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公開年:2013年
公開国:日本
時 間:126分
監 督:宮崎駿
出 演:庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫、竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎 他
受 賞:【2013年/第80回NY批評家協会賞】アニメーション賞
 【2013年/第37回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞、音楽賞(久石譲)
コピー:生きねば。



少年の頃から飛行機に憧れ、設計士になることを決意した堀越二郎。1923年、東京帝国大学に進学するため上京した彼は、その移動中に関東大震災に遭遇。混乱の中、里見菜穂子とお供のお絹を助ける。その後、晴れて三菱内燃機株式会社への入社した堀越は、晴れて設計士の道を歩み始める。しかし、視察のためにドイツを訪れた堀越は、ユンカース社の技術を目の当たりにして、日本と世界の差を痛感する。その後、国産戦闘機の生産受注のためのチャンスである、七試艦上戦闘機の設計に主務者として携わることになるが、テスト飛行は失敗し大破。失意した堀越は、休暇と称して軽井沢を訪れるが、そこで菜穂子と再会。戦闘機設計のことで頭がいっぱいの堀越は、はじめは彼女であることに気付かず…というストーリー。

結局、コンピュータ彩色での表現をモノにできずに引退作となってしまったように思える。おまけに、カメラが寄りすぎなんじゃない?みたいな感じの絵コンテ。もうちょっと引きの画にならんもんか。全然奥行が感じられない。息子の悪癖が父親にまで伝染したのかと、かなりうんざり。

“零戦を作った男”を生々しくなく描いたという意味では、優秀かもしれない。でもこの生々しくなさが、よろしくない。

めずらしく直球の恋愛モノだったが、結局はオママゴトでおわってしまうという。宮崎駿自身の恋愛に対する情動の薄さなのか、深みのなさ故なのか、

設計士としての仕事をやらねばならない。でも新妻は結核だ。看病が必要だ。今いっしょにいなければ、せっかく結婚したのに一緒にいることができないかもしれない…という葛藤が描かれるのかと思いきや。物分りのいい妻のおかげで、仕事は継続。感情が湧きあがったときに、駆けつける。無理をして離れで生活する妻。それにのっかってふつうに生活する夫。別に夫婦の間のことだから口を挟む気はないけど、映画としては主人公が葛藤できる場面で葛藤せず、始終達観した状態って、おもしろくないでしょ。

当時、結核は死の病だから、もう死ぬこと前提なんだよ…ってことだとしても、最後、置手紙をして消える新妻を放っておきなさい…って、それはないだろ。妹も、泣いてるヒマがあったら、相手の父親に連絡しろや。

そう、“確実な死”とはっきり描けていないのがダメ。なんか、治りそうなんだもん菜穂子さん。その“死の影”を強く強く描けていないから、せっかくの突然結婚式も感動が薄くなる。
死におびえながらも強く生きる ⇒ 強く生きる=淡々と生きる ⇒ 堀越の飄々とした姿が痛々しく思える…という流れが生まれるはずなのに、前が欠落してるから、ただの飄々として兄ちゃんで終わってしまった。

カプローニが登場する夢の世界の、夢としての魅力の薄さ。たぶん、宮崎駿の頭の中ではもっといいイメージが浮かび上がっていたと思うよ。そのイメージとの乖離を、依然なら何としてでも埋めようとしたと思う。だけど、いまはそこまではやらない(のかできないのか)。
この期におよんで、劣化、迷走するという、ある意味まだ監督として“ナマモノ”なんだなという印象がした。逆に、この程度の作品で引退できる、満足だ…と思えるものかね。プロレス的に簡単に復帰すると思うわ。これじゃあね。

関東大震災のシーンでは「お!」っと思ったんだけど(マンガ表現が過ぎたけど)、そこだけだったなぁ。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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