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image0598.png公開年:1978年
公開国:日本
時 間:140分
監 督:市川崑
出 演:石坂浩二、中井貴恵、高峰三枝子、司葉子、岸恵子、仲代達矢、萩尾みどり、沖雅也、加藤武、大滝秀治、神山繁、小林昭二、伴淳三郎、三木のり平、草笛光子、坂口良子、白石加代子、石田信之、中島久之、佐々木剛、佐々木勝彦、冷泉公裕、高野浩幸、常田富士男 他




昭和27年。伊豆山中の月琴の里で育てられた大道寺智子は19歳になり、かねてからの約束どおり、父・大道寺欣造の住む京都で暮らすこととなった。そんなある日、大道寺家の弁護士のところに、新聞の文字を切り貼りした「智子を呼び寄せてはいけない」という手紙が届いた。手紙には月琴の里で19年前におこった事件にも触れており、弁護士は私立探偵の金田一耕助に調査を依頼した。金田一が到着した日、大道寺家では、智子に求婚していた男の一人・遊佐三郎が何者かに惨殺される事件が発生。金田一は、智子の出生の秘密に事件の真相があると調査し始めるのだが…というストーリー…。

先日、『おとうと』を観たことで、私の中で“市川崑”祭りが開催されてしまった模様。
本作は、『犬神家の一族』から始まる市川崑による金田一耕助シリーズの4作目である。東宝作品としては全部で5作あるのだが、5作目の『病院坂の首縊りの家』はいささか毛色が異なるので、実質、市川崑独特の様式美が全開となっている横溝正史作品は、本作がラストといってよい。

『犬神家の一族(1976年)』『悪魔の手毬唄(1977年)』『獄門島(1977年)』『女王蜂(1978年)』『病院坂の首縊りの家(1979年)』と短期間に立て続けに作られており、さらに野村芳太郎監督による『八つ墓村』が1977年に作られていることからも、1970年代後半に横溝正史フィーバーがあったことが覗える。

独特の様式美は後の作品に様々な影響を与えているわけだが、それ以上に観客の目を飽きさせない術がものすごい。原作を読んだことがある人ならお判りだと思うが、実のところ横溝正史の原作は非常に単純。それほど推理モノとしては優れているわけではないので、諸々の伏線のフラグを読み取って熟考すれば、簡単に犯人は判明してしまう。観終わってから、なんでこんな単純な話で楽しめたのか疑問に思えるほどなのだが、それは、観客に考えさせる暇を与えないからだ。
編集ひとつ取っても、ありがちな編集点をはずして緊迫感を演出したり、ベテラン俳優に奇異で味わい深い演技をさせ、その話に聞き入らせる。何としても、観客に2手先を読ませないようにあらゆる手を尽くす。そして、その技術の手練れ具合といえば、単なる映画の演出を超えて、ポップアートか現代美術かっていうレベルである。
古谷一行版も観たことがあるが、同じ話なのに、こうも味が違うものかと。この比較をしただけでも、市川崑のキレっぷりは天才の領域であることを否定できまい。

しかし、作を重ねるごとに、インパクトの強いアイコンは失われていき、同じようなギミックが重なっていることから、急速にマンネリ化が進んだことが覗える。たとえば、また演劇関係の一座に関係したなりすましとかね(もちろん市川崑のせいではなく、横溝正史の問題)。
ちょっと、市川崑もつかれちゃったのかな…と思わせるのは、中井貴恵の扱い。タイトルの“女王蜂”っぷりを表現するのはマスト条件だと思うのだが、とにかく見た目も演技も野暮ったくて、黙っていても男を惹きつける魅力にはほど遠く、とても納得できるものではない。市川崑をしてもどうしようもなかったのか、どうでもよくなっちゃったのか…。

とは言うものの、大滝秀治や草笛光子、加藤武、岸恵子のレギュラーとも言える面々の演技は平常運転でキレキレだし、高峰三枝子、司葉子、萩尾みどりとゲスト陣の圧巻の演技がマンネリを補って余りある。スケキヨとか釣鐘首チョンパとかある意味キャッチーなギミックが無い分、ブーム当時はインパクトが弱いと思われたかも知れないが、エグい男女間のエピソードも少なく、個人的には地に足が着いた良作だと思う。5作品の中では上位。お薦めしたい。

#等々力警部の「君は間違っちゃいなかった」というのが痺れるよね。



負けるな日本

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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