い込むのだったが…というストーリー。

離婚大国のアメリカの人は、これで笑えるのだろうか。ベースにある世界感が共有できていないからなのか、私には何一つクスリとこない。コーエン兄弟贔屓の私もさすがにこれは…。単に暗さを排除したとか、そんなレベルの違いではないと思うなぁ。

決して、面と向かって笑わせようとしないスタンスの先に、じわじわと浮かび上がってくる笑いがある。これこそコーエン兄弟作品の良さだと思っているのだが、本作の「はい、これから笑わせますよー」的な感じが、まったくもって受け付けない。神父が歌うところとか、ゼーゼージョーを紹介する老人とか、これ、笑える人っているのかしら。

個人的に一番がっかりしたのは、ゼーゼージョーが吸入器と銃を間違って撃つシーン。吸入するときのプッシュの動作と銃のトリガーを引く動作って、完全に異なるので、これを間違うのってありえるかねぇ。こういうギミックの細かさに抜かりのないのがコーエン兄弟だと思っていたのに…。なんか、本作は幻滅させられる。
#同じ銃でも『ブラッド・シンプル』ではあんなに細かい設定だったのになぁ…。

マリリンへの恋心で正気を失ったという設定なんだろうけど、アレだけ策を弄する小ずるい男が、失策をするほど恋に狂ったように見えないのが致命的。だから、ベテラン弁護士が石油王の息子の人物確認をしないことが、ものすごく不自然に見えてしまう。

騙し騙されみたいなプロ同士の丁々発止が展開されているようにみえないから、マリリンの復讐成功から一転して、マッシーが有利になる展開が、取って付けたようにものすごく陳腐に感じてしまう。最後は、あの状態を目指してストーリーを進めていたわけじゃなく、収拾がつかなくなったから適当にまとめてみた…みたいな印象。

同じコーエン兄弟とジョージ・クルーニーのコンビ作品『オー・ブラザー』よりも数段劣る。限りなく駄作の暗黒面に堕ちるギリギリの作品。コーエン兄弟ファンとては別名義にしてほしいくらい残念な凡作。ジョージ・クルーニーとゼタを使って凡作ってのもなぁ…。

#ただ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、彼女が主演したどんな映画の彼女よりもキレイ。それは間違いない。



負けるな日本

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image1765.png公開年:2009年
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:87分
監 督:ウェス・アンダーソン
出 演:ジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、ウォーリー・ウォロダースキー、エリック・アンダーソン、マイケル・ガンボン、ウィレム・デフォー、オーウェン・ウィルソン、ジャーヴィス・コッカー 他
受 賞:【2009年/第44回全米批評家協会賞】プロダクションデザイン賞(ネルソン・ロウリー)
【2009年/第76回NY批評家協会賞】アニメーション賞
【2009年/第35回LA批評家協会賞】アニメーション賞
コピー:ファンタスティックに、生き残る──。

泥棒だったMr.FOXは、妻の妊娠を機に足を洗い、以後、妻と息子と3人家族で平穏に暮らしてきた。しかし、貧乏な穴ぐら生活のまか人生を終えてよいのかと疑問を感じ始め、家族のために一念発起して丘の上の家を購入を計画する。しかし、丘の近くには、人間が経営する農場が3つもあり、弁護士のバジャーは大反対。それでもMr.FOXは強行して購入する。ところが、農場で飼育されている動物達を見て、彼の野生本能が目覚めてしまい、再び泥棒を開始。そして、大切な家畜を奪われ、怒り狂う農場主たちの反撃が始まり…というストーリー。

製作のペースが遅いウェス・アンダーソンが、2007年の『ダージリン急行』に続き製作した作品。待ちわびてた割りに、忙しくて劇場には行かなかったんだけどね。もちろん新作レンタルで鑑賞。

昨今のCG全盛のご時世、完全ストップモーションアニメにチャレンジした作品。あまりにデキが良過ぎて、逆にCGなんじゃないかと思えてくるくらい。日本でもストップモーションアニメは脈々と作られているけど、残念ながらこの技術レベルの作品は観たことがない。こういうのは日本人は得意そうなんだけど、予算の問題なのか、教育番組の短編レベルしか見かけないし、クレイばっかりだし、この世界では完全に後塵を拝している感じ。

童話原作が存在するということなのだが、いかにもウェス・アンダーソンらしい設定&ストーリー。
はみだしてるけど自分の生き方は変えないオヤジ。コンプレックスのある息子。変わった行動の脇役。
オヤジが責められる展開になるんだけど、俯瞰して眺めると、責めてる方も責められてる方も実は変。キャラ全員の立っている地平が根本的におかしい。
そして、すったもんだありながらも、最後はみんなでまとまって一つの方向に進む。ふわっとした大団円で着地。いつものパターンで、逆に安心。これは、原作の段階からそうなのか、ウェス・アンダーソンが加えた部分なのか(わかりまへん)。

ラスト近くで、狼が登場するのだが、あれは何を表しているのか。解釈が難しい。だけど、ジ~ンとしてしまうの何故か。
狼は孤高のアイコン。Mr.FOXは自分達を野生動物だと常々主張しているのだが、野生の狼と比較すれば、絶対に彼らは野生じゃない(Mr.FOXの尻尾がとれちゃったところなんかも、それを表しているのかも)。
でも彼らは完全に野生にもどるなんてことはしない。人間が存在することも環境の一つだし、都会で“野性”を発揮することを選択する。孤高の野性もあるだろうし、環境に対応するという野性もある。我ら人間は、社会生活の中で野性を失ったのか?いやいや、アーバンビーストとして、野性はいくらでも発揮できるよ。それこそ生きるってことだよねっていう、一つの答えを提示してくれているのかと。
まあ、それは私の答えなわけで、もしウェス・アンダーソンに会えたら、どういうつもりでこれを差し込んだのか是非聞いてみたいわ~。

こうやって、全体的に軽いノリの作品なのに、心にひっかかりを与え、立ち止まって考えさせてくれるのが、ウェス・アンダーソンの魅力。私が彼の作品を愛するのは、それ故だね。ウェス・アンダーソンを観たことがない人へのちょうど良い入門的作品になるかもしれない。
観終わった後にものすごい満足感アリ。いやあ、ファンタスティックだったよ。お薦め。





負けるな日本

 

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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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