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公開年:1978年
公開国:日本
時 間:140分
監 督:市川崑
出 演:石坂浩二、中井貴恵、高峰三枝子、司葉子、岸恵子、仲代達矢、萩尾みどり、沖雅也、加藤武、大滝秀治、神山繁、小林昭二、伴淳三郎、三木のり平、草笛光子、坂口良子、白石加代子、石田信之、中島久之、佐々木剛、佐々木勝彦、冷泉公裕、高野浩幸、常田富士男 他
昭和27年。伊豆山中の月琴の里で育てられた大道寺智子は19歳になり、かねてからの約束どおり、父・大道寺欣造の住む京都で暮らすこととなった。そんなある日、大道寺家の弁護士のところに、新聞の文字を切り貼りした「智子を呼び寄せてはいけない」という手紙が届いた。手紙には月琴の里で19年前におこった事件にも触れており、弁護士は私立探偵の金田一耕助に調査を依頼した。金田一が到着した日、大道寺家では、智子に求婚していた男の一人・遊佐三郎が何者かに惨殺される事件が発生。金田一は、智子の出生の秘密に事件の真相があると調査し始めるのだが…というストーリー…。
先日、『おとうと』を観たことで、私の中で“市川崑”祭りが開催されてしまった模様。
本作は、『犬神家の一族』から始まる市川崑による金田一耕助シリーズの4作目である。東宝作品としては全部で5作あるのだが、5作目の『病院坂の首縊りの家』はいささか毛色が異なるので、実質、市川崑独特の様式美が全開となっている横溝正史作品は、本作がラストといってよい。
『犬神家の一族(1976年)』『悪魔の手毬唄(1977年)』『獄門島(1977年)』『女王蜂(1978年)』『病院坂の首縊りの家(1979年)』と短期間に立て続けに作られており、さらに野村芳太郎監督による『八つ墓村』が1977年に作られていることからも、1970年代後半に横溝正史フィーバーがあったことが覗える。
独特の様式美は後の作品に様々な影響を与えているわけだが、それ以上に観客の目を飽きさせない術がものすごい。原作を読んだことがある人ならお判りだと思うが、実のところ横溝正史の原作は非常に単純。それほど推理モノとしては優れているわけではないので、諸々の伏線のフラグを読み取って熟考すれば、簡単に犯人は判明してしまう。観終わってから、なんでこんな単純な話で楽しめたのか疑問に思えるほどなのだが、それは、観客に考えさせる暇を与えないからだ。
編集ひとつ取っても、ありがちな編集点をはずして緊迫感を演出したり、ベテラン俳優に奇異で味わい深い演技をさせ、その話に聞き入らせる。何としても、観客に2手先を読ませないようにあらゆる手を尽くす。そして、その技術の手練れ具合といえば、単なる映画の演出を超えて、ポップアートか現代美術かっていうレベルである。
古谷一行版も観たことがあるが、同じ話なのに、こうも味が違うものかと。この比較をしただけでも、市川崑のキレっぷりは天才の領域であることを否定できまい。
しかし、作を重ねるごとに、インパクトの強いアイコンは失われていき、同じようなギミックが重なっていることから、急速にマンネリ化が進んだことが覗える。たとえば、また演劇関係の一座に関係したなりすましとかね(もちろん市川崑のせいではなく、横溝正史の問題)。
ちょっと、市川崑もつかれちゃったのかな…と思わせるのは、中井貴恵の扱い。タイトルの“女王蜂”っぷりを表現するのはマスト条件だと思うのだが、とにかく見た目も演技も野暮ったくて、黙っていても男を惹きつける魅力にはほど遠く、とても納得できるものではない。市川崑をしてもどうしようもなかったのか、どうでもよくなっちゃったのか…。
とは言うものの、大滝秀治や草笛光子、加藤武、岸恵子のレギュラーとも言える面々の演技は平常運転でキレキレだし、高峰三枝子、司葉子、萩尾みどりとゲスト陣の圧巻の演技がマンネリを補って余りある。スケキヨとか釣鐘首チョンパとかある意味キャッチーなギミックが無い分、ブーム当時はインパクトが弱いと思われたかも知れないが、エグい男女間のエピソードも少なく、個人的には地に足が着いた良作だと思う。5作品の中では上位。お薦めしたい。
#等々力警部の「君は間違っちゃいなかった」というのが痺れるよね。
負けるな日本
公開年:2008年
公開国:日本
時 間:96分
監 督:高橋玄
出 演:本郷奏多、高梨臨、松尾敏伸、柳生みゆ、山中聡、鳥肌実、夏生ゆうな、中田圭、二階堂智、奥田恵梨華、長塚圭史 他
コピー:君が死にたくなったときは、きっと僕が殺してあげるよ。
日頃は模範的な高校生でありながら、その内面では猟奇的な犯罪に異常なまでに興味を示している神山樹。クラスメイトの森野夜は、そんな神山の二面性を見抜き近づいていく。周囲との関わりを避けていた森野だったが、神山に共鳴しいていき、次第に心を許すようになる。やがて二人は、巷を騒がせている連続猟奇殺人事件に興味を抱き、赴くままに事件の真相に迫っていく…というストーリー。
箸にも棒にも掛からない、お子様向け作品と片付けるのは簡単なんだけど、二つの大きな問題があるだけで、実は悪くない作品だと思う。ただ、二つの問題があまりに致命的すぎるんじゃないかと。
一つは、原作のノリを、映画制作陣がつかめていないらしい点。大ヒット作品らしいのだが、私は読んでいない(多分、今後も読まないと思うけど)。猟奇的な内容を扱うことなんていまどきめずらしくもなんともないし、高校生男女を軸に繰り広げられようがなんだろうが、大して新規性はない。でもヒットしているいうことは、こういうテーマを無駄な説明もせずにさらっと表現するような、独特のノリがある文調なんだと思う。悪い言い方かもしれないが、原作者の乙一という人は、ハードルを下げるのがうまいんだと思う。変に煽ったり、これからスゴイ話ははじまりますよー的なことを一切せずに、さらっと表現していくので、あまり手のこんだことをしなくても、効果的なんだと思う。若い人たちにとっては、それがリアリティに繋がっているんだろう。
しかし、本作の製作陣は、ヒット作の映画化ということもあって、表現に策を弄しすぎた。それもどちらかといえば小手先と言われても仕方ないくらい技巧に走ったと思う。どれだけさらっと淡々と表現できるかが、本作の勝負ポイントだったと思うのだが、皆さんはどう思われるか。
簡単にいえば、変に雰囲気をつくって身構えさせたためにインパクトが削がれ、観ている人に注視させる余裕を与えてしまうことに繋がり、あら捜しをさせる結果になったと思う。
もう一つの敗因は、本郷奏多という人の演技。はっきりいってしまうと、「自分は世に言う猟奇犯罪者たちと同じ性向をもった他者とは違う特別な人間なんだよぉ~」っと悦に入ってるだけの勘違いボウズにしか見えなかった。私は、最後になったら、知識だけのなりきり厨が本物と出会って、ヘタレっぷりを発揮しておしっこでも漏らしてくれるのかとおもったのだが、そのままのダークなキャラで終わってしまった(おまけに犯人と対峙する役回りまでになってしまった)。力不足という言葉は、ここで使わないでいつ使うんだと思うほどである。本当にこれはイカン(わたしが原作者なら怒るよ)。
このクソみたいな演技のせいで、神山はダークサイドにいっちゃうの?みたいなドキドキが半減どころか激減しちゃって…。
#まあ、この役は荷が重かったというだけで、役者としてすべてを否定するわけじゃないんだけど。
その他にも、神山も森野も指紋をベタベタ残しすぎだとか、もっと説明しないと姉妹が入れ替わったことにリアリティが無さすぎだとか、ビジュアル化する時には色々補完しなくちゃいけないことがわかっていないとか、シンケンピンク高梨臨のかわいさもいまいちピンとこないとか、とほほなポイントは多々あるんだけど。
多分、本作を観るくらいなら原作を読んだほうが楽しめるんだと思う。どうして『ミレニアム』のような作品にならないのか、日本映画というものにがっかりさせられる一本。
#リメイクされても、ハリウッドじゃ仰々しくなって味は出ないだろうな。
公開年:2009年
公開国:日本
時 間:123分
監 督:中村義洋
出 演:竹内結子、阿部寛、堺雅人、羽田美智子、山本太郎、尾美としのり、貫地谷しほり、正名僕蔵、林泰文、中林大樹、並樹史朗、河原さぶ、中村有志、黒瀬真奈美、伊藤正之、山田スミ子、長江英和、岡安泰樹、市野世龍、大塚幸汰、古川りか、朝田帆香、根本美緒、吉井歌奈子、浜近高徳、千葉誠樹、谷藤太、加藤雄二、小林きな子、高嶋政伸、佐野史郎、玉山鉄二、平泉成、野際陽子、國村隼 他
コピー:シロか、クロか。
不定愁訴外来医師・田口は、倫理委員会の委員長に任命されてしまうが、そんな彼女のもとに、“救命救急の速水晃一センター長は医療メーカーと癒着しており、花房看護師長は共犯だ”という告発文書が届く。すると間もなくして、告発された医療メーカーの社員が院内で自殺する事件が発生。田口は、院長から再度、事実を探るよう指示をを受けてしまう。さらに厚生労働省の役人・白鳥が骨折で運び込まれ、彼にも同じ告発文書が届いていたことを知る。こうして2人は再びこの一件を独自に調査することとなるが…というストーリー。
前作『チーム・バチスタの栄光』の続編で、前作は観ている。前作より、サスペンス色は無いけれど、面白さはパワーダウンしていない。なかなか楽しめた。でも、前作を観ていない人は、ノリもキャラも掴めないだろうから、本作をいきなり観るのは厳禁。
疑わしい人をちりばめてキャスティングする手法は、前作と同じなのだが、貫地谷しほりの扱いはちょっとぞんざいすぎるかな(笑)。ネタバレだが、犯人のキャラが前作と同じタイプなのが気になるところだが、まあ、あまり犯人が誰かは、本作のおもしろさと関係ないから、まあ、いいだろう。
ちょっとストーリーとは無関係なことに気がいってしまったのだが、本作は、興行的に成功したのだろうか。おもしろいに違いはないのだが、劇場で観たいような質の作品ではないと思う。かといってTVスペシャルでは興醒めだと思うし、微妙なラインの作品だ。私は、これは、ペイパービューが適していると思う。ただ、よくあるお金を払うとスクランブルが解除されるタイプではなくって、インターネット配信タイプ(最近、DMMとかでCMしているやつね)。軽い気持ちで、好きな時間で見たい。
こういう、小屋にかけるよりも配信したほうが、見て貰えるタイプの映画もあると思うのだ。本作の場合、劇場公開は10日くらいの限定にして、その後の一ヶ月は配信するとかね。そろそろ社会的インフラも整備され、通信料金も固定になっているので、こういうサービスを拡大すべきだろう。そういうカンフル剤になる作品を、業界は仕掛けるべきである。ふつうレンタルしているような作品では、配信ビジネスは拡大しませんよ。
こういう、続編映画を安価でつくってね(そういうコンテンツは、日本の場合、多いでしょ)。
公開年:2008年
公開国:日本
時 間:128分
監 督:西谷弘
出 演:福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、松雪泰子、堤真一、ダンカン、長塚圭史、金澤美穂、益岡徹、林泰文、渡辺いっけい、品川祐、真矢みき、鈴木卓爾、東根作寿英、三浦誠己、海老原敬介、青木一、福井裕子、小松彩夏、リリー・フランキー、八木亜希子、石坂浩二、林剛史、葵、福井博章、高山都、伊藤隆大 他
受 賞:【2008年/第32回日本アカデミー賞】話題賞[作品]
コピー:その謎を、愛そう。
ガリレオが苦悩する、その謎とは?
顔が潰され指紋も消されている男性の死体が発見され、その別れた妻・花岡靖子が容疑者と目されたが、完璧なアリバイがあった。内海と草薙は“ガリレオ”こと湯川学に相談を持ちかける。そこで偶然にも、靖子のアパートの隣に住む冴えない男・石神が、湯川の学生時代の無二の親友だったことが判明し、湯川は石神がこの事件に深く関わっているのではないかと疑念を抱き始めるが…というストーリー。
昨日、TV放映されていたようだが、それを観たわけではなく、ちゃんとDVDで観た。
#やっぱり年末は軽めの作品を選んでしまうなぁ。
私はほとんど、日本のTVドラマを見ない(米ドラマはDVDをレンタルしてみる)。複数の理由があるが、毎週おっかけて観るのが基本的に面倒くさいことと、期待を裏切られることが多いというのが大きいだろう。最近では、『ガリレオ』と『BOSS』だけは見た。後者は、米ドラマの『クリミナル・マインド』と『クローザー』と『CSI』と『BONES』を足して10で割ったような作品で、最後のほうは閉口してしまったけど、『ガリレオ』のほうは最終回のヘンテコな装置のセット以外は、とても楽しめて観れた。
そこまで楽しめたなら、本作だって劇場で観たのか?といわれると、残念ながらそれほどでも。東野圭吾ファンとか柴咲コウファンとかだったら観にいったかもしれないのだが、如何せんどちらでもない。
正直に告白すると、じつはフィギュアの着色をしながら観たので、あまり画面はしっかり観ていない(特に前半は)。ラジオドラマ状態だったが、それでもかなりおもしろかった。それは、スペシャルTVドラマがよいデキだったと同等の評価と思ってもらっていい。残念ながら、TVドラマを観ていなかった人が、いきなり本作を観て、素直に楽しめるかといわれると、おそらくそうはならないだろう。
むりやりまとめれば、TVスペシャルはもちろん、前後編くらいにすればTV版のエピソードとして成立しそうなのだが、おそらく、他のエピソードとはいくらか色が異なるからあえて映画のほうにもっていったということだと思う。まず、内海(柴咲コウの役)は、TVのような丁々発止の掛け合いがなく、狂言廻し的でもなく、ただの一刑事の範囲に留まる。
勧善懲悪的でもないし、物理学のトリックを楽しむわけでもない。湯川は自分のポリシーで突き進むか?といえば、かなり人間臭かったりする。ラストも大団円なわけでもないし、カタルシスがあるわけでもない。
東野作品のことはまったく知らないのだが、もしかして、原作としては始めのほうのキャラが固まっていないあたりのエピソードだったりするのかな?
等々、考えると、単作では微妙な作品といえるだろう。
TVドラマを観た人で、観忘れている人は観て!とは言うけれど、そうではない人は、観なくてよい(ありきたりな批評でスマン)。
公開年:2006年
公開国:日本
時 間:110分
監 督:中村義洋
出 演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、松田龍平、田村圭生、関暁夫、杉山英一郎、東真彌、藤島陸八、岡田将生、眞島秀和、野村恵里、平田薫、寺十吾、恩田括、キムラ緑子、なぎら健壱、猫田直、土井原菜央、中村尚、佐藤楓、松田龍平、大塚寧々 他
コピー:神さま、この話だけは見ないでほしい。
時におかしくて、切ない物語が交差する。
隣人の奇妙な計画に巻き込まれた青年が、やがてその真意を知るまでのストーリー。
前半は、「それには乗っかるのは、ちょっと不自然なんじゃない?」という部分が多くて、どうも入り込めなかった。でも、さぞや、文章で読むと楽しめるのだろうなというのは、ヒシヒシ伝わってくる。原作は読んだことは無いけれど、おそらく、ものすごく独特のイメージを喚起してくれる力と味のある文章なんだと思う。それをビジュアルでズバっと見せられてしまったために、読むときには想像の及ばない部分に、気が行ってしまったことが、イマイチの原因なんだろう。
(ネタバレになるので細かくは言わないけれど、)おそらくこの部分はウソなんだろうな…とか考え始めると、それはそれはうっとしくて、正直、このまま進行したらハズレ作品だなと思っていた(ブータン人を持ってきたところで、読めちゃったんだよね。あそこの国の人たちって、アジアの中でもものすごく似ているから)。
ところがどっこい、後半は堰を切ったように面白くなる。北欧の映画を観たような感じ、そう、『過去のない男』を見たときの感覚を思い出したよ。前半のモヤモヤがもうちょっとスッキリできていたら、間違いなく傑作だった。それでも、良作と傑作の間にいる作品。
まあ、この面白さが監督の力量なのか、原作の面白さなのかは測りかねるところではある(その後も、『ジャージの二人』『チーム・バチスタの栄光』『フィッシュストーリー』と、売れた原作あり作品が続いているし)。
私ならば、車で突っ込むところなんかは、一瞬ミラーで警察を見てからにするし、なんで日本語が上達したのかの説明は入れるし、最後も、とりあえず救っても死なないで、一回、「あ、死なないんだ…」と思わせておいて、あっ…ってやるんだけれどね。
これだけおもしろければ、何か一つくらい賞にひっかかってもよさそうなもんだけど、ノミネートすらない(ちょっと不自然)。実は原作がもっと面白くて、比べるとかなり劣ってしまったからかもしれないね。
前の日にMWをみたせいで、ハードルが下がっているのかもしれないけれど、かなり楽しめたので、是非(途中でやめないで)観てほしいと思う。観た後に多かれ少なかれ、絶対カタルシスを感じられるハズだ。
#余談だが、関めぐみは飯田圭織と余りにも似すぎている。もうちょっと違いを出すように工夫したほうがよいのではなかろうか。
公開年:2005年
公開国:日本
時 間:123分
監 督:実相寺昭雄
出 演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、宮迫博之、原田知世、田中麗奈、清水美砂、篠原涼子、松尾スズキ、恵俊彰、寺島進、堀部圭亮、三輪ひとみ、原知佐子、荒川良々、京極夏彦、すまけい、いしだあゆみ 他
コピー:女は妊娠20ヶ月。いったい何を身ごもったのか――。
あなたの憑物(つきもの)、落とします。
戦後間もない東京を舞台に、“憑物落とし”の顔を持つ博覧強記の古書店主・京極堂とその仲間たちが、久遠寺医院にまつわる奇々怪々な事件に挑むというストーリー。
『魍魎の匣』を観始めたら、前作を観ていないことに気付き、レンタル。
たかだか5年ほど前の作品なのだが、10年以上前の作品に感じるのは、画質の問題か実相寺監督の演出のせいか。『帝都物語』から変わりないなぁ(いい意味でも悪い意味でも)。
双子、多重人格、心理学、人の記憶が見える男、屍蝋、巫女の家系、いろいろ都合のいい要素ばかりで、なんだかなぁ…と思わざるを得ない。原作は読んでいないのでわからないが、元もこんな感じなのだろうか。さすがに阿部寛のキャラクターの能力は、小説でいくら魅力的であったとしても、たかだか2時間の映画に出してしまうと、その能力があれば、ほぼ、なんでも解決できてしまうように思えて、興醒めしてしまう。あえてはずしてもよかったかもしれない。
ただ、こういう要素の詰め込みだから、即、悪いという気はない。よく漫画と小説の比較で、漫画はビジュアルイメージが押し付けられるが、小説ではそれを脳内で構築するので、脳に良い。漫画ばかり読まずに小説を読むべきという意見がある。おそらく本作は、その典型で、小説を読んで沸いたイメージがとても魅力的な作品なのだろう。横溝正史の作品だって、おなじように都合のいい設定ばかりだが面白いのがいい例だ。
でも、横溝正史原作の映画はなかなか面白いのに、なんで本作はピンとこないのか。
致命的なのは、謎解きの説明がちょこちょこわかりにくいところ。もうちょっとゆっくりと効果的にわかりやすビジュアルで説明すればよいのだが、へんな効果ばかり優先で説明は二の次だから(というか実相寺監督テイストなのだが)、どうしても迷子になってしまう。そのプアなビジュアルをセリフでカバーするものだから、ますますわからない。晩年の横山光輝の歴史漫画みたいで、ストーリーの説明がほぼセリフで、漫画のくせに絵が挿絵状態…みたいな状態に近い。
ただ、実相寺監督に意見を言いえる人もいなかったことだろうし、どうにもならなかっただろう。
変な話だが、本作を救ったのは、いしだあゆみの怪演(というか、叫び声)だろう。CMにも使われたからご存知だろうが、あれがすべてかも。
ちょっとかわった雰囲気の作品であるのは事実なので、何も観るものがなければどうぞ、、という感じだが、無理して観る必要はなし。
『魍魎の匣』についてはいつか別途レビュするが、先走って言ってしまうと、まだ本作のほうがマシ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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