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image0165.png公開年:2006年 
公開国:アメリカ
時 間:128分  
監 督:スティーブン・ザイリアン
出 演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンス、ケイト・ウィンスレット、マーク・ラファロ 他
コピー:善は、悪からも生まれる。




郡の出納官を務める実直な男ウィリーは、小学校建設に絡む役人の汚職を告発して逆に自分が職を追われた。やがてその小学校で欠陥工事が原因の事故が起こり、ウィリーは一躍注目の存在となり、それに目を付けた州の役人に担がれ、知事選に出馬することとなった。しかしそれは、対立候補の票を割るための策略で、ことの真相を知ったウィリーは、演説原稿を破り捨て自分の言葉で聴衆に語り始めると、貧しい人々の心を打ち、勝利を収め知事の座を射止めるのだったが…というストーリー。

どうも1949年に同名の作品があって、それのリメイクらしい。原作はピュリッツァー賞を受賞しているということらしいので、実話らしい(元の作品は観たことなし)。

それにしても、まったくもってピントのボケた作品だ。まず、実直だったウィリーが、騙されていたことを知り、開き直って、自分の言葉で演説しはじめて、当選するまでの流れは理解できる。しかし、実直だった彼が当選した後、なんで、あんな独善的で俗物な人間に堕ちていったのか、そのプロセスがまったく腑に落ちない。単に権力を握ってしまったら変貌したようにしか見えないのだが、理由の説明もないので、元々そういう資質だったと思うしかない。

ところが、リメイク元のストーリーを調べてみると、二回落選することで理想主義に挫折する…という、立派な理由があるらしいのだ。なんで、リメイク版では、こんな風に変えてしまったのだろう。

もう一人の主役級の、ジュード・ロウ演じるジャックだが、このキャラクターにまつわるストーリーが、何の効果を期待して盛り込まれているのか、さっぱりわからない。
これも、リメイク元は、彼の目線でストーリーが語られているようで、狂言回しのような役どころらしいのだが、本作では、純粋に単なる登場人物でしかない。そのせいで、ショーン・ペンに注目すればいいのか、ジュード・ロウに注目すればいいのか、いったいこの作品は何を見せたいのかさっぱりわからなくなっている。ジャックの恋する人物の顛末には、なんの意味があるのか…。アンソニー・ホプキンスのくだりは、結局、ストーリー上、どういう効果をもたらそうと思って入れられているのか…(イライラしてくるなぁ)。

この作品は、ショーン・ペン演じるウィリーが俗物に落ち、傍若無人に振る舞い、悪人のように見えながらも、それが人間の本性かもしれない…と考えさせることが目的の映画だろう。さらに、そんな人物でも、権力者として祭り上げてしまう民主主義の脆さというものを、揶揄したいのだろう。
そういう意味では、今の日本人だって、民主主義とは“多数決”で決めるものと思っている人が大半なのだから、こういう人物の生涯を見ることは反面教師として有益なはずなのだ(ちなみに民主主義とは、とことん議論を尽くして、折り合いがつかない場合は、いつまでもモメていると公益を損ねるので、最終的手段として多数決を行って決定する制度のことである)。

でも、そんなものを表現しようとは、本作からは微塵も感じられない。このリメイク作品からは、何のテーマも見えない。そういう主軸を据えようという意識が明確だったなら、こんなバカで、ボケたストーリーにはならない。『レナードの朝』『ボビー・フィッシャーを探して』『シンドラーのリスト』『今そこにある危機』『ミッション:インポッシブル』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『ハンニバル』という名作を送り出したの脚本家なのだが、なんで、本作だけ、こんなに駄作なんだろう。監督/製作/脚本と、色々、やりすぎたことが原因だろうか。

なんで、こんな作品にショーン・ペンは出ちゃったのだろう。おそらく、あの作品をリメイクするという時点で仕事を請けたか、全然ダメな作品なのは判っていたが、逆にオレの演技で成立させたやろうという役者根性はどちらかである。
ジュード・ロウにいたっては、ショーン・ペンが出るっていうから出てみた…くらいのノリかもしれない。

久々だが、本作を観ることは時間の無駄である。駄作の極みである。
#本作の汚名を濯ぐために、『ミルク』に出たんじゃなかろうか。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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