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公開年:2002年
公開国:スペイン
時 間:113分
監 督:ペドロ・アルモドヴァル
出 演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス、ジェラルディン・チャップリン、パス・ベガ、ピナ・バウシュ、カエターノ・ヴェローゾ、ロベルト・アルバレス、セシリア・ロス 他
受 賞:【2002年/第75回アカデミー賞】脚本賞(ペドロ・アルモドバル)
【2002年/第28回LA批評家協会賞】監督賞(ペドロ・アルモドバル)
【2002年/第60回ゴールデン・グローブ】外国語映画賞
【2002年/第56回英国アカデミー賞】オリジナル脚本賞(ペドロ・アルモドバル)、外国語映画賞
【2002年/第15回ヨーロッパ映画賞】作品賞、監督賞(ペドロ・アルモドバル)、脚本賞(ペドロ・アルモドバル)、観客賞[監督賞](ペドロ・アルモドバル)、観客賞[男優賞](ハビエル・カマラ)
【2002年/第28回セザール賞】EU[欧州連合]作品賞(ペドロ・アルモドバル)
コピー:深い眠りの底でも、女は女であり続ける。
4年前、交通事故に遭い昏睡状態に陥ったアリシア。看護士のベニグノは4年間彼女を世話し続け、決して応えてくれることのない彼女に向かって毎日語り続けていた。一方、女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で昏睡状態に陥り、彼女の恋人マルコは彼女に付き添いながらもただただ哀しみに暮れている。ベニグノとマルコは病院で顔を合わすうちに、言葉を交わすようになり、次第に友情を深めるのだったが…というストーリー。
重いテーマながら、さらっとするっと、何一つ引っ掛ること無くごく自然に展開。こんなにスムーズに気持ちが乗っかる映画は、初めてかも…なんて、アルモドバルすげーなぁと思いながら観ていたのだが、それは中盤まで、そう思わせること自体が引っ掛けだったか。
(以下ネタバレ)
まず、ベニグノがレイプしたのかどうか。実際はしていないかもしれないという見方をする人もいる。そりゃ直接、そのシーンはないので、やってないと解釈することは可能なんだけど、そうじゃないと、まったく方向性の違う話になっちゃうし、死産だったてことは、DNA検査して容疑が固まったことを明確に示しているわけで、そこを疑うのは、やっぱり野暮だと思う。ということで、ベニグノがレイプしたということで話をすすめる。
ベニグノとマルコは、それぞれ昏睡した愛する女性のもとにいる、ある意味同じ立場の男同士なんだけど、ベニグノはただただ疑うことなく愛を傾ける。マルコはただただ喪失感ゆえに落ち込むだけ。さらに時間が経過すると、ベニグノは、彼女が昏睡状態でなければ、まずありえないであろう、彼女と結婚することを望み始め、逆にマルコは、実は彼女が別れを決めていたことを知り、ショックで去ろうとする。まったく逆の行動をとる二人なのに、その間にはなぜかシンパシーが。
まあ、マルコは外国人で、過去の恋人とのつらさとか、不安定な職業とか、“孤独”というキーワードで共通していて、そういったひずみみたいなものが、ベニグノにたいする興味・情という形で発現しているということなんだろう。
愛に渇望する男同士ゆえ理解しあうってことなんだろうけど、やっぱりベニグノのは愛なのか?という疑問に、ぶち当たる。“無償の愛”“一途な愛”“純愛”といえば聞こえはいいが、単なる一方通行の執着を愛と呼ぶかな。
そして、つきつめて考えれば、世の中の人が声高にいっている“愛”っていうのは幻想なんじゃないか?ってことをベニグノを通して気付かせてくれる。
ベニグノは死にアリシアは目が覚める。やはり無償の愛は尊いんじゃないかと思わせてておいて、マルコとバレーの先生の会話になる。マルコは「単純ですよ」といい、バレーの先生は「単純じゃない」という、案外、それが答えかも。男は愛をシンプルだと思いこみ、女はそうじゃないと思う。そのコントラストを表現するためには、アルモドバル的にはレイプするところまでもっていかないといけなかったのかもしれない。しかし、結果からいえば、あまりに不快なできあがり。
別に、本作におけるレイプの非道徳さをどうこういっているのではない。だって映画だから、殺人だろうがレイプだろうが、必要であれば表現すればいい。ただ、それまで流麗に展開していたのに、流体オブジェの液体のとろーんと流れる表現なんかをもってこられると、ワタシ的には趣味が悪すぎると感じざるを得ない(例の無声映画も同様)。アルモドバルは、いつもちょっと有り得ないようなシチュエーションをつくってグイグイ展開していくんだけど、このレイプってさほど有り得ないシチュエーションでもないところが気持ち悪さに繋がっているんだよね。普通の感覚なら、サイコホラーどこかスナッフムービーくらい気持ち悪い話なんだから。もうちょっとリアルさが削がれるくらいじゃないと、引いてしまう。
だから、意識不明の女性をレイプする酷い映画だと観る人が相当数いて当たり前。共感できないと思うひとがいて当たり前。申し訳ないけれど、これは脚本の演出上の足かせであって、もうこの設定にした以上、評価が真っ二つに分かれるのは必然。なのに、なぜか諸手を挙げて色々な脚本賞を受賞しているのが、腑に落ちない。賞をあげるだけじゃなくって、どの部分をどう評価・解釈して賞をあげているのか、説明して欲しいと思いたくなる。
たくさんの受賞歴だけで、さぞやおもしろいんだろうと予想して観ると、痛い目にあうかも。坂口安吾とか芥川龍之介なんかと同じカテゴリだと思えばいいんじゃなかろうか。ああ、そうか、ワタシも、他のアルモドバルと似たような感じだという先入観でみたからダメだったんだな。坂口安吾とか芥川龍之介と同じカテゴリ。うん、我ながら言い得て妙かも。お薦めしないわけではない。ただアクは強い。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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