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image1883.png公開年:2009年
公開国:アメリカ、イタリア、スペイン、アルゼンチン
時 間:127分
監 督:フランシス・フォード・コッポラ
出 演:ヴィンセント・ギャロ、オールデン・エアエンライク、マリベル・ベルドゥ、クラウス・マリア・ブランダウアー、カルメン・マウラ 他





「いつか迎えに行く」と手紙を残し、幼い異母弟ベニーを残し音信不通になった兄アンジー。その兄がブエノスアイレスにいることを知ったベニーはNYから兄の家を訪ねる。しかし、アンジーは過去の生活や家族の存在を隠しただけでなく、“テトロ”と名を変えて生活をしていた。テトロにはミランダという妻がいたが、彼女にも父親が著名な音楽家であることも隠していた。突然現れたベニーのことも周囲の人に友人と紹介するなど、距離を縮めようとしない兄の態度を不快に思ったベニー。兄の荷物の中に誰も教えてくれない家族に関する何かがないかと物色すると、作家をめざしていた兄が綴った私小説を発見し…というストーリー。

コッポラか…、すっかり観終わってから気付いてしまった。確かに、『ゴッドファーザー』で描かれた“親子”が別の切り口で表現されている。エディプスコンプレックスという古典的なテーマの作品で、確かにコッポラらしい。
マエストロの父親とアンジーと、ちょっとネタバレになってしまうが、もう一つの親子関係の、エディプスコンプレックスの二重構造という構成。

誰も教えてくれない家族の過去を知りたい弟ベニー。それを一切語ろうとしない兄アンジー。夫が隠している過去を知りたくもあるが、今の生活が壊れることも恐ろしいミランダ。神経衰弱のように弟の好奇心と自分探しの欲求に追い詰められていくテトロは、どう結末をつけるのか…。

現在進行する話は白黒で、テトロが書いた過去や記憶、そして演劇など虚構表現がカラーという表現手法。白黒の映像に、ギャロの神経質そうでエグるような眼光が映える。彼の眼光だけでなく、風景などにも“光”を特徴的につかった表現が多く観られる。ただ、巧みだとは思うが、それほど新規性の高い表現化だとも思えず、むしろ野暮ったく感じるのは、いささか残念。

交通事故で同乗者を死なせたのは、事実なのか虚構なのか。事実だとしてあの女性はアンジーの彼女なのか、父親の伴侶なのか。ベニーの母でないんだよな?。それがミスリードなのか何なのか、すっきりしない。審査委員長的な女性とテトロの間に具体的に何があったのかもイマイチよくわからない。作家を目指していたが何で挫折したのかも、いまいちスッキリしない。

(ネタバレ注意)
“コッポラだ”とありがたがる人はいるかもしれないが、正直にいってしまうと、兄が父親なのがすぐ読めてしまい、それほど愉しめなかった。抱擁しておしまいという結末も陳腐とまではいわないが、ヒネりがないと思う。
#私なら、事実を淡々と受け止める弟。淡々と家族を問い詰め、逆にその態度に戸惑う周囲…という線で描くかも。

まあ、とにかくギャロだけでなく、オールデン・エアエンライクらの演技のデキはいい。それは否定の仕様が無い。

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