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公開国:アメリカ
時 間:129分
監 督:ジョージ・ミラー
出 演:ニック・ノルティ、スーザン・サランドン、ピーター・ユスティノフ、キャスリーン・ウィルホイト、ゲイリー・バマン 他
ノミネート:【1992年/第65回アカデミー賞】主演女優賞(スーザン・サランドン)、脚本賞(ジョージ・ミラー、ニック・エンライト)
アフリカのコモロ共和国で暮らしていたオドーネ一家は、銀行員の父オーグストの転勤で、妻ミケーラと息子ロレンツォとともにアメリカに引っ越してくる。その3ヵ月後、ロレンツォは学校で突然乱暴な振る舞いをするなどの奇行が目立つようになる。病院で診察を受けると、ALD(副腎白質ジストロフィー)という不治の難病に罹っていることを知る。夫妻は、ニコライス教授の指導で食事療法や免疫抑制剤の投与を行うが、病状は悪化するばかり。同じALD患者の家族会に参加してみたものの、すべて医師まかせで、子供の快復をすっかり諦めている親たちの姿を見て失望し、自分たちで治療法を見つけようと立ち上がるのだった…というストーリー。
実話ベースのお話。観るのもつらくなるような子供の難病の物語。ロレンツォの両親は数々の壁にぶち当たる。彼らのいうことを医学会の常識を盾にあしらう医師たち。医師に従うべきだともっともらしいことをいいながらも本心は早く楽になりたいと考えている親など、彼らの行動を阻む。しかし、彼らの言い分はもっともなところをが大きい。だって臨床データを取らなければ綿密な治療法の確立には至らないのは事実だし、看護を続けながらも生活の維持のためにしっかりと労働しなければならない上に、おそらくこのまま死んでいくしかなく、だけどこれをいつまでつづければいいのか誰も判らない状況なんて、心が折れる。それを攻めることは誰にもできない。
そう、この映画には、誰一人“悪人”は登場しないのだ。
絶対に諦めないといいつつも、日々に看病に疲れ、ヒステリックになっていく母親の様子を、スーザン・サランドンは見事に演じきった。しかし、結果オーライだし、自分の子供のためにがんばるったを一切否定するつもりはないのだが、男性目線だと、この母親のヒステリックな行動は、共感しにくい。さっきも書いたように、彼女に非難される人も、別に悪人ではないし、もっともなことをいっているだけ。むしろ、的確なアドバイスに思えるのだが、「今すぐ出ていって!」だもの。看護婦や妹を追い出しておきながら、発作がひどくなったら、結局入院させてるのを見て、入院をすすめていた看護婦に謝罪しろよ…と思ってしまった。
逆に、どうしてそこまで浮き足立たずに行動できるのか、と感服してしまったのが父親。本作では会社で仕事をしている描写がないのがいささか不自然に思えるのだが、実際は、昼間は会社にいって夜は病気の研究をしている。もともとロジカルシンキングができる人で、物事を理詰めで考えられる素養の持ち主だったのだろう。子供のため…の一言では彼の行動の淵源は理解できず、やはり途中から純粋な学術的興味”に変質したからこと、ここまでできたのだと思う(非難しているわけではない)。
正直、私が彼の立場だったら、諦めていると思う。この学術的な探求だけでなく、金銭を工面する卒の無さは真似できない(まあ、彼が銀行員だったあら…という側面はあっただろうけど)。
そして、ロレンツォを演じた子役は、本当に患者なんじゃねえのか?と思えるほど。この子の演技がなければ、いくらニック・ノルティとスーザン・サランドンがすばらしい演技をしようとも、両親の行動に対して、どこかで興ざめしていたに違いない。
演出上の特徴は、淡々とした編集で進めている点。彼らにまきおこったさまざまなエピソードを、暗転で次々と繋げていく。時間の経過と、病状の悪化の無常さをうまく表現する一助になっている。
決して愉快ではないし、手放しに感動できるお話ではないと思う。実際、この種の病気の劇的な治療法が見つかったとは聞かないので、ラストはいささかのむなしさを覚えるし。“人任せにはしない”という、親のあるべき姿を見せ付けられたようで、気恥ずかしくなる作品。親になる覚悟をするために、子供が生まれる前に観ておくべき作品かも。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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