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公開国:アメリカ、スウェーデン、イギリス、カナダ
時 間:109分
監 督:マイケル・ウィンターボトム
出 演:ケイシー・アフレック、ケイト・ハドソン、ジェシカ・アルバ、ネッド・ビーティ、イライアス・コティーズ、トム・バウアー、サイモン・ベイカー、ビル・プルマン、ブレント・ブリスコー、リーアム・エイケン、ジェイ・R・ファーガソン、マシュー・マー 他
受 賞:【2010年/第31回ラジー賞】ワースト助演女優賞(ジェシカ・アルバ『Little Fockers』『マチェーテ』『バレンタインデー』に対しても)
コピー:そして目覚める。もう一人の自分。
1950年代、西テキサスの田舎町。保安官助手を務めるルーは好青年で誰からも好かれていた。幼なじみの女性教師エイミーと交際していたが、結婚をはぐらかしながらも、気ままに関係を続ける日々。ある日、町の有力者から、郊外にある一軒家で売春行為が行われているので取り締まるように苦情を受ける。その売春婦ジョイスのもとへルーが訪れると、客と間違えられて歓待されるが、保安官と判ると暴言を吐かれ平手打ちされる。その瞬間、ルーの中に潜んでいた衝動が爆発。彼女をベッドに押さえつけ何度も殴打。そのまま関係を持ってしまう。それ以来、毎日ジョイスとの情事を重ねるルーだったが…というストーリー。
表面的には非常に温厚で社会的地位もある男の内面にはこんな野獣が…というお話なわけだが、まあ、野獣になるまでの過程(生い立ち)が色々語られるわけだが、「そんなことがあれば、そんな風になっちゃうよな…」とはならない。ルーの内なる声は伝わってこないので、何か腑に落ちない。
あらすじを読めば1950年代というのはわかるのだが、何の予備知識もないと、少し古い時代だな…ということはわかるが、いつ頃なのか判然としない。時間が止まったようなものすごいド田舎ってこともありえるからね。なぜそれにこだわるかというと、科学捜査がなされていないことが、非常に奇異に感じるから。
周到な計画の末に罪を逃れられている…というわけではなく、計画は場当たり的といってもよい。指紋の一つでも採られればあっさりと犯人は確定する事件なわけだが、一切そういう描写はない。そのことは指紋採取をしないほど遅れた捜査状況だったのか?かといって、瀕死の娼婦ジョイスを飛行機で都会の病院に移送したり、まんざら田舎検事の行いとも言いがたく…。アメリカにおいて指紋照合のシステムを確立したのが『J.エドガー』なわけだが、その照合システムが地方の事件で活用できたかどうかは別にして、捜査において指紋を採取する…という手順は1950年代にもあったのではないか?と思う。変だなぁと思いつつも、南部の田舎のほうはそういう捜査はしなかったんだな…と思うしかないわけだ。
その点については無理やり納得するとして観進めることに。簡単にバレそうな穴だらけの犯行なのに、なぜかバレない。地方検事は疑いの目を向けるが、ちょっとはぐらかすだけでそれ以上なぜか追求できない。ルーの犯行に気付いて恐喝する男も現れるが、結局はルーの内なる野獣の餌食に。エイミーもジョイスと同様の結末に。いい加減、破綻してもよさそうなのに、あれよあれよとウマい方に転がって、ルー的にはまるく納まってしまう。
なぜかそういう運のある星の下に生まれた、希代の殺人鬼。その展開はなかなか面白いかもしれない…と評価しかけたらなぜか、これまでスリ抜けていたことが通らなくなり、あっさりと逮捕。何が理由で逮捕されたのか、何が理由で精神病院にいれられたのか、さっぱりわからない。いくらなんでも何の説明もなしに逮捕はできんだろう。
(以下ネタバレ)
キャスティングのバランスを考えると、ジェシカ・アルバをそんな前の方で退場させるような勿体無い使いかたをするわけがない…と誰しも思うわけで。おかげで、最後の驚きが全然無いという稚拙さ。
おまけに、なぜか犯人と疑っている人間の前に、彼を追い詰める最大の切り札である証人を差し出してしまうのか。そして、凶行に及んだ犯人を制止するために、なぜか証人の背中に銃弾を浴びせてしまうというトンチンカンさ。
これは、シナリオ教室で、ダメなシナリオとして教材にされるレベル。
ラジー賞をもらってしまったジェシカ・アルバだが、本作の彼女は別にやらかしてはいない。これまでどおりに美しさを爆発させているし、むしろキレイすぎて娼婦というキャラクターに合っていないと感じるほどで、信条には合わなかったであろう役柄をがんばってこなしたと思う。ケイシー・アフレックもうまく狂気を表現したと思うんだけど、如何せんこのシナリオではね…。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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