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image0636.png公開年:2002年 
公開国:アメリカ
時 間:143分  
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、イアン・マクディアミッド、ペルニラ・アウグスト、アンソニー・ダニエルズ、サミュエル・L・ジャクソン、クリストファー・リー、ジミー・スミッツ、ケニー・ベイカー、テムエラ・モリソン、ダニエル・ローガン、ジャック・トンプソン、オリヴァー・フォード・デイヴィス、ローズ・バーン、アーメッド・ベスト、フランク・オズ 他
受 賞: 【2003年/第12回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ヨーダ対クリストファー・リー)
【2002年/第23回ラジー賞】ワースト助演男優賞(ヘイデン・クリステンセン)、ワースト脚本賞(ジョージ・ルーカス、ジョナサン・ヘイルズ)
コピー:ジェダイは怒ってはならない。憎むことも。愛さえも。

Ⅰの10年後。青年へと成長したアナキンはオビ=ワン指導の下、ジェダイの修行に励む。その頃、元老院ではドゥークー伯爵の画策により、数百もの惑星が一斉に共和国から離脱。その中で、アミダラ元老院議員の暗殺未遂事件が発生したため、オビ=ワンとアナキンがボディーガードにあたり、彼女を狙った人物を捕らえ口を割らせようとするも殺害されてしまう。オビ=ワンはザムを殺した凶器から手掛かりを得て、惑星カミーノへ向かう。一方、アナキンはパドメの護衛としてナブーへ同行するも、二人は愛し合うようになり・・というストーリー。

前作の“Japan”“Japan”している部分はなりを潜め、シリーズの整合性のための謎解き的エピソードに溢れる。それがストーリー展開の流れの悪さに繋がってはいるが、まあ、やむを得まい。
たった3年後にも関わらず、CG技術が益々向上しているのがよくわかる。解りやすいいい例が、ヨーダの顔。1ではちょっと気持ちの悪いクリーチャーだったが、CGオンリーに変更され、いくらか柔らかく、逆に表情は豊かになっている。

改めてみると、一見お気楽なSF物に見えて、民主主義教育の副読書みたいな内容だ。ダース・シディアスの狙いは、カウンターバランスにて均衡している分立した権力を巧みに簒奪することで、民衆はもとより知恵物であるジェダイたちも騙されるわけである。そして、パルパティーンは緊急時であるとして、その善良な仮面の下で、大権を委任されるが、これはまさにヒトラーが全権委任法によって国家権力を掌握し、比較的民主的な憲法であったワイマール憲法の命のともし火を消し去った様子に酷似している。それをおこなうためのツールとして、愚かなドイツ国民に比されるのが、Ⅰにて狂言回しとして非常に評判の悪かったジャー・ジャー・ビンクスなのだが、“馬鹿は罪である”ということを痛烈に表現しているというわけである。

アナキンは端々のセリフで、政治家の無能ぶりを批判しつつ、全能なる権力者の出現こそがその解決策であることを主張しはじめるが、これも民主主義精神(というか成立のプロセス)の逆というか、民主主義が崩壊する思想そのもの。そしてそのとおり宇宙は皇帝に支配されるプロセスを辿るのだから、本当にスター・ウォーズは民主主義の初等教科書として最適。まさに民主主義言論の絵本だ。ルーカスの民主主義ラブと深い見識が見事に昇華している。
何度も観た人も多いだろうが、そういう目線でもう一度見直してはいかがだろう。感心すると思う。

#それにしても、前作でもそうだが、ラジー賞の的外れぶりには失笑を抑えられない。いい加減、使命は終わりましたと閉じてしまえばいいのに。センスのわるい批判ほど聞いていてイヤになるものはないな。

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image0635.png公開年:1999年 
公開国:アメリカ
時 間:137分  
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド、イアン・マクディアミッド、ペルニラ・アウグスト、ヒュー・クァーシー、アーメッド・ベスト、アンソニー・ダニエルズ、ケニー・ベイカー、テレンス・スタンプ、レイ・パーク、サミュエル・L・ジャクソン、オリヴァー・フォード・デイヴィス、ワーウィック・デイヴィス、フランク・オズ、ソフィア・コッポラ、キーラ・ナイトレイ 他
受 賞:【2000年/第9回MTVムービー・アワード】アクション・シーン賞(ポッド・レース・シーン)
【1999年/第20回ラジー賞】ワースト助演男優賞(ジャー・ジャー・ビンクス/声:アーメド・ベスト、ジェイク・ロイド)
コピー:すべての伝説には、始まりがある

ジェダイマスターのクワイ=ガン・ジンとその弟子オビ=ワン・ケノービは、惑星ナブーと通商連合の紛争仲裁のために惑星ナブーに派遣されるが、その背後に銀河征服を企む暗黒卿の存在に気付く。二人はナブー元首のアミダラ女王を救出し惑星を離脱するも、敵の追撃で船が損傷し、砂漠の惑星タトゥイーンに不時着。そこで、奴隷の少年アナキンと出会う。アナキンに潜在的なフォースの力を感じ取ったクワイ=ガン・ジンは、彼をジェダイ騎士団に入れるため、ポッド・レースの賭けをおこない、それに勝った彼は船のパーツとアナキンの身柄を手に入れる。一行は惑星コルサントへ向かうが、謎の男ダース・モールの襲撃を受け…というストーリー。

いまさらこんなメジャーな作品をレビューしても…というところなのだが、色々理由が…。

実は、『息子の部屋』を観ていたのだが、どうもしてもしっくりこなくて観続けることができず、3度中断したところで一旦諦めることに(もう一回チャレンジするかどうか…)。そして、代わりに『ワルキューレ』を観始めたのだが、こっちも難あり。まあ、こっちは、なんとか最後まで観るつもりなので、詳しくはそっちのレビューに書くけど…歴史的にヒトラーは暗殺されなかったわけだから失敗するのは明白だし、暗殺を敢行した時間が結構前の方だから、これから逃げ回るんだろうなぁ…って、想像しちゃうと期待値半減でしょ。

んで、もう一つの理由は、アメリカでTV放映された『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』をまとめてレンタルしようと思うんだけど、おさらいとして先に1・2を観ようかなと(2と3の間の話だからね)。

劇場公開でも観たし、レンタルもしたし、TV放映も観たし、もう5回以上観てるけど、今回はちょっと違った視点で。改めて見ると、“JAPAN”な要素が目についてしょうがない。“ジェダイ”は“時代”劇のもじりだし、ヨーダのモデルは実在の日本人だっていうし、C-3POとR2-D2は『隠し砦の三悪人』の太平と又七がモデルだし、アミダラの衣装やメイクは日本のお姫様だし、影武者だし、ジェダイの服装も和服テイストだし殺陣も侍だし、ダース・モールのメイクも歌舞伎の隈取で忍者だし…。
ルーカスがダース・ベイダー役として三船敏郎にオファーしたのは有名。もし受けてたら、アナキンも日本人の子供だったかもしれないし、ヘイデン・クリステンセンじゃなく日本人が演じてたのかもね。
こうやって、あまりに一つの国の文化要素を投影しすぎているから、グンガンのモデルはプエルトリコで揶揄してるだろうなんて見られ方をしちゃったんだろうな。

ポッド・レースシーンのモチーフがモロ『ベン・ハー』だけど、もう10年以上前の作品なのにCG技術や音響技術は現在と遜色なくて、楽しめた。私は照明技術に注目。アメリカの家族写真みたいな独特の風合いのライティングってるじゃない(わかるかな)。本作は全編がそんな雰囲気。これってどういうふうにするとこうなるのか、非常に興味がある。

正直、いまさらながらここまで楽しめるとは思えなかった。とりあえず2も観て、気持ちを盛り上げて『クローン・ウォーズ』に突入だ!

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image1448.png公開年:2008年 
公開国:アメリカ、フランス、イギリス
時 間:101分  
監 督:マチュー・カソヴィッツ
出 演:ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ヨー、メラニー・ティエリー、ランベール・ウィルソン、マーク・ストロング、ジェラール・ドパルデュー、シャーロット・ランプリング、ジェロム・レ・バンナ、ジョエル・カービー、ダヴィッド・ベル 他
コピー:人類の運命を握る男 謎の女を連れて、地球を横断する。



近未来。テロリストとして指名手配され潜伏中のトーロップは、武装集団に襲撃され、マフィアのゴルスキーの元へ連れ出される。彼は、オーロラという若い女性を宗教団体ノーライト派の修道院から6日間でアメリカに運んで欲しいと依頼する。トーロップは多額の報酬と入国パスポートに魅力を感じて依頼を受け、オーロラの護衛であるシスター・レベッカとともに旅に出るが、オーロラを巡る争いに巻き込まれていく…というストーリー。

依頼をうけて少女を運ぶストーリは悪くない(『トゥモロー・ワールド』に似てるけど、それは許す)。『トリプルX』のヴィン・ディーゼル主演だからドンパチ盛りだくさんの展開になるのも想定通りで、それも悪くない。

ただ、ちょっと“SF”的要素っていうのを勘違いしちゃってるのかな。処女懐胎とか、胎教によってスパコン並みの頭脳とか、小型ミサイルを跳ね返しちゃうとか、瀕死の淵から改造されてマンガみたいなロボットアームとか。興醒めしちゃうラインを踏んでしまっているね。いんちき宗教団体が、なんか『リベリオン』を思い出しちゃったけど、“ガン=カタ”みたいなグっとくる魅力的な要素は、本作にはなし。

時間が経過するにつれて、アクション要素とSF的要素が、ドレッシングの水と油のように分離していく感じがする(結局どっちの要素も中途半端になるんだよなぁ)。トーロップは、真実がどうであれ、とにかく職人として届けることだけに頑なにこだわると、そういうキャラ設定で縛るべきだったかもか(まあ、それでも『トランス・ポーター』に似ちゃうけどさ)。最後も敵をはっきり倒すわけでもなく、モヤモヤだし。もうすこし、時間をかけて色々練ったほうがよかっただろう。

『クリムゾン・リバー』の監督なので、ある程度の実力はあるはずなんだが、本作を観て、次に監督をやってもらうとオファーするプロデューサーは、今後、なかなかいないと思うよ。とにかく、この監督は脚本にもクレジットされているから、このダメダメの責任は負わざるを得ない。本作は原作があって、映画化されるくらいなのでそこそこの作品のはず。脚本化の段階でダメにしてしまった可能性が高い。脚本力に欠けるんだろうなぁ。

ちょっとお薦めできないかな。一週間100円レンタルで、アリかナシかのギリギリライン。友達から借りてみた場合、まあ、時間の無駄とまでは言わないけど…ってところ。

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image1457.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:126分  
監 督:J・J・エイブラムス
出 演:クリス・パイン、ザカリー・クイント、エリック・バナ、ウィノナ・ライダー、ゾーイ・サルダナ、カール・アーバン、ブルース・グリーンウッド、ジョン・チョー、サイモン・ペッグ、アントン・イェルチン、ベン・クロス、レナード・ニモイ、クリス・ヘムズワース、ジェニファー・モリソン、ジミー・ベネット、ヤコブ・コーガン、ファラン・タヒール、レイチェル・ニコルズ、クリフトン・コリンズ・Jr、グレッグ・エリス、ケルヴィン・ユー、アマンダ・フォアマン 他
ノミネート:【2009年/第82回アカデミー賞】メイクアップ賞(Barney Burman、Mindy Hall、Joel Harlow)、視覚効果賞(ロジャー・ガイエット、Russell Earl、Paul Kavanagh、Burt Dalton)、音響賞[編集](Mark P. Stoeckinger、Alan Rankin)、音響賞[調整](Anna Behlmer、Andy Nelson、Peter J. Devlin)
【2009年/第63回英国アカデミー賞】音響賞、特殊視覚効果賞(ロジャー・ガイエット、Russell Earl、Paul Kavanagh、Burt Dalton)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】アンサンブル演技賞、メイクアップ賞、視覚効果賞、音響賞、アクション映画賞
コピー:「LOST」『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ.J.エイブラムスが、次に何を仕掛けるのか──。

惑星連邦軍戦艦USSケルヴィンは突然の非常事態に見舞われ、キャプテン代理だったカークの父は自らが犠牲となって800人の船員を救った。カークはそのさなか生を受ける。22年後、カークは無軌道な青春時代を送っていたが、父の壮絶な最期を知る新型艦USSエンタープライズの初代キャプテンパイクから“父親を超える男になれ”と言われ、艦隊に志願する。それから3年、成績は優秀ながらもトラブルが絶えず士官になれずにいた。緊急事態が発生し同期隊員が出動していく中でも、謹慎処分を受けていたために待機を命ぜられた。しかし、友人の機転でUSSエンタープライズに潜り込むことに成功。そこには、サブ・リーダーとして搭乗しているバルカン人と地球人の混血・スポックがいたが、論理的な彼と直感で行動する男カークは対立してしまい…というストーリー。

私は根本的に“スター・トレック”というものをまともに見たことがない。夜中に再放送をやっている時に、「ああ、やってるんだぁ」程度。新しいTVシリーズになると、まったくついていける気配すら感じず。ということで、本作もおもしろいと思えるかどうか、甚だ不安だったのだが、“ビギニング”ものっぽかったので、おそらく大丈夫だろうということでレンタルしてみた。

展開にめまぐるしさは感じるものの、付いていけるレベル。知らないことが逆に功を奏しているのか、案外悪くないかも。スター・トレックを知らない人にも楽しんでもらえるように注力したことがよく判る。結論からいうと、青春SF作品として純粋に楽しめたので、そこそこお薦めしたい。観たことが無いからって除外している人には、杞憂だと言いたい。
#逆に、スター・トレックマニア(トレッキーっていうんだっけ?)にとってはどうなのかな?と思わなくはないけど。
所々で色んなキャラが、ドヤ顔っぽい感じでセリフをいっているカットがあるんだけど、おそらくTVシリーズを知っている人ならニヤリとするところなんだろうね。残念ながら、ミスター・スポックとミスター・かトーくらいしかしらないし。

以下、ネタバレ注意。

ビギニングものだと思い込んで観ていたのだが、これってパラレルワールドものだよね?多分、TVシリーズの世界とは違う時間の流れの作品?TVシリーズを知らない人が楽しめるようにしたこととトレードオフで、これまでのシリーズと辻褄が合わない部分が生じて、それについてファンから、ああだこうだと誹りを受けることを回避するためだろうか。とにかくこれは、“正史”じゃないんだろうなぁ。“ビギニング”と正面切って称していない理由は、これなんだね。
まあ、いずれにせよ、これを観たからといって、スター・トレックシリーズに足を踏み入れるか…というと、私はそうはならないかな。逆に、このパラレルワールドの続編が見たい。パラレルワールド・スタートレックのシリーズ化希望。

#ウィノナライダーは久々にみたけど、彼女をスポックの母役にする理由はなかったかな。例の事件が頭をよぎって、ちょっと邪魔くさい。

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image1434.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:115分  
監 督:マックG
出 演:クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ムーン・ブラッドグッド、コモン、ブライス・ダラス・ハワード、ジェーン・アレクサンダー、ジェイダグレイス、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・アイアンサイド、イヴァン・グヴェラ、クリス・ブラウニング、ドリアン・ヌコノ、ベス・ベイリー、ヴィクター・ホー、バスター・リーヴス、ケヴィン・ウィギンズ、グレッグ・セラーノ、ブルース・マッキントッシュ、トレヴァ・エチエンヌ、ディラン・ケニン、マイケル・パパジョン、クリス・アシュワース、テリー・クルーズ、ローランド・キッキンジャー、アンジャル・ニガム 他
コピー:どこで誰が、未来を変えたのか?

人類滅亡を目論む機械軍(スカイネット)が引き起こした核戦争“審判の日”以後の荒廃した世界を舞台に、追いつめられたジョン・コナーら人類抵抗軍の存亡をかけた壮絶な戦いをで描くストーリー。

観始めていきなり、数日前に見た『デッドマン・ウォーキング』の続きかと思った(笑。何の事かは観てくれればわかるでしょう)。
4作目にして、やっと核戦争後の未来を舞台にした話になった。ようするに謎解きの始まりである。正直、これまでの3作の内容はあまり覚えていない。見直すにも手元に無いので、えいやーで4を見てしまったが、充分楽しめた。パート4とはいえ、ある意味ビギニング物だからね。それほど押さえておかないといけないような旧作からの伏線は無かった。だから、前のを見てないからなぁ…という人も、あまり気にせず見てよいと思う。

『ベンジャミン・バトン』の時に、CG技術極まれり…と言ったが、本作も負けず劣らずである。ここまですごくなると、感嘆を超えて素直に勉強したくなる(若ければアメリカにお勉強に行きたいくらいだ)。どこが実写でどこかCGかは、これをセットで作ると費用がものすごいだろうから、おそらくCGだろうな…という具合で判断するくらいだからね。
とはいえ、『チャーリーズ・エンジェル』のマックG監督の演出だから、全部がCGなわけじゃなくって、派手に車をぶっ飛ばすところ等はガンガンやっているようだ。CGと実際の爆破アクションをうまいこと組み合わせられている良例だと思う。
もう、壮大なストーリーの一部だから、世界観さえ壊さなければ後は好きなだけやればいいので、マックGにやらせたのは正解なのだろう。

ただ、もっとホラー映画的にドキっとさせてメリハリをつけられる場面はたくさんあったのだが、全然ドッキリする部分がない(昨日みた『ハリー・ポッター6』のほうがドキっとするシーンがたくさんあった)。これは、編集でうまくタメをつくれていないことと、音楽・効果音がイマイチだからだろう。『ターミネーター2』や『タイタニック』の編集をやった人なんだけど、いまどきのアクションには向いていないのかもしれない。画面の中ではものすごいドンパチが繰り広げられているのに、ただ、するすると平坦にストーリーが流れていったイメージである。

SFアクションとしてはちょっと致命的かもしれない。ちょっと惜しいデキ。
残念ながら、無理してまで観る必要のある作品とは思えない。TVドラマを見て、興味が沸いた人や、ターミネーターの世界観が好きな人は、観れなよいと思う。CGででもいいから、シュワルツェネッガーを引っ張り出さないと、話題になりそうもないという製作側の危機感はよく判る。そんなレベル。

もう一つ残念なのは、魅力的なロボットが出てこないこと。エイリアンは作品を重ねる都度、魅力的なエイリアンのバリエーションが出現したが、本作はいまいち(水中生物のようなロボットなど、もっと興味深くできただろうに)。

#実は、後半、早送りで見てしまった。

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90444cdb.Png公開年:2004年 
公開国:アメリカ、イギリス
時 間:107分  
監 督:ケリー・コンラン
出 演:ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリー、ジョヴァンニ・リビシ デックス、マイケル・ガンボン、バイ・リン、オミッド・ジャリリ、ローレンス・オリヴィエ 他
ノミネート:【2005年/第14回MTVムービー・アワード】キス・シーン賞(グウィネス・パルトロー、ジュード・ロウ)
コピー:1939年、ニューヨーク、巨大ロボット襲撃――。

1939年、世界中を巨大ロボットが襲撃し、科学者が連続失踪する事件も発生。その謎に立ち向かう女性新聞記者と天才パイロットのストーリー…。

観るの2度目。決しておもしろかったから、もう一度観ようと思ったわけではない。前回は、うつらうつらと半分寝ながらだったを思い出したのだ。
で、結果からいうと、半分寝ながら観たはずの記憶以上の内容はなかった(笑)。

本作の特徴は、全体的に霞がかかったような映像。実写にCGをあわせると、CGが浮いてしまう例がたくさんあると思う(邦画には、がっくりと興醒めしてしまうものがたくさんあるね)。それを解消するための手段として、実写部分にも、おなじようなエフェクトをかけたり、あえて同じ質感のセットや小道具や衣装にしてしまう、、という方法がある。『スピード・レーサー』なんかは成功したいい例だと思う。車やサーキットの部分は完全にアニメーション(ピクサー映画やシュレックレベル)。世界観を統一した…と、いいように言えばそうだが、実際のところ、そうしないと興醒めしてしまうのだ。

『300』なんかは、この手法で原作の雰囲気をうまく表現しているし、紀里谷和明監督作品なんかは、すべての映画がこれ。そういう意味では、映像的にはうまくいってる作品なのだが、なんとも、ストーリーが陳腐極まりない。

一応、以下ネタバレとしておこう。

すでに死んでるなんて、誰でも読める。もうすこし工夫したらいいのに。
カウントダウンがはじまったどさくさに逃げてきた…って、ご都合主義も甚だしい。

ただ、アンジーの編隊と一緒に、海の中を飛行するシーンだが、アミューズメント・パークのアトラクションにしたら、さぞや面白いだろうね。それ以外に観るべき部分はないかな。グウィネス・パルトローも全然魅力的に撮れてないし。ゴジラの新聞記事も、最後のオチの一言もスベってるし。そりゃ、チョイ役のアンジーを前面に出したくもなるわな…。

これをみるくらいなら、『スピード・レーサー』とかを観たほうがいい。

 

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image0209.png公開年:2002年  
公開国:アメリカ
時 間:95分 
監 督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出 演:ジェレミー・ノーザム、ルーシー・リュー、ナイジェル・ベネット、ティモシー・ウェッバー、デビッド・ヒューレット、アン・マリー・シェフラー、マシュー・シャープ、ネルソン・タインズ  他
コピー:「CUBE」の異常天才ヴィンチェンゾ・ナタリ監督が仕掛ける5700秒の記憶の迷宮
今度の迷宮(キューブ)は記憶の中

結婚にも仕事にも行き詰まった平凡な会社員モーガンはついに会社を辞め、刺激を求めて産業スパイとなる。任務を成功させるごとに自信を付けていったが、同時に、激しい頭痛と奇妙なフラッシュバックに見舞われるようになった。そんな時、謎めいた女性リタが現われ、モーガンに驚くべき事実を伝えるのだったが…というストーリー。

記憶にあるシーンが、『カンパニー・マン』だったか『バリスティック』だったか思い出せなかったので、とりあえず『カンパニー・マン』を観てみた。ようするにルーシー・リューつながりで記憶が混同しちゃったわけだ。
記憶にあったシーンというのは、へんな施設が土の中から出てくるシーン。結果から言うと、『カンパニー・マン』のシーンだった。

『ファイト・クラブ』が好きな私は、本作もなかなか好きな部類の1本だ。まあ、本作も、21世紀入りたてくらいに横行した、「自分はだれ?系」とか、「実は犯人は自分系」のうちの一本ではあるのだが、なかなか特異な仕掛けがあってよいと思う。ストーリーが好きというよりも、ノリが好きといったほうが正確かもしれない。

でも、褒められるのも8割くらいまでだ。結果からいうと残りの2割で、ぎりぎりA級の範疇に留まれたかもしれないところを、ごろごろと滑落してB級になってしまった、残念な作品である(同監督の『CUBE』くらいになれたかもしれないのに)。ダメになった理由は、結構明白。オチがピンとこないからだ。
まず、主人公の正体が、伝説のスパイとも言ってたり、ハイレベルな技術者とも取れたり(なにやらデジコープに技術を売ったといっているので)、人物像がよくわからない。
最後のオチで、実はリタに関する情報を消去することが目的だった…となっていたが、彼女がなんで狙われたのか、経緯はわからず仕舞い。主人公の正体すらもぼんやりしているくらいだから、リタが狙われるような立場の人間なのかどうかも当然ぼんやり。だから、そこまでしてもやらないといけない理由が腑に落ちず、ひっくるめて映画全体も腑に落ちなくなってしまういう、負の連鎖。
そのあたりをきっちり説明せずに、「愛ゆえに」みたいな空気でごまかそうとして、ごまかしきれなかった、はずかしいラストともいえる。

もうひとつ難点がある。あとで調べたら、設定は近未来らしいのだが、私はまったくそれに気付かず、ずっと現代の設定だと思っていた。だって、明確に近未来を感じさせるツールは出てこないから。最後に出てくる施設は、「CUBE」の監督っぽさを感じさせてくれるけど、現代SFだっていわれればそれで通用するレベルだし。設定の練りが甘かったということだろう。

まあ、ジャンルとして好きだからかもしれないが、私的には及第点といってよいかも(崖落ちしてるといってるクセにね)。軽いSFチックな作品が観てみたくなった人には、お薦めする。

#余談だが、本作もなかなかいい邦題をつけている。CYPHERよりは日本人にはしっくりくる。

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image1285.png公開年:1959年  
公開国:アメリカ
時 間:78分  
監 督:エドワード・デイヴィス・ウッド・ジュニ
出 演:グレゴリー・ウォルコット、トム・キーン、デューク・ムーア、モナ・マッキノン、ダドリー・マンラヴ、ジョアンナ・リー、トー・ジョンソン、ライル・タルボット、ベラ・ルゴシ、ヴァンパイラ、クリスウェル、ジョン・ブリッケンリッジ、トム・メイソン、トム・ニー他




続いて、『プラン9・フロム・アウタースペース』。
地球各地で目撃される空飛ぶ円盤。宇宙の支配者の命令で人類に戦争をやめるよう忠告しに地球を訪れた宇宙人たちは、彼らの存在すら認めない米国政府の態度に、ついに“第9計画”をもって応じるが…というストーリー。

『エド・ウッド』では、この映画のスポンサーになってもらうために、キャスト全員をバプテスト教会に帰依させているシーンがある(実話のようだ)。宗派変え程度は、アメリカ人にとって抵抗が無いものなのか、とんでもないことなのだが映画への情熱がそうさせたのかは、よくわからない。
で、内容だが、これは確かにヒドい。“史上最低の映画監督”の称号は、この映画をつくった彼に与えられたものということらしいのだが、頷ける。本作は、あまりのつまらなさのために劇場公開されず、TV局にフィルムを安く買い叩かれ、その後、深夜にヘビーローテされたそうだ。そのため、公開されなかったにもかかわらず、逆にアメリカ人の記憶に焼きつく結果となったらしい。

ヒドい点を挙げればキリがないのだが…
・ルゴシのシーンは、同じフィルムの使いまわし(ルゴシが死去してしまったため)。本当に同じカットが何回も出てくる。代役のシーンはバックショットか顔隠し。
・セットが学芸会レベル(学習机・カーテン・板・ダンボール、、、)。
・夜なんだか昼なんだか、わからない(数秒のなかで黒い空と白い空のカットが混在する)。
・科学知識皆無(水素爆弾は気体を破壊した爆弾????)。
・なんで宇宙人の存在を知らしめるために、地球人の死体を操作するのか????
・クリズウェルによるプロローグとエピローグは、何を言いたいのか完全に意味不明。

断片的にシーンを撮って、後から辻褄あわせのパッチワークをしたとしか思えない。クラクラくること請け合いで、悪夢の中に突き落とされた気分だ。僕はどうしても最後まで一発で見続けることができずに、4回ほど寝て(気絶して)しまった。深夜放送を見たアメリカ人も、さぞよく眠れたことだろう。続いて『グレンとグレンダ』をレンタルする計画もあったのだが、とても耐えられそうもなく断念した。

物事を完璧にこなさないといけないような強迫観念に追われている人が見ると、“適当でいいんだ、、”と気楽なれる映画かもしれない(この映画のレベルは、“適”しても“当”たっていないのだが…)。

#ちなみに、芸人のなだぎ武や浅越ゴエが所属する「ザ・プラン9」の由来はこの映画タイトルらしい。

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image1284.png公開年:1955年  
公開国:アメリカ
時 間:69分  
監 督:エドワード・デイヴィス・ウッド・ジュニ
出 演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン、ロレッタ・キング、トニー・マッコイ、ハーヴェイ・B・ダン、G・ベックワー、ポール・マルコ他





田舎町の沼で謎の失踪事件が続発。クレイグ警部補が捜査に乗り出そうとしたところ、そこへ新聞記者をしている婚約者ジャネットが現れる。ネタをつかんだ彼女は沼のほとりの屋敷が怪しいとにらみ、調査をはじめるがほどなく何者かに捕らわれてしまい…というストーリー。

『エド・ウッド』のレビュにて、散々エド・ウッドを持ち上げたものの、『エド・ウッド』で描写されている彼の行動は、やっぱりトホホなのだ。「一体、どんだけヒドいんだ???」とますます興味が増幅し、その後、ウッド作品『怪物の花嫁』『プラン9・フロム・アウタースペース』の2作をレンタルし、鑑賞した。

まず、『怪物の花嫁』。
『エド・ウッド』によれば、薬物中毒のルゴシの扱いに苦慮したり、出資者として期待したロレッタ・キングに役を与えたが実は無一文だったり(恋人フラーの役を譲ったのに)、今度は精肉屋を騙して出資させることに成功するも、精肉屋の素人息子を主役にするハメになったり、勝手に映画会社の倉庫から巨大ダコのぬいぐるみを拝借したりと、まさにメチャクチャ。ドタバタ喜劇のシナリオか?とあきれてしまうほどだが、すべて実話というから驚きだ。

で、そのハチャメチャな舞台裏の結実が『怪物の花嫁』。内容は、マッド・サイエンティストの暴走話なのだが、まあまあ、正直いってつまらない。
それでもなんとか楽しめたのは、『エド・ウッド』の劇中にて『怪物の花嫁』のシーンを再現しており、それと同じ場面が出てくるとニヤリとできたからに他ならない(ティム、やるなぁ!という意味で)。それが無ければ、最後まで見られなかったかもしれない。タイトルも、はじめは“核の花嫁”だったらしいが変更され、ストーリーとは無関係になっているし(別に“怪物の花嫁”になる人がいるわけではない)。本編は68分だが、2時間くらいに感じてしまった。

残念だが、皆さんの人生の時間を無駄にしないためにも、『怪物の花嫁』は見ないことをお勧めする(ツッコミながら楽める映画ですらない)。どうしても見るのであれば、『エド・ウッド』と1セットで見ると、いくらか楽しめるだろう。

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image1370.png公開年:2008年  
公開国:アメリカ 
時 間:104分  
監 督:スコット・デリクソン
出 演:キアヌ・リーヴス、ジェニファー・コネリー、ジェイデン・スミス、キャシー・ベイツ、ジョン・ハム、ジョン・クリーズ、カイル・チャンドラー、ロバート・ネッパー、ジェームズ・ホン、ジョン・ロスマン 他
ノミネート:【2008年/第29回ラジー賞】ワースト前編・リメイク・スピンオフ・続編賞
コピー:人類が滅亡すれば、地球は生き残れる。


image1288.png公開年:1952年  
公開国:アメリカ 
時 間:93分  
監 督:ロバート・ワイズ
出 演:マイケル・レニー、パトリシア・ニール、ヒュー・マーロウ、サム・ジャッフェ、ビリー・グレイ、フランシス・ベイヴィア、ロック・マーティン他





ある日、謎の巨大物体が地球に飛来し、アメリカ政府が厳戒態勢を敷く中、宇宙からの使者がクラトゥが降り立つ。あらゆる分野の専門家を集めた対策チームが組織され、クラトゥに対する尋問が試みられるが…というストーリー。

本作はリメイク作品で、前作とオチが異なるなどと伝えられていたので、律儀にも両方観てみた(邦題は、“が”と“の”が違うが、原題は同じ)。オチの違いは確かにあったが、作品の根本テーマを違えてしまうようなものではない。そこに着目することに、さほど意味は無いので、リメイク版を観て、よほど気に入ったのでもなければ、旧作はあえて観るまでもないと私は思う。
それよりも、この作品の根本テーマは、日本人にはピンとこないのではないだろうか、と思えてしかたが無い。何を言いたいかというと、一神教を信奉する文化下にいないと、ただの宇宙人来訪によるパニックムービーとしか感じないだろう…ということだ。

もう少し説明を加えるならば、こういうこと。大いなる父・万能な神の存在を根本とする宗教があり、多くの人がそれを信じて社会を形成している。時が経って、都市化が進み、科学技術が向上し、無神論者が増え、アノミー状態になりかけた社会がそこにある。この由々しき状態を打破するためには、人間はどうすればいいのだろう…という不安が存在するということだ。
説明するまでもないが、日本人は一神教民族ではないので、「父なる神の喪失」的な不安はピンとこないだろう。日本でも、UFOが飛んできてすごいテクノロジーを見せてくれれば、こんなことをしている場合じゃないと開眼して、世界中が団結して戦争が無くなるんじゃないか、なんてことを言う人はいるけれども、そのレベルの感覚とは違うのだと思う(私も日本人なので“思う”としかいえないのだが)。

アメリカ人は、今でも多くの人が進化論を受け入れない(聖書の記述と異なるから)。“本気”で信じない。だから教科書にも載せない。偉大なる万能の父の喪失(と、それに抗うこと)は、社会として大きな現実問題だろう。そういう社会で作られた映画だということを前提に観なくてはいけない。よって、欧米の人は、心根の深いところで、引っかかるものを感じながら、この映画を観ているのかもしれないということだ。

そんな、重大なテーマだというなら、他にも同様のテーマの映画があるのでは?と思いたくなるだろうが、そのとおり。びっくりするほど同じテーマの作品が、次の年に公開されている。一見関係なさそうだが、それは『ウォッチメン』だ(奇しくも本作の後に観たので、すぐにレビュする)。もう、このテーマは、普遍的であるといってよいのだろう。

ちなみに、新作の方の宇宙人は、現世で善行を積もうが悪人だろうが、“神”側の都合で(問答無用で平等に)消滅させているところから、プロテスタント(というかWASP)の“神”像が強く反映されていると私には思える。旧作のほうは、お行儀よくしていれば攻撃しないよという条件提示があるが、新作では、あくまで、宇宙人が勝手に猶予しようと思っただけである。ユダヤやカトリックの神像とは異なる。

で、結局、本作の評価は?と聞かれるならば、「特に観なくてもよい」というのが、私の答えである。社会学的・比較文化的な観点を加えないと面白く感じられなかったし、血縁のない親子の愛というヒューマニズム的な設定や、自然との対立というエコ的な誘導を加えて、私が考察した宗教的な部分をわざと見えにくくしている作為が感じられ、あまり快くない。純粋なパニックムービーとしてみるならば、決して一流とは言えないので、お勧めはしない。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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