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公開年:2005年
公開国:スペイン
時 間:114分
監 督:イザベル・コイシェ
出 演:サラ・ポーリー、ティム・ロビンス、ハビエル・カマラ、エディ・マーサン、スティーヴン・マッキントッシュ、ジュリー・クリスティ、レオノール・ワトリング、ダニエル・メイズ、スヴァレ・アンケル・オウズダル、ダニー・カニンガム、ディーン・レノックス・ケリー、エマニュエル・アイドウ 他
受 賞:【2006年/第20回ゴヤ賞】作品賞、監督賞(イザベル・コイシェ)、脚本賞(イザベル・コイシェ)
コピー:彼女の名前はハンナ 友達・家族・趣味・将来の夢──すべてなし どこで生まれ、何をしていたのか? 過去のことは聴かないで
誰とも付き合わず工場で黙々と仕事をする日々を送る女性ハンナは、ある日、働き過ぎが問題となり、無理やり1ヵ月の休暇を取らされる。宛てもなく長距離バスに乗り込んだ彼女は、ひょんなことから海底油田掘削所でジョゼフという男性の看護をすることに。彼は重度の火傷を負い、一時的に視力を失っていたが、明るく振舞って彼女の名前や出身地を質問するも、ハンナは決して答えない。この油田掘削所で働いている男たちは、事情を抱えた者たちばかりで、閉ざされた空間で風変わりな男たちと生活を共にするうち、ハンナは少しずつ心を開いていくのだが…というストーリー。
昨日いったとおり、律儀にコイシェ監督の次回作をレンタルしてきた。
どうしてこの主人公はこんな感じなのかな?潔癖症?なにやら心に病でも?その謎は、徐々に断片的に匂わせるくらいかすかに見えてくるのだが、その秘密は最後の30分あたりでダムが決壊したように衝撃的に圧倒的に重い濁流が流れてくる。とても恐ろしく、痛々しく、悲惨で、聞いているだけで絶望してくる。ちょっと吐き気を覚えるくらい。ちょっとジャケットのイメージからは想像できませんな。
正直に言って、バルカン半島の多民族間の紛争のことは良く知らない。一昨日の『麦の穂をゆらす風』のアイルランドのことよりも知らない。ボスニアとクロアチアは近いところにある…くらいのことしか知らないかも。
日本語の歌とか日本人の開発した枕の話がでてくるけど、これは遠くの日本なんかよりも、よっぽどこの悲惨な過去は知られていないのよ…っていう対比のために使われているのだろうな。
若い声のナレーションも、はじめのほうななんのことやら、さっぱりわからないのだが、ラストで、辛い過去が生み出した乖離した人格の声なのかな?と気付く。ここのところ、最後のほうで、「ああ、そう意味かぁ」“ユーリカ!”って気持ちしてくれる作品は少ないので、貴重だ。
重いテーマが根底に流れているのは前作と同じだけれど、それとは裏腹に淡々と進みながらも観る側をじわじわと惹きつけるのは、この監督の能力の高さの表れ。同じように重いテイストなんだけど、個人的には(引き合いに出して悪いけど)アルモドバル本人が監督するより好みかもしれない。
前作で指摘しなかったけれど、この監督の映画は音楽のセンスが非常によろしい。サントラがほしくなるくらい。
今回もあまり良い邦題ではないけれど、前作よりはマシ。本作はお薦めする。もし、本作が気に入ったなら『死ぬまでにしたい10のこと』を観ればいいだろう。
最後に、あえて誤解を恐れずに言うと、どんな戦争や虐殺でも三十年後には忘れ去られると、カウンセラーがいうシーンがある。忘れてしまうことがいけないことのように言う人がたくさんいるけれど、忘れないと一歩も前に進めないとうこともある。そのために人間には忘れるという機能が備わっているのだと思っている。忘れちゃいけないけど、たまに思い出すだけでいいことが、世の中にはあふれているんだ。
ネタバレだけど、最後、結ばれずに終わらなくって本当によかったな…と思っているよ。もう、映画なんだからこのくらいの救いがないと、観る意味がないもの。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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