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公開国:アメリカ
時 間:156分
監 督:マーティン・ブレスト
出 演:アル・パチーノ、クリス・オドネル、ジェームズ・レブホーン、ガブリエル・アンウォー、フィリップ・シーモア・ホフマン、リチャード・ヴェンチャー、サリー・マーフィ、ブラッドリー・ウィットフォード、ロシェル・オリヴァー、マーガレット・エジントン、トム・リース・ファレル、ニコラス・サドラー、ロン・エルダード、フランセス・コンロイ、ジューン・スキッブ、デヴィッド・ランズベリー 他
受 賞:【1992年/第65回アカデミー賞】主演男優賞(アル・パチーノ)
【1992年/第50回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、男優賞[ドラマ](アル・パチーノ)、脚本賞(ボー・ゴールドマン)
全寮制の名門高校ベアード校の奨学生チャーリーは、感謝祭の日に実家に帰る資金を稼ぐため、盲目の退役軍人フランクの世話をするアルバイトを引き受けることに。学校では、トラクス校長と愛車が生徒たちの前でペンキを浴びせられるという事件が発生。校長は、前日の夜に事件現場の近くにいたチャーリーとジョージを呼び、事情聴取を行う。週明けの特別集会までに、犯人の名を言わなければ退学にすると脅し、さらにチャーリーには言うとおりにすれば大学進学の奨学金も与えると持ちかけた。犯人である同級生はおおよそ判っていたが、彼らを売ることをためらうチャーリーは、その悩みを抱えながら、フランクの世話のバイトに向かう。ところが、フランクは突然ニューヨークへ旅をすると言いだし、フランクにも同行を強要するのだった…というストーリー。
アル・パチーノのオスカーに文句をいうやつはいないだろう。瞳孔を塞ぐコンタクトでもしているのではないかと思うくらい、“光のない目”を完璧に演じていると思う。ニューヨークの車が多数行き交う道路を突っ切ったあと、ゴミ箱にぶつかって転ぶシーン。視覚のない人間の出来得る防御、そうとしか見えない完璧な演技である。
怒りを抑えることを知らず、人を威圧し、周囲を不快にする元軍人のフランク。自分が周囲から疎まれていることは判っているのだが、それを素直に認めることができない。自分の生きる意味をまったく見出せないかれは、長年考え続けていた、自殺へのプランを粛々と遂行する。
しかし、そのお手伝い役として、アルバイトを雇うのはいかがなものか。普通はそう思うが、これから自殺をしようという人間が、そんなことにまで気を使うわけがない。そしてチャーリーは、人生経験は浅いながらも、百戦錬磨の彼の自殺を何とか止めようと必死にがんばるのである。
フェラーリのシーンで、「そんなアホな…」と興醒めする人が結構いるようだ。たしかに、行き過ぎの演出ではある。リアリティ崩壊のギリギリのラインだ。でも、フェラーリを愛するフランクの望みを叶えることで、自殺を留まらせようとするチャーリーの努力である。そして、フェラーリに乗ることができた満足感と、皮肉なことにもう好きな物を満足に愛することもできないという絶望感を同時に味わうという、複雑な演出のためには必要な場面だったと思う。
分不相応の権力与えられた小物という悪役の設定も、判りやすく且つ実にアメリカらしくもあり、秀逸である。フランクの軍人魂や、チャーリーのマジメさと対極である点も良い。それがカウンターバランスとなり、フランクの演説が内容以上に輝きを発する。
生きる意味なんて、最終的に突き詰めていけば、他人のために何かをすることである。軍人として“国”のために尽くしてきた彼は、視力を失って誰に対しても何もしてやることができなくなってしまった。卑下していた親族に逆にさげすまれる存在となり、年金暮らしという非生産的な生活を強いられることが我慢できなかった。でも、そんな彼が、実生活では得ることができなかった“息子”を得て、彼のために行動することで、生きる意味、喜びを感じる。チャーリーも救われたがフランクも救われた瞬間である。
そして、救われた瞬間に、女性教師とのコンタクトがあり、姪っ子の子供達とも和解するという、コミカルではあるが実に微笑ましい、からまった糸がほぐれるようなカタルシスが生じる良作である。
ちょっと長いのが玉に瑕だが、未見の方は是非観るべき作品だと思う。私は今回で3度目くらいの鑑賞だと思う。
#野沢那智の吹き替えが実によろしい。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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