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image2183.png公開年:1991年
公開国:日本
時 間:107分
監 督:竹中直人
出 演:竹中直人、風吹ジュン、三東康太郎、山口美也子、マルセ太郎、神戸浩、神代辰巳、いとうせいこう、大杉漣、草薙幸二郎、須賀不二男、久我美子、野村昭子、船場牡丹、原田芳雄、三浦友和 他
受 賞:【1991年/第48回ヴェネチア国際映画祭】国際批評家連盟賞(竹中直人)
【1991年/第34回ブルーリボン賞】主演男優賞(竹中直人)、助演女優賞(風吹ジュン)


それなりの売れっ子マンガ家だった助川助三は、マンガへの情熱を失ってしまい、数々の商売の手を出しては失敗を繰り返していた。家計は、妻モモコがチラシ配りで得る収入だけで支えられていた。助三は、元手のかからない石が売れたらなんと素晴らしいことだろうと、ふと思い立ち、石屋を開業することに。もちろん街中に開店する資金などあるはずもなく、川原に自作の小屋を建てて商売を始める。来年小学校に上がる一人息子の三助を連れ、朝から夕方まで店に座り続けるものの、一つたりとも石が売れることはなかった。ある日、石の愛好家の専門誌を読んだ助川は、オークションで石が高額で売買されていることを知り、オークションを主催している石山という男の家を訪れる。石についての講釈を聞き、売れる石を出品するためには、上流まで石を探さねばいけないと考えた助三は、家族を伴い遠く山梨まで採石に出かけるのだったが…というストーリー。

つげ義春のマンガは、ねじ式をぱらりと読んだ程度でほぼ読んだことがない。よって、本作が原作の雰囲気をよく表しているか否かはよくわからないのだが、世間の評価は高い模様。ロケ地や舞台が、わざとらしくシュールに描かれているということはないのだが、不穏な空気というか微かな違和感というか、そういったものを常に漂わせており、そういう意味では成功しているように思える。

たしかにシュールな空気は漂っているのだが、本作の主人公はシュールというよりも、単に楽して儲けたい人に見える。タイトルの“無能”とは何なのか。その漫画の才能を捨ててしまったら無能になった?
かつて、マンガを描くことはたのしいことだった。つまり、マンガで稼げていたことは彼にとって“楽に稼げていた成功体験”なわけだ。商業的な仕事はしたくないっていうのは単なるいい訳で、マンガを描くことが、今の彼にって“楽”じゃなくなってしまっただけのハナシ。彼は苦労しないで儲けることに快感を覚えるようになってしまった。その成功体験が忘れられずに、とにかく楽に稼げる商売を探しまくる。だけど、楽に稼ぎたいので、商売を軌道に乗せるために頭を使ったりはしない。すべて、他人から聞いた儲け話みたいなのに乗っかるだけ。
普通は、貧しさの苦痛と、こつこつ働くことを天秤にかけて後者になるのだが、楽して儲けられないくらいなら、極貧でもかまわないというスタンスが、普通の感覚じゃない。
でも、実世界でも、程度の違いはあるが、こういう人がは案外いるので、それほど浮世離れしているとも思えないところがミソ。

競りで、妻ががんばっちゃうのは、一つのおもしろエピソードを見るべきなのか、もっと深い、男女の根源的な関係を示唆しているのはよくわからん。正直、家族3人が手を繋いで歩いてくシーンも、餓鬼・畜生が無表情で地獄への道へ進んでいるようにみえて、デカダン臭満載で心苦しく感じてしまった。

いきなり初監督映画が、ヴェネチアで賞を取ってしまった竹中直人。その後も数年おきに、『119』(1994)、『東京日和』(1997)、『連弾』(2001)、『サヨナラ COLOR』(2004)、『山形スクリーム』(2009)と、コンスタンに監督はやっている。俳優の仕事の多忙さを考えるとスゴイってのもあるが、さほど商業的に成功しているとも思えないのに、映画を作らせてくれる信頼を得ているというほうがスゴい。

娯楽作品ではないけれど、他の作品とは一線を画すという意味では、際立った作品かも。

エンドロールを見て友情出演のオンパレードなことに気付いたが、観ている最中はあまり気にならなかったというか気付かなかったというか…。どこにつげ義春出てた?

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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