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公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:リチャード・リンクレイター
出 演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー、ブレイディ・コールマン、リチャード・ロビショー、リック・ダイアル、ブランドン・スミス、ラリー・ジャック・ドットソ 他
ノミネート:【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】男優賞[コメディ/ミュージカル](ジャック・ブラック)
【2012年/第28回インディペンデント・スピリット賞】作品賞、主演男優賞(ジャック・ブラック)
【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】 コメディ映画賞、コメディ映画男優賞(ジャック・ブラック)、コメディ映画女優賞(シャーリー・マクレーン)
コピー:テキサスで起こった 嘘みたいな ほんとうの話
テキサス州の田舎町カーセージ。葬儀社で助手として勤務しているバーニー・ティーディは、卓越した遺体の防腐処理、賛美歌まで演奏する淀みない葬儀の進行技術、棺を売る営業力、そして何よりも遺族へきめ細かい配慮で、高い評価を得ていた。誰にも親切な彼は、奉仕活動にも献身的に参加しており、町の人気者だった。ある日、石油で莫大な財産を築いたドゥエイン・ニュージェントを担当。その莫大な資産を相続した81歳の未亡人マージョリーは、頑固で偏屈で町一番の嫌われ者。友達はおろか息子家族からも嫌われおり、財産に関する裁判までおこされる始末。そんな孤独な彼女を気の毒におもったバーニーは、葬儀が終わった後も世話を焼いていた。はじめは冷たくあしらっていたマージョリーも、次第に心を許しはじめ、相談相手として付き合うようになるが、数年後には彼女の会社の社員となり、財産の管理まで任されるようになっていた。しかし、彼女わがままさが直ったわけではなく、バーニーへの依存度と独占欲は高まる一方で、彼が友人と付き合うことすら制限するようになっていた。なんとか我慢していたが、精神的に追い詰められたバーニーあ、とうとう彼女をアルマジロ駆除用にライフルで撃ち殺してしまい…というストーリー。
タイトルに間違いはないんだけど、冒頭の防腐処理のくだりがかなり奇異で、シリアルキラーみたいに感じられてしまう。そんな作品ではない。
1996年に39歳の葬儀店員が81歳の大富豪の女性を殺害した実際の事件を映画化した作品。確かに観終わってから遠い記憶を紐解けば確かにこんな事件があった気はするが、鑑賞中は思い出せなかった。ジャック・ブラックをキャスティングしたのが秀逸。献身的でやさしいその行動は、胡散臭さ満開。爺さん婆さん連中が彼を好意的に見るのはわからないでもないが、同年代や下の世代からみれば、何か気持ち悪さを感じずにはいられない。いや、コレ完全に偏見なんだけど、実際にどこか気持ち悪さを感じてしまうのだから仕方がない。
どう考えても、富豪の婆さんを垂らしこんでいるという構図。そんなことはないと思いたいところだが、趣味の飛行機や演劇に大金を使っているのは事実だし、単なる献身とは思いがたい。
いざ殺人を犯してしまった後、車庫の冷凍庫に入れておくというずさんな手口。これが、後の裁判の争点となる。もし彼が、その気なら、遺体を処分できたのにしなかった。つまり金目当ての殺人ではなかった…という論法。おまけに、殺さなくても十分にお金は使えているのだから、殺す必要はないと。
マージョリーの死後、彼女の財産を使い続けるが、これが共益のためや、困った人のためにばかり使っているというのも、彼を弁護する材料だった。
この作品の底辺にある論調も、基本的に彼に好意的な演出が施されていると思う。全編にわたって登場する町の人々のインタビューは、すべてバーニーを擁護するものばかり。その逆は検事のみ。完全に検事が、名誉欲のために、あらゆる策を講じてバーニーを有罪にしようとしているという構図だ。すると、不思議なもので、観ている側も、自然とバーニーを応援する気持ちになってくる。
この法廷劇が、意外におもしろかった。後から冷静に考えれば、やっぱり有罪だと思う。元々家にあった害獣駆除用に銃だから、故殺かどうか微妙だっていう人もいるけど、その後の遺体を隠して、財産を私的に使った。私欲のために使わなかったというが、元々そういう公益に使いたいという欲求の持ち主だからね。十分に故殺と推定するだけの条件は揃っていると思う。でも、鑑賞中の私は、そう思っていなかった。人間っていうのは、雰囲気に騙されやすい生き物だな…と思うよ。
判決が出た後も、町の人はバーニーを擁護し続ける。実際はどうなのか知らないけれど、収監中も、料理教室を開いたり、その明るさに怖さを覚える。だからといっておかしな人間だと決め付けるのがよくないのは理解している。でも直感的にこいつは何かおかしい…という声も聞こえてくる。単なるおもしろ話のようにみせておいて、実はものすごく観客がためされているようにも思える。
実話だから、どうしようもなかったんだろうけど、冷凍じゃなくて防腐処理して保存してほしかったな…。そんなフィクションを差し込む余地がないほど、まるでフィクションな現実がそこにあったってことなんだけどね。
エンドロールで、ジャック・ブラックが収監されているご本人と面談している様子は、なかなか衝撃的。過去の実話ベースの映画で、こんなことした人いないと思う。
ものすごく楽しめた。映画賞の受賞までいたっていないけど、良作だと思う。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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