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公開国:イタリア、フランス、ベルギー
時 間:106分
監 督:ジェラール・コルビオ
出 演:ステファノ・ディオニジ、エンリコ・ロー・ヴェルソ、エルザ・ジルベルスタイン、カロリーヌ・セリエ、ジェローン・クラッベ、マリアンヌ・バスレール、オメロ・アントヌッティ 他
受 賞:【1994年/第52回ゴールデン・グローブ】外国語映画賞
【1994年/第20回セザール賞】音響賞(Dominique Hennequin、Jean-Paul Mugel)、美術賞(Gianni Quaranta)
カルロ・ブロスキは10歳の時に去勢され、カストラート(去勢された男性歌手)となる。彼の8歳上の兄リカルドは弟の歌の才能を愛し、弟のために曲を書き、その歌を弟が唄うという関係を続けていた。二人は芸も私生活も一心同体だった。ある日、イギリス宮廷作曲家ヘンデルがナポリの街頭でカルロの歌声を聴く。その歌声に驚いた彼は、カルロにロンドンにくるように誘うのだったが、リカルドも一緒来るという条件は受け入れられなかったため、ロンドンにいくことはなかった。それから12年。30歳のカルロはファリネッリと名乗り、その歌声で女たちを魅了し続けていた。興行先では、人気者のファリネッリが女性を誘惑し、去勢されているファリネッリに変わり肉体的な喜びを女性に与えるという奇妙な夜を過ごしていた。そんな時、ファリネッリは、アレクサンドラという女性から、ロンドンにある貴族オペラ座の窮状を救って欲しいと依頼され、彼の地に向かうのだったが…というストーリー。
ファリネッリは実在した伝説のカストラート。ただ、史実では、歌手として名声を得て、王室歌手として長年活躍し、裕福な晩年を過ごしたという人物。どちらかといえば順風満帆で紳士だった彼の人生が、どれだけドラマチックに描けるというのか。
案の定、本作は伝記物なのか…といわれると甚だあやしくなる。兄の設定や去勢の方法が、どこまで史実なのかどうかは不明だが、兄との確執話はおそらくフィクションだと思われる。本作を伝記映画とカテゴライスすることはできないだろう。落馬したから去勢されたのか、去勢の言い訳で落馬したことになれたのか。元々裕福な家の子供だったらしく、貧しさ故に一か八かで去勢されたわけではないだろう。
とにかく、兄弟で女性を分け合う描写は、気持ち悪い。弟が去勢されていたからといって、途中で兄と入れ替わる約束?なんのこっちゃ。この去勢というのが、中国歴代王朝における宦官のように、陰茎も睾丸も取るようなものだったのか。いや、おそらくカストラートの場合は、睾丸だけを取っただけだと思われるので、子種を残す目的でないのならば、別にファリネッリ一人だけで、女性と性行為をすることは可能なのだ。じゃあなんでか…、そういう兄弟の約束だから…って、父親のいいつけが発端とはいえ常軌を逸している。なんと趣味の悪い脚本だろう。
ラストに至っては“音楽同様、共作の成果…”という「だから何?」という展開。これで終わられてもねぇ…。ただの、趣味の悪いエグいエロ話の域を出ていないと思う。
ただ、いくらカストラートといっても不具者であることにはかわりなく、ファリネッリは身体障害者である伯爵夫人の子供に深くシンパシーを感じてしまう。そして、その子に父親になってほしいとねだれると、素直に伯爵夫人に結婚を申し込んでしまったりする。自分の才能を愛している反面、引き換えにしたものの大きさに、引き裂かれるような感情は、ファリネッリが随所に見せる潤んだ瞳が物語っているということだろう。
しかし、モチーフの人物や世界観の重厚さがないせいなのか、どうも、私には空々しく感じられた。同じ音楽家の作品である『アマデウス』と比較すると、5分の1のおもしろさもないと思う。
技術的に着目すべきが、ファリネッリの歌声を再現するために、男性と女性の歌をシームレスに合成したところなのだろうが、残念なのは、せっかくの歌声が、口パクに見えるという点。いや、実際口パクなので、当たり前なのだが、その歌声が出ているんだろうな…というアゴやのどの動きをしていないんだもの。そこで興醒めさせちゃダメだと思う。
もう一度いうが、客観的に評価できないほど、気持ち悪かった。感銘を受けたところもなし。もう二度と観ないと思う。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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