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image0009.png公開年:2005年
公開国:アメリカ
時 間:136分
監 督:マイケル・ベイ
出 演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、ジャイモン・フンスー、スティーブ・ブシェミ、ショーン・ビーン、マイケル・クラーク・ダンカン、イーサン・フィリップス、グレン・モーシャワー、ショウニー・スミス 他
コピー:生きのびろ、地上でもっともピュアな魂。


21世紀前半の近未来。世界は放射能汚染によって済める状態ではなくなったため、完全管理の閉鎖された施設の中でコミュニティを形成し暮らしていた。地球の海上には、汚染されていない緑豊かな“アイランド”があるが、住める人数に制限があり、不定期に行われる抽選会により選ばれた者だけが行くことができ、住人にとってそれが一番の関心事だった。リンカーン・6・エコーは、そこで暮らし始めて3年が経つ。ある日、リンカーンは、換気口から入ってきた一匹の蛾を発見。生物は死滅していると聞かされていた彼は疑念を抱く。職員の目を盗んで施設内を探索するうちに、アイランド行きの抽選に当たった人間が、実は殺されているという事実を知ってしまう。彼は、抽選に当選した女性のジョーダン・2・デルタを引き連れて脱走し、初めて外の世界に踏み込む。だが、施設の管理者であるメリック博士が派遣した追手は、彼らを執拗に追跡する…というストーリー。

ありがちなSFネタだし、まったく受賞暦がなく世間的にもいまいち評価されていない模様だが、私はよくできた作品だと思う。

テクノロジーは進んでいるが古い技術も混在している街の様子などが非常にリアルだと思う。この手のSF作品では、全部が全部、技術が駆逐されてしまったかのようにデザインされがちだが、実際の世の中はそうではないからね。

生身の男女がこんなに逃げ切れるわけねーだろ?と、一瞬 疑問を抱いてしまうが、きちんと冒頭で二人がものすごく身体能力が高いことを説明されており(むしろジョーダンのほうが強い)、なかなか巧み。臓器移植のためにクローンを作っているということを謎解きのオチにはせず、脱走者と追跡者のチェイスと軸に、不正かつ非道な組織をどう追い詰めていくか。人間の尊厳…というよりも生き物の根源である“ただ生きたい”という欲求をうまく描いている。
その無垢な欲求の表現という意味では、リンカーンよりもジョーダンのキャラクターが生きている。ジョーダンは、いまいち事情が飲み込めないくせに、それなりに瞬時に対応して逃げ出せてしまう役。はっきりいってしまうとオツムのちょと足りないというか勘の悪い人の役。こういう役をやらせたら、スカーレット・ヨハンソンはぴったり。彼女だけでなく、本作のキャスティングはなかなかよろしい。

高速道路で積荷である電車の車輪を落とすシーンは、迫力があるだけではなく、非常にリアル。マイケル・ベイの真骨頂だと思う。

もう、病状が進行して時間がないにも関わらず、クローンを殺そうとするのは、ちょと無理があると感じたが、まあ、切羽詰って、逃亡を許してすべてが露見されてしまうよりはマシという、究極の選択をいうところだろう。瞬時に腕輪をつけたり、左右が逆であることの前にセンサーが埋め込まれているんじゃないのか?とか、ほころびは散見される。
ラストの、ただ開港される…という終わり方が、投げっぱなしに感じられた人も多いのだろう。これらが、評価の低い原因だとは思うは、あまりガチガチにやると、テンポも悪くなるし、流れも削がれる。このくらいがちょうどいいと私は思う。
#なんで記憶が伝播したのかという理由は、無理やりでもいいからもっと説明して欲しかったとは思う。

黒人の傭兵さんが、コートジボアールでの父親の経験を語り、クローンにシンパシーを感じていく流れもよい(これは、別に黒人差別を無理やり盛り込んだわけではない)。そして最後に、クローン開放の切り札になっていくのもなかなかよい。

『マトリックス』が記憶に新しいから二番煎じだと思われただけで、うまくまとまっている良作だと思う。

 

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image2101.png公開年:1986年
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ウィラード・ハイク]
出 演:リー・トンプソン、ジェフリー・ジョーンズ、ティム・ロビンス、ポール・ギルフォイル、リチャード・エドソン、リズ・セイガル 他
受 賞:【1986年/第7回ラジー賞】ワースト作品賞、ワースト脚本賞(ウィラード・ハイク、グロリア・カッツ)、ワースト新人賞(アヒルの着ぐるみに入ってた6人の男女)、ワースト視覚効果賞(ILM)


遥か宇宙、アヒルのような容姿の生物が住む、ほぼ地球と同じ文化をもった星があった。そこに住むハワードは、今日も仕事を終えて帰宅してソファに据わっていると、突然発生した謎の光の渦に巻き込まれる。宇宙の彼方まで吸い込まれ、最終的に地球に落とされてしまう。自分に何が起こったのか判らないまま呆然としているハワードは、場末のバーで歌うバンドの女性ボーカル・ビバリーが、チンピラに襲われそうになっているところに遭遇し、救出に入る。はじめは、言葉を話すアヒルに驚くビバリーだったが、彼が知的な紳士だと知り親密に。ハワードが他の星から来たらしいと悟ったビバリーは、博物館に勤める友人のフィルに相談にいくが、ハワードを見て金儲けの種ししようとする始末。諦めて前向きに地球で暮らすことを考え職に就くハワードだったが、それもうまくいかず。途方に暮れるハワードのところに、フィルがジェニングス博士を連れてやってくる。どうやら、ハワードは博士の実験の失敗により地球に連れてこられたらしい。早速、博士の実験室に向かって、自分の星に帰ろうとするハワードだったのだが…というストーリー。

冒頭から、わ~~っ!ってとある星から地球に引っ張られていく主人公。この描写で、陳腐すぎてガッカリしちゃう。この時点でどうせくだらない内容なんだろうな…と、四分の一は脱落すること必死。

まず、登場するアヒル顔の生物がかわいくないのが致命的。特撮のコンセプトとして着ぐるみにしたかったのは判る。顔の表情をつける機能を持たせるために、頭が大きくなるのも判る。構造との兼ね合いでデザインに制限があったのも判る。でも頭と体のバランスも、顔の各パーツのバランスも気持ち悪い。ゆるキャラみたいなカワイさを求めているわけじゃないけれど、最後まで気持ち悪いままで馴れることはない。

内容とは無関係だが、吹き替え音声がつぎはぎ。TV放映の部分だけ吹き替え音声があって、残りは原音というありがちなパターンだが、けっこう大事な部分がカットされていたことが判る。TV放送だと、奪ったギャラをネコババしちゃってることになるぞ(笑)。それはそれとして、子供向けなんだし、吹き替え音声が無い部分を補うことが不可能なら、カットバージョンで再生されるメニューもつけるべき(この手の吹き替えが抜けてるやつはみんなそうしろ)。
#あ、子供向けといったが、微妙に性的な描写も多くて、子供向けとはいえないかも。

バタバタしたまま、無理やり盛り上げるのだが、レストランのシーンがピーク。でも、このレストランシーンがなかなかの珍シーン。
なぜか店員は日本国旗(軍艦旗)の鉢巻をしているのだが、メニューも内装も日本っぽさ一切皆無でコンセプトが一切不明。シェフは中華包丁もってるし。まあ、とにかく、日本を馬鹿にしたいことだけは伝わった(笑)。

目玉焼きを出されたハワードが共食いだ"と憤慨。なんでタマゴを喰うと共食いなのか。別種のタマゴだろ。私たちが牛肉や豚肉を喰ったからといって共食いになるか?むしろ、そこは共食いを否定するんじゃなくて、“幼い”タマゴを喰うという好意の野蛮性を主張すべき。
唯一、まともな伏線の回収は、昔、音楽で身を立てようとしていたっていう設定が、ラストシーンで生きているところ。
これら浅い描写でわかるとおり、シナリオの作り込みが弱い作品(と、思ったのか、このシーンもTではカットされてるけど)。

その後、無理やり、宇宙生物との戦いになる持ち込むが、バトル自体に工夫はなく、あとは尻すぼみ。特に、ライトプレーンのくだりは、大半の観客の集中力は途切れているだろう。まあ、ラジー賞の授与が妥当と思える作品。
#逆の設定(人間が他の惑星に運ばれるお話)で、USJのアトラクションにでもすればおもしろいかも。

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image2096.png公開年:2001年
公開国:アメリカ
時 間:102分
監 督:ゲイリー・フレダー
出 演:ゲイリー・シニーズ、マデリーン・ストー、ヴィンセント・ドノフリオ、トニー・シャルーブ、ティム・ギニー、リンゼイ・クローズ、ゲイリー・ドゥーダン 他
コピー:侵略者は捕獲し、複製する。




西暦2079年。地球は異星人ケンタウロスと戦争中で、青い空と豊かな大地の大半を失った人類はドームの中で生き延びていた。科学者スペンサーは異星人を撃退するための兵器開発に携わっており、軍極秘プロジェクトの議長との会談を控えていた。いつものように出勤すると、特殊部隊ESAのハサウェイ少佐が現れ、逮捕されてしまう。その理由は、本物のスペンサーは既に殺されており、今ここにいるスペンサーはケンタウロスが作ったクローンだという。さらに、体内にはウラン爆弾が仕掛けられており、標的である議長に近づくと爆破する仕組みなっていると。以前に捕まった同様のクローンから爆弾が取り出される映像を見たスペンサーは、このままでは処刑されてしまうと思い、一瞬の隙をついて脱出。自分が本物であることを証明するために、地下組織の人間と手を組み、とある場所を目指す…というストーリー。

宇宙人と交戦状態にある社会という設定なのだが、作中は宇宙人不在。これは、長けてた演出だと思う。

極めてSF的な設定から逃走劇へ。しかし、スペンサーは本物か否かという疑問、そして細胞レベルまで同じで、本人もコピーであることを知らなければ本人だろ?っていう、SFではお馴染みの視点が、人間のアイデンティティとは何なのかという哲学的な視点に昇華して、非常に味わい深い作品に仕上がっていると思う。
テンポもアクションもやりすぎの一歩手前で、好感が持てる。妻との一連にくだりは、伏線としても引っ掛けのネタとしてもウマかったと思う。

(以下、ちょっとだけネタバレ)
あの恣意的で高圧的ながら、どこか抜けているESAの少佐が最後まで悪役を通す。最後にコイツが破滅するんだろうな…と予測していたが、どんでん。そこに、本当の遺体があるんだから、そっちを抱きしめるべきだと思うんだが…なーんて思いつつも、「うーむ、角度を変えてきたな…」なんて考えていたら、さらにどんでん。やっぱり破滅。良く出来ている。
#ちょっと、『セブン』的な空気も漂う。
観客は弄ばれぎみになってしまうけど、騙されても満足。さすがディック原作。
観終わってから考えると、なんとなく爬虫類的な目のゲイリー・シニーズはいいキャスティングだったと思う。

「知っている人?」「そう信じたい」。要所要所でいい台詞がある。同じディック原作の『トータル・リコール』よりも良いデキだと個人的には思うのだが、世の評価はそうではない模様。いや、こっちのほうがウマいと思うなぁ。

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image2071.png公開年:2011年
公開国:インド
時 間:156分
監 督:アヌバウ・シンハー
出 演:シャー・ルク・カーン、カリーナー・カプール、アルジュン・ラムパール、アルマーン・ヴェルマー、プリヤンカー・チョープラー、ラジニカーント 他
コピー:インド映画、 NEXT LEVELへ




英国のゲーム会社バロンは、通信データを物質化する画期的な技術の開発に成功する。同社のゲーム部門に勤務するシェカルは、次に開発するゲームをヒットさせるために、ゲーム好きの息子プラティクの「悪役が魅力的で絶対的に強いゲーム」という要望をヒントに、史上最強の悪役“ラ・ワン”が登場するゲームの制作を行う。苦労の末、発表すると高評価を受ける。ゲームを気に入った息子が、試作機で“ルシファー”の名でログインしプレーすると、ラ・ワンを最後のステージまで追い詰めるところまで進む。すると、ラ・ワンは、知能を発現させ“ルシファー抹殺”を誓い、同社のデータ物質化技術を使い、現実世界に実体となって飛び出してしまい…というストーリー。

そんな、デジタル情報を物質化するような、この世を一変させるような革命的な技術を発表しておきながら、呑気にゲーム開発をしているという不思議な状況。極めて不自然。
ゲームから現実社会にキャラクターを飛び出させるという思いつきをシナリオにしたのはいいけれど、そのために設定があまりにも荒唐無稽すぎて、バランスがおかしくなっている。SFというのはどんなに荒唐無稽でもゆるされるわけでもなく、あくまで未来ならあり得るな…と思わせる説得力があってこそなのだが。

そういう都合のよい具現化ツールで、コンピュータの世界からキャラクターが飛び出してくるが、結局はただのロボットで、ゲームという設定はあまり重要ではなくなる。
悪のロボットとの戦い…、味方のロボットはちょっとすっとぼけた行動をする…、なんだかこの前観た、同じインド映画の『ロボット』と同じような内容に収束していってるな…と思っていたら、なんと『ロボット』の主役ロボット“チッティ”が突然か登場(監督の違う映画なのにね)。同じ世界であることに驚愕(チョット出ただけで、それ以降は微塵も出てこないんだけど)。たまたま『ロボット』を観ていたからいいようなものの、観ていない人は混乱してしまうよね。

『ロボット』もそうだったんだけど、踊るシーンは、パーティとか踊ってもおかしくない場面でだけ。我々がインド映画にもっている印象って、どこでも突然踊り出す…変だけどある意味ミュージカルが歌で感情を表現するのと同じで、様式として万人が認めているところだと思う。むしろ、そうでなきゃ!という思いすらある。
#実際、本作のダンスシーン自体は楽しい。むしろどんな演出よりも一番楽しい。
しかし、インド映画界は、こういい演習を、グローバル的に恥ずべき演出だと思っているようにみえる。だから、不自然に踊るシーンは極力避けているのではなかろうか。

しかし、結果的に、残ったのは、陳腐なIT技術を前面にだしたSFだけである。そのSFも、コアの設定がわかりに(というか思いつきの設定なんだろうな)とか、G.ONEだけで散々動いているのに、ラ・ワンとの闘いでは、なんで息子が操作に協力しないといけないのかとか、まあとにかくピンとこない設定だらけ。
なんで、実体化したロボットが、人間を眠らせたり、行動に影響を与えられる能力を持て入るのか?どういうこと?

インド映画業界…というかインド社会の娯楽の形態上、避けられないのか、またもやとにかく長い。長くしないとインドの観客が満足しないとしても、結局はどうせインターミッションを挟んでいるはず。それならパート1、パート2にして、1時間半くらいの映画2本に分けてしまえばいいのに。

イマイチ…という感想しかない。映像技術面では、とっくに日本映画界を凌いでいることは認める。
#懲りずに、似たようなテイストのインド映画を借りる私が悪いか…。

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imageX0094.Png公開年:1982年
公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:スティーヴン・スピルバーグ
出 演:ディー・ウォーレス、ヘンリー・トーマス、ロバート・マクノートン、ドリュー・バリモア、ピーター・コヨーテ、K・C・マーテル、ショーン・フライ、トム・ハウエル、エリカ・エレニアック 他
受 賞:【1982年/第55回アカデミー賞】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、視覚効果賞(Kenneth F.Smith、デニス・ミューレン、カルロ・ランバルディ)、音響賞(Robert Knudson、Robert Glass、Don Digirolamo、Gene Cantamessa)、音響効果編集賞(ベン・バート、Charles L.Campbell)
【1982年/第17回全米批評家協会賞】監督賞(スティーヴン・スピルバーグ)
【1982年/第8回LA批評家協会賞】作品賞、監督賞(スティーヴン・スピルバーグ)
【1982年/第40回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、音楽賞(ジョン・ウィリアムズ)
【1982年/第36回英国アカデミー賞】作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)
【1994年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
【1982年/第25回ブルーリボン賞】外国作品賞

アメリカ。森の中に球形の宇宙船が着陸し、その中から宇宙人が降りてくる。彼らは、地球の動植物の調査にやってきたらしく、サンプルを採集している。しかし、宇宙船の飛来を察知した人間が、宇宙船に近づいてきていた。危険を察知した宇宙船は飛び去っていくが、宇宙船から離れてしまっていた一人が取り残されてしまう。一方、森に近い住宅街に住む少年エリオットは、兄マイケル達からの命令で、母親に内緒でピザの宅配を受け取りに外へ出ると、物置小屋で発せられた大きな音に驚く。みんなを呼び寄せるがそこには何もいない。しかし、深夜、エリオットはとうもろこし畑で宇宙人を目撃し…というストーリー。

今回鑑賞したのは、20周年アニバーサリー版とかいうやつ。実は、オリジナル自体もしっかり観たことはなく、ほぼ初見に近い。色々スピルバーグ自らの手で改変されているようだが、細かいところは言及しない。しかし、CGには結構違和感があった。というか、ヌルヌル動きすぎて、かえってリアル感が疎外されている感じ。SWのジャバザハットと同じだな(まあ、同じ技術だから同然か)。

そういう枝葉の話は置いておいて、この作品の何が一番スゴイかって、3歳児でも普通に鑑賞できるだけなく、普通に感動できるということである。迷子になった宇宙人を子供がヘルプし、すったもんだありーので帰還する…という非常にシンプルなストーリー。たったそれだけなのに、なんでここまでハートに熱いものがこみあげてくるのか。『グーニーズ』に通じる愉しさが、それ以上なのは間違いない。

E.T.とエリオットはたしかに友情で結ばれるんだろうけど、普通の友情とはちょっと違う。家族愛や隣人愛とも少し違うタイプの愛情。街でこまっている外国人を助けるんだけど、なかなかいいやつで、最後まで気にかけているうちに、得もいわれぬ感情が芽生える…、そんな感じに近いか?異邦人に対する打算のない援助。何かしてあげたいという純粋な気持ちこそ、人間が“社会”というものを気付く意味の根源だよね…と、そんなことに気付かされる。

単純な話なのに飽きないのは、色々な仕掛けがしてあるのも理由だろう。兄が車をいたずらしているところも伏線になってる。巧み。
ヨーダのシーンは有名。SWにE.T.の種族がチラリと出てくるし、本作でヨーダを同じ宇宙人だと思い助けを求めるということは、間接的に地球とSWの世界は同一世界だということになるよね。大人はニヤリとしちゃう。

でも、宇宙船の中のE.T.のお仲間は、何やら服らしき物を着ていたので、やっぱE.T.はつっ裸ってことになるな(笑)。裸で普段食べなれてないものを暴飲暴食したら、そりゃ死にかけますわ。

子供が幼稚園に入ったら、観せるべき作品だと思う。文句なしの名作。
#このころのドリュー・バリモアは天使だな。

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image2038.png公開年:2010年
公開国:インド
時 間:139分
監 督:シャンカール
出 演:ラジニカーント、アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン、ダニー・デンゾンパ 他
コピー:ワケわからんが面白い





天才工学者バシー博士は、10年に及ぶ研究の末、高性能二足歩行型ロボット“チッティ”の開発に成功。あらゆる点で人間を凌駕する能力を有し、人間の命令に忠実に従うチッティを、バシーは軍用として役立てることを夢見ている。しかし、政府の認可を得ようとするも、バシー博士と同じくロボット研究をしているボーラ博士の“人間い忠実すぎて危険”という指摘によって認可は見送られてしまう。そこで、バシー博士は、チッティに人間の感情をも理解するように改造を施す。しかし、それによりチッティは、バシー博士の恋人サナに恋をしてしまう。バシー博士を恋敵として張り合うチッティに対して、サナはチッティの思いをきっぱりと拒否する。深く傷ついたチッティは、さらに暴走してしまい、バシー博士の手で廃棄処分にされてしまう。しかし、残骸を回収したボーラ博士により、冷酷なターミネーターとして蘇らされ…というストーリー。

むりやり褒めれば、得体の知れないパワーがある…ってことなんだろうが、何か振り切れていない感じ。『鉄腕アトム』や『アンドリューNDR114』のようなストーリーで、ロボットが社会に出れば、いろいろなトラブルがありますよね…、ロボットが悪人をやっつけたり人助けをしたりしますよ…というというお約束的展開がある。だが、この手の話につきものの、人間に近づいたが故の悲哀とか、哲学的な思索というのはあまり感じない。結局、人間の心をもってやったことは、色狂いだものなぁ…、深みも何もあったもんじゃない(期待しちゃいないけど)。

インドもずいぶんがんばるなぁ…というくらいCGが盛りだくさん。といっても、10年前のレベルだけど。そして、予算の関係だとは思うが、チッティがフルCGで動く部分は、冒頭でおしまい。あとは模型と特殊メイクで展開する。前半のアクションシーンはなかなかおもしろかった。格闘アクションはベタベタだけど、アジアの表現力は凄いと思う。見所は電車内のバトルまでだった。
インド映画といえば、いつでもどこでもダンスが特徴だが、本作は意外と多くない。そして、ダンスが差し込まれるポイントが悪いのか、いまいち盛り上がらない。

このお話、共感できるキャラクターがおらず、観客は置き去りになる。主人公のバシー博士は、自分の目標達成のために、チッティに人間らしさを植えつけながら、都合が悪くなって廃棄する。恋人のサナも、言うことを聞くだけのチッティは良しとしていたが、バシー博士と張り合うようになると、うっとうしく感じ、排除しようとする。チッティ本人も、ロボットの悲哀を感じさせてくれればまだましだったが、色狂いから完全に悪のゲージを振り切ったキャラになる。ボーラ博士は言わずもがなの、ステレオタイプの悪人。『鉄腕アトム』で言ったら、お茶の水博士も感じの悪いおっさんで、アトムまで人間を襲っちゃうような話。だれにも感情移入できないという感じ。

もうすこしブラッシュアップしたほうがいだろうが、インド映画にそれを望むのは酷か…。もっと馬鹿馬鹿しいとか、ワケわからん…とか、そうだったらよかったんだけどね(コピーは看板に偽りアリ)。これ、短いバージョンらしく、元は3時間近くあるらしい。実に厳しい。レンタル料金100円が、損した気持ち。

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image1023.png公開年:1997年
公開国:アメリカ、フランス
時 間:127分
監 督:マルタン・プロヴォスト
出 演:ブルース・ウィリス、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、ミラ・ジョヴォヴィッチ、クリス・タッカー 他
受 賞:【1997年/第70回アカデミー賞】音響効果編集賞(マーク・マンジーニ)
【1997年/第23回セザール賞】監督賞(リュック・ベッソン)、撮影賞(ティエリー・アルボガスト)、美術賞(ダン・ヴェイル)
コピー:誰も見たことのない未来。

1914年。エジプトの地下神殿の壁画に書かれた古代文字を考古学者が解読しようとしていたが、今まさに謎の確信に迫ったとき、突然、巨大な宇宙船が神殿に舞い降りる。宇宙船から降りてきた地球外の生物は、神殿から、4つのエレメントが彫刻された石を持ち出し、そのまま空へ帰っていくのだった。2214年、ニューヨーク。巨大なエネルギー体が地球に接近し、統一宇宙連邦のリンドバーグ大統領がそれの撃退を試みるが失敗する。大統領に接見したコーネリアス神父は、そのエネルギー体が5千年に一度地球にやっくる邪悪な存在であり、それを撃退するために、モンドシャワンという知的生命体が4つの石を持って助けに来ることを告げる。その予言どおりにモンドシャワン人が宇宙船でやってくるが、武器商人ゾーグの手下であるマンガロワ人に撃墜されてしまう。しかし、政府はモンドシャワン人の細胞を回収し、それをもとに再生を試みる。すると、赤い髪の少女が復活。地球の言語が分からない彼女は研究施設を破壊して逃亡。地上450階から飛び降り、元統一宇宙連邦軍で今はタクシー運転手をしているコーベンが運転するタクシーに激突し…というストーリー。

太古に隠されたロストテクノロジー兵器とか無敵のパワーをめぐって攻防するようなお話は、その後たくさんつくられた。SFアドベンチャー作品としては非常にありがちなお話。でも、リュック・ベッソンはまともにSFをやるつもりはなかったと思う。前の方で出てくる“マイナス5000度”とかいう表現で、サイエンスフィクションとしての基盤は、完全に放棄しているものと判断してよいだろう。

『砂の惑星』のようなボリューミーな建物や乗り物のデザインが特徴的。恐怖を抱かせるようなシャープさやおどろおどろしさがまったくなく、特に亀のようなモンドシャワン人のデザインが秀逸。それに対比するように、ゴルチエが担当した、いかにも欧州らしい衣装が非常に映えている。ミラ・ジョヴォの衣装は、いまみるとそれほどでもないが、当時は結構衝撃的だった。こういうデザイン面での補強のおかげで時間が経っても色褪せることがない。

ミラ・ジョヴォは、本作で出合ったリュック・ベッソンと結婚するがすぐに離婚。その後、『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンと結婚するが、監督が好きなのか手近な人を好きになるのかよくわからん。でも、本作でブレークした彼女だが、役柄どおりの無垢さと奔放さを見事に演じている。これが演技なのか、演技が稚拙ゆえに地が出ているのかはよくわからないが、後の彼女の演技を見る限り、もういちど本作の役をやれといっても無理だろう。結果オーライだろうがなんだろうが、とにかく本作の彼女は魅力的である。

宇宙レベルの厄介ごとに巻き込まれる運の悪い男の役に、『ダイ・ハード3』から二年経ったブルース・ウィルスを持ってきているのは、半分悪ふざけに思える。ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるリールーが、排気口を逃げるシーンなんか、意識して挿入されているような…。
クリス・タッカーも本作でブレイクしたといっていいだろう。むちゃくちゃなキャラで、興ざめしないように振り切った演技をするのは、実は難しかったと思う。

テンポがよく、色々な要素がごちゃまぜになっている割りにはすっきり整理されており、きっと、練りに練られたプロットに違いない。リュック・ベッソン作品の中ではいささか異色ではあるが、実は本作が一番完成度が高いのではないかと思っている。そして、私が唯一購入しているリュック・ベッソン作品だったする。6,7年に一回ペースで観返したくなる作品。時間が経てば経つほど、映画史の中で評価が高まってくと確信している。

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image2035.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:リドリー・スコット
出 演:ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、シャーリーズ・セロン、イドリス・エルバ、ガイ・ピアース、ローガン・マーシャル=グリーン、ショーン・ハリス、レイフ・スポール、イーモン・エリオット、ベネディクト・ウォン、ケイト・ディッキー、パトリック・ウィルソン 他
ノミネート:【2012年/第85回アカデミー賞】視覚効果賞(Martin Hill、Charley Henley、Trevor Wood、Richard Stammers)
 【2012年/第66回英国アカデミー賞】特殊視覚効果賞(Paul Butterworth、Trevor Wood、Charley Henley、Richard Stammers)
 【2012年/第18回放送映画批評家協会賞】SF/ホラー映画賞
コピー:人類は どこから 来たのか。
 人類最大の謎、それは《人類の起源》

2089年。科学者のエリザベス・ショウは、地球の各地で発見された壁画に共通する図があることに着目し、これが地球外知的生命体からの“招待状”だという説を唱える。そして、エリザベス、その恋人ホロウェイ、女性監督官ヴィッカーズ、アンドロイドのデヴィッドら17名は巨大企業ウェイランド社が出資した宇宙船プロメテウス号に乗り、壁画の図が示している遥か彼方の惑星を目指す。2093年。長い人工冬眠から目覚めた彼らの前に目的の惑星が現れる。未踏の惑星に着陸し探査を開始すると、明らかに知的生物によて建造された遺跡を発見し、その奥に足を踏み入れる。しかし、地球のテクノノロジーでは理解できない出来事が次々と発生し…というストーリー。

冷凍睡眠、人間に寄生する生物、アンドロイド…いくら監督がリドリー・スコットだからって、そこまで『エイリアン』に似てちゃだめじゃね?と思って観ていたのだが、『エイリアン』の前日譚とのこと。それを知らないで観ていて、最後でぎょっとしてしまった。

でも、エイリアンの舞台は2122年らしいので、その約30年前の出来事ということか。よく考えたら“スペースジョッキー”ってやつ?エイリアンで出てたような気がするし、会社の名前だって“ウェイランド”で一緒だもんなぁ。でも、はじめから『エイリアン』と同一世界だと思って観ていたら、「ああ、これはアレにつなるんだな…」と、純粋に話を愉しむことができなかったと思う。前日譚であることを知らずに観ることができたのは非常にラッキーだったかも。

ビジュアル的にも、H・R・ギーガーの変態的なデザインをしっかり踏襲していて、非常に好み。“エンジニア”の真っ白マッチョな容貌もユニーク。雰囲気はばっちり。でも、宇宙船で使用されているテクノノロジーが『エイリアン』時代より格段に高いのが、気になる(まあ、次回作で文化的な劣化の理由については描写されるんでしょう)。シャーリズ・セロン演じるヴィッカーズのための医療システムが“男性用”って言うので、はぁ?となったんだけど、あれはあの爺さんのためのものなんだろうね。

でも、『エイリアン』世界の謎解きができたかというと、そうでもなくて、またまた、あれはどういう意味なのか…、『エイリアン』のあれとはどういう繋がりなのか…と、またまたマニアの話の種を増やしてくれたと思う。
冒頭の“創造主”がやったことはなんだったのか。地球を人間牧場とする計画の第一歩だったのか。そして、あの宇宙船の目的は本当に地球を滅ぼしにいくことだったのか。
最後まで“プロメテウス”が単なる船名なのか意味があるのかも不明。ただ、続編やる気マンマンなのはわかった!(笑)
#『エイリアン』の5作目を作るよりもこっちで良かったと思う。リドリー・スコットの判断は正しいと確信する。

ヨーロッパ版の『ミレニアム』シリーズのノオミ・ラパスが主演。『ミレニアム』の時から、どうもかわいげが無いというか、気持ち悪いというか、ユニークではあるんだけどあまり好きなタイプではないのだが、あまりフェミな感じだと本作の主役には合わないので適役ではある。でも、それ以上に吹き替えが剛力彩芽ってのがヒドい。こんな棒読みはないだろう。かなしいシーンもつらいシーンも全部同じ抑揚なんだぜ。『スノーホワイト』小雪、『ドミノ』の眞鍋かをりと、日本三大ポンコツ吹き替え女優に選定する。

あまり『エイリアン』を意識しないで観ることをお薦めする。私は非常に堪能した。剛力以外は。

拍手[0回]

image2034.png公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:118分
監 督:レン・ワイズマン
出 演:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセイル、ジェシカ・ビール、ブライアン・クランストン、ジョン・チョー、ビル・ナイ 他
コピー:なりたい自分になれる記憶、あなたは買いますか?





世界大戦によって荒廃した近未来。人間が生きていくことができる場所はわずかになり、現在のイギリス近辺を中心とした裕福なブリテン連邦と、オーストラリア近辺を中心とした貧しいコロニーという2つの地域に分けて暮らしている。貧富の差は広がる一方で、ブリテン連邦の圧政に抵抗するレジスタンス組織の動きも活発になっている。コロニーで暮らす工場労働者のクエイドは、単純労働の毎日に飽き飽きしており、最近話題のリコール社による人工記憶を試して、ストレスを解消しようと考えていた。しかし、あまりにリアルな経験のため、社会問題化しており、現在は非合法化されている。期待していた昇進が見送られることを上司から知らされ、クエイドのイライラはピークに達し、同僚から教えてもらった名刺を頼りにリコール社を訪れる。クエイドは、憧れていた諜報部員の記憶を体験することを選択。いよいよ体験しようとしたとき、突如警官隊が乱入し、店舗が手入れを受けてしまう。ところがクエイドは、無意識に自分でも信じられない戦闘能力で警官隊を撃退。そのまま自宅に逃げ帰り、妻ローリーに事情を説明すると、何故かローリーはクエイドを殺そうと…というストーリー。

アーノルド・シュワルツェネッガー主演『トータル・リコール』(1990年製作)のリメイク。原作を読んだことがないので、どっちが原作に近いのかは知らない。
前作とはかなり違いがあり、火星なし、ユニークなクリーチャーなし、高度な異星人のテクノロジーなし、ただの革命話になっている。この割り切りは、決して悪くないのだが、そうするなら、もっと、今見ている世界が現実なのか仮想のか?で揺れる演出を増やすべきだったと思う。ちょっと少ない。前作も実は全部仮想の記憶の中の出来事でした…っていうオチだったらしいし、原作の『追憶売ります』もそっちのテイストが濃いはずななのだが。
そこまで割り切るなら、前作で特徴的だったデブのおばちゃんに変装するシーンとか、仮想記憶にハマッた奴が火星にいっちゃって云々という台詞とか不要だった。遊び心のつもりだろうが、中途半端で覚悟の欠如に写った。監督の腹が据わっていないいなんだと思う。

世界中の文化が二箇所に集中し、カオスな世界になっている設定は面白い。まあ、荒唐無稽すぎるけど地球の核と通過するトンネルの設定も悪くない。『ブレードランナー』と『マイノリティ・リポート』をあわせたような雰囲気か。
リコール社の社名がハングルなのは、どういう意図があるのか。非合法なくせにふつうにCMしてるとか、よくわからん。

途中で、将来の自分に映像を残したのだ…という演出があって、映像の最後に捕らえられてしまうのだが、その映像をどうやってあそこに残したのか。仕掛けがいまいちよくわからない。元自宅と思しき部屋のピアノに残された自分の映像が「簡単な答えなら可能」ということなのだが、いくらなんでもそれはおかしいような…。

まあ、色々引っかかることはあるのだが、それなりにスピーディで愉しめる作品。でも、DVDレンタルがTSUTAYA独占でも、それほど文句が出ない…ってことで、どんなレベルかは慮ってくだされ。

#メジャー作品でTSUTAYA独占の場合はイマイチ…っていう法則ができつつあるな。そりゃあ、配給する側が、広く展開するよりも、独占契約料+TSUTAYAのみのレンタル料金を得たほうが利益が高いって計算したわけだから、その程度ってことだよね。

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imageX0090.Png公開年:1985年
公開国:北朝鮮
時 間:95分
監 督:シン・サンオク
出 演:チャン・ソニ、ハム・ギソプ、リ・イングォン、ユ・ギョンエ、薩摩剣八郎 他
コピー:ついに“解禁”! 全世界が待っていた 怪獣映画の金字塔。





高麗朝末期。飢饉によって民衆は苦しんでいたが、王朝は武器製造のために農民たちの農具を接収する。そして、役人は鍛冶屋のタクセに武器製造を命令するが、タクセはそれを拒否したために投獄されてしまう。日に日に弱っていくタクセは死を悟り、娘のアミが差し入れた飯粒を練り、精魂をこめて鉄を食うという伝説の怪獣“プルガサリ”の小さな像を作り息絶える。遺品としてプルガサリの像を家に持ち帰ったアミは、裁縫中に指先を傷つけてしまい、その血を像にかけてしまう。すると、プルガサリに命が宿り…というストーリー。

何も知らなければ、「おお、北朝鮮ってば、こんな特撮技術持ってるんかい!!」と、思うに違いない。小さなプルガサリはもちろん着ぐるみだとは思うが、セットが巨大なのか合成なのか、正直、ずっと田舎くさい寸劇が続いて、突然特撮映像になるから、本当に小さい生き物が動いているんじゃないかと思うくらいのインパクトがある。でも、この特撮は日本の東宝のお仕事。スーツアクターも日本人。しかし、映画内のクレジットには東宝はおろか日本人が関わっていることは微塵も出てこない。国家の威信をかけた映画製作の根幹が日本人の手によるものだとは、口が避けても言えないのはわかるのだが、その威信を知らしめるのは海外に対してなわけだから、すぐにバレるだろうに…。普通はそう思うのだが、やっぱり北朝鮮の人間は頭が弱い。おまけに、このシン・サンオク監督は、韓国から北朝鮮に亡命したというふれこみだったが、その後海外に逃亡し、あれは北朝鮮よる拉致だったと証言している。もう、この映画の主軸の部分に、北朝鮮の力によるものなどなにもないのである(笑)。ただ、唯一評価できるのは、大迫力の膨大な数のエキストラである。人だけはタダでいくらでも使えたんだろう。
それ以前に、なんで怪獣特撮で勝負しようと思ったのか。日本のゴジラに対抗しようと考えたのか、金正日が単に好きだったのか。仮に対抗しようとしたとしても対抗する相手である日本の東宝スタッフもってくるあたりが、朝鮮半島人の短絡的なロジックの象徴で、笑えてくる。自分で力を身につけようとか、借り物じゃ結局あとで恥をかくことになるとか、そういう考えに及ばないんだな。

このお話のベースが高麗王朝時代の伝説だというのだが、そのようなことが記載されている文献があるということを聞かない。あったとしても口伝。口伝でも、どこかの時代に口伝として書物に記載があるもんだけどそれもあるんだか無いんだか。私は怪しいと思っているけど。
まあ、それはいいとして、プルガサリは食べる怪物さ。鉄の供出といえば北朝鮮の親分、中国協共産党の毛沢東が思い浮かぶ。プルガサリが王朝を倒すという構図は、共産主義という大正義が、旧態の王政や帝政を倒すという構図なんだろう。でも、共産主義ってのは資本主義で肥太った資本家を打倒するもんだけどな…と、いかにも対日ゲリラで名を上げた金日成らしい、ズレっぷりを見せてくれる。

で、そのズレは、キャラクター設定にも見られる。娘のアミの恋人役インデなのだが、これは圧政に対抗するレジスタンス。まさに金日成に比定される。で、プルガサリとインデ=毛沢東と金日成という構図にしたかったのかもしれない。はじめはそれでよかったんだろうが、それでは結局話がまとまらなくなってしまい、インデは大した仕事もせずに、殺されて終わってしまう。正直、いなくていいキャラである。もっといい扱いにしないと、革命思想を毀損することになると思うのだが、そういう考えには及ばないみたい。
挙句の果てに、王朝を倒したプルガサリなのに、そのまま暴走はとまらず、このままでは世界中の鉄を食べてしまうわ! とか、斜め上の展開に。共産主義に振り回されてにっちもさっちもいかない国内情勢を表しているように思えるのだが、北朝鮮スタッフはピンときていないらしい。で、プルガサリを若い娘の犠牲によって鎮めておしまいというオチ。若い娘を献上してお怒りを鎮めるという、昔、同じようなことを我々は中国にしていたような…とか、そういうことに想像が呼ばないのが、これまた朝鮮クオリティ。

はじめから、まともな内容は期待していなかったが、『ゴジラ』が原水爆に対する問題提起というベースがあったことと比較すると、この何を言いたいのかふらふらしている内容は、ひどすぎる。童話というものは幾ばくか隠喩をはらむものなのだが、それが理解できていないんだろう。いっそのこと、特撮もポンコツだったらお笑い映画として、酒の肴になったものを…。北朝鮮作品という興味本位だとしても、レンタル代がもったいない作品。

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image1979.png公開年:2011年
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:マイク・ケイヒル
出 演:トム・ハンクス、デヴィッド・モース、ボニー・ハント、マイケル・クラーク・ダンカン、ジェームズ・クロムウェル、マイケル・ジェッター、グレアム・グリーン、ダグ・ハッチソン、サム・ロックウェル、バリー・ペッパー、ジェフリー・デマン、パトリシア・クラークソン、ハリー・ディーン・スタントン、ウィリアム・サドラー、ゲイリー・シニーズ、ポーラ・マルコムソン 他
ノミネート:【2010年/第27回インディペンデント・スピリット賞】新人作品賞、新人脚本賞(ブリット・マーリング、マイク・ケイヒル)

17歳でMITに合格したローダは、パーティで飲酒したにもかかわらず車で家に帰ろうとする。運転の途中、空に観たこともない星が浮かんでいることに気を取られ大事故をおこしてしまい、相手の車にのっていた妊婦と幼い男の子が死亡、夫は意識不明の重体となってしまう。彼女はその罪で交通刑務所に収監。4年後、刑期を終えたローダは、生き残った夫ジョンの家を探し出し、謝罪のために訪ねていく。しかし、対面したものの怖気づいてしまい、清掃業者だと身元を偽ってしまう。彼女はそのまま清掃業者としてジョンと関わりを続けていくが、真実を告げることができず罪悪感に苛まれるのだった。一方、空に現れた星が、地球と瓜二つの惑星であることがわかり…というストーリー。

贖罪のドラマとSFのミックスという奇抜なプロット。あまりにもかけ離れた要素、そのギャップをどういかせるかがすべてなのだが、被害者男性と加害者であることを隠して関わりを持っていく彼女の苦悩…それだけで充分に一本の映画にできる内容。それに加えて、惑星がどういうスパイスになっていくのか、非常に興味が湧くところなのだが、終盤になるまで、あまり関わってこない。

むしろ、社会はもっとパニックになってもよさそうなものだが、すごく平穏。いや案外そうなっても人間は普通に活動するものだよ…といいたいのならば、それをうまく表現すればよい。でも、していない。SF作品として観客の想像力をどうくすぐるか…ということをまるで放棄しているように思える。

じゃあ、一方の人間ドラマを厚く表現しているのか…と思いきやそうでもない。清掃業者仲間の老人がなぜ自殺しようとするのか。彼は、自分で漂白剤を目や耳に入れたりする。この世がいやになっているのなら思い切って自殺すればよいのだが、そういうことはせずに感覚だけを潰していく。それはなぜなのか、どういう感情なのか。ローダは彼を慮ってお見舞いにいって寄り添ったりするのだが、彼の行動と彼女の傷にどういう関係性があるのか、シンパシーを感じる部分がどこにあるのか、私にはさっぱりわからなかった。

普通、このタイトルの映画を借りる人は、これはSFなんだろう…と思って借りるだろう。そういう人はこう感じるに違いない。なんでMITに合格しただけの彼女が宇宙飛行士に選ばれるのか。まあ、異星探索を計画をしたのが民間の富豪だから、その人の裁量で選んでいるだろうからNASAの選定に基準とは異なるにしても、いくらなんでも無理があるだろう。それほど応募者がいないとでも?ものすごく長い旅になるような表現をしていたが、見かけ上あんなに大きく見えるんだから、それほど遠くはないはず。ましてや地球の周回軌道上にいるなら、片道切符になるわけでもないだろうし。
(以下ネタバレ)
で、当選者のきまぐれで、応募もしていない人間に宇宙飛行士になる権利を譲るとか、アホじゃねえかと。辞退したら別の応募者だろ。馬鹿クセー。はっきりいってまともに観ていられなかった。
さらに、最期は自分と同じ姿をした人が登場とか。こっそりこれるわけないじゃないか。何、この三流SF。

カメラワークがユニークで、急にズームしたり、パーンしたり、素人のビデオ撮影みたいな感じ。緊迫感を出そうとしているのかもしれないが、あまり効果は生まれていない。日本未公開なのも、納得のデキ。やるならもっと、ディテールをしっかりと。SFとしては駄作。ヒューマンドラマとしては凡作。

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imageX0083.Png公開年:1990年
公開国:アメリカ
時 間:113分
監 督:ポール・ヴァーホーヴェン
出 演:アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド、ロニー・コックス、マーシャル・ベル、メル・ジョンソン・Jr、マイケル・チャンピオン、ロイ・ブロックスミス、レイ・ベイカー、リシア・ナフ 他
受 賞:【1990年/第63回アカデミー賞】特別業績賞(視覚効果)
コピー:見たこともない! いま、新しい大冒険映画をハリウッドは創り上げた。

西暦2084年。建設作業員のダグは、妻のローリーと2人暮らし。しかし、いつも同じ火星の夢を見てうなされることに悩んでいた。火星に行ったことはなく、なんでこんなに火星のことが気になるのか自分でもよくわからなかった。そんなある日、「旅行の記憶を売る」というリコール社の存在を知る。さっそくリコール社を訪れたダグは、火星旅行を記憶を注入してもらうことに。その記憶の設定は、自分は諜報員で、ブルネットの女性と恋に落ちるというもの。しかし、なぜか記憶の注入は失敗し、意識を取り戻すと帰宅途中のタクシーの中だった。何が何やらわからないタグは、これまでのことをローリーに説明すると、彼女は突然タグを殺そうおと襲い掛かってきて…というストーリー。

コリン・ファレル主演のリメイク版のおさらいで鑑賞(これもTSUTAYAでしかレンタルしないらしいな)。
本作を観る時、毎度毎度思うのだが(おそらく多くの人が同じように思っているはず)、マンガの『コブラ』の第一話とプロットがまったく一緒。原作の『追憶売ります』が1966年で、コブラが1978年。おそらく寺沢武一がパクったんだろうな。インスパイアって言ってあげたいんだけど、そのまますぎなんだもん。

まあ、それはそれとして、観始めちゃうと、そのまま観続けちゃう、ホイホイ率はものすごい高い作品だと思う。

火星で繰り広げられた内容は、実はすべてリコール社で見ている夢…らしい。実際、監督はそういう意図で作っていたらしいしかし、DVDで観るとそういう編集にはなっていない。だって、事実だったほうがおもしろいんだもん。
現実か夢なのか判然としない…という内容にしたいならば、主人公がどっちかわからなくなって混乱するシーンとか、どうせ夢なんだろう?ってダメ元で主人公がやらかすとか、観客がもしかして…と思うようなシーンを、もっと途中に差し込まないとダメだと思う。少なくとも火星に言ってからは、そんな疑いの余地を挟むようなシーンは一つもなかった。
もっと深く追求すれば、それこそ『マトリックス』ばりに、認識論の領域まで高めることはできたのに、そんな高尚な意図は微塵も感じられない。決して、わざと避けようとしているわけではない。そういう考えには及んでいないのだ。

しかし、そのおかげで、テンポのよいSFとして成立しているという、監督の製作意図とは外れた方向で成功してしまった、珍しい作品だと思う。ちなみにバーホーベン監督は『ロボコップ』の監督。ノリにノッている時期ではある。

さすがに今観ると、特撮(特殊メイクやマペット)はショボく感じるかもしれない。でも1990年当時は、ここまで来たか!と思ったものだ。異形の者が出てくる作品はたくさんあるが、“ミュータント”のデザインの発送(というか絶妙なエグさ)は、非常にユニーク。
また、お色気、暴力、差別的な表現のいずれにおいても、制限しようとか配慮しようとかいう意志が薄く、それが結果的に大人の鑑賞に堪えうるSF作品に繋がっている。こに仕上がりの軽さと、短めの上映時間のおかげで、TV放映にはもってこい。今後もことあるごとに放送されると思う。

シャロン・ストーンは、『氷の微笑』の2年前。中途半端な美人で暴力的なビッチをうまく演じている。もう、ベースが二流俳優であることがはっきりわかる。

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imageX0081.Png公開年:1993年
公開国:アメリカ
時 間:115分
監 督:マルコ・ブランビヤ
出 演:シルヴェスター・スタローン、ウェズリー・スナイプス、サンドラ・ブロック、ナイジェル・ホーソーン、ベンジャミン・ブラット、デニス・リアリー、グランド・L・ブッシュ、スティーヴ・カーン、ボブ・ガントン、 グレン・シャディックス、パット・スキッパー 他
ノミネート:【1994年/第3回MTVムービー・アワード】悪役賞(ウェズリー・スナイプス)
【1993年/第14回ラジー賞】ワースト助演女優賞(サンドラ・ブロック)

1996年、ロサンゼルス。“デモリションマン(壊し屋)”と呼ばれるスパルタン刑事は、、30人の人質をとってビルに立てこもった凶悪犯フェニックスを逮捕するが、フェニックスの罠にはまり人質全員が死亡してしまう。その責任を負わされたスパルタンは、70年の冷凍刑に処せられる。そして、フェニックスも同じ刑に。2023年。社会はすべてコンピューターで管理され、コクトー市長による高度な情操教育によって犯罪のない快適な生活を送っている。そんな中、仮釈放を審議するために、36年ぶりにフェニックスが解凍されることに。しかし、フェニックスは看守たちを殺して逃走。すっかり平和になっている世界の警察官は、フェニックスを捕まえることができない。そこで、伝説の刑事スパルタンを解凍し、フェニックスを追わせることにするのだったが…というストーリー。

過去のSF作品っていうのは、実際にその年になってみると、違ったな…というのが大半。本作は、こんな社会になってますという部分は、おもしろSFなので脇に置くとして、テクノロジーの進歩についての描写については、多分2012年からあと20年たったら、この方向で進むんじゃないかという、妙な説得力がある。
2010年に大震災があるとか(ロスだけど)、微妙に当たってたり。

悪ノリした軽いSFということで、悪評されることも多いのだが、こういう微かにコメディよりで、ノリで押し切るSFのどこが悪いというのだろう。こういうマンガ映画的なノリこそ至高。今は、いかに設定をリアルにするか、派手にするか、奇を衒うかばかりで、こういうセンスが失われていると思う。今だったら、地下組織の方に焦点があたって、革命モノのSFになっているんだろう。(もう少し、そっちに比重を置いてもよかった気はするけど)

カーアクションの銃撃戦も『Black & White/ブラック & ホワイト』なんかよりも、数段上。結局、貝の使い方はわからないまま…という、こういうレベルのコメディは、けっこう時間が経過しても、陳腐化しないものだ。深夜のTV放送とかで、4年に一回くらいやっても、それなりに視聴率を取り続けそうなのは、こういうレベルの作品なんだろうな。

スタローンが未来のSF世界に全然マッチしないことを逆手にとった設定もよし。
ウェズリー・スナイプスは前年の『パッセンジャー57』で主役をはっているが、日本人の強く印象付けられたのは、本作の悪役っぷりだと思う。スタローンを生かし且つ自分も生きる、いい仕事をしていると思う。
サンドラ・ブロックがラジー賞にノミネートされているが、ちょっとウザいけれどおとぼけな女の役を演じきっただけなのに、なんで低評価されねばならんのか。ほんと、ラジー賞は、センスのない映画賞だと思う。人を貶す賞が、センスを失ったらただの悪口じゃないか。

個人的に好みの作品。

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image1998.png公開年:2012年  
公開国:アメリカ、カナダ
時 間:87分  
監 督:ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ
出 演:ウォーレン・クリスティー、ロイド・オーウェン、ライアン・ロビンズ  他
コピー:人類が40年間、月に行かなくなった本当の理由とは?
NASAが隠し続けた最後のアポロ計画




計6回の有人月面着陸に成功したアポロ計画は、当初20号まで予定されていたが、予算削減により1972年の17号で終了となった。しかし、その中止理由は本当に予算の問題だったのか。それから40年が経ち、その謎に迫る重要な映像が発見された。そこには、公的には存在しないはずのアポロ18号による月面着陸ミッションの一部始終が記録されていたのだったが…というストーリー。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』と同じ手法で、それにアポロ計画をミックスしてみた企画。悪い着眼点ではないが、アイデアとしては、けっこう凡庸かも。

はじめの方は、発見されたフィルムだという設定が許容できなくもない。しかし、吹き替えで観たせいだとは思うが、インタビューのやりとりがインチキ臭い。例えば、家族には、任務で日本へいっていた…とか、もっとそれらしいセリフはあったと思う。現代の視点が漂っており、眉唾さ満載。興醒めしてしまった。このライターは、あまりセンスがないかも。
はじめのインタビューは戻ってきたことを意味するのか否か。結果からいうと、あまりセンスのよくないミスリードだった。

映像はフィルム撮影という設定なのだが、途中からデジタルくさくなってくる。以降、すっかり本物の映像だなんて思えなくなり、もう戻ることができなくなる。あとは、サスペンス物として、どれだけ魅せることができるかの勝負である。さて、どうなるか。

ソ連もいた!ってのは、結構おもしろかったのだが、宇宙で狂っちゃう系のお話は、手塚治虫とかで慣れているしなぁ。結局、感染モノとか地球外生物モノにおさまっちゃったのも芸がない。
それ以降は、おかしな表現のオンパレード。ストロボのずきゅ~~んって音。月面で聞こえるもんかねえ。船内での撮影は、カメラを置いていたっていうことで許容できるが、究極的に命の危機に晒されパニック状態なのに、フィルムのまわったカメラを持って走り回り、且つピントが合っているというのは、違和感を感じざるを得ない。それを気にさせない演出や、巧みなシナリオ運びができていればいいんだけど、もう、ムチャクチャ。

もう、秘蔵フィルムであるという設定が、完全に首を絞めてしまっている。このNASAに眠っていたフィルムという設定が、一番この映画をつまらなくさせている原因だと気付くべきである。そこに気付いたら、始めにもどって、企画から練り直すべきだったろう。

これは駄作。アポロ計画物の作品は軒並み好きなんだけど、これはダメだわ。

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プロフィール
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クボタカユキ
性別:
男性
趣味:
映画(DVD)鑑賞・特撮フィギュア(食玩/ガシャポン)集め
自己紹介:
一日一シネマ。読んだら拍手ボタンを押してくだされ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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