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公開国:ポーランド、ノルウェー、アイルランド、ハンガリー
時 間:83分
監 督:イエジー・スコリモフスキ
出 演:ヴィンセント・ギャロ、エマニュエル・セニエ、ザック・コーエン、イフタック・オフィア、ニコライ・クレーヴェ・ブロック、スティッグ・フローデ・ヘンリクセン 他
受 賞:【2010年/第67回ヴェネチア国際映画祭】男優賞(ヴィンセント・ギャロ)、審査員特別賞(イエジー・スコリモフスキ)
コピー:逃げろ!!
アフガニスタンで米兵を殺害したことで拘束されたアラブ人テロリストのムハンマド。収容所で拷問された後、移送されることになったが、護送車が事故をおこした隙に脱出し、そのまま逃走する。彼は雪深い森の中へ逃げ込んだが、どこへ逃げてよいのかもわからず、たくさんの追手からひたすら逃れようと、山野を進み続ける…というストーリー。
神々しく感じるほどの、雪景色の中を、“ただ逃げる!”思想とか主張とか、そういうものは一切省いて、“ただ逃げる!”。主人公のバックボーンは、所々アフガンの家族らとの生活のフラッシュバックが挟まれるのみ。民間人を躊躇無く襲っているところから、テロリストなのかな?と思うけれど、それ以上に何かが語られることはない。
ヴィンセント・ギャロ演じるムスリムの男は、収監された状態、つまり裸一貫で、何の武器も道具も持たない状態から、ただ“生きる”という生命の欲求にだけ正直であり続ける。身も蓋も無いが、それ以上でもそれ以下でもない作品。
前半は、生きるために容赦なく無関係の人間も殺害。とにかく生き抜くために、人間性が排除されていく。何とか生き延びているものの、冬の森の中に食べ物があるわけでもなく、空腹と衰弱から、蟻塚のアリや木の皮をむさぼり喰うようになる。
しかし、後半になると、より“生”と向き合ったためなのか、逆に狂気が薄れていくように見える、この不思議さよ。
先日観た『テトロ 過去を殺した男』と同様に、本作でもヴィンセント・ギャロの眼光は鋭い。いや、よく考えたらセリフ無しじゃないか。彼のセリフは眼光のみってこと。こんな動物と人間の中間みたいな目、彼にしかできないかもしれないな。
さて、観終わった後、あなたは何を感じた?戦争の空しさ?反戦?いやいや、私はそんな裏に潜んだ何かなんて感じなかった。“逃げる”そして“力尽きる”ただそれだけ。
作為的なアクションやトリックはない。本当に生身の人間が逃げるということだけをリアルに追求したという、そのコンセプトに対してヴェネチアは賞を与えたのだと思う。なかなかトンがった秀作かと。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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