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公開年:2012年
公開国:イタリア、フランス
時 間:115分
監 督:マッテオ・ガローネ
出 演:アニエッロ・アレーナ、ロレダーナ・シミオーリ、ナンド・パオーネ、クラウディア・ジェリーニ 他
受 賞:【2012年/第65回カンヌ国際映画祭】審査員特別グランプリ(マッテオ・ガローネ)





イタリアでは、一般の若者が共同生活をする“ビッグ・ブラザー”というリアリティ番組を大ヒット。そこからスターも生まれているほど。その番組の大ファンであるナポリで魚屋を営むルチャーノは、明るい性格でいつもお客を楽しませ、町の人気者だった。しかし、商売で得る収入はわずかで、大人数の家族を養うのは不十分。そこで、妻が営業をしているクッキングロボットを知り合いに買わせて、それをすぐに返品させて、営業歩合収入を得るという詐欺行為でなんとか暮らしていた。そんなある日、家族が街に買い物にいくと、ビッグ・ブラザーの新参加者のオーディションをしている。ルチャーノは、家族に薦められてオーディションに参加したが、なんと一次オーディションに合格してしまう。元々、親類や町の人から面白い男といわれていた彼は、すっかりその気になってしまい、有名になって金持ちになる夢を膨らませるのだった。しかし、仕事中に普段見かけない人の姿を見ると、番組スタッフが調査に来ているのでは?と思うようになり…というストーリー。

コメディかと思っていたのだが、全く違った。笑えないだけではなく、かなり悲惨な話だと思う。自分はスターになれると思い込むという設定は、デ・ニーロの『キング・オブ・コメディ』を思い出す。あっちはかなり病的だったが、こちらはかなり微妙なライン。だから、こんな感じで徐々にエスカレートするとは思ってもみなかった。かえって救いようのない狂気が漂う結果に。

プロットは別にして、本作はわかりにくい演出が多い。まず、クッキングロボットの設定が全然ピンとこない。あまりにSF的なデザインで、どうやって使うのかもわからないレベル。もしかしてこのお話は未来のお話かな?なんて思ったほど。そして、そのロボットを使ってやっている詐欺の仕組みがさっぱり見えてこない(後でネットで調べてやっとわかった)。
結局は、ヤバいことをやらざるを得ないくらい貧しいっていうことと、それを夫婦がツルんでやっているっていう設定が必要だったわけだが、別にそんなロボットを持ち出さなくてもよかったと思う。

そして、タイトルにもなっている“リアリティ”番組がいまいち見えてこなかった。始め主人公ルチャーノは、冒頭で女装していたから、なにかそういう芸を披露する番組なのかな?なんて思っていた。リアリティ番組出身のスターがライブみたいなのをやっていたから、ますますそうなのかなと。実際の放送を観ているシーンで、それが日本でいうところを“テラスハウス”的なものであることがやっとわかった(テラスハウスとやらは観たことないからよくわからんけど)。
オーディションの様子を説明していたルチャーノは、自分の生い立ちをすっかり語ってやった…的なことを言っていたが、いやいやいや、若者の男女が出る番組で、妻帯者で子持ちのおっさんが出る番組じゃないじゃん。おもしろい人だとかそんな次元じゃないじゃない。なんで出られると思ったのか…。いや、本人だけじゃなく、町の人たちもさ。

こういう、端々の演出に全然“リアリティ”がないという皮肉さよ。

番組スタッフが調査に来てるんじゃないか?と思い始めるのは理解できるのだが、ホームレスを調査員だと思い込み、さらに仕事を辞めたり、家財を投げ打って自分を良い人だと思わせようと必死になったりと、そこまでくるとすっかり狂人。主人公の目つきも明らかにイっちゃってる感じに。次第に夢と現実との区別がつかなくなった“ドン・キホーテ”の奇行は、止まらない。
まあ、その狂気を描くのが本作の狙いだから、

さて、なんで彼はそこまで“思い込む”ことができたのか。そうやって現実から目を背けたくなるような、バックボーンがあったのか? それは、もしかすると、オーディションで語ったという彼の過去に秘密があるのかもしれない。でも、それは劇中で語られることはない。みなまで語られないばかりか、匂わせてもくれないので、タダの狂人と、それに苦労する周囲の物語で終わってしまっているのが残念。
“風変わりな作品”であることは認めるが、カンヌがなにをもってこれが審査員特別グランプリに値すると考えたのか不可解。また、主演のアニエッロ・アレーナが元マフィアだったとか、そういう“場外のものめずらしさ”に注目したのかも(もう、カンヌのそういう目線はうんざりだよね)。

やっぱり、どうしても『キング・オブ・コメディ』と比較してしまうね。そして、数段落ちるという事実。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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