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公開年:1955年
公開国:アメリカ
時 間:79分
監 督:チャールズ・ロートン
出 演:ロバート・ミッチャム、シェリー・ウィンタース ウィラ・ハーパー、リリアン・ギッシュ、イヴリン・ヴァーデン、ピーター・グレイヴス、ドン・ベドー、ビリー・チャピン、サリー・ジェーン・ブルース、グロリア・カスティロ 他
受 賞:【1992年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品





1930年代、ウェストバージニア州。ベン・ハーパーという男が、困窮する生活から家族を救うために銀行強盗をする。1万ドルを強奪し、殺人まで犯してしまう。警察の追跡を掻い潜り、家族の元にやってきたベンは、強奪した1万ドルをとあるところに隠し、隠し場所を息子のジョンと娘のパールに告げる。自分たちの将来のために使うように…と。やがて、ベンは家族の目の前で警察に逮捕されてしまう。その後、強盗殺人の罪で死刑判決を受けるたが、1万ドルの行方は判らないまま。刑務所に収監されているとき、車両窃盗の罪で収監されている偽伝道師のハリー・パウエルと出会う。ハリーは、ベンの寝言から1万ドルに在り処を家族が知っていると踏み、釈放されるとすぐにベンの家族が住むクリーサップの街を訪れる。しかし、ベンはただの偽伝道師ではなく、神の名の下に未亡人たちを殺害し金品を奪う手口の連続殺人犯だった…というストーリー。

1955年作品と考えると、実に洗練された作品だと感じる。今観てもそれほど古臭さいとは思わなかった。

偽伝道師ベンのキャラクターが強烈。フロイト的な意味で、性的な何らかのコンプレックスを原因として、(自分の価値観の上で)不浄な未亡人を殺害する男。あわせて、金への執着もすごい。相当な倒錯ぶりに加えて、両手の指に「L O V E」と「H A T E」と刺青を入れているというインパクトのある特徴。それを使って、善と悪の戦いを説教するのだが、敬虔な信者であればあるほど信じてしまうという不思議さよ。
口八丁手八丁なだけでなく、目的を果たすために淡々と行動できる様子は、『ノーカントリー』でハビエル・バルデム演じる殺し屋アントン・シガーにも通ずる。

街の人も騙される。ベンの妻ウィラも騙される。何を言っても信じてもらえない、自分だけが気付いているという、遺児ジョンの恐怖。いざ、ハリーが牙を剥きはじめ、逃亡するわけだが、何かあったら俺を頼れといっていたジジィが、ポンコツ酔っ払いえ頼りにならないという子供にとっては、圧倒的な絶望感。そして、危機一髪ですり抜ける、遺児ジョンとパールのサバイバル具合が、実にスリリング。

断言は難しいのだが、最後にジョンとパールを救うおばさんの所に前からいた、年長の少女。この少女がハリーに騙さる。犯行が明白になったあとも好意的な発言と繰り返す。さらに、パールもハリーに懐いているという状況に、引っ掛かりを感じる。犯罪者ハリーの人格形成に“女性”が関わっているのは大いに予想がつくが、彼女たちの行動から、“女性”の感情の恐ろしさを表現しているように思えてならない。
終盤は、これまでハリーを信じていた町の人々が、騙された悔しさからなのか、暴動まで起こすカオス状態になる。大衆の危うさを表現しているのだろうが、ここでも一番扇動するのは、女性だったりする。
影に潜む“女性”というテーマが見えてくると、面白さが倍増する作品。秀作。

#私事だが、この作品を、飛行機の中で観ていたら、隣に座った人の左手の指に「L O V E」の刺青が…。こんな偶然あるかね。右手に「H A T E」はなかったけど。オレが追いかけられてるのかと思ったわ…。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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