[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:バリー・ソネンフェルド
出 演:ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、ジョシュ・ブローリン、エマ・トンプソン、ジェマイン・クレメント、マイケル・スタールバーグ、マイク・コルター、マイケル・チャーナス、アリス・イヴ、デヴィッド・ラッシュ、キーオニー・ヤング、ビル・ヘイダー 他
コピー:ヤツらはタイムスリップで地球を守る
月面のルナマックス銀河系刑務所から、凶悪犯のボグロダイト星人・ボリスが脱獄した。ボリスは、自分の片腕を切り落とし投獄したエージェントKへの復讐を企て、タイムマシンを持つ電気店経営の男の元へ向かう。一方、エージェントJとKがエイリアンが経営する中華料理店へ捜査に入ると、突然ボリスの襲撃を受ける。ボリスは「お前は過去で死ぬ」という謎の言葉を残し、そのまま逃亡してしまう。ボリスとであってからのKが彼らしからぬ言動を重ねるので、不審に思ったJは、Kがボリスを逮捕した時のデータを調査するが、肝心な部分は機密扱いとなっていた。その翌日、JがMIB本部に出勤すると、だれひとりとしてKのことを覚えている者がいなくなっていた。さらに、エージェントOから「Kは40年前に亡くなった」と告げられるのだった。さらに、1969年にボグロダイト対策にKが備え付けた地球防御網アークネットも存在しておらず、地球はボグロダイトの侵攻から無防備になっていた。エージェントOとJは、ボリスが40年前戻り、Kを殺したことに気付く。Jは歴史を戻すため、電気店経営の男を訪ね、ボリスと同じ装置でKが殺される前日にタイムトラベルしようとするが…とうストーリー。
『メン・イン・ブラック2』は、エイリアン退治のぐちょぐちょと下品なノリの連発で、3も同じことを繰り返すなら、意味無いなと思っていた。しばらく間が空いてしまったけど、ノリは健在。でも、ちょっと趣が異なった。
チョコレートミルクのくだりとか、頭ボーリングとかくだらねえ。実にくだらないんだけど、こういうレベルの仕掛けこそ楽しいの。小ネタの軽妙さは、前作を凌ぐ。
タイムリープとか、続編としてはクソみたいなネタだと思っていたけど、最期まで観たら、なんと秀逸な続編か。タイムリープネタが、ここまで意味を持った作品は久々。
ひゃー、アンディ・ウィホールをエイジェントにするのはやめてー(笑)。もうプレスリー ネタと同レベル。とにかく似ていたのが笑えるし、ヨーコがウザい。1969年っていろいろ魅力的だなぁ。私、『オースティン・パワーズ』とかも好きだから。
過去のテクノロジーは、現代よりも劣っているという設定なんだけど、登場したジャイロバイクがむちゃくちゃかっこいいー!
そして、五次元人が出てきたことで、ますますタイムリープがちゃんとした設定に思えなくなる。この設定とキャラクターは秀逸だった。
アポロ発射場での、時間チョイ戻しのくだりもよくできている。3Dで観たらさぞやおもしろかっただろうな。
そして、なんといっても、オチの仕掛けがはすごくいい。ものすごくいい。ずっと、KがJのことを見守っていたと思うと胸熱。このシナリオいいわー、誰よ~っておもったらイータン・コーエン。パチもんじゃなくて、こういう名前の脚本家がいるんだね。『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』とか書いてる人らしい。
まったく期待していなかったが、娯楽作品として単純に愉しめた。大満足。
#トミー・リー・ジョーンズも相当お歳なので、アクションをさせないのは正解だったな。若い頃のKを演じたジョシュ・ブローリンは、なかなか似ていたよ。説得力があった。
公開国:アメリカ
時 間:86分
監 督:ジョージ・ルーカス
出 演:ロバート・デュヴァル、マギー・マコーミー、ドナルド・プレザンス、イアン・ウルフ 他
25世紀。人々は栄養食や様々な薬剤を投与されながら、コンピュータと一部の階級によって管理され、指示されるがまま工場で作業に従事していた。人間は登録番号で呼ばれ、住居や娯楽も与えられるがまま指示通りに暮らす。THX1138も女性の同居人LUH3417と生活していた。ある日、ルームメイトのLUH3417は食事と一緒に与えられていた薬剤を何日も飲まない日を続けていた。すると、次第に人を愛する感情が芽生えてきた。その薬剤は感情を抑制する薬だったのだ。彼女はTHX1138の食事からも薬剤を抜くと、彼にも同様の感情が目覚め、とうとう肉体関係を交わしてしまう。そして、そのせいで、日々の作業にも支障をきたしはじめたため、とうとうコンピュータは、二人を投獄することを決める…というストーリー。
THXは“テックス”と読むようだ。劇中ではそう発音されている。
はじめ、『トロン』のように“何か”が擬人化されて描かれているのかな?と思った(『トロン』はコンピュータ内部の世界が擬人化)。ホログラムから出てきた黒人とか、どうも現実の人間じゃなさそうな感じもあったし、投獄された白い部屋には、髪の毛の生えた小人症の人とかいたし。でも、そうではなくて、未来のリアル社会を描いているらしい。
世界観がいまいち見えてないんだよなぁ…。
1971年作品とは思えない、クリーチャーの動き!衝撃だ!とおもったら、2004年に、新技術でカットが追加されてるんだな。『スターウォーズ』エピ4~6の特別版版と同じアプローチだった。驚いて損した。いずれにせよ、製作当時の頭の中に浮かんでいたことはこうだったんだ…という、引っかかりを解消するという情熱、そして数十年経過してそれができる状況にあるというのは、スゴいこと。
『ソレント・グリーン』もそうだったけど、1970~80年代のSFは管理社会をどう描いているのか…というのがポイント。コンピュータのような杓子定規な判断しかできないものや、一部の特権階級が、大多数の一般社会を支配する様子が恐ろしい…という主張がベースにある。
2000年以降も『マトリックス』のように管理社会を描いた作品はあったが、雰囲気は異なる。異なる理由は簡単で、何が恐怖の対象だったかといえば、明らかに共産主義。当時の社会が冷戦構造にあったということだ。
#もちろん、共産主義の恐怖を謳った作品ばかりではなく、『カプリコン・1』みたいなのもあるけどさ。
だから、そんな社会になっていいんですか?とか、よくそんな社会いて疑問をもたないんですか?という、というメッセージが前面にでてくるので、おのずと、はじめ主人公は社会の歯車として生きているけど、ふとしたことからドロップアウトするという、ストーリー展開になる。
で、それをアピールすることがストーリーの目的だから、ラストは脱出できておしまい…ということになり、観客は消化不良になる…と。それを補うために、作品の主張ポイントとは異なるけれど、派手な逃走劇やバトルを差し込む必要が生じるわけだ。本作もそういう流れ。
そして、SFにくせに科学的に矛盾していたり、理屈の通らない表現があったりするのも、この時代のSF作品の特徴だろう。まあその辺は、当時は力業で押し切れたけど、時代が進んで観客の知識も増えて、そうはいかなくなりましたよ…ってことなんだろうけど。
あの工場で何をつくっているのか…とか、その社会がどう維持されているのかを、架空とはいえリアルに描けていないのも気になる。まあ、“疎外”っていうのを表現しているといえばそうなのかも知れないが、その辺りがふわふわしていることに対する、観ている側のストレスは、けっこう大きくなると思う。
#そう考えると、そういう社会になった仮定や理由がある程度はっきりしているのは、『マトリックス』みたいに、優秀といえる。
THXの処分方法をめぐって、管理する人間同士が対立したり、予算超過どうのこうのと、人間臭いの部分が描かれているが、個人的にあのような部分を膨らませるべきだと思うし、そして、そこがTHXが突破できる要因に、明確にしたほうがおもしろくなったと思う。
“自由”の大切さをアピールした作品のはずなんだけど、若さをこじらせた…ってかんじかな。でも、これ(のベース)が学生時代の作品ってのは、いずれにしてもすごいこと。
公開国:イギリス
時 間:92分
監 督:デヴィッド・マッケンジー
出 演:ユアン・マクレガー、エヴァ・グリーン、ユエン・ブレムナー、スティーヴン・ディレイン、デニス・ローソン、コニー・ニールセン 他
コピー:五感が消えていく
ある日突然、嗅覚が失われる症状を訴える人が多発する。その症状は“SOS”と名付けられ、原因究明が急がれたが、感染経路などは一向につかめない。判ったことは、嗅覚を失う者は、その直前に深い悲しみに襲われるということだけ。感染者は全世界に広がっていく。そんな中、シェフのマイケルは“SOS”を研究する科学者スーザンと出会い、恋に落ちる。二人が結ばれたその時、スーザンは突然の悲しみに襲われる。そしてマイケルも同じように。翌朝、二人の嗅覚は失われ…てというストーリー。
センスが徐々に消えていくのに“パーフェクト”とはこれ如何に。
(以下、ネタバレ)
感覚が一つ消えるときには、ある種の感情が昂ぶるというのは、おもしろい。嗅覚が失われる前は悲しみがやってきて、味覚が失われる前には猛烈な食欲がやってくる。聴覚が失われる前には怒りが。
嗅覚は記憶と密接に結びついていて、嗅覚を失われるということは、記憶を失うこと…という考察も面白い。味覚を失った人々は食べることに興味を失うのか…というと、そうでもなく、クリスピー感や温度を楽しむようになったり、振舞うことやご馳走することに意味を見出す。
そして、感覚が失われていっても、行動様式を変えず、いつもどおりに振舞おうとするというのは、案外当たっていると思う。一方、一定数の人間が略奪を行うというのも当たっているだろう。逆に言えば、こんな感覚を失う症状にならなくても、ちょっとした不満で略奪に走る人は一定数いるわけで、人間はどういう苦難な状況になっても、普段と同じ行動をとるということになる。
で、ラストに何をもってくるのかと楽しみにしていたのだが、目が見えなくなった人は、愛の気持ちに満たされて、おそらくそのまま死んでいく…ってことでおしまい。
何が言いたいんだ?これ…
感染の差はあれど、みんな見えなくなるんなら、数日で人類は滅びるだろう。人は残された肌のぬくもりで、人の体温を感じ、そこに至福の喜びを感じる。交尾でからみあう蛇のように、より下等な生物が感じるような、即物的な快感だけが残される状態。
何で、これが“パーフェクト”なのかが、わからない。生き物たるものこのようにあるべきだと?感覚を失うことによって、人間本来の愛が研ぎ澄まされていくとでも言いたげなのだが、私には、むしろ人が人で無くなっているようにしか見えないのだが。
この展開の裏に、製作者の何らかの主張や視点は隠れているのだろうか。私には見つけられなかった。もう一回言う。何が言いたいんだ?これ…。それこそ、劇中に登場する一部の人のように、悔い改めよと警告しているのか?
SFストーリーの中で繰り広げられるシミュレートは面白い。しかし、その裏に一本主張の筋が欲しかった。このように、投げっぱなしで終わるのはいかがなものかと。何か釈然としない作品。あと、どういう要素を加えれば、面白くなったのだろう…と、考え込んでしまう。
#ちなみに、コピーは“五感が消えていく”となっているが、嗅覚、味覚、聴覚、視覚の四覚しか消えないから。
公開国:アメリカ
時 間:98分
監 督:リチャード・フライシャー
出 演:チャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソン、リー・テイラー=ヤング、チャック・コナーズ、ジョセフ・コットン、ブロック・ピータース、ポーラ・ケリー、スティーヴン・ヤング、マイク・ヘンリー、リンカーン・キルパトリック、ロイ・ジェンソン、レナード・ストーン、ウィット・ビセル、ディック・ヴァン・パタン 他
コピー:この恐るべき映画の結末はどなたにも話さないで下さい ニューヨーク2022年 超過密都市に巻き起る 恐怖のSF最新超大作!
2022年のニューヨーク。地球は人口過剰に陥り、人々は、一部の特権階級除き飢えに苦しんでいた。肉や野菜などの本物の食料を一般人は見ることすらできず、週一回のソイレント社がプランクトンから作った合成食品の配給で、細々と生きている。そのプランクトンも数も減っており、新製品の“ソイレント・グリーン”もうまく供給できないありさまだった。そんなある日、ソイレント社の幹部サイモンソンが殺害され、市警察殺人課の刑事ソーンが事件を担当することになった。サイモンソン宅には、ボディー・ガードのタブと、その部屋の家具の1つとして配置されている女性シャールがいたが、事件当時、サイモンソンの指示で買い物に出かけていた。ソーン刑事は、事件現場をみて物盗りに見せかけた計画殺人であること見抜くが…というストーリー。
女性が家具として扱われていたり、一部の特権階級以外は“食料”というものを見たことすらない社会という設定なのだが、正直、SFの設定としてはそれほど斬新ではないし、おもしろくない。職権乱用して金持ちの家から食糧などを奪うのも、小気味いいとも思わないし、その様子が面白いとも思えない。
そんな小ずるい人間のくせに、この社会の秘密を究明しようという一面もある…って感じなのだが、職務だからという以上に彼がその究明にモチベーションを発揮する、彼の内なる淵源がわからない。
もっと引っかかるのが、配給をもらうだけで労働をしてもいない人間が大量に存在する状況に、リアリティを感じられない点。
(ネタバレ)
プランクトンすらなくなってしまって、死んだ人間を食料にするしかなかったとしよう。でも、それを食べたからといって大量の人間を養い続けられるわけではなかろう。死んで→食糧にして→死んでというサイクルでは、どんどんロスが生じてあっという間に人口が減るだけじゃないか。
金持ちは、数が少ないながらも普通の食料を食べている。レタスが冷凍保存できるわけないんだから、どこかで細々と栽培は出来ているのは間違いない。でも、その少ない食料を生み出すために、一般人の労働が必要なわけではなさそう。じゃあ、特権階級にとってあの貧民たちを生かすことに、どういう意味があるのか。大半は、労働もせず配給を待っているだけである。そんな社会を、巨大なプラントをつくって死体を食糧化してまで、維持し続けなければいけない理由がわからない。存在の意味がないなら、面倒くさいことしないで、放置して殺せばいいだけじゃないか。
そういう整合性をきちんと考えて、話を作ってもらいたい。
食糧が足りなくなったから、人間を食糧にしている…というだけで、観客が素直に恐怖を感じたり驚いたりすると思っている了見が腹立たしくすら感じた。単に古臭いというだけでなく、設定の掘り下げが甘い気がする。
サスペンス仕立てになっているので、かろうじて鑑賞に堪えているが、シャールとの関係も事件の核心に迫ったら、あっさりとぶった切るという、シナリオの雑さ。死を望んだ人を安楽死させる施設とかも、意味がよくわからんし。つまらなかった。本当につまらなかった。
公開国:アメリカ
時 間:111分
監 督:ポール・マクギガン
出 演:クリス・エヴァンス、ダコタ・ファニング、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス、ジャイモン・フンスー、ジョエル・グレッチ、ニール・ジャクソン、コリー・ストール、スコット・マイケル・キャンベル、マギー・シフ、ミン・ナ、ネイト・ムーニー、 コリン・フォード 他
コピー:未来を、動かせ。
第二次世界大戦時のナチスによる超能力兵士育成プログラムは、その後世界中の国家に活用され、歴史的な事件の裏には超能力者の存在があった。やがて、超能力者の兵器化を推し進めるための極秘政府監視機関“ディビジョン”が設立されるが、一部の超能力者は政府からの支配を逃れるため、身を隠して生活していた。幼い頃、父親をディビジョンに殺された、念動力を持つ青年ニックは、ディビジョンの追跡を逃れ香港で暮らしていたが、遂にディビジョンの能力者達に隠れ家を発見されてしまう。再び逃亡しようとするニックの前に、ディビジョンに母親を奪われた予知能力者のキャシーが現れ、「600万ドルのケースを持ってディビジョンから逃げている女を探さないと大変な事がおこる」と告げる。一度は断ったニックだったが、再びディビジョンが送り込んだ能力者たちの襲撃を受け、キャシーに協力するしかなくなり…というストーリー。
ありがちな超能力バトルのお話とは思いつつ、声の振動で物を破壊したり、物を隠すシャドーの能力など、なかなかオモシロかった。しかし、メインキャストが持っている“PUSH”の能力と“MOVE”の能力が万能すぎる点。これは、ちょっとセンスがないなと。PUSHは相手にどんなことでも刷り込んで思い込ませることができるのだが、これは万能すぎる。ほぼ何にでも利用できてしまう。またMOVEも、あまりにも好き勝手に動かせすぎ。動かすだけじゃなく、銃弾をバリアまでしてしまう。動かすこと以上に、高速な銃弾を捕捉できるほうがスゴイ能力じゃないか…。バランスが悪すぎる。この二つの能力には、発動条件の制約や、弱点を設けるべきだった。制限が無いせいで、敵と見方の陣営に、それぞれ同じ能力をもったキャラクターを据えなければならないハメになっている。
『幻魔大戦』か『ジョジョの奇妙な冒険』かって感じだけど、能力の設定の掘り下げがイマイチ甘いな…と。
で、なんでPUSHの能力がタイトルになっているのか…。観始めたときは疑問だったのだが、最後のオチになっているからだった(まあ、そこは観てくだされ)。ただの、ありがちな能力者バトルで終わらずに、記憶消去の能力者をうまくつかった、謎解きトリック(といえるほどの物ではないのだが)を絡めた点。そして、三つ巴のバトルにもっていた流れなどは評価したいと思う。
『X-MEN』みたいに能力がインフレしていないのも評価したい。ロシアの『ナイト・ウォッチ』『デイ・ウォッチ』に近い感じ。そっちは3部作といいつつ、2作目で映画は止まっているから、本作もシリーズ化すればいいのに…と思いつつ、興行的にはかなり怪しい気もするので、なんとも。
香港の雰囲気を異世界のようにうまく使えているし、MTV的なアクションシーンのカット割りや音楽の使い方も、好みじゃない人は一定数いるとは思うが、作風にはマッチしている。DVDのパッケージ画像は、なかなかのB級臭を漂わせてくれているのだが、まあまあの出来映え。
#それにしても、ずいぶん“ヘッポコ”が多い吹き替えだなぁ(笑)
公開国:アメリカ
時 間:100分
監 督:アレックス・プロヤス
出 演:ルーファス・シーウェル、キーファー・サザーランド、ジェニファー・コネリー、ウィリアム・ハート、リチャード・オブライエン、イアン・リチャードソン、ブルース・スペンス、コリン・フリールズ、メリッサ・ジョージ 他
コピー:闇の都市に渦まく<謎>の複合体
バスタブの中で目覚めた男。何故自分がここにいるのか、自分が一体何者なのか、記憶が無い。バスルームから出て部屋に戻ると、ベッドの横には若い女性の死体が。そこに、電話が鳴り「早く逃げろ」の声。黒ずくめの男たちの手を逃れ、ホテルを思しき建物から脱出し、夜の街へ。微かに残る記憶を頼りに、色々な場所を訪れるが、一向に記憶は戻らない。そして、精神科医と名乗るシュレーバー博士や敏腕刑事のバムステッド警部、そして妻と名乗るエマと出会い、この街の何かがおかしいことに気付くのだったが…というストーリー。
ほとんどが夜のシーンで、寂れた街並みに味がある。また、謎の男たちや刑事たちに追われるハードボイルドな展開と、自分探しや世界の謎解きがうまく噛み合っている。こういう部分は非常に魅力的だと思う。
この世界は何なのか。自分が感じるこの違和感は何なのか。確信に近づけば近づくほど、謎の男たちの包囲網は狭まってくる。そして、自分の記憶が、リアルな記憶ではないのか?という疑念。この世界が作られたものなのではないか?という展開は、『マトリックス』によく似ている(まあ、本作のほうが前に製作されているが)。
リアルな街だと思っていた世界の、地面や建物がうねうねと動き出し、空間の上下が倒錯する世界。これは、『インセプション』によく似ている。これらに既視感を覚える人は多いと思う。
(ネタバレ注意)
その世界が、大昔の人が考えた“亀の上に乗っかっている世界”のように、宇宙空間にある領域であること。そして、何度も何度も繰り返している…という設定は非常におもしろい。ただし、超能力的な部分が、SF要素がうまくこれらに噛み合っているかはちょっと微妙。最も、ピリっとしないのは、宇宙人さんたちが、人間を隔離している理由。心が無いから、人間の“心”が何なのか知りたい…って、この原因がぼんやりしすぎだと思う。
いずれ地球を支配するために、人間の行動様式や特性、生態を深く知るための実験…でいいじゃないか。不必要にぼんやりさせるから、最後のバトルもぼんやりしてしまって、締りが無くなってしまったんだと思う。実験動物のような暮らしではなくなるのはいいとしても、結局、虚像の世界を生きていかねばならないという空しさも薄い。
妻エマとの間にある感情は、かりそめのものなのか、この世界に拉致される前からのものなのか、それとも何度も繰り返される中で生まれたものなのか。その辺が、効果的に使えていなかったのも残念に感じる。
キーファー・サザーランドはまるで彼じゃないような熱演だし、ジェニファー・コネリーもヌメっとした魅力をうまく表現していると思う。この湿度が高そうで閉塞した世界観は、好きな人はハマるだろう。それだけに、個人的にはもう一押し、もう一ひねり欲しかったところ。
宇宙人が一個の“群”であるところや、記憶がバクテリアみたいで“カクテル”できるなんていう設定はちょっと古臭いかな。
公開国:アメリカ
時 間:130分
監 督:ピーター・バーグ
出 演:テイラー・キッチュ、アレキサンダー・スカルスガルド、リアーナ、ブルックリン・デッカー、浅野忠信、リーアム・ニーソン、ピーター・マクニコル、ハミッシュ・リンクレイター、アダム・ゴドリー、グレゴリー・D・ガドソン、グリフ・ファースト、ジェシー・プレモンス、ジョシュ・ペンス、スティーヴン・ビショップ、ゲイリー・グラッブス、マーカス・ライル・ブラウン 他
コピー:戦いは、海から始まる――。
ハワイ沖で、アメリカや日本をはじめ各国の海軍将兵2万人が参集する環太平洋合同演習“リムパック”が始まろうとしていた。アレックス大尉は、シェーン提督の娘サマンサと交際しており、この訓練を機に結婚を認めてもらうと意気込んでいたが、自衛隊のナガタ一佐と喧嘩沙汰を起こしてしまい、結婚の許可どころか、演習後の懲戒免職処分を言い渡されてしまう。その矢先、演習海域に正体不明の巨大な物体が出現。早速、アレックスの乗る駆逐艦とナガタの自衛艦、アレックスの兄ストーンが艦長を務める駆逐艦の3隻が向かう。しかし、その正体は、地球からの電波による呼びかけに反応して飛来したエイリアンの船だった。エイリアンは、ハワイ諸島全域に強大なエネルギーフィールドを築き、3隻の艦は他のリムパック艦隊から隔離されてしまう。さらに次々と未知の武器を繰り出し、アレックスたちの艦を攻撃。電波妨害による応戦もままならないまま、集中砲火によって、ストーンの艦は撃沈。ストーンを含めた乗員全員が戦死してしまい…というストーリー。
浅野忠信演じる自衛隊員が大活躍と、旭日昇天旗のオンパレードで、韓国がブーブー文句いってた作品。知るかよ…。なんでも噛み付くんじゃねぇって。
宇宙からの飛来物の成分を分析したけど、地球の技術力で判るのがローレンシウムだけで、あとは未知の物質だ…って、ローレンシウムだって放射性物質だし、そうとう重い元素だぞ。残りは未知だっていうのなら、それより大きい元素ってことか。宇宙人さんが駆逐艦に潜入してきたときに、金属製の階段が乗っかっただけでひしゃげていたけど、ものすごい重い物質でできてるってことだよな。つまり彼らの世界では、地球では崩壊しちゃうような重金属が、なんらかの現象かテクノロジーによって、崩壊しないってことか。
山上の観測所で、宇宙人が科学者の眼鏡に興味を持ったのも、ケイ素の化合物は珍しいっていう描写なのかな。彼らのヘルメットも透けているけど、金属っぽいしな。でも、炭素や窒素やケイ素の化合物が無いならば、宇宙人さんの体は何でできてるんだ?という話もあるな。ヒゲ堅かったしな。謎だけど、結構SFっぽいじゃん。
でも、アレックスとナガタが宇宙船の窓を打ち抜いたとき、ガラスみたいに砕けたのが気になったけどね…。実は、科学的な描写とか、エイリアンの装備の描写とか、興醒めしないように一生懸命頑張っていたのは、中盤までだった。あとは、勢いあるのみ。エイリアンの目がイモリだかヤモリみたいだったから、夜行性に違いないとか、けっこういい加減。かといって日光が勝負の決め手になったかというと…、まあ無理やりだわな。
あの海に浮いてる重厚な宇宙船がジャンプして砲弾を避けるんだから、勝ち目無い。球体の兵器も無双すぎるし。SFというよりもアクション要素のほうが強い。
あの『パール・ハーバー』というクソ映画と同じ舞台ながら、歴史的な嘘描写や政治的な作為はまったく無くて、とにかく、圧倒的な戦力差の敵に、力の限り立ち向かうという、シンプルでドキドキできる内容に特化。波を感知する機雷で、エイリアンの位置を把握しようとか、確かに日本っぽいわな。いいアイデアだったと思う。
じゃあ、後はどうにかして敵を倒すだけだな…と思っていたら、退役軍人にミズーリ動かしてもらうとか、アホなぁ!と思いつつ、最後まで飽きることなくワクワクできる。ラストの叙勲のシーンは展開が読めるのだがゾワッとくる。人間は褒められるべき人間がきちんと褒められると、快感を覚えるのだな。これは面白い映画の要素の一つなのだと、再確認した。
バリアが解除されたたら、周囲の艦の通常兵器で球体兵器を破壊してたな。ジャミングされていなければ、数で対応はできるレベルということか。
3D撮影ではなかったようだが、DVDでも十分すぎるほどの大迫力だったし、アクション娯楽映画としては必要以上に科学描写に気を遣っていて満足できた。お薦めの快作。
なぜかアメリカでは酷評されているらしい。どうせ、日本なんぞと対等に協力していて、アメリカ様無双じゃねえのが気に喰わないのと、細かい科学描写の意味がピンとこなくて、半分くらいどういう意味なのかわかってないんだろうさ。アメリカのレベルなんてそんなもん。気にすんな。
公開国:アメリカ
時 間:103分
監 督:ポール・ヴァーホーヴェン
出 演:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダニエル・オハーリヒー、ロニー・コックス、カートウッド・スミス、ミゲル・ファーラー、ロバート・ドクィ、レイ・ワイズ、フェルトン・ペリー、ポール・マクレーン、デル・ザモラ、カルヴィン・ファン、リー・デ・ブロー、マーク・カールトン、エドワード・エドワーズ、マイケル・グレゴリー、ニール・サマーズ、チャールズ・キャロル、タイレス・アレン、ジェシー・D・ゴーインズ 他
受 賞:【1987年/第60回アカデミー賞】特別業績賞[音響効果編集]
【1988年/第16回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭】高等技術委員会賞、SFX賞
かつて自動車産業で隆盛を誇ったデトロイトも、今は犯罪としと化していた。犯罪があまりにも多発し、警察のコストが肥大化したため、コスト削減のために警察の経営を民間企業のオムニ社に委託している。オムニ社は、凶悪犯罪に効率的に対応するために、大型警察ロボットを開発するが、失敗。早急に別プロジェクトが必要になったため、かねてより暖めていたサイボーグ警官“ロボコップ”製造計画案にスポットがあたる。そんな中、マーフィー巡査は女性警官ルイスとコンビを組み、連続警官殺しで指名手配中のクラレンスら強盗一味を追跡していた。潜伏先を急襲するが逆に捕らえられ惨殺されてしまう。しかし、彼の遺体は生体部分を部品として使われ、ロボコップとして蘇り…というストーリー。
ドラマなのか映画なのかわからないが、リメイクされているようなので、おさらいを。何度観てもやはり面白い。
マーフィーの正義感が報われずに死んでしまい、ロボコップとして蘇るものの、家族には死んだことになっているし、記憶まで消去されてこれでは蘇ったとはとてもいえない。断片的に蘇る記憶に苦悩し、真の復讐を遂げていく過程は共感しやすい。
ロボコップ自体の魅力ばかりに目が行きがちだが、このシナリオが巧みなのは、敵が重層構造になっている点だと思う。オムニ社の野心溢れる若い取締役、無法な強盗団、オムニ社の副社長という三重構造。もっと広い視点でいえば、公共サービスで利益を追求するオムニ社自体も敵だし、コスト優先で公共サービスを全部民間企業に任せてしまう政府も敵だ。
ヒーロー作品は、敵がしっかりしているか、または魅力的かで、出来不出来が決まるといってもよい。本作は花マルで合格なのだ。
幹のしっかりしたシナリオだからこそ、マスコミのインタビューで「マジメにやれ」っていうところとか、ラストのクビにしてロックがはずれるくだりとか、そういう小ネタが、最大限に生きてくる。
ルイスもロボコップになっちゃうのかな?とか、もうマーフィーだってはっきりしたんだから家族とはあえるようになるのかな?とか、色々考えちゃう。だけど、説明はしすぎない。色んな部分で説明しすぎを排除することで、全体の良いテンポをキープしている。シナリオの教科書だといってもよい。
1980年前後だと日本脅威論が根強くて、アメリカも今の中国みたいに日本車を燃やしたりしていた。いろんな映画にも露骨に登場する。『グレムリン』なんかもその一つだろう。でも、1980年終盤の『ロボコップ』では、ちょっとその色合いは薄れてくる。舞台はデトロイトだし、直球で日本を悪者に描いてもよさそうなものだが、日本に関するちょっとしたセリフはあるが、意外と悪い表現ではない。
オムニ社の重装備ロボットは、ハリーハウゼンばりのストップモーション・アニメで表現され、途中に出てくる怪獣が街を荒らすCMもストップモーション・アニメである。敵を日本にしたいならば、この怪獣はゴジラを意識すべきで、気ぐるみであるべきなのだが、アメリカ流の特撮技術。一方の主役は、それこそ気ぐるみヒーローで、日本のお家芸。
どうも、自分たちの景気が悪いのは、日本のせいではなく政府のせいなのではないか?という気付きが感じられる…と私には思えるのだが、ちょっと穿った見方だろうか。
とにかく、ヒーロー物映画の大傑作。本作の前では、『アイアンマン』なんか霞んでしまうほど。ガンガン撃って血しぶきは舞うし、廃棄物で悪人の体は溶けちゃうし、子供に観せるのはどうかなーって思うシーンは多々あるんだけど、なぜか、子供に観せたい!っていう欲求が湧いてしまう作品。
公開国:アメリカ
時 間:108分
監 督:デヴィッド・トゥーヒー
出 演:ラダ・ミッチェル、コール・ハウザー、ヴィン・ディーゼル、キース・デヴィッド、ルイス・フィッツジェラルド 他
コピー:暗闇に何が見える
22年に一度の皆既日食が、光の惑星を恐怖で染める
旅客と貨物を運ぶ宇宙船が事故をおこし、未知の惑星に不時着してしまい、冷凍睡眠していた乗客の大半が死亡してしまう。その星は、3つの太陽が四六時中昇っており夜が無く、水も見当たらない。加えて、生き残った中に護送中の凶悪犯リディックがおり、不協和音が漂う中、副操縦士フライはリーダーとして、この砂漠の星から脱出する方法を探るのだった。一行は、以前この星で人間が生活していた施設を発見するが、近くの洞窟にいた未知のエイリアンに襲われ、数人が殺されてしまう。エイリアンは夜行性で光に当たると死んでしまうことから、暗がりを避ければ安心と考えたいたが、その星が22年に一度の夜の期間を迎えることを知り…というストーリー。
始めは逃亡した凶悪犯を軸にした疑心暗鬼。その後は、未知の生物と苛酷な星の環境からの脱出。ありがちなSFストーリーだとは思うが、テンポもいいし、説明しすぎないのでスリルもある。
エイリアンのデザインが斬新だし、殺されるべくして殺される、ベタベタなキャラ設定も悪くない。お約束かと思いきや子供も容赦なく殺す(子供といっていいかどうか微妙な年齢だけど)。
全員を見捨てようとした心の傷を背負っているせいで、全員に献身的に引っ張っていこうとする彼女。最後あっさりと犠牲になってしまうことに、ひどい扱いだなぁと思いつつも、やはり自分がしようとしたことの罪悪感に押しつぶされそうな気持ちが開放された瞬間でもあるという、微妙な機微も表現できており、侮れない演出。
リディックが凶悪犯というふれ込みで登場するのだが、いまいちワルっぷりを発揮してくれない。いや実は義賊みたいなので、根は悪くないんだよ…なのか、冤罪で本当は悪くない…なのか、やっぱりワルなのか、はっきりしたほうが良かったかも。そうるれば、もっと、賞金稼ぎとリディックの攻防も、盛り上がったかもしれない。
ヴィン・ディーゼルは色々な作品で主役を張っているが、ビジュアルはどれも同じなので、飽きられたね。スティーブン・セガールやブルース・ウィリスは、それなりに吹き替えの声優が固定されていたけど、ヴィン・ディーゼルはバラバラ。というか、ぴったりな声優さんが終ぞ見つからなかった印象。各映画でバラバラ。この映画の声優も、いまいちピンとこない。
まあ、それはそれとして、荒削りさが妙味となっている良作SFである。続編も作られるが、疾走感は一番かも。
公開国:アメリカ
時 間:95分
監 督:ジョナサン・フレイクス
出 演:ビル・パクストン、アンソニー・エドワーズ、ソフィア・マイルズ、ベン・キングズレー、ブラディ・コーベット、ソレン・フルトン、ヴァネッサ・アン・ハジェンズ、ロン・クック、フィリップ・ウィンチェスター、レックス・シュラプネル、ドミニク・コレンソ、ベン・トージャーセン、ローズ・キーガン、デオビア・オパレイ 他
コピー:実写版完全映画化!
世界の危機と戦う伝説の<国際救助隊>が今、出動する!!
億万長者で元宇宙飛行士ジェフ・トレイシーは、妻を失った後、資財を投じて国際救助隊を設立する。南海に浮かぶ無人島“トレーシー・アイランド”に基地を設置し、4人の息子と共に、最新救助メカ“サンダーバード号”で、世界中の災害救助に奔走していた。五人兄弟の末っ子であるアランは、まだ学生で隊には参加させてもらえず、羨望と嫉妬のまなざしで兄たちの活躍を見ていた。そんなある日、国際救助隊恨みを持つ“ザ・フッド”と名乗る男が、トレーシー・アイランドの位置を突き止め、攻撃を仕掛ける。まず、地球上空の静止軌道上を周回しているサンダーバード5号をミサイル攻撃。隊員全員が緊急出動した隙に、トレーシー・アイランドを占拠するのだった。しかし、春休みで島に戻っていたアランと友人たちは、フッド一味の目をかいくぐり、反撃の機会を伺う…というストーリー。
レンタルしてすぐに借りて観たときには、なんとポンコツ映画なんだろうと思ったが、改めてみると、前半は結構まともだった。主人公の中途半端なアイドル顔や、日本語吹き替えにV6を当ててみたりする上っ面だけのプロモーションが鼻についていたからなのか、マイナスな先入観に支配されていたのかもしてない。
メカのギミックや迫力は、今観てもクオリティは高い。救助活動の様子は、アニメでは味わえないワクワク感。なんでこの部分で勝負しなかったのか不思議なくらい。やはり、サンダーバード2号のデザインの美しさは異常である。子供たちの活躍も冒険活劇として面白かった。
なかなかいいじゃん!と思ったのだが、対立軸のポイントである“超能力”の設定が、ストーリー上、効果的に働いていない。こりゃダメだな…と判ったところで、シナリオを書き換えればよかったのだ。しかし、軌道修正するどころか、後半になればなるほど、アニメチックな擬音やコミカルな格闘バトルが頻発し、ツララで鎖を切るとか、何がなにやらわからなくなってしまう。
こういう正義のヒーローの物語は、悪役に魅力がないと、どうしようもないという典型例だと思う。もっと魅力的な悪役を再構築して、もう一回リメイクすれば大ヒットすると思うな。
それから、子供騙しはだめ。自分が子供の頃に子供騙しな作品を観せられた時の不快感を忘れちゃダメだよね。実に勿体無い。それ以上、特に感想はない。
公開国:アメリカ
時 間:93分
監 督:ダンカン・ジョーンズ
出 演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト、マイケル・アーデン、キャス・アンヴァー、ラッセル・ピーターズ、スーザン・ベイン 他
コピー:警告:このラスト、映画通ほどダマされる。
列車の中で目を覚ましたコルター・スティーヴンスは、正面に座っていた女性に親しげに話しかけれるが、まったく見覚えが無い。なんで電車に乗っているのかも判らない。自分は陸軍大尉でアフガニスタンでヘリ操縦の任務についてはずだ。トイレに駆け込んで、持っていた身分証明書を見ると、“ショーン・フェントレス 教師”という記載が、そして、鏡に映っていた姿が自分ではないことに動揺する。そして、しばらくすると、列車は大爆発を起こし、炎に巻き込まれ死んだとおもった矢先、再び目を覚ます。そこは狭くて薄暗い密室。モニターに移る軍服姿の女性から、列車の爆発事故について質問されるが、自分のおかれた状況がわからず、説明を求めるコルター。彼が体験したのは、その日の朝7時48分に発生した実際の列車爆破事件の犠牲者の記憶の世界で、死亡前の8分前までの記憶に潜り込めるという“ソースコード”とよばれる軍の特殊プログラムだったのだ。彼は、8分間の中で、列車内を捜索して犯人を特定するというミッションを与えられていたのだ…というストーリー。
一歩立ち止まって冷静になれば、科学的なリアル度は極めて低いし、矛盾だらけ。死んだ人の記憶をサーチすることができても、その人が見ていなかったものまで再現できるわけがないし、記憶の中を自由に振舞って、実際におこってもいないこと(例えば相手のリアクション)が生まれるわけがない。
じゃあ、そんなポンコツ設定で興醒めしちゃうのか?いや、それがまったくしない。なぜか、それを考えさせないスピード感のある展開だから。そして、この部屋は何なのか?この男は何で記憶をなくしているのか?戦場で何があったのか?何でこんなことをやらせれているのか?この男は本当はどういう状態なのか?と謎の波状攻撃で、隙を与えないから。
そして、いくら何回も繰り返せるからといって、たった8分でどうやって犯人を捜すんだよ!っていうハラハラとサスペンスチックの融合。そして、戻ってくるタイミングで死ななきゃならない(もちろん苦痛を伴って)。だけど、自分の生命はもちろん、他人の生命も救おうっていう主人公の健気と刹那が入り混じったような気持ちにちょっとグっとくる。そして、もう十分だと彼を解放するグッドウィンの気持ちと勇気にも、同じくグっとくる。
SF、サスペンス、ミステリー、アクション、そして恋愛であり生命のドラマでもあり、これがうまく渾然一体となった作品。いいシナリオだ。高く評価したい。
タイムマシンではないから、最後の記憶世界の中で、乗客すべてが笑顔で終わったって、かれらが成仏できるわけでは決して無い。それは判っているけれど、せめても…という思いで、微かに救われる。そして、なぜか、時間は停止せずに、そのまま記憶の世界は動き続ける。まあ、観念の世界だし、そうあって欲しいという願いの現われとしてアリだなと思った。むしろ、天国でもない、輪廻転生でもない、新たな死後の世界観を提示したといってもよい終わり方だと…。
いい映画だったな…、とう思った瞬間やりやがった。タイムマシンではない…という、この映画の根底を壊すラスト。この映画の唯一の不満は、ラストである。詳細は言わないが、これはダメだ
コピーで「映画通ほどダマされる」とかいってるけど、持ち上げてどうするつもりなのか。はっきりいって映画を壊しているラストだと思う。蛇足だよ。
これに焦点を当てている、日本の配給会社ってアホなんだなぁ。“映画通”だって、プププ(笑)。通がどうだとかそういう次元じゃないよね。馬鹿みたい。ディズニーだけど、このコピーつくったヤツ誰よ。センスね~。ものすごくいい映画なのに、台無しコピーだね。オレが本国ディズニーの担当者なら、クレームつけるレベル。是非とも、このラストを覗いた再編集版を作成してほしい。そう思ったくらいだ。
よく考えたら“ミッション:8ミニッツ”って日本のタイトルも安っぽさ満載で、かえって観にいきたくなくなるじゃん。本当に、このコピーとタイトル考えたやつクビにすればいいと思うのね。
まあ、このラストを差し引いても良作だと思うので、是非観て。本当にラストがなければ、傑作の範疇に入れたかもしれない。
公開国:アメリカ
時 間:133分
監 督:アンドリュー・スタントン
出 演:テイラー・キッチュ、リン・コリンズ、サマンサ・モートン、マーク・ストロング、キアラン・ハインズ、ドミニク・ウェスト、ジェームズ・ピュアフォイ、ダリル・サバラ、ポリー・ウォーカー、ブライアン・クランストン、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ウィレム・デフォー 他
1881年、元南軍の英雄で金鉱脈による大富豪となったジョン・カーターが、謎の失踪を遂げる。妻と娘を亡くして以来、人付き合いを避けてきた彼は、親族の中で唯一心を許していた甥エドガーに、一冊の日記を遺していた。そこに記されていたのは、想像を絶するジョン・カーターの冒険譚であった…。1868年、妻子を亡くし生きる気力を無くしていた彼は、騎兵隊からの執拗な参戦の命令を拒否し逃亡していた。しかし突然、謎の現象によって、別の惑星“バルスーム”へと瞬間移動してしまう。その星は、地球よりも重力が小さく、ジョン・カーターは超人的な跳躍力を発揮する。また、バルスームは、地球よりも高度なテクノロジーを持っていたが、全宇宙の支配を目論むマタイ・シャンによって、滅亡の危機に瀕していた。平和を望むヘリウム王国の王女デジャー・ソリスとであったジョン・カーターは、その能力を使ってバルスームを救って欲しいと懇願されるが…というストーリー。
重力が少ないからってあんな動きにはならないと思う。ジャンプ力と腕力が必ずしもイコールではないとしても、サーク族の腕力にカーターが完全に圧倒されるのは、違和感がある。バランスがおかしい。
それに、フォボスとダイモスは丸くないよ。またもや、とんちんかん科学描写のアメリカ。これが技術大国だっていうんだから、笑わせる…、というか、上と下の知識レンジが半端ない国なんだな。富が一極集中して庶民が簡単に極貧の奴隷化してしまうのが良く判る。本当に底辺の教育って大事だね。
映像はすごくおもしろいんだけど、薬を飲んで言葉がわかっちゃうとか、もうこのパターン飽きた。
「地球の船は海を進むの?見たことある?さぞかしキレイでしょうね…」って、おまえそこまで筏にのって水の上をスイスイ来たんじゃねえのか?なんとなく想像つくだろうがよ。馬鹿かと。
王女が結婚を嫌がって捕虜になる流れは、安っぽいけど、冒険小説っぽくて面白い。だけど、やっぱり浅すぎるかも。ちょっと伏線の貼り方とかへたくそ。あの犬みたいなヤツになんか秘密があるんだろーなーっておもったら、案の定だし。メダルに話を集中させちゃうと、なんでもありになっちゃってつまらないし、人間タイプ種族が争っている構図が、あまり生きていない。
甥っ子に日記を読ませたくだりが煩わしかった。ラストで意味はあるのだが、追いかけてくる敵が万能すぎて、してやったりで罠に嵌めた展開にも関わらずピンとこない。
ディズニーのせいかもしれないが、毒気がなさすぎ。隠喩がなさすぎ。シニカルさがなさすぎ。かといって、ユング的な類型にも当たらず神話的な雰囲気もない。ようするに無意識に引っかかる部分が極めて少ないということ。これはヒットしにくい。なんとなく冷める。
もっと馬鹿馬鹿しくてもいいから、ヒロイックムービーのノリを貫けば良かったと思う。原作では続きがあるんだけど、この映画の続編ができるかは極めて微妙。その予感があったのか、一応、本作だけで完結はしている。惜しい。もうちょっと弾けて欲しかった凡作。
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:ロン・ハワード
出 演:ドン・アメチー、スティーヴ・グッテンバーグ、ターニー・ウェルチ、ブライアン・デネヒー、ウィルフォード・ブリムリー、ヒューム・クローニン、ジャック・ギルフォード、モーリン・ステイプルトン、ジェシカ・タンディ、グウェン・ヴァードン、バレット・オリヴァー、タイロン・パワー・Jr、クリント・ハワード、リンダ・ハリソン、ハータ・ウェア 他
受 賞:【1985年/第58回アカデミー賞】助演男優賞(ドン・アメチー)、視覚効果賞(Ken Ralston、Ralph McQuarrie、Scott Farrar、David Berry)
フロリダ州の養老院で暮らす老人、アート、ベン、ジョーは、隣接する空き家にあるプールにこっそり忍び込み、そこで泳ぐのを楽しみにしている。ある日、その近くの港に停泊しているジャックの船を、ウォルターと名乗る男とその仲間たちが借りたいと申し出る。また、アートたちが日々忍び込んでいる空き家も、その男たちが借りてしまう。しかし、老人たちはお構いなしで留守中に忍び込むと、プールには巨大に岩の塊のようなものが沈んでいた。これらはウォルターたちが海底から引き上げていたものだった。訝しげに思いながらも3人が泳ぎ続けると、なぜか元気が湧き出てきて、その日から若者のように振舞い始め…というストーリー。
老人のストーリーと、ウォルターたちの怪しい行動のストーリーが、うまいこと融合していく、巧みな構成。
老人の老いに対する感情を通して、人間の“業”をさらりと描き出す。若返ることで人間が何をしたかというと、不貞で妻を裏切るようなつまらないことである。噂を聞いたほかの老人たちも、無分別にプールに押しかける。それによって、宇宙人を殺し、約束を反故にしてしまう。“業”とは人間が生きる上で切り離せないものとはいえ、あまりにも醜い、そして軽い。
自然であることが正しいと主張し、プールに入ることを拒み続けた老人でさえも、妻の死を目の前にして、スーパーパワーにすがろうとする。人間なんてその程度。
簡単に宇宙にいっちゃうというオチを、短絡的に感じてしまう人が多いと思う。しかし、根本のテーマが簡単に答えの出ない問題を扱っているので、こういうドラスティックな展開がお似合いだったと思う。気持ちよく劇場から出て行くには、この展開しかない。ずっと重く考えさせちゃ駄作になったと思う。
#UFOが繭を持っていけない理由がピンとこないけど、そういう所は拘らないほうがいいだろう。
基地をアトランティスではなく北極にしておけば良かった…というシーンでは、思わずニヤり。こういう軽妙さも、重いテーマを見事に隠蔽して、立派な娯楽作品に仕上げていると思う。
こんなに人間ドラマとSFをうまく融合したロン・ハワード監督だが、26年後の『カウボーイ&エイリアン』ではあんな感じなっちゃったね。本作のほうが数段上だった。間違いなく彼の出世作。
否定する部分が少ない作品。観た年齢によって受け取り方も大きく変わる作品。大昔に観たなぁって人も是非もう一度観ることをお薦めする。今の私は、地球に残った老人と同じに共感しているかな。きっと自分も残るような気がする。でも、後10年経ったら変わってる気もする。
公開国:アメリカ
時 間:109分
監 督:アンドリュー・ニコル
出 演:ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライド、アレックス・ペティファー、キリアン・マーフ、ヴィンセント・カーシーザー、マット・ボマー、オリヴィア・ワイルド、ジョニー・ガレッキ、コリンズ・ペニー、ベラ・ヒースコート 他
コピー:全ての人類は25歳で成長が止まる
近未来の世界。人類は遺伝子操作で肉体の成長を25歳で停止させ、その後の寿命は体内時計が刻む残り時間が決定するというシステムに。人口過剰を防ぐために、時間が通貨となっており、裕福な人は潤沢な“時間”を保有し永遠に生きることができる一方、貧しい庶民は命を維持するために労働し、高利で時間を借り、また生きるために他人の時間を奪うことが繰り広げられていた。ある日、貧しい青年ウィルは、バーで救出した富豪から117年もの時間を贈与されるのだったが…というストーリー。
時間が通貨というおもしろい着眼点。まだにSF蟹工船。しかし、その着眼点だけで、設定にまったく深みがない。
寝ているときに時間のやりとりが可能なら、もっと戸締りが厳重だろうし、仲の悪い夫婦なんか別々の部屋で鍵かけないといけないな。それに、すれ違った人の腕を掴んで簡単に殺せるし。
1日あればいい…って格好付けてるけど、うっかり寝たら死んじゃう可能性があるから、残り2日はないと安心できないってほうがリアルだったろうな。
腕相撲みたいな時間の取り合いの意味がわからん。最大のアクションがそれじゃ、ビジュアル的に迫力がない。最後の対決の勝利の決定打が、相手が残り時間を忘れていたこと…とか、くだらなすぎる。
そんなに時間が重要ならば、残りの時間をどう使うか…を考えると思うが、そんな思考が一切ない。街全体とは言わないが、死なないように時間を都合しあうコミュニティができるのが自然なのに、それをしようとする様子がない。
ちょっと考えただけで穴が見えてくるので、一生懸命見せないようにしているのだけど、やっぱりなんか変。いやいや、そんなことができない理由があるんだよ…っていうところを練らないとだめでしょう。
もっと、寿命が通貨であるという点を突き詰めるべき。富裕層は大量の時間を貯めこんでいて無駄遣いしてる…っていうけど、価格のコントロールを富裕層がしているのなら、実質的に物の購入時に対価を払う必要なんかないんだろうな。あくまで下級層からの搾取のために使っているわけだから。
もっと突き詰めれば、“時間”の総量は決まってるのか?中央銀行の通貨量調整みたいなことができるんなら、無尽蔵だし。いや、確実に寿命として消費されてるんだから、だれかが“時間”を作り出さないとおかしい。やはり、通貨なのに時間とともに減っていくというところがポイント。
で、なんで、下級層から搾取してるのか。食べ物とか資源が枯渇していて調整が必要だからなのか、単なる貧富の差の結果なのか、それとも両方なのか、はっきりしていない。というか、作り手のほうもはっきりしていないんだと思う。
実は、この状況が“インフレ”を極端なモデル化で表現しているのだとしたら、ものすごい慧眼。しかし、そこまで考えが至っていないのが、この作品の陳腐さ。乱暴な言い方をすると、普通の経済活動が継続されている状態ならば、貨幣価値は緩やかに下落する。それは、通貨の対象物として取引されている物品が劣化していくから。加えて、それら物品を基にして新たな価値の物品が生み出されえも、新たな価値の付加によって価格は上がるので、相対的に貨幣価値は下がるから。
まあ、そういう設定の矛盾に目がいかないようにごまかしながら、後半は、気に喰わない社会制度をブチ壊す展開に。『Vフォー・ヴェンデッタ』みたいな感じ。
ヒロインは父親の抑圧から解放されたい一心で、主人公についていくが、結果的に『ボニー&クライド』的な展開になる。しかし、システムが破壊され、世界が変わる…という段階になっても、、やっぱり二人が銃だけ持って突入とか。なんなんだろう。大衆で押し寄せないのかよ。わけわかんね。
期待を裏切られてのもあって、駄作だ!と言い切りたいところだがグっとおさえて、思いつきだけでそれ以上は練らなかった情けない凡作…というところでとどめておこう。無理してみる必要のない作品。後半は眠くなる。時間をテーマにしてるのにスリルが感じられないとか、もうね…。
流行りのカエル顔でおなじみアマンダ・サイフリードが、その魅力を発揮していなければ、映画としての見所は皆無だったかも(でも、篠田麻里子の吹き替えは最低。クソ。眞鍋かをりの『ドミノ』の吹き替え以下だあ)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |