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公開年:2010年
公開国:スウェーデン、フランス
時 間:102分
監 督:ハビエル・ルイス・カルデラ
出 演:オーラ・シモンソン、ヨハンネス・ファーネ・ニルソン
出 演 ベンクト・ニルソン、サンナ・パーション、マグヌス・ボルイェソン、フレドリク・ミア、アンダース・ベステガルド、ヨハンネス・ビョーク、マルクス・ハラルドソ 他
コピー:―街を楽器に! 音楽で世界を変革する―



音楽の才能にあふれる家族の中、一人だけ音痴として生まれた男アマデウス。家族からは異端・無能扱いされ、その疎外感からすっかり音楽が嫌いになってしまう。兄弟は著名な指揮者になったが、アマデウスは警察官になり、たまにある家族との付き合いが苦痛でならない。今では職場で同僚が仕事場で流す音楽すら拒絶するありさま。そんな中、街中で不審物が発見される事案が発生。不審物の中からは時計のような音がしたため、時限爆弾ではないかと騒ぎになる。しかし、アマデウスは何一つ慌てることなく不審物の包みを開け、中からメトロノームを取り出すのだった。彼にとっては、聞きなれた音でありながら、苦痛の対象であるがゆえに、簡単に判別できたのだ。これらの犯行は、あらゆるものを楽器にみたてて、即興で音楽を奏でることを目的として男女2人組の仕業で、目的のためならばどんな迷惑も器物損壊も厭わないという、“音楽テロ”ともいえる行いだった。2人は“四楽章の音楽テロ”と称した計画を実行するために、腕利きのドラマーを何人も集め、町中に犯行予告まがいの貼り紙をしていく。その第一楽章の舞台は病院で…というストーリー。

冒頭のシーンが凄い。タイヤの走行音をベースにして、車に積んだドラムとセッションするのだが、とてつもなく恰好が良くて、鳥肌が立った。2人の他にもポンコツドラマーをスカウトしてくる(一人はティンパニー奏者だけど)。なんでリズム体だけやねん…とは思うが、地下室のファーストセッションとか、これも無茶苦茶恰好よい。昔、日本のロックバンドのドラマーが4人ぐらいでセッションしてるのをテレビで見た記憶があるけど(プリプリの富田京子とかがいたような)、それとは比較にならん。

その勢いをそのままに手術室に不法侵入してセッション。医療器具はもちろん病人の体をも駆使してリズムを刻んでいく。途中で心肺停止しちゃうけど、蘇生させてセッション継続。もうバカバカしいけど。彼らの狂気がよく表現できていると思う。

彼らテロ集団と警察のドタバタ喜劇…、単純にそういう内容だったら、よかったのかもしれない。問題は音痴のアマデウスという人物の行動である。異様に音楽を嫌うという設定は何の問題もない。ところが途中で、音楽テロ集団が楽器として使った物体が生ずる音だけ聞こえなくなるという、奇妙な現象が彼の耳に発生する。このギミックがイカン。アマデウスの精神的な疾患なのか、ファンタジー的な演出なのか、よくわからない。

(以下、かなりネタバ)
アマデウスは音楽は大嫌いで、この世から音がなくなればいいとすら思っている。音楽テロ集団が使ったものは音を発しなくなるなら、この世界を彼らの楽器にしちゃえば、俺、もう一生音を聞かなくて良くなるんじゃね?という発想が生まれ、音楽テロ集団に街全体を使って音楽を奏でさせようとする。
これがおかしい。音楽=音じゃないでしょ。生活音まで何も聞こえなかったら、まともに生活できない。刑事なんか続けられない。それが目的なら、鼓膜でも破ればいい。
都合よく音楽だけ聞こえなくなるという矛盾もある。その設定なら、会話だって不可能でしょう。

ということで、音楽テロ集団の狂気の行動がとても楽しく格好良い一方で、変なギミックでわけがわからなくなってしまった作品。練りが甘い。奇抜な発想だったのに、もったいない。

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