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image1907.png公開年:2010年
公開国:オーストリア
時 間:106分
監 督:ヴォルフガング・ムルンベルガー
出 演:モーリッツ・ブライブトロイ、ゲオルク・フリードリヒ、ウーズラ・シュトラウス、マルト・ケラー、ウーヴェ・ボーム、ウド・ザメル、ライナー・ボック、メラーブ・ニニッゼ、カール・フィッシャー、クリストフ・ルーザー、セルゲ・ファルク 他




1938年のウィーン。ユダヤ人のカウフマン家は画商を営んでいるが、ムッソリーニが所望するほどの国宝級の一品であるミケランジェロの素描を所有していた。ある日、カウフマン家の一人息子のヴィクトルは、幼いころ兄弟のように育った使用人の息子ルディと再会。懐かしさのあまりミケランジェロの素描の隠し場所を教えてしまう。しかし、実はナチス軍に入隊していたルディは、昇進を狙って軍へ密告してしまう。一家は、スイスへの亡命と引き換えに絵を引き渡すが、その約束は履行されず、絵を強奪された上にバラバラに収容所に送られてしまう。一方、ナチスはムッソリーニに絵を渡すことを条件に、条約の締結を優位な立場で進めようと画策していたが、イタリア側がつれてきた鑑定人、その絵が贋作であると見抜かれてしまう。本物を入手しなければならない状況になったが、本物の絵を隠した父は収容所で死亡していたため、息子から何とか在り処を聞き出そうとする。しかし、ヴィクトルは在り処を知らず、父が残した謎のメッセージを聞いてもさっぱりわからない。しかし、母の命を救うために、大芝居をうつことを決意する…というストーリー。

前半と後半でまるで別人が作ったのではないかと思うくらい、テイストが異なっていた。
前半は、こんなステレオタイプなナチス像は今時みないなぁ…ってくらい、悪役としてのナチスが描かれる。ナチス末端軍人の理不尽な横暴によって、ユダヤ人家族が追い詰められていくという、悪く言えば、ものすごくありきたりな内容。非情に凡庸でかなり飽き飽きしてしまった。

ちなみに、ミケランジェロの絵を軸に話は展開するが、“暗号”を巡るサスペンスではない。単に目立つ邦題がつけられただけ。ゴリゴリのサスペンスを期待して借りると、かなり拍子抜けするだろう。

後半は、突然、コミカルさとシニカルさをまとい始める。場面の切り替わりで突然輸送機が墜落しているシーンになって、急激にテンポやノリが変わって、正直、面食らった。まあ、このシフトチェンジがおもしろさに繋がっているのは事実なので、良しとはするが、こういう流れにするならば、もっと前半でもこういうノリを含めてもよかったと思う。
王子と乞食のような、入れ替わりドタバタが展開されるのだが、アーリア至上主義だったナチスに、ユダヤ人がなりかわってもわからないというところがシニカル目線なんだろう。人間なんか見た目じゃわからないくせに、差別してるんだぜ…っていう。
でも、日本人からしたら不思議だわなぁ。純粋アーリアンじゃないナチス党員がいるってことはあっただろうけど、なんとなく見た目でわかりそうな感じがするもの。まあ、小劇団の演目だと思って観ると楽しめる。

いずれにせよ、『イングロリアス・バスターズ』や本作のように、ナチスを茶化すことができるようになったことが、時代の移り変わりを感じる。そろそろユダヤは、無闇な迫害ばかりを主張しつづけるのと、墓穴を掘ることになるかもしれないと思い始めたのかな。

オチはあまりにも安易に予想がついたので、もう少しヒネっても良かったと思うのだがが、それまで、立場が入れ替わるドタバタを見せ続けられたので、逆に水戸黄門的な予定調和も、悪くはなかったかも。さすがに連合軍からナチス認定されて…というあたりで、しつこいな…と思ったものな。

小品佳作といったところか。観ても損したとは思わない。 

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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