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image2025.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:91分
監 督:アレックス・ステイプルトン
出 演:ロジャー・コーマン、ジュリー・コーマン、ジーン・コーマン、ロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、マーティン・スコセッシ、ロン・ハワード、ジョナサン・デミ、ピーター・フォンダ、ブルース・ダーン、ポール・W・S・アンダーソン、クエンティン・タランティーノ、アラン・アーカッシュ、ポール・バーテル、ピーター・ボグダノヴィッチ、デヴィッド・キャラダイン、ジョー・ダンテ、パム・グリア、ゲイル・アン・ハード、ジョナサン・カプラン、ポリー・プラット、ジョン・セイルズ、ウィリアム・シャトナー、ペネロープ・スフィーリス、メアリー・ウォロノフ、ジム・ウィノースキー、アーヴィン・カーシュナー、イーライ・ロス、フランシス・ドール 他
コピー:タランティーノが吠える!スコセッシが語る!そして、ジャック・ニコルソンが泣く!!
 B級映画の帝王、独立映画の神、アメリカ映画界最重要人間コーマン――その恐るべき映画製作への執念。

メジャーな映画スタジオと一線を画し、低予算のB級映画を製作・監督しつづけた男ロジャー・コーマン。これまで50作以上監督し、400作以上製作または製作総指揮するも、ほぼ黒字にしているという驚くべき経営手法に加え、超低予算で過酷故に“コーマンスクール”とも呼ばれる製作現場から、ジェームズ・キャメロン、ジョナサン・デミ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソン、ピーター・フォンダ、ロバート・デニーロ、マーティン・スコセッシ、フランシス・F・コッポラ、ロン・ハワード、ガス・ヴァン・サントなどの巨匠や名優を輩出している。しかし、予算や技術的限界を超える冒険をしないため、低予算映画の王者と呼ばれ、その業績は正しく評価されてこなかった。そんなロジャー・コーマン本人のインタビューと、弟子とも言える巨匠や大物スターのインタビューを元に、彼の映画製作の軌跡と溢れる映画愛を綴った作品。そして2008年に2008年アカデミー賞名誉賞を受賞するまでを追う。

ロジャー・コーマンが誰かを私は知らなかった。フィルモグラフィーを見ても、正直言って一つも観た作品がない。かろうじて『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』だけは知っていたが、観たことはない。しかし、ジャック・ニコルソンやらスコセッシがロジャー・コーマンの凄さとその業績を滔々と語るのである。自分の知らない世界に遭遇したこの衝撃、久しく感じていなかった衝撃。

おまけに彼がこれまで作ってきた作品が紹介されるのだが、これまたものすごいB級。いやC級。最新作の『ディノシャーク』とやらも、大学の自主制作作品かよって感じ。ホラーだSFだといっても特殊撮影もクリーチャーもぬいぐるみレベル。エド・ウッドと同じカテゴリの人なのかと思っていたら、決定的に違うのが、興収的には黒字にしているという事実。そりゃ、そうでなきゃ映画を作り続けるなんて不可能だものね。今の映画は興収でペイしなくても、TV放映権やDVD販売で埋め合わせできるけど、昔はそうはいかない。そこでほぼ黒字化できているって相当凄いことだと思う。

いや、凄いことは凄いのかもしれないけど、それってセコセコとクオリティ無視で作ったからじゃないの? と誰でも思う。しかし、コーマンの弟子たちは、そうじゃないんだ…と、語る。
『The Intruder』(1962年)という南部アメリカを舞台にした黒人差別を扱った作品がある。これが唯一コーマンが赤字にした作品らしく、アメリカ国内では非常に評判が悪かったのだが、内容が非常に良く、海外では評価されていたと。『ミシシッピー・バーニング』の26年も前で、時代が早すぎたんだと彼らは言うが、確かにそのとおりで、紹介されている内容をみると非常によい内容で、メッセージ性も高い。それほど先見の明は高いんだ、彼は能力が低いから下品でB級なさ区品ばかり作ってるんじゃないんだよと。

さらに、かの『イージー・ライダー』(1969年)も、コーマンの『ワイルド・エンジェル』(1966年)という作品があったからこそなんだと。フォンダ、ホッパー、ニコルソンは、当時AIP所属のコーマンへのリスペクトを込めて製作をお願いしたのだが、AIPの経営陣がデニス・ホッパーが監督をすることに難色を示して、撮影スケジュールが3日遅れたらホッパーを解雇するという失礼な契約を押し付けてきたために、頓挫したのだと。その後、企画をコロンビアにもっていって大成功。APIの奴らが損したことをニヤニヤと語るニコルソンの悪ガキっぷりが実に面白い。
#でも、コロンビアに持っていったから結局コーマンは製作してないんだけどさ。

『スター・ウォーズ』の登場で、映画界がすべて変わってしまったというくだりは実に興味深い。SFに対するアプローチの仕方は、コーマンたちがやってきあ方向性と同じだったのに、客が高額な制作費をかけたもの以外は観なくなってしまったと。そりゃそうそうだろう、そんなみみっちい恨み節を言われてもなぁ…と思ったのだが、実はコーマンが言いたいことはそこではなかった。
本当にそこまで費用をかけなければ同じ感動を観客に与えることができないのか? といっているのだ。制作費と観客に与える感動に損益分岐点があって、その点をちょっと越えたところを狙えばいいのだと。制作費が余るならそれで社会奉仕でもしろよ! とまでいう。確かに、世の中にはそれだけの制作費をどこにつかったのだろう…と、思う作品が大量にある。いやでも、それって普通狙ってできるもんじゃない。そこが判らないからこそ、観客が求めているであろうものを予測して、それこ超えるよう、そして驚かせようとフルスロットルでがんばる。やりたいことを追求していけば、当然制作費は高騰していく。損益分岐点が判るということはある意味天才。そして天才だからこそ、B級の旗手どまりなのだ。
別の見方をすれば、損益分岐点があらかじめわかるということは社会主義経済みたいなもの。メジャー映画会社がやっていることは、競争による自由主義経済。つまり、社会主義と資本主義の戦い。資本主義であるメジャーから見れば、社会主義のコーマンは目の敵にされて当然の帰結である。コーマンを支持している人たちが、どっちかといえばリベラルな人が多いのも頷けるというもの。

彼ほどの才能があればメジャーで活躍することは容易だったに違いないが、彼はそうしなかった。意地を張っているわけではなく、どうしてもそれはできなかったんだろう。弟子たちが“大物”になってくことを羨むでもなく、こつこつとできることをやり続ける。自分でもよくわからないが、コーマンの生き方に何故か魅力というかシンパシーを感じてしまった作品。

#タランティーノは、何を業界の顔役みたいにふるまってるのか、何か鼻につくのだが…

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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