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公開年:2005年
公開国:フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア
時 間:119分
監 督:ミヒャエル・ハネケ
出 演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、モーリス・ベニシュー、アニー・ジラルド、ベルナール・ル・コク、ワリッド・アフキ、レスター・マクドンスキ、ダニエル・デュヴァル、ナタリー・リシャール、ドゥニ・ポダリデス、カロリーヌ・バエル 他
受 賞:【2005年/第58回カンヌ国際映画祭】監督賞(ミヒャエル・ハネケ)
【2005年/第31回LA批評家協会賞】外国映画賞
【2005年/第18回ヨーロッパ映画賞】作品賞、監督賞(ミヒャエル・ハネケ)、男優賞(ダニエル・オートゥイユ)、編集賞(ミシェル・ハドゥスー、ナディン・ミュズ)、国際評論家連盟賞(ミヒャエル・ハネケ)
コピー:送られてきた1本のビデオテープ それは記憶の底に隠された無邪気な悪意
人気TV番組に出演しているジョルジュは、妻アンと息子ピエロと幸せな暮らしを送っている。ある日、ジョルジュの家を正面から隠し撮りした送り主不明のビデオテープが届き、その後、同様のテープが何度も送られてくる。内容は、どんどんジョルジュのプライベートな過去に近づいていく。次第に恐怖に支配され追い詰められ、家族の間にも亀裂が生じ始めるが、そんな中、ふと、ジョルジュの少年時代の記憶が蘇り…というストーリー。
BGMを一切排除。カメラは極力動かさないようにして、ビデオ映像なのか否か判然としない編集。それらは、リアリティを増加させ、観ている側を不快にさせようという演出なのだろうが、それほど効果が高かったとは思えず、策に溺れたようにしか見えない。
もしかすると、そういうミエミエの演出に対して不快感を感じるだろうな…というところまで計算しているなら大したものだともいえるが、結果としてその不快感の先にあるものは、必ずしも多くの人が理解できるものではないように思える。本作に対してなんらかの思いが喚起されるのは、移民に関してやましいことや問題をかかえる人間(国民)だろう。それもフランスのように国家レベルで逼迫するような状況の人の場合だ。
ワタシには、予想はできるが実感がないので、ピンとこないというのが正直なところ。
1年のうちにそれこそ何千本作られる映画の一つとして、こういうものがあることを否定はしない。けれど、小説のように一人でアウトプットを構築できるものならいざしらず、多くの大人が関与してはじめて完成する作品において、監督の思いを理解して、嬉々として参加しているスタッフがどれほどいたことか。私にはその空気は伝わってこなくて、あくまで監督のやりたいことに「はいはい…」とビジネスライクに付き合う様子しか想像できなかった(あくまでワタシの妄想だけど)。ようするに画の端々から、つまらなさが伝わってくるのだ。
以下ネタバレ含む。
はっきりいって独りよがりな内容にしかみえない。衝撃のラストという謳い文句もあったが、もしかして自殺のことを刺しているなら別に衝撃だと思わない。私は、最後まで“衝撃のラスト”があるのだろうと期待し続けたが、あのエンドロールに突入。アゴが落ちた。
深層心理サスペンスなんていうもんだから、どれだけ複雑でおどろくような心理描写があるのかと思いきや、単に罪悪感を感じるような過去を忘れたという、あたりまえの脳の機能でしかない。もしかして、それが個人ではなく国家レベルで行われている…とでもいいたいなら、演出として不足極まりないし。だいたいサスペンス要素なんか、無いに近い。
『ファイト・クラブ』レベルの精神・心理モノに慣れてしまっているせいかもしれないが、物足りないこと極まりない。まあ、“実は犯人は自分でした”パターンじゃないのはヨカったとは思うけれど、本当に主役の予想したとおりの人が(その家族かもしれないけど)、本当に「脅迫」してるのなら、単なる恨みのハナシじゃないか。深読みしたところで、心理サスペンスじゃなくって、国家政策批判だよね(母親の反応とかさ)。
コピーにある“無邪気な悪意”というのも、よくわからないし(無邪気でもなんでもない普通の悪意だよね?)。とにかく、少なくとも配給会社は本作の意味を理解していないことはわかった(か、あえて釣りの宣伝をしているのか)。
ますますカンヌ映画祭の価値観というものは判らない…と感じさせてくれる一本。ヨーロッパの移民問題の根深さと社会の空気を感じたいなら、見るべき1本かもしれないが、“映画ってなんなんだろうね(疲)”と感じる人が少なからずいるであろう1本でもある。お薦めはしない。
#どうもアート嗜好の人の評判が高いようなのだが、あえて逆らうよ。おもしろくなったんだもの。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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