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image1958.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:マシュー・チャップマン
出 演:チャーリー・ハナム、リヴ・タイラー、パトリック・ウィルソン、テレンス・ハワード、クリストファー・ゴーラム、ジャクリーヌ・フレミング 他
コピー:生と死の境界線。彼は何故そこに立つのか。




男がビルから飛び降りようとしているとの通報を受け、刑事のホリスは現場へ急行する。現場ではギャビンという男が、高層ビルの屋上の縁に立っていた。ホリスは早速説得にあたったが、ギャビンは「12時調度に自分が飛び降りなければ、ある人が死んでしまう」という。単なる自殺願望者ではないと悟ったホリスは、説得しつつ事情を尋ねると、ギャビンはこのような事態になった理由を説明し始める。それは、ギャビンと彼の隣に引っ越してきた美しい人妻シェーナと、その夫でキリスト教のジョーの間におこった出来事だった…というストーリー。

“Ledge”ってのは建物の出っ張ったところとか崖みたいになったところを指すみたい。ギャビンが飛び降りようと経っている場所のことだろうね。“12時の死刑台”という副題が、いかにもサスペンス的な印象与えるが、それほど直球ではない。売り文句を色々考えたんだろうけど、残念ながら失敗している。でも、宣伝が難しい作品なのは、確かにその通りだと思う。


結構よく出来たシナリオで、ギャビンが一体何故そこから飛び降りるハメになったのかを、全編にわたって辿っていく。その説明で、約100分をひっぱっていくのだが、構成の配分が見事で最後まで飽きることがない。そして、説得に当たっている刑事も、自分の妻がひた隠しにしていた秘密を知ってしまったところで、正直、他人が飛び降りようがどうしようが知ったこっちゃない状況だったりする。刑事とギャビンとのバランスもしっかり取れている。

メインの登場人物である3人は、それぞれ外面的にはしっかりとした人物である。ギャビンはホテルの副支配人だし、シェーナは大学に通う人妻。その夫は宗教バカではあるが仕事を持っており確固たる意思を持っているように見える。むしろギャビンのゲイの同居人のほうが、HIVに感染してしまい職も失い、変な新興宗教まがいのセミナーにはまっていて、弱い存在に見える。
しかし、外面的にはしっかりしていそうな彼らの心には深い傷がある。そして、それぞれが救いを求めて行動しているのだが、それぞれの立場と経験の違い故に軋轢が生じる。

(以下ネタバレ)
おそらく観る人によって感想はかなり異なるのではなかろうか。簡単にいえば、姦通した二人と狂信者のどちらに共感の度合いが傾くか…というバランスが、人によって違うだろうということ。私は、狂信者、特にキリスト教原理主義者の救いようのない不寛容さに、とても不快感を感じているので、その夫に同情する気は一切なかった。自分がどん底にいたときに救ってもらったという、“感謝”という衣をまとった後ろめたさに支配されて、彼女は自分自身を偽り続けるしかない状況。これは何かおかしいのではないか?と思いつつも、そこを越えることができない。
さて、彼女はどうもがいてくのか。彼女が学生でもあるという設定が、実は肝だと思う。開眼して世の中を知っていけばいくほど、人は自分や自分の置かれた環境に対して疑問を抱くようになってく。夫の不寛容も、ゲイに対する嫌悪感も、自分で考えることを止めて、思考を他人の考え方に委ねてしまうというある意味“無知”から生じていると思う。

本作が、あまり評価されていない理由を探すとすれば、あまりにも救いのないオチであること。そして、彼が死なねばならない理由が無いことと、もうちょっとウマいこと処置できなかったのかよ…という思いが湧いてくるからだろう。
だけど、“納得”できるよく練られたシナリオだった。お薦めしたい一作。

#最近、ちょっと気付いたんだけど、日本語吹替音声が無くてで“デカ字幕”が付いているDVDって、なかなかいい内容なのかも。おそらく、吹替音声を付ける予算は無いんだけど、それじゃしのびないから、せめて字幕だけでも大きくしようっていうロジックなんじゃないかな。



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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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