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公開年:1999年
公開国:アメリカ
時 間:120分
監 督:ジョセフ・ラスナック
出 演:クレイグ・ビアーコ、アーミン・ミューラー=スタール、グレッチェン・モル、ヴィンセント・ドノフリオ、デニス・ヘイズバート、スティーヴ・シュブ、ジェレミー・ロバーツ、リフ・ハットン、レオン・リッピー 他




1999年。ソフトウェア企業の開発者ホールは、コンピュータ内に1937年のロサンゼルスを模したヴァーチャルな世界を構築しようとしていた。ある朝、彼が目覚めると部屋のは血まみれのシャツがあり、前日の記憶も曖昧に。そこに、彼の上司であるフラー社長が何者かに殺害されたと連絡が入り、アリバイが立証できなかったホールは容疑者になってしまう。犯行時間の記憶が無いことから、もしかすると自分がやったのかもしれないという疑いを拭いきれず、混乱するホール。身の潔白を証明しようと、事件を追っていくと、フラーが開発中のヴァーチャル世界に、頻繁に出入りしていたことを突き止める。そこに秘密があると確信したホールは、引き止める同僚の制止を振り切って、システムに侵入し…というストーリー。

『マトリックス』も1999年で、同じテーマで同年公開じゃ勝負にならなかったろう。でも、本作自体のデキは決して悪くないのよ。逆に考えれば、なんで『マトリックス』がウケて、本作がダメだったのか。いい研究材料だと思う。
世界観や哲学的な問答については、むしろ『マトリックス』のほうが難解。当時は付いていけないという思う人がいたくらい。本作は、“テレビゲーム”のようなバーチャルな世界に精神が入り込める…という判りやすさがある。

『マトリックス』には、アドレナリンが出るような戦闘シーンや、驚愕のビジュアル表現。本作のビジュアル表現といえば、“世界の果て”のフレームワーク画像程度。単なる予算の差とはいえないほどのセンスの差が横たわっている。

本作は、時間制限といういい材料があったのにウマく活用できなかったのがイタい。クライマックスで、“主人公”がいなくなってしまうのもイタい。結果的に、自分の旦那が気にくわなくなったから中身を入れ替えた…と見えてしまうのに、めでたしめでたしとしてしまう気持ち悪さもイタい。
#“13F”っていう設定自体、生きてないしな。
「俺たちのことを放っておいてくれ」は、一見、名セリフのように聞こえるが、他にもこの世界の正体を知ってしまった人間がいるという事実と、その刑事が“放っておいて”もらうための行動を取っていないという、若干の矛盾を感じる。始めから気付いていたのか、途中から気付いたのかも判然としない。もっと、「ああ、あの刑事の行動は、わかっていたからなんだな…」という、気付きが盛り込めればよかったのだが…。

ちなみに『バニラ・スカイ』が2001年。こういう哲学的というか認識論的な視が流行だった時期なのかも。こういう話を思いついただけで、その人は仏教徒である。ただ3作いずれも、今見ている世界が虚像であって、リアルな世界が別にある…というところまでしか到達できていないが、“空”の理論からすれば、そのリアルな世界だって、リアルか否かは証明できないんだぜ?というところまでいけば、すばらしい。

ちょっと批判的に聞こえるかもしれないけど、“地味におもしろい”、そういうレベルの作品。

 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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