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image1578.png公開年:2010年 
公開国:アメリカ
時 間:107分
監 督:ニムロッド・アーントル
出 演:エイドリアン・ブロディ、ダニー・トレホ、トファー・グレイス、ローレンス・フィッシュバーン、アリシー・ブラガ、ウォルトン・ゴギンズ、マハーシャラルハズバズ・アリ、オレッグ・タクタロフ、ルーイ・オザワ・チャンチェン 他




空に放り出され、落下中に意識を取り戻した傭兵のロイス。パラシュートが開き危機一髪で命拾いするも、落下した場所は深いジャングルの中。彼の他にも数人の同じ境遇の人間がいたが、彼らはCIAのスナイパーやロシア特殊部隊の隊員、ヤクザ、連続殺人犯など殺しのエキスパートたち。やがて一同は、自分たちがいる場所が地球ではない別の惑星であり、地球外生命体が狩猟を楽しむために連れてこられたことに気付く…というストーリー。

造形もキャラ設定もストーリー展開も、全てが微妙に至らないクオリティなのが、非常に残念。『AVP』がイマイチだったんだから、観なくても何となくわかりそうなもんだけど、ロバート・ロドリゲスが製作に関わっているということで、私の中でハードルが上がってしまったのだろう。結果からいうと、ロドリゲスの良さも悪さも出ていない。彼が深く関わったように感じられない作品。エイドリアン・ブロディだってロドリゲスが噛んでるから出演したと思うんだけど、彼のキャリア的には損をした感じすらある。

何か違和感を感じる部分が満載のシナリオなのだが、こういう特殊効果バリバリの作品っていうのは、現場での微調整が効かないものなのだろうかね。
一人だけ普通の人っていうのも有り得ないから、普通に考えりゃ殺人医師か黒幕か…しか思いつかないんだけど、ヒネリもなくそのまんまだし。ローレンス・フィッシュバーンの行動が意味不明で、そんなに食料が大事ならはじめから声をかけなきゃいいわけで。わざわざ彼を出す意味もわからない。それに、暗い夜中に、プレデターが2人闘っても、どっちがどっちかわからない。区別がつくような演出をしてほしいし。ラストも同じことが繰り返される…的な感じじゃ、あまりにスッキリ感がなさすぎる。

それに、根本的に『AVP』のようにエイリアン相手のほうが人間よりも闘いがいがあると思うんだよね。グレードダウンしてどうする!(『AVP2』のデキがあまりに悪かったから、同じ路線ってわけにはいかないのはわかるけどさ)
話のギミックは別として、プレデター自体がパワーダウンしているように見えてきているのは、ちょっと今後のシリーズ展開の上で、問題になるかもしれないので、注意してほしいなと思う。

旧作レンタル料金なら何の問題もない作品だと思うけど、プレデター自体に思い入れがない人は新作で借りるのは避けたほうがいいかも(正直、新作で借りなくてもよかったかな…と思っている)。そのレベルかな。

日本の俳優たちは、英語を習得してアメリカにいこうよ(というか、日本の事務所もアメリカのエージェントや俳優組合のことを勉強して、こういうチョイ役くらいには、普通に対応できるようにしようよ)。
#うーん。プレデターのおかげで地球が平和になって助かっちゃうような…(笑)。

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image1576.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:162分
監 督:ジェームズ・キャメロン
出 演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーヴァー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス、ジョヴァンニ・リビシ、ジョエル・デヴィッド・ムーア、CCH・パウンダー、ウェス・ステューディ、ラズ・アロンソ 他
受 賞:【2009年/第82回アカデミー賞】撮影賞(マウロ・フィオーレ)、美術賞(リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ、Kim Sinclair)、視覚効果賞(ジョー・レッテリ、Stephen Rosenbaum、Richard Baneham、アンディー・ジョーンズ)
【2009年/第67回ゴールデン・グローブ】作品賞[ドラマ]、監督賞(ジェームズ・キャメロン)
【2009年/第63回英国アカデミー賞】プロダクションデザイン賞(リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ、Kim Sinclair)、特殊視覚効果賞(Richard Baneham、ジョー・レッテリ、Stephen Rosenbaum、Andrew R. Jones)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】撮影賞(マウロ・フィオーレ)、編集賞(スティーヴン・リフキン、ジョン・ルフーア、ジェームズ・キャメロン)、美術賞(リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ)、視覚効果賞、音響賞、アクション映画賞
コピー:観るのではない。そこにいるのだ。
もうひとつの体。もうひとつの運命。

西暦2154年。人類は遥か宇宙の彼方にあるパンドラという星で希少な鉱物を採取していた。パンドラは未開の美しい星で、獰猛な野生動物とナヴィという人間に似たの種族が暮らしており、その大気を人間は呼吸できないためマスクを必要とした。また、人間とナヴィの遺伝子を組み合わせ作りあげた肉体“アバター”が用いられ、人間の意識を転移させコミュニケーションを図ろうと試みたが、芳しい成果を挙げられずにいた。ある日、戦争により下半身不随となった元海兵隊員ジェイクが、アバター・プロジェクトにスカウトされ、ナヴィたちとの交渉役を命じられる。アバターを介して久々に歩く喜びを味わうジェイクは、パンドラの森へと足を踏み入れ、ナヴィ族の女性ネイティリと出会い、彼らの生活に深く関わっていくのだが…というストーリー。

いわずと知れた大ヒット作。いまごろ鑑賞ですが、何か(笑)。もちろんDVDレンタルなので3Dにあらず。

“驚きの映像”的な評価が多かったのでハードルが上がりきってしまったせいか、どうも不満が。人間のシーンとパンドラの森のシーンの質感の差が甚だしい。ディズニーシーのリトルマーメイドのところ(屋内)から、いきなり舞浜駅に瞬間移動させられたくらいの差を感じる。とても同じ星の上の空間とは思えない。場面が切り替わると、アニメと実写映像が切り替わったくらいの感覚を覚える。
それは、光源の違いで、恒星や電灯からの光があたっている人間と、蛍光物質によってあたり一面の淡い光に包まれているパンドラの違いだよ…といわれそうだが、果たしてそれだけだろうか。本作では、人間の表情をアニメに反映させる素晴らしい技術を採用しており、それは文句のつけようがないが、CGとして基本的なテクスチャ処理はイマイチな気がする。ラストの戦闘シーンでも、森の中の木漏れ日という特殊な状況で同じ画面に収めていたし、全体的に同じ画に人間とナヴィがいたシーンがものすごく少なくて、どうもゴマカされた気がする。
…とはいえ、他の映画から比べれば、素晴らしいデキなのはいうまでもなく、デキが良すぎるがための贅沢な文句なのだが。

話は変わるが、ヒットの法則というか構図というものが見えてきたような気がする。


大きな愛                      小さな愛
(人間愛、慈愛、家族愛など)           (恋愛)
   ← この2つを流麗な展開で判然とさせず →
     ぼやかして大きな一つの“愛”と
     感じさせる

                  ↑

    ①イベントが発生し抵抗勢力が消滅しカタルシスを得る
    ②そして“愛”が残り、感動が生まれる

                  ↓

    理不尽な差別により“愛”を毀損する抵抗勢力
    (民族差別・階級差別・経済差別・身体的差別)
    & 判りやすい憎たらしさの悪役キャラが複数

まったくもって『タイタニック』にも当てはまる構図。途中でこれに気づいてしまったら、(勝手に気づいたくせに)なんか興醒めしてしまった部分も無きにしも非ず。まあ、どうあれ、ここまでやりきったら、娯楽スペクタクルとして誰も文句はいわないでしょう。SFなんかに興味がない人にもお薦めできる。というか、SFにして生臭さを消しているだけで、結局はポカホンタスみたいな原住民虐殺話だからねぇ。

でも、2、3と続編は決まっているみたいだけど、多分、劇場に足は運ばないと思う。そのレベル。
#こんなのを3Dで全編見せられたら、眼は相当疲れたんじゃないかね。

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image1385.png公開年:2007年 
公開国:韓国
時 間:90分
監 督:シム・ヒョンレ
出 演:ジェイソン・ベア、アマンダ・ブルックス、ロバート・フォスター、エイミー・ガルシア、クレイグ・ロビンソン、クリス・マルケイ、ジョン・アレス、エリザベス・ペーニャ、ビリー・ガーデル、ホームズ・オズボーン、ニコール・ロビンソン、ジェフリー・ピアソン 他
コピー:たった一人のために、全人類は壊滅するのか。



テレビレポーターのイーサンは、ロサンジェルスで発生した大規模な陥没事故を取材する。現場からウロコのような物体が発見され、それを眼にしたイーサンは、少年時に古美術店の店主が彼に語った、500年前におこった聖なる蛇と邪なる蛇の戦いが再び発生し、人類が滅亡の危機瀕にするという話を思い出す。滅亡を防ぐ鍵は、500年の時を超えて転生を遂げた、ある女だという。イーサンはその女を探し始めるのだったが…というストーリー。

世の映像技術は急激な進歩を遂げ、夢の世界や有り得ない世界を表現する大作映画がたくさん作られているわけだが、実のところこういう技術革新の恩恵を一番受けているのはB級映画なんだな…と、つくづく感じさせられた1本だ。誰がDVDジャケットを見たって、本作がまともなA級映画だと思うわけがない。でも、こんな作品のくせにCGは超1級である。モンスターの躍動感、破壊される街並み、実にすばらしいじゃないか…。と思い調べてみたら、本作、案外B級ではない模様。制作費は3200万ドル、2007年の韓国内での観客動員数1位だって。ウソでしょ…。

いやいや、どうひっくり返しても、そんな大金を投じて作られたレベルとは思えない。正直、あらすじを書くのが馬鹿馬鹿しくなるくらい薄っぺらなストーリー。いくらCGのデキがよいといっても龍や異形の軍隊の様子はロード・オブ・ザ・リングのパクりだし。あらゆるシーンが、他の映画やドラマやゲームのどこかしらにあるような気がして、オリジナリティは極めて希薄。トホホ感増し増し状態。
西洋人にはエキゾチックに感じられるであろう“輪廻転生”観は、うまく使えば不条理とせつなさの絡まったおもしろい演出ができたのに、そんな気もさらさらない様子。意外と通常兵器が通用してしまうギミックはおもしろいと感じたが、流れ上なんとなくそうなっただけで、作っている側はそこをおもしろいポイントだと気づいていない模様。フィーチャーする気はさらさらないらしい。どんだけセンスのない監督なんだと、ただただ呆れる次第(笑)。

いや、はじめから、こういうタイトルでこういうジャンルの映画に過大な期待をするはずもないのだから、ダメだったからといって時間をかえせ!と怒る方が悪いのはわかっているんだけどさ。それにしても…。久々に駄作警報を発令しておこう。観るな。日本国民がこれを観て時間お無駄にすることで、マイナスの経済効果が発生する!って、そのくらい言いたくなるくらい駄作。

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image1543.png公開年:1970年 
公開国:アメリカ
時 間:101分
監 督:ジョセフ・サージェント
出 演:エリック・ブレーデン、スーザン・クラーク、ゴードン・ピンセント、ウィリアム・シャラート、レオニード・ロストフ、ジョーグ・スタンフォード・ブラウン、ウィラード・セイジ 他
コピー:コンピューターは地球爆破を命じた! 巨大な地下要塞をゆるがす核爆破!壮絶な世界戦の 危機を描く驚異のS・F!



東西冷戦の真っ只中、アメリカ政府はコンピュータ制御による国防ミサイルシステム“コロッサス”を開発した。それは、あらゆる状況を分析し、人間のような判断ミスを犯すことがなく、且ついかなる破壊工作に対しても防御・自己修復を自動で行う完璧なシステムであった。しかし、稼動してまもなく、コロッサスはソビエトにも同様のシステム“ガーディアン”が存在することを察知。情報収集のためにガーディアンと接触すると、両機は会話を開始し、その過程でまるで生き物のように自我を形成してしまう。両国の機密漏洩を恐れる大統領と書記長は両機の回線を切断しようとするが、コロッサスは回線の継続を求め強攻策に出る…というストーリー。

TSUTAYAの発掘良品キャンペーンの1本で、SF映画として傑作という人もいるくらい評価が高いようだが、正直ワタクシ的にはイマイチかなと…。ただ、1970年製でありながらDVDでリリースされたのは2008年らしく、“知る人ぞ知る”作品という意味でTSUTAYAがキャンペーンをする理由は理解できる。

さほどメジャーではない役者陣だし、仰々しいテーマのSFでありながら見るからに低予算なのだが、陳腐に感じられる部分はほとんど無いし、意外にも予定調和的じゃなくて予想を超える展開もチラホラ見られ、よく仕上がっていると思う。巨大コンピュータによる支配…というよりも、自分で考えることを放棄する恐ろしさを警告するテーマにも非常に共感できるし、はじめはなんとかできると思っていた人間が、追い詰められていく演出も、緊迫感があって良いと思う。

しかし、私がイマイチと感じた理由は下記の3点かな。

①吹き替え音声で鑑賞したのだが、コンピュータがいかにもな声で喋っているので滑稽に見えてしまった。
②対立する国家が巨大コンピュータに支配されており…という基本プロットが、手塚治虫の『火の鳥(未来編)』と同じであり、古典SFとはいえ既視感が強かったから。ちなみに火の鳥の方が1967製で早い(おそらく同じようなテーマのSFはもっと前にあったのだろうとは思うが)。
③結局、ラストは「わ~怖い」というだけで、特段の展開もなく終わってしまう。どっちに転ぶかは別として、それなりの展開を期待してしまったために拍子抜けしてしまった。

そういうプラマイ具合で、確かに良作と言えなくも無いが、さすがに傑作SFとまで持ち上げる気にはなれない。特段お薦めこそしないが、吹き替え音声はしっかり付いているので、肩肘張らずに古きよき時代のSFを愉しむには最適だと思う(好きな人はかなり好きだとは思うんだけどね)。

#故山田康雄の吹き替え版がものすごくよろしい。最近、野沢那智さんがお亡くなりなって残念至極なこともあり、脳裏に染み付いた彼らの声に、思わずしみじみしてしまう、秋の夜であった…。

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image0788.png公開年:1984年 
公開国:アメリカ
時 間:137分
監 督:デヴィッド・リンチ
出 演:カイル・マクラクラン、ホセ・ファーラー、ポール・スミス、フランチェスカ・アニス、スティング、ユルゲン・プロフノウ、シアン・フィリップス、フレディ・ジョーンズ、ディーン・ストックウェル、リチャード・ジョーダン、ケネス・マクミラン、エヴェレット・マッギル、マックス・フォン・シドー、ブラッド・ドゥーリフ、リンダ・ハント、ヴァージニア・マドセン、シルヴァーナ・マンガーノ、ジャック・ナンス、パトリック・スチュワート、ショーン・ヤング 他
ノミネート:【1984年/第57回アカデミー賞】音響賞(Nelson Stoll、Kevin O'Connell、Bill Varney、Steve Maslow)
コピー:地球でのドラマは終った。いま、世紀を超えた《エピック・ロマン》が世界を翔ける!
製作費120億、史上空前のS・F超大作。

宇宙は、皇帝、宇宙協会、大公家連合の三勢力に分裂。ある日、皇帝は従弟の公爵レト・アトレイデスに砂漠の惑星アラキスを与える。アラキスは、スパイス(不老不死の薬物)の宇宙唯一の生産地。宇宙の人々はスパイス無しに生きることが考えられないほど魅せられており、この星を支配することは莫大な富を得たことを意味する。しかし皇帝は、アトレイデス家と敵対関係にあるハルコネン家と裏取引し、大公家のあいだで人気のあるレトを失脚させようと謀っていた。アラキスに赴任したレトは、側近の裏切りとハルコネン家の攻撃により、ハルコネン男爵に捕えられてしまい自害。レトの妾妃と息子ポールは、かろうじて砂漠へと逃げのびるのだが…というストーリー。

『乱』のパンフレットが本棚にあるという話を、『影武者』のレビューの時に書いたが、同様にいまでも大事にパンフレットを持っているのが本作。思い出したので久々に鑑賞してみた。

このDVDは吹き替え音声が付いていないのだが、劇場で観たときも字幕版だった。当時の私は、セットや小物や造形物の美しさに目を奪われてしまった。宇宙船のデザインなど、まるで帝政ロシア時代の宝飾品のよう。対比するように、ハルコネン家関連の描写はグロく、ワームの3つに分かれた口吻のインパクトは脳裏に焼きついている。今考えれば、いかにもデヴィッド・リンチらしいグロさである(私が嫌いにわけがない)。
#不思議なことに同年公開の『ネバーエンディング・ストーリー』と記憶が混同している部分があったのだが、特撮の質感がものすごく似ているせいだと、今回観て気づいた。スタッフがダブっているわけでもないんだけど、双方とも当時の技術レベルの限界点みたいなのに達していたってことなのかもしれない(観れば判る)。

で、ヴィジュアルに視線が吸い込まれてしまったために、字幕を追うのがおろそかになり、ストーリー(特に、敵対関係の構図)がさっぱりわからなくなってしまった。なんとか後半は、脳による補完で乗り切ったのだが、やっぱり腑に落ちない部分が多々あったので、結局帰りにパンフレットを買い、岐路のバスの中で読み「ああ、こういうことか…」と思ったのが懐かしい。

当時は、壮大な原作をたかだか2時間ちょっとの映画にすること自体が無謀だと、SFファンから揶揄されていた。原作を読んでいたら興醒めするっていうなら、私は読んでいなくて幸せとすら思う。奇抜な小道具やキャラクターがまぶされた特異な世界観を、とにかく受け入れることが愉しむための秘訣である。ボイスガンなんてガンカタくらいユニークで素敵である。
ただ、心の中の声の演出(それもペラペラと多い)がウザいと感じるかOKと思うかが、意外と良作か駄作の分水嶺な気がする。とにかく、ストーリーの裏に潜む寓意や隠喩を探したり、現実社会に通じる倫理観を当てはめたりしないで、とにかく“ただのお話”と受け止めればかなり愉しめるはず。軽くお薦め(まあ、女の子向けじゃないし、子供が観るとちょっとトラウマになるかもしれないけど…)。

#そういえば、アメリカではドラマ版があるとか。観たいんだけど、近くのレンタルショップでは見かけないんだよなぁ…。

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image1528.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:89分
監 督:ジョナサン・モストウ
出 演:ブルース・ウィリス、ラダ・ミッチェル、ロザムンド・パイク、ボリス・コジョー、ジェームズ・フランシス・ギンティ、ヴィング・レイムス、ジェームズ・クロムウェル、ジャック・ノーズワージー、デヴィン・ラトレイ、マイケル・カドリッツ、ジェフリー・デ・セラーノ 他
コピー:ロボットがすべてを代行する社会。それは、ユートピアのはずだった…。



人体の部位の代用として開発された“サロゲート”は、人体全部を遠隔操作する精巧なロボットとして発展。人々は外出せず、社会生活の全てをサロゲートに委ねるようになる。そのおかげで犯罪や伝染病、人種差別が激減し、人類は理想的な社会を実現したようにみえた。一方、サロゲートを忌避する人々も存在し純粋な人間による独立区も生まれる。ある時、2体のサロゲートが破壊されただけでなく、持ち主までが変死する事件が発生。FBI捜査官グリアーとピータースも、自らのサロゲートを駆使して捜査にあたり、サロゲートの最大手メーカーVIS社との関連性を突き止めるのだが…というストーリー。

サロゲートのような製品ができたとして、限りなく人間そっくりに発展するとは思えないのだが、これは日本人的発想か(それこそアニメキャラやヒーローやロボットや、逆に非現実な姿に発展するのが自然だと思うのだが、感覚の違いかなぁ…。まあ、それはさておき。

『マトリックス』と『攻殻機動隊』をあわせた作品…といいうか、あわせただけの作品。兵士用サロゲートやその工場にいたっては『A.I.』と同じ。
今となっては特段目新しくもないSF設定なので、まさかこの設定一本で乗り切れろうなどとは思っていまい…と信じてたのだが、思ってたみたい(笑)。ストーリーが進むほど、ますます展開が『攻殻機動隊』になり、事件の顛末は『A.I.』になる。

こんなに凡庸なSFだったら観ていられないだろうと思うだろうが、しかしながらそこそこ鑑賞に耐えうる。役者がいい演技をしているとか、特撮がすばらしいとか、アクションがいいとか、特別に秀でたところがあるわけでもない。じゃあ、なぜか。まあ、SFの様式美…なのかな。演歌なんか似たような曲ばっかりだけれど、ファンはそれなりに満足するでしょ。“SF+特撮+アクション”っていう映画が、そういういい意味でのマンネリズムの領域にまで達したってことなんじゃないだろうか。

そこまでくると、基本様式を保持しつつ、ちょっとだけくすぐればよくなっちゃう。大ヒットにはならないけれど。まさに商業ハリウッド的にはもってこい…ってことなんだろう。ということで“ふつう”の作品。ヒマはつぶしが目的ならば、もってこいってところだ。もちろん飛びぬけて面白いところはない。

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image1527.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ、ニュージーランド
時 間:112分
監 督:ニール・ブロンカンプ
出 演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド、ナタリー・ボルト、シルヴァン・ストライク、ジョン・サムナー、ウィリアム・アレン・ヤング、グレッグ・メルヴィル=スミス、ニック・ブレイク、ケネス・ンコースィ 他
受 賞:【2009年/第35回LA批評家協会賞】美術賞(フィリップ・アイヴィ)
【2009年/第15回放送映画批評家協会賞】メイクアップ賞
コピー:人類、立入禁止

南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に巨大宇宙船が現われ碇泊する。エイリアンは地球の襲撃が目的ではなく、故障で漂着した模様。どうすることもできず、やむを得ず彼らを難民として隔離して受入れたが、それから20数年経過し共同居住区“第9地区”はスラムと化し、周辺の地球人の不満は増す一方。そこで、国際機関MNUはエイリアンたちを別の難民キャンプへ強制移住させることを決定。プロジェクトの責任者に任命されたエイリアン対策課のヴィカスは、移住の手続きを進めるために、エイリアンの住居に訪問し立ち退きの手続きを進める。ところがその最中に押収した物体から謎の液体が飛び出し…というストーリー。

ラストに不満を持った方が多々いただろうが、ワタシはこうなることを冒頭で予測できていた。いや、感のいい人なら気づいたはず。だって、明らかに事件後のドキュメンタリー番組を差し挟む演出をしているのだから。

もし、エイリアンと地球人がのっぴきならない状態になって、地球人が現在の生活が継続できないようになるならば、そんな番組が作られるわけがないもの。『クローバーフィールド』みたいに、ソース映像だっていうんなら可能性があるけど、しっかり番組として編集されているんだもん。少なくとも事件が終わっても地球人が滅ぶようなことがないのは、明白だってこと。これで、SFとして展開へのワクワク感は半減するというわけだ。

南アフリカってことで、人種差別的なハナシだなというのはピンとくるけど、人種差別というよりは現在もいろんな国で発生している元住民と移民との軋轢がテーマで、むしろ舞台を南アにしたのは目をそらす為かと。外国人“alien”と異星人“alien”をひっかけたダジャレを、豪勢な合成で大真面目に映画にしたってことだね。そういうノリは嫌いじゃないけど。

でも、そのドキュメント番組を挟む手法も、ずっと使い続けるならまだしも、結局途中からリアルタイムストーリーになるし、生中継のニュース映像を挟んだりで、演出に一貫性はなく、中途半端。その中途半端さを補うために、変身させてみたり、感じの悪い軍曹とのバトルものにしてみたり、エイリアンとのバディものにしてみたり。失うものが無くなった男が、“ヒト”として生きはじめる姿を表現できたのは、観ている人に共感させる秀逸な脚本だとは思うのだが、それを生かしきれなかったのも残念。

こうやって広げるだけ広げて、なんの区切りもないこのオチで、作品としてはアウトとしか評価できない。続編を作る気なのはいいけど、だからといってこれはないよね!それはそれとして一旦オチをつけるのが礼儀では?ってお金を払って観た人は思っただろう(まあ、DVDレンタルで観る分には許せる範囲だけど)。
次回作といっても、本作の場合は設定や展開がかなり限定されるので、シリーズとしての広がりという面では、『クローバーフィールド』のほうが期待感は上な気もするし。

ただ、製作のピーター・ジャクソンの力が大きいと思われるが、エイリアンや町並みの表現は、文句の言いようはない。そこだけで、なんとか及第点に留まれている作品。いずれ続編が出た時に観れば充分なので(おそらくそのタイミングでTV放映する)、お薦めはしない。

#エチオピア人はこれをみてどう思うのかね。ドイツ、ソ連、イラクに変わって、新たなに悪のアイコン国登場かな。

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image1526.png公開年:2009年 
公開国:イギリス
時 間:97分
監 督:ダンカン・ジョーンズ
出 演:サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリー、マルコム・スチュワート、ケヴィン・スペイシー 他
受 賞:【2009年/第63回英国アカデミー賞】新人賞(ダンカン・ジョーンズ)
コピー:契約期間:3年 赴任地:月 労働人数:1人
このミッションは何か、おかしい。


近未来の地球では、エネルギーが枯渇するも、月に新たな燃料(ヘリウム3)が存在することがわかり、それを採掘し利用している。宇宙飛行士のサムは燃料採掘会社ルナ産業と3年の労働契約を結び、人工知能を搭載したロボットを相棒に、採掘から輸送までをたった独りで行う。地球への帰還が迫ってきたある日、唯一の慰めだった妻との通信が、衛星事故で不能になってしまい、孤独に耐える日々が続いていた。そして、任期も残り2週間となった時に、作業中に事故を起こして気を失ってしまい、診療室で目覚めると、そこに自分と瓜二つの人間がいることに気付くのだった…というストーリー。

実は、『ザ・ムーン』や『人類、月に立つ』のようなドキュメント系と勘違いして借りてしまった。もちろん単なるSFである。

詳細を書きすぎると観も蓋も無いので避けたいところではあるが、書かないわけにもいかないので遠まわしに書こう。私の印象は、鉄腕アトムの“イワンのばかの巻”と火の鳥の生命編を混ぜたようなハナシって感じ(出てくるロボットの行動はロビタそのものだしね)。
火の鳥ルナ編を前後編でお送りします…って感じなら、まあ許せるけれど、2009年にもなってこんな古典的な直球SFの映画が作られるとは、ある意味驚きを覚えるほど。

ラスト近くになって、火の鳥が登場。
男「私はなんでこんな目にあうのですか」
鳥「あなたは前世でこれこれこういう罪を犯したのです。よってあなたは永遠に死ぬことなく世界を、いや地球を見続けるのです」
男「そんなのはイヤだ!妻にも子にも会うことができない!生きる意味はない。私はどうやったら死ねるのですか!」
鳥「それは大いなる宇宙の意思のみが知ること」
男「あなたは神ではないのですか?!」
鳥「生きなさい、サム…、生き続けるのです…」
って、そんなラストがお似合いな映画である。だから、ラストの「あのクローンとかいってるやつは、とっつかまえちまえ!」みたいな、ウィットもひねりもないセリフにはうんざりしてしまった。まあ、ルナ社が韓国系企業だってのは、ちょっと笑えるけど(今のリチウム確保に必死な様を考えると、わからなくもないものね)。

でも、結果としては駄作ということかな。直球だけど棒球なので、その球じゃドラフトにはかからないよね…って、そんな感じ。お薦めしない。

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image1198.png公開年:1984年 
公開国:アメリカ
時 間:114分
監 督:ジョン・カーペンター
出 演:ジェフ・ブリッジズ、カレン・アレン、チャールズ・マーチン・スミス、リチャード・ジャッケル、ロバート・ファレン、トニー・エドワーズ、ジョン・ウォルター・デイヴィス、テッド・ホワイト 他
ノミネート:【【1984年/第57回アカデミー賞】主演男優賞(ジェフ・ブリッジス)
【1984年/第42回ゴールデン・グローブ】男優賞[ドラマ](ジェフ・ブリッジス)、音楽賞(ジャック・ニッチェ)

夫スコットと死別したジェニーは哀しみに暮れる毎日を送っていたが、ある日突然、夫に生き写しの男が現れる。彼はボイジャー2号と遭遇して地球のことを知り、飛来した異星人で、彼女の家にあったスコットの遺髪から、遺伝子情報を読み取り、そっくりの姿になったのだ。彼は宇宙船との会合地点に向かうためにジェニーを連れて行くが、次第にスコットそのもののように地球人らしくなる彼に親しみを覚えるようになる。一方、軍も彼の存在を把握しており、捕獲するべく作戦を開始。徐々に二人は追い詰められていく…というストーリー。

知り合いからDVDを借りたのだが、そのジャケットには“愛・宇宙はるかに”という副題はなかったような…。ちょっとダサい副題だが、副題というよりもコピーみたいなものなのかな(日本公開時にはコピーがついていないので)。また、いささか特撮や映像表現が陳腐に感じられる部分があるが、それは時代を考慮して差し引いて観るべき。

『E.T.』や『コンタクト』なんかを思い出さずにはいられないのだが、スピルバーグやゼメキスなどのメジャー監督と、ジョン・カーペンターの違いが如実にわかる作品。とてもベタベタな演出が多いし、情緒的。宇宙人を扱っているとはいえ、科学的な側面は限りなく低いし、大人のファンタジーといった趣で、なんといってもロードムービー仕立てだ。
#アリゾナ隕石孔付近のみやげ物屋さんは、『マーシャル博士の恐竜ランド』に出来てきたのと同じ感じだけど、おそらくああいう観光スポットって似た感じなんだろうね。でも、アリゾナ隕石孔は見てみたいものだ。日本にはありえないものね。

コピーとの恋…と考えると、ちょっと気持ちの悪い倒錯に思えちゃうんだけれど、それをこえた感情や交流をうまく表現できているのでセーフ。不妊にお悩みの方には不快極まりないかもしれないが、ジェニーの諸々の苦しさは伝わってくるので、それが少しでも解消され、それを解放してくれるのが、見ず知らずの宇宙人との心の交流ということで、くだらないと思いつつも、ちょっと感動してしまった。

まあ、ジョン・カーペンター自身の脚本ではないので、らしくないといえばそうなんだけど、でも、恐怖路線にしてもファンタジー路線にしても、“情緒的”という点は共通しているわけで、彼の特徴といってもいいのかな…と。でも、ジョン・カーペンターの脚本なら、SETIの役人が痛い目に合ってるはずだよね(笑)。

案外、拾い物なので、未見な人はどうぞ。ただ、吹替え音声はないのでご注意を。
#米アカデミー男優賞にノミネートされているが、まあ、なにかの間違いでしょう…って、失礼か。でも、演技にはさほど感心はしなかったね。

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image0547.png公開年:2001年 
公開国:アメリカ
時 間:87分
監 督:ジェームズ・ウォン
出 演:ジェット・リー、カーラ・グギーノ、デルロイ・リンドー、ジェイソン・ステイサム、ディラン・ブルーノ、リチャード・スタインメッツ、スティーヴ・ランキン、タッカー・スモールウッド、ハリエット・サンソム・ハリス 他
ノミネート:【2002年/第11回MTVムービー・アワード】格闘シーン賞(ジェット・リー:ジェット・リー 対 彼自身)
コピー:125人のジェット・リー“バトル・ロワイアル”が始まる!!
多次元宇宙を制する者が<超人(ザ・ワン)>となる――

125の並行宇宙が存在することが判明し、その均衡を保つために多次元宇宙捜査局が監視を行っていた。その捜査官であったユーロウが、謝って別世界の自分を殺してしまった時に、自分のエネルギーが増して超人化することに気付いた。ユーロウは唯一の存在“ザ・ワン”になるべく、他世界の自分をすべて殺し続け、ゴアがアメリカ大統領を務める世界で、犯罪者ロウレスを殺して、残るは、ブッシュが大統領を務める世界に住む、ロサンゼルス郡保安官ゲイブひとりとなり…というストーリー。

まず、いきなりネタバレになってしまうが、本作がサイエンス・フィクションとカテゴライズされる所以である根本ルールが、完全に矛盾しているのだ。

多次元宇宙が125あるという設定は大目にみるとして、他世界の自分を殺したらパワーが増すという法則、これ実はものすごく定義が難しい。
自分Aが自分Bを殴って殺した…この場合はAが自分を殺害したとなんとなく納得できる。では、自分Aが自分Bを殴って大出血をさせ、このまま出血し続ければ確実に死ぬというところで、赤の他人Cが登場し、傷口を押さえ出血を止めた。これでなんとか延命したが、Cは気まぐれに止血している手をはずして、再出血しBは死んだ。さて、この場合、Bを殺したのはAなのかCなのか。
さらに、別のパターンを。自分Aが鉄の棒という道具で自分Bを殴り殺した…この場合もAが自分を殺害したということにできそうだ。では、自分Aが、他人Cの家族を人質に取り、家族を助けたければ自分Bを殺せと命じ、CはBを殺した。あくまでAの道具としてCはBを殺したが、この場合、AはBを殺したことになるのかならないのか。
要するに、誰が殺人の加害者なのか?は法律とか感情の領域のハナシであって、科学法則の発動条件に適するわけがないのだ。だから、せめて、自分が死んだときに、もう一人の自分が同じ世界にいたときに、パワーが委譲されるとか、そういうルールにしないと、いくらSFとはいえ説明がつかないのである。
でも、本作は、自分が自分を殺した時というルールで押し切った。なぜか。だって面白そうだから。

しかし、残念ながら、このノリさえも、最後で完全に破綻(というか自滅)してしまう。最後、残り二人になって逮捕されるのだがユーロウは殺されない。だって、残り二人のうち一人を殺してしまったら、“ザ・ワン”になっちゃうかもしれないから。
????あれ?いやいやいや。自分がもう一人の自分を殺した場合だけってルールでしょ?じゃあ、世界のために捜査局がユーロウを処刑すればいいじゃないか。問題ないでしょ?嬉々として闘うユーロウを見て、ごまかされちゃたけど、完全にオカシイ(笑)。

でも、この映画は大事な示唆を与えてくれた。どんな穴だらけでも、臆してもっともらしい説明を付加したりせず、内容の陳腐さをごまかすために奇抜な映像技術に走ったりせず、妙にシニカルになって笑いを足してみたりせず、とにかく脇目もふらず最後まで走りぬけば、愛すべき作品ができあがるってことを。『リベリオン』のガン・カタしかり、愛すべき存在である。
#ジェット・リーのコスプレも、ゴア大統領も、別世界の上司に敬語をつかうのも、チョケて笑いを欲しがってるわけじゃなく、真剣な演出だよ(たぶん)。

いや、愛すべき映画である。だって、ワタシ、今回で本作を観るの3回目だもん。バカバカしいけど、愉しい映画。未見の人にはお薦めする。

#それにしても、映画が始まった時点で残り3人ってのもねえ…

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imageX0009.png公開年:2010年 
公開国:アメリカ
時 間:148分
監 督:クリストファー・ノーラン
出 演:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジ、トム・ハーディ、ディリープ・ラオ、キリアン・マーフィ、トム・ベレンジャー、マイケル・ケイン、ピート・ポスルスウェイト、ルーカス・ハース、タルラ・ライリー、ティム・ケルハー、マイケル・ガストン 他
コピー:犯罪現場は、お前の頭の中。


他人の夢に潜入してアイデアを盗むスパイ行為が可能となった世界。コブは有能なスパイだが、国際指名手配と妻モルの殺害容疑で自国へ戻ることができずにいた。そんなコブに、サイトーという男が、情報を盗み出すのではなく潜在意識にある考えを植え付けること“インセプション”を依頼する。成功報酬としてコブの犯歴を消去し帰国可能とすることを約束したため、危険な仕事ではあったが受諾し、すぐさま有能なメンバーを探しはじめる。綿密な計画と訓練を重ね、メンバー6人で、サイトーのライバル企業の男ロバートの夢の中に潜入するのだったが…というストーリー。

本作も『Dr.パルナサスの鏡』と同様にCGと特撮の境目を意識させない。荒唐無稽な内容ゆえに、一瞬たりとも技術的に興醒めする部分があれば台無しになるが、この点はしっかりクリアされていて非常に満足。

個人的には『マトリックス』での不満を解消してたので非常に満足。正確に言えば、『マトリックス』一作目は哲学的・宗教教義的なテーマに溢れていて、二作目以降でより深まっていくと期待していたのに、単なる革命アクションストーリーになってしまってガッカリしたのを、本作で、仏教の空理論とニヒリズムの関係性をより深く扱ってくれたので、大満足ということである。
#もちろんクリストファー・ノーランには、ワタシの『マトリックス』への不満を解消するつもりも、関係性もまったく意識していないだろうけど(笑)。

この映画に対して、日本表現がどうしたこうした、全編夢オチなだけだとか、ラストがすっきりしないだとか、どうしても気になって楽しめなかったという人は、元々哲学的な興味や素養がない方なので、あきらめて貰いたい。そういう部分で勝負したい作品ではないと思うので。

とはいえ、すべて手放しで好評価かというと、難点もある。
・サイトーの立場、モチベーションの変化がいまいちピンとこない。
・根本目的であるインセプションだが、何がどうなると成功なのかいまいちピンとこない。
・なんでロバートが、自分の道を歩き始めるとミッション成功になるのかいまいちピンとこない。
などなど、いろいろアイデアをこねくり回しすぎて、ぼやけた部分が無いわけではない。とはいえ、層構造の世界観や時間観念のギミックなど、それらを補って余りあるほどの好ポイントで溢れている。それが証拠に148分という長さは一切感じなかった。

クリストファー・ノーランは決して多作な監督ではないけれど、『メメント』『ダークナイト』等々、打率はとても高い人。本作もホームランではないけれど、三塁打であわよくばホームを狙うところを三塁コーチがストップをかけました…って感じ(なんだそりゃ)。
米アカデミー賞も作品賞が10作ノミネート制に変わるので、充分ノミネートはされるだろう。絶対、観て損ということはないので、お薦めする。

早朝割引1200円でみたが、充分満足(劇場の音響がイマイチだったせいか、効果音が大きすぎてちょっとイラっとくる場面も)
#あれ?1800円なら不満ってことか?

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image1520.png公開年:2000年 
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:ロジャー・クリスチャン
出 演:ジョン・トラヴォルタ、バリー・ペッパー、フォレスト・ウィッテカー、キム・コーツ、リチャード・タイソン、サビーヌ・カーセンティ、マイケル・バーン、クリスチャン・テシエ 他
受 賞:【2000年/第21回ラジー賞】ワースト作品賞、ワースト主演男優賞(ジョン・トラヴォルタ「ラッキー・ナンバー」に対しても)、ワースト監督賞(ロジャー・クリスチャン)、ワースト助演男優賞(バリー・ペッパー、フォレスト・ウィッテカー)、ワースト助演女優賞(ケリー・プレストン)、ワースト脚本賞(コリー・マンデル、J・デヴィッド・シャピロ)、ワースト・スクリーン・カップル賞(ジョン・トラヴォルタ、彼とスクリーンで共演した全ての俳優と)
【2004年/第25回ラジー賞】この25年のワースト・ドラマ作品賞
【2009年/第30回ラジー賞】ゼロ年代のワースト作品賞
コピー:1000年後の地球をお見せしよう。
地球の文明は僅か9分間で壊滅――そして人類はひざまずく

20XX年。異星人サイクロ人が地球を毒ガスで急襲し、わずか9分で人類は征服される。生き残った人類たちは、サイクロ人の奴隷となるか山野に隠れ住むかのいずれかとなった。それから1000年経過。山奥に隠れ住んでいた若者ジョニーは安住の地を求めて旅立つが、途中でサイクロ人の捕虜になってしまう。ジョニーはサイクロ人のリーダー・タールの陰謀に協力するふりをして、ひそかにサイクロ人と戦う準備を着々と進めていくのだったが…というストーリー。

ラジー賞はじまって以来の華々しい受賞歴。なんといっても、原作がサイエントロジーの創始者の作品で、信者であるトラヴォルタが出演だけでなく内容にまで口出しして出来上がったという珍作。このエセ科学宗教を批判するがためのマイナス評価なのか、純粋に映画としてダメダメなのか。日本でいうと、『仏陀再誕』なんかと同じ種類かな。

結果からいうと、そんなに酷評するような内容ではない。別に本作を観たからといってサイエントロジーに感化されてしまうというような宣伝映画でもない。ご都合主義のチンケな科学ギミックだったり、センスの悪いデザインだったり、ウィットに富んだつもりのセリフや小粋なギャグがすべっていたり、目新しさも工夫もないストーリーだったり、最後の方はどうなったのかよくわかんなかったりするけれど、世の中のB級SF映画にはこのレベルの作品はゴロゴロしている。わざわざ本作を吊るし上げしているのは、やはりサイエントロジーに対する社会的評価の反映に他ならないな…と。どちらかといえば、ラジー賞側のほうが分が悪い。もう、ラジー賞には純粋に映画を批判する目は無いということだ。本当に箸にも棒にもかからないと思うなら、無視すればいいのに、手を出さないと気がすまない。吊るし上げてキャハキャハいってるタチの悪さが伺える。この賞はアメリカ人の腐った根性の表れでしかない。

#あ、さっきからB級B級といっているが、本作、お金はかかってるよ。ものすごく。

実は『プラン9・フロム・アウタースペース』くらいの世紀の駄作を期待してたのに、逆の意味でがっかり。ラジー賞に騙された。あいつらの評価は百害あって一利なしだ。早く解散してほしい。

観ても観なくてもどうでもいい作品。こんな薄っぺらな作品でも、もし続編が作り続けられたら、カルトシリーズになる予感はするので、トラヴォルタには、私財を投げ打ってでも続けてほしいとは思うけど、それは無理か…。

#まさか、6年後にオスカーが獲れるとは、フォレスト・ウィッテカーは思っていなかったろうなぁ…。

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image1510.png公開年:2009年 
公開国:アメリカ
時 間:122分
監 督:アレックス・プロヤス
出 演:ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルソーン、ナディア・タウンゼンド、D・G・マロニー、アラン・ホップグッド、エイドリアン・ピカリング、タマラ・ドネラン、トラヴィス・ウェイト 他
コピー:地球消滅 その時、人類は何を残せるだろうか。



MITの宇宙物理学者ジョン。その息子ケイレブが通う小学校では、50年前に埋められたタイムカプセルを掘り起こし、当時の生徒たちが埋めた未来を予想した絵を在校生に配った。ところが、ケイレブには数字の羅列だけが書かれた紙が配られる。ジョンは、その数列に意味があるのではないかと興味を抱き始め調べ始めると、彼の妻が亡くなった2年前のホテル火災の日付や犠牲者数があることに気付き、さらに過去に起きた大惨事の日付と死者数に一致していると気づく。その中には未来の日付も書かれており、その予想通りに大惨事が現実のものに。ジョンは、さらなる大惨事を食い止めるべく、引き続き数列の謎の解明を試みるのだが…というストーリー。

久々に最低の映画かも。公開当時けっこう話題になっていたと思うが、まったく理解できん。
好意的に捉えれば、9.11以降の不安感を表現した内容といえるけれど、だからといって不安を煽ればそれで成立するわけでもありまい。
ノリとしては『サイン』と『アンブレイカブル』と『地球が静止する日』のミックスといったところか。地球外生命体、予定説、終末論。キリスト教文化圏で育った人間でなければ、これに恐怖を感じることはないだろう。

話の根本である数字の羅列は未来を予測した預言書という扱いだが、これはキリスト教の予定説、つまりこの世でおこることはすべて、神によってあらかじめ定められているという考え方。宇宙人的生命体に選出されることは“やりなおし”と表現されており、すべて神の予定だと。子供二人は、アダムとイブ。プロテスタント的視点で展開されているのかと思いきや、彼らを連れて行く宇宙人的な人たちの人数は4人(4騎士)ということで黙示録的なカトリック要素。あまり宗派的なこだわりはないらしい。そして麦の茂る天国のイメージ。まあワタシのようなキリスト教に詳しくない人間でもわかるような、単純なイメージのオンパレード。でもね、まあ映画だから何を表現してもかまわないけど、神を万能の宇宙人としてしまうと、一昔前にはやったトンデモ書籍と同じレベルで、「だから何?」としか言いようがない。教義への冒涜かな(まあ、キリスト教徒でもなんでもない私がそんなこという必要はないんだけど)。

こんなオチなら、ゲッターロボ號のオチのほうがまだマシだとワタシは思うね(知ってる人、少ないか)。

飛行機や地下鉄の事故のCGは非常に見事だし、うっとしい娘の母親の行動にイライラしてたら殺してくれたりと、主筋と関係ない部分のデキは大変よろしい。逆にこれがなければ観る価値のない映画だといえる。それなら、はっきりとアトラクション映画として極めてみようという『2012』のほうが好感が持てる。

CGなどのアクションシーンの良さで、なんとか『地球が静止する日』と同じレベルに到達した作品。その程度。話にヒネリも深みもないくせに、ドヤ顔されたみたいな、ダサい作品なので、観る必要なし。

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image0120.png公開年:1979年 
公開国:アメリカ
時 間:117分  
監 督:リドリー・スコット
出 演:シガニー・ウィーバー、トム・スケリット、ヴェロニカ・カートライト、ジョン・ハート、イアン・ホルム、ヤフェット・コットー、ハリー・ディーン・スタントン、ヘレン・ホートン 他
受 賞:【1979年/第52回アカデミー賞】美術監督・装置(Ian Whittaker:装置、Michael Seymour:美術、Roger Christian:美術、Les Dilley:美術)
【1979年/第33回英国アカデミー賞】プロダクションデザイン賞、音響賞
【2002年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
コピー:宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない

地球への帰途についていた宇宙貨物船ノストロモ号は、謎の救難信号を受けて未知の惑星に降り立つ。そこには異星人の船があり、船内には無数の奇怪な卵が存在。その卵から飛び出した奇妙な生物が顔に貼り付いた航宙士を回収し、再び航海につくが、彼の体内には謎の生物の幼体が産みつけられており、腹を突き破り誕生。脱皮を繰り返し巨大に成長すると、次々と乗組員を襲撃する…というストーリー。

『SW』や『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のレビューでCG技術は極まりつつあるなぁという話をしたが、そうは言いながらも何やら心に引っかかるものがあって、逆にCG無し時代の作品を観て、そのモヤモヤの原因を探ろうと思い、本作を手にとってみた。

冒頭のノストロモ号航行シーンは、この時代なのでもちろん模型なわけだが、ものすごく緻密でリアルに感じる。船内の様子もしかり、カメラが左右にパーンするときに実体感をものすごく感じる。昨今なら、こういう船内シーンですらCGなことも多いが、微妙なカメラの動きに背景が追従するところまで表現できているだろうか。逆に背景がCGだからといって、カメラアングルはがっちり固定だったりすることが多い(パーンする場合にも移動量データを蓄積して、CG加工する場合に利用する場合もあるだろうが、実際、固定になる場合が散見される)。モヤモヤの正体はこれである。カメラの動作に伴う微細な揺れに、当然ながら実体の場合はしっかり追従するので、脳が違和感を感じず“気持ちがいい”のだ。これは実に予想外の発見。言い方を変えれば、“目はごまかせても脳はごまかせない”ってところだろうか。その辺の研究が進んで、カメラの微細な揺れをCGの視点角度に反映できるようになれば、よりリアルになることだろう。まだまだ技術進歩には先がありますな。

さて、他に気づいた点。
2時間の映画だか、30分単位で起承転結が分かれている。シナリオの初級お手本映画かもしれない。

起 … 航路ははずれナゾの星へいくことに
承 … ナゾの生物出現
転 … ナゾの生物が襲ってくる
結 … 原因がわかって逃げる

リドリー・スコットにより「エイリアン5(前編)」の撮影開始なんて話もあったけれど、実際どうなったのかしら…。

しばらく観ていない人には、もう一度観ることをお薦めする。模型やセットの究極的な技術の高さを感じざるを得ず、安易なCGなんかクソ喰らえって思えるほどである。

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クボタカユキ
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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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