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公開国:日本
時 間:95分
監 督:崔洋一
出 演:岸谷五朗、ルビー・モレノ、絵沢萠子、小木茂光、遠藤憲一、有薗芳記、麿赤児、國村隼、芹沢正和、金田明夫、内藤陳、木村栄、瀬山修、萩原聖人、金守珍、金久美子、城春樹、吉江芳成、木下雅之、古尾谷雅人 他
受 賞:【1994年/第44回ベルリン国際映画祭】NETPAC賞(ベスト・アジア映画)
【1993年/第17回日本アカデミー賞】新人俳優賞(岸谷五朗)
【1993年/第36回ブルーリボン賞】作品賞、主演女優賞(ルビー・モレノ)、新人賞(岸谷五朗)
在日コリアン姜忠男が勤務する金田タクシーは、同じく在日コリアンが経営する会社で、出稼ぎのイラン人や元ヤンキーやボクサーくずれなど、まともに働くこともできないようなクズばかりが集まっていた。忠男は、在日同胞の政治的な主張にはうんざりで、女の子を口説いてばかりの毎日を送っていた。そんなある日、母・英順の経営するパブで、大阪弁を喋るフィリピン人のコニーが働くことに。彼女を気にいった忠男は、あの手この手でアプローチするが、かわされてしまい、ついには半ば強引にコニーと関係を結び、挙句の果てには彼女の部屋に転がり込んでしまう…というストーリー。
原作は梁石日、『血と骨』も梁石日と崔洋一のコンビだが、そちらは観ていない。というか、借りようとおもいつつも、なんかエグそうで手が引いてしまう。ただ、 両方とも梁石日の自伝的小説だということで、観るなら1セットで観るべきかな…と。
でも、私の使っているレンタル屋には本作が置いていなかった。たまたまBSで放送していたらしく、録画したものを観せてもらった。
在日朝鮮人を正しく描いている作品だと思う。同胞人を同胞人が食い物にする姿や、窮すると短絡的に放火しちゃうなんて、笑うに笑えないけど、それはそれは、身も蓋もないほど正しい描写にみえる。忠男の母は一生懸命、帰国している息子に物資や金を送っているけど、絶対そのまま届いているはずがないのが、なかなかせつない。在日朝鮮人は親族を人質の取られた鵜飼の鵜である。まあ、それに気づかない婆ァの頭がおめでたいのは間違いないし、人の話は聞かない強欲人間なので、同情する気にはならないが、やっぱりなんかせつない。
この正しい姿である本作を、今、表現できるか?リメイクして公開したらどうなるか?間違いなく、在日韓国人、朝鮮人 本人がクレームをつけるだろうね。
在日朝鮮人たちは、日本人をはじめ他国の人々に嫌悪感を振りまき、その原因はそっちのせいだと狂犬っぷりを発揮するわけだが、この作品を観ると、在日朝鮮人のことを一番嫌いなのは、在日朝鮮人自身であることがよくわかる。でも、それを認めたくない、でも、認めざるを得ない場面が廻りにあふれている。そりゃあ、頭も狂いそうになろだろう。このアイデンティティの喪失はどこからくるのか。それは日本人のせいだ…といつまでも言い続ける彼らに未来はなさそうだ。1993年から今になるまで、改善されるどころかますますエスカレート。でも、ぎりぎり許容できる在日朝鮮人の姿が本作にはある。
大変もうしわけないが、スナック勤務やタクシー運転手は、比較的手っ取り早く金を稼ぐ手段で、外国人が比較的手を出しやすい。つまり、彼らは日本で手っ取り早く金を稼ごうとしているだけであり、日本に何かをしようというつもりもなく、馴染もうという気もない。そういう浮き草のようなシンパシーで、姜忠男とコニーは結びついているともいえる。日本を多国籍世界として描き、そこに漂っている二人…という感じ。でも、別にそういう生き方を日本人が強要しているわけではないし、この人たちは、何をやってってるんだろうなぁ…と。そういう俯瞰目線で観ることができるのが、本作の魅力かもしれない。悪い言い方をすれば、それほど強いメッセージ性はないってことでもある。
途中で、頭がおかしくなってしまう同僚が登場するが、これが何を表すのか。まあ、実際にそういう人がいたんだろうけど(彼が新潟出身というところが説得力あるしね)。それまで彼が特に不自由もなく一緒に勤務できたってことは、俺らの頭もおかしいってことじゃないか?っていうことなのかな。
崔洋一監督の作品を全部観ているわけじゃないけれど、観た中では唯一まともな作品だと思う(…っていうか、監督の力量じゃなくて、原作の力な気もするけど)。正直に告白すると、私、崔洋一監督の演出がピンとこないのだ。特に編集の仕方というか場面の切り替わりとか構成とか。私、崔洋一って、TVドラマ向きの監督なんじゃね?と常々思っていたりする。
とりあえず、近いうちに『血と骨』は観てみようと思う。いまさらながら。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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