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公開年:2008年
公開国:イギリス、イタリア、フランス
時 間:110分
監 督:ソウル・ディブ
出 演:キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、シャーロット・ランプリング、ドミニク・クーパー、ヘイリー・アトウェル、サイモン・マクバーニー、エイダン・マクアードル、ジョン・シュラプネル、アリスター・ペトリ、パトリック・ゴッドフリー、マイケル・メドウィン、ジャスティン・エドワーズ、リチャード・マッケーブ 他
受 賞:【2008年/第81回アカデミー賞】衣装デザイン賞(マイケル・オコナー)
【2008年/第62回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞(マイケル・オコナー)
コピー:18世紀にも、スキャンダル。
18世紀後半のイギリス。スペンサー家の令嬢ジョージアナは、名門貴族のデヴォンシャー公爵と結婚することになり、その美しさからロンドン中の注目の的になる。しかし、デヴォンシャー公爵の望みは男子の後継者だけであり、彼女を愛そうとはしない。その後、3人の子供を授かるがすべて女の子で、ますます孤独感が募るジョージアナ。そんな時、エリザベスという女性に出会い、その不幸な身の上に同情したジョージアナは、彼女を自宅に招き入れ一緒に暮らすようになるが…というストーリー。
『恋におちたシェイクスピア』とイギリス繋がりでチョイス。とはいえ、マリー・アントワネットのころなので時代は全然違うけれど。それにしても、この手に作品に衣装デザイン賞をあげるパターンは、もう飽きましたな。手がかかるのはわかるけれど、中世の衣装を揃えること自体は、以前ほど大変でもないでしょう。もっと今までにない創造性や、新たな観点で選出して欲しいものである(まあ、とはいえセットを含めて、素晴らしいデキではあるんだが)。
さて、内容とはそれるが、ちょっと考えされたことが一点。はたして「この映画は実話である」と映画内で表明する意味ってあるのだろうか、という点。“実話です”っていわれて、“ぎゃ”ってなることはたしかにある(『ベティ・サイズモア』とかね)。でも、結局は本編の内容が面白いかどうか。大抵は、いまいちな内容の“言い訳”にしか聞こえないのは私だけだろうか。“実話”は免罪符にはなり得ない。
仮に実話だったとしても、よほどの必要がない限り、言わないのが、マトモな創作者のセンスだと思うのだが、皆様はいかがだろう。で、本作は、初っ端に、実話であることが表明されるのだが、その効果はいかなるものか。
不仲な公爵夫妻の元に潜り込んだエリザベスは、『エスター』のように夫婦を壊して自らの家庭にして……なーんて展開にはならない。
息の詰まるような貴族社会において、ひどい仕打ちを受けたジョージアナは、その復讐のために、したたかで且つ綿密な計画を密かに遂行するのだった…なーんて展開にはならない。
家庭に失望したジョージアナは、公爵を含めた貴族社会を憎み、政治運動に没頭し、やがて市民革命のエンジンとして活動し、フランス革命の一助となったのであった…なーんて展開にもならない。
ネタバレだから言わないけれど、「あ、そう」って内容でしかない。とても豪奢な牢獄でしたね…と。私が脚本家なら、最終的なオチの状況は史実を同じにしながらも、その経過や裏側は創作に創作を重ねるけどね。途中、なんとか持ち直して、面白くなりそうな気配にはなるんだけど、女性の歴史教科書の1ページに成り下がってしまった。お薦めしない。
昨日の『恋におちたシェイクスピア』もそうだったけれど、共通して引っかかるのは、主人公の母親の行動だ。自分も同じように、イヤな思いをしてきただろうに、自分の子にも同じ思いをさせることは厭わない。部活の先輩が、後輩いびりをして、その後輩がイヤだと思っても自分が先輩の立場になったら、同じようにイビリはじめるのと一緒。どうも、多くの人間に同じように備わっている傾向らしい。
貴族、それは永遠の昨日を生きる者。そして、現代においてその役を担うのは官僚である。さてさて、歴史を紐解けば、貴族や官僚は永遠にいなくなることはなそうである。そうなると、いかにそれをコントロールするか。三権分立ですな。ああ、すべての映画は民主主義の教科書か(なーんてね)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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