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image1983.png公開年:1960年
公開国:日本
時 間:107分
監 督:大島渚
出 演:桑野みゆき、津川雅彦、小山明子、渡辺文雄、芥川比呂志







霧深き夜。新安保闘争で結ばれた野沢晴明と原田玲子の結婚式が行われていた。野沢はかつて学生運動の指導者で、今はあり新聞記者をやっている。そこへ、指名手配中の後輩の太田がやってくる。太田は、六・一五闘争の時に、国会に向ったまま行方不明になった北見の話を始め、彼が行方不明になったのは野沢と玲子のせいだとなじるのだった。さらに、会場に野沢と同期の宅見が現れる。彼は10年前に起こった”あるスパイ容疑事件”の末、自殺した高尾の過去が告げられ、党のやり方を厳しく糾弾するのだった…というストーリー。

もうね、♪体を鍛えておけ~♪って歌で、頭がおかしくなりそうになったよ。彼らのクレイジーさを象徴する歌だった。

これ、公開から4日で上映中止になったっていう逸話がある作品。何か内容が過激だとか問題があるとかそういう側面があるのかと思ってたんだけど、単に興行的に失敗するのが見え見えだったから止めただけでしょ。だって、映画としては、つまらんもん。上映中止に憤慨して大島渚は松竹を止めたらしいけど、大島渚としたら意図どおりの出来映えだったから、なんでやねん!って気持ちだったんだろうね。だけど、金払って観たら、こんな内容で、あんな終わり方だったら、いい加減にせいや! 金返せや! って怒る人が7割はいると思うよ。

娯楽要素が微塵もない作品なんだけれども、製作意図はよくわかる。平気で5分以上ワンカットのシーンとかがあるし、演者のセリフなんか咬んでもそのまんま使う。セクトのリーダーみたいな人なんて、わざと咬んでるんじゃないかというくらい、定期的に咬む。とにかく、リアルな緊迫感を出そうとしている。実験映画っていう人もいるけど、製作側はそういう計算はないと思う。

最後の終わり方も意図はすごく良く判る。いくら否定しようが折れることなく詭弁を弄する救いようのない馬鹿がリーダー気取りで、他人を糾弾しつづける声が響くなか、「どうしようもねえや…」って思いと、「こんなこと一緒にやってきた自分てなんだったのか…」って思いとが入り混じった、途方も無い虚無感と脱力感に襲われている。でも、もう時間は戻らない。

でも、いくら当時の出来事の知識があったとしても、安保闘争を身近で感じていないと、やっぱりピンとこないんじゃなかろうか。それは、当時の人も一緒で、地方の人とかデモをやってるのを尻目に普通に生活していた人には、ピンとこなかったと思うんだ。
日米安保成立から時間をおかずに製作され公開されていて、異例のスピードだったのかもしれない。製作した本人は自分の鼻の効き具合と馬力に自画自賛するほどだったかもね。でも、世の中の人々の記憶の忘却のスピードや、移り気の速さはそれ以上だと思うのよね。

でね、今の私たちがこれを観て感じることが一つだけあると思う。残念ながら、この作品に登場する救いようのない馬鹿どもは、現在だと年金をもらっていい年齢になったくらい。つまり、いまの経済界や政界で、第一線でございますって顔をしているわけだ。全共闘世代とかだよね。学生運動してた頃のことを、自慢げに話す、あの恥ずかしい馬鹿どもだよ。
この登場人物たちの、ペラペラ喋っている内容を聞けばわかるでしょ。問い詰めてももっともらしいことではぐらかすてばかりの奴。自分が追い詰められると相手の粗をみつけてそこを攻撃して悪者のレッテルを貼る奴。経団連の米倉とか、坂本隆一とか、そういうやつらの言い草そのまんまなの。

この映画の最後は、自己批判とか総括とかいう共食い状態になるんだけど、この思考回路は、行き着くとこまで行くと、日本赤軍なんかで行われていた陰惨な内ゲバになる。そういうオチまで歴史上刻まれてるのに、この世代は救いようのない馬鹿だから、いまでもエラそうにしてるよね。
そろそろ、下の世代が突き上げてご退場していただくしかないんだけど、ソフトにご退場していただくことになるか、ハードにご退場していただくことになるのか。これから10年、見ものだけど、多分後者だろうね。

別に観なくちゃいけない作品ではないな。というか、107分は別のことに使ったほうが世のためだな。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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