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公開国:北朝鮮
時 間:95分
監 督:シン・サンオク
出 演:チャン・ソニ、ハム・ギソプ、リ・イングォン、ユ・ギョンエ、薩摩剣八郎 他
コピー:ついに“解禁”! 全世界が待っていた 怪獣映画の金字塔。
高麗朝末期。飢饉によって民衆は苦しんでいたが、王朝は武器製造のために農民たちの農具を接収する。そして、役人は鍛冶屋のタクセに武器製造を命令するが、タクセはそれを拒否したために投獄されてしまう。日に日に弱っていくタクセは死を悟り、娘のアミが差し入れた飯粒を練り、精魂をこめて鉄を食うという伝説の怪獣“プルガサリ”の小さな像を作り息絶える。遺品としてプルガサリの像を家に持ち帰ったアミは、裁縫中に指先を傷つけてしまい、その血を像にかけてしまう。すると、プルガサリに命が宿り…というストーリー。
何も知らなければ、「おお、北朝鮮ってば、こんな特撮技術持ってるんかい!!」と、思うに違いない。小さなプルガサリはもちろん着ぐるみだとは思うが、セットが巨大なのか合成なのか、正直、ずっと田舎くさい寸劇が続いて、突然特撮映像になるから、本当に小さい生き物が動いているんじゃないかと思うくらいのインパクトがある。でも、この特撮は日本の東宝のお仕事。スーツアクターも日本人。しかし、映画内のクレジットには東宝はおろか日本人が関わっていることは微塵も出てこない。国家の威信をかけた映画製作の根幹が日本人の手によるものだとは、口が避けても言えないのはわかるのだが、その威信を知らしめるのは海外に対してなわけだから、すぐにバレるだろうに…。普通はそう思うのだが、やっぱり北朝鮮の人間は頭が弱い。おまけに、このシン・サンオク監督は、韓国から北朝鮮に亡命したというふれこみだったが、その後海外に逃亡し、あれは北朝鮮よる拉致だったと証言している。もう、この映画の主軸の部分に、北朝鮮の力によるものなどなにもないのである(笑)。ただ、唯一評価できるのは、大迫力の膨大な数のエキストラである。人だけはタダでいくらでも使えたんだろう。
それ以前に、なんで怪獣特撮で勝負しようと思ったのか。日本のゴジラに対抗しようと考えたのか、金正日が単に好きだったのか。仮に対抗しようとしたとしても対抗する相手である日本の東宝スタッフもってくるあたりが、朝鮮半島人の短絡的なロジックの象徴で、笑えてくる。自分で力を身につけようとか、借り物じゃ結局あとで恥をかくことになるとか、そういう考えに及ばないんだな。
このお話のベースが高麗王朝時代の伝説だというのだが、そのようなことが記載されている文献があるということを聞かない。あったとしても口伝。口伝でも、どこかの時代に口伝として書物に記載があるもんだけどそれもあるんだか無いんだか。私は怪しいと思っているけど。
まあ、それはいいとして、プルガサリは食べる怪物さ。鉄の供出といえば北朝鮮の親分、中国協共産党の毛沢東が思い浮かぶ。プルガサリが王朝を倒すという構図は、共産主義という大正義が、旧態の王政や帝政を倒すという構図なんだろう。でも、共産主義ってのは資本主義で肥太った資本家を打倒するもんだけどな…と、いかにも対日ゲリラで名を上げた金日成らしい、ズレっぷりを見せてくれる。
で、そのズレは、キャラクター設定にも見られる。娘のアミの恋人役インデなのだが、これは圧政に対抗するレジスタンス。まさに金日成に比定される。で、プルガサリとインデ=毛沢東と金日成という構図にしたかったのかもしれない。はじめはそれでよかったんだろうが、それでは結局話がまとまらなくなってしまい、インデは大した仕事もせずに、殺されて終わってしまう。正直、いなくていいキャラである。もっといい扱いにしないと、革命思想を毀損することになると思うのだが、そういう考えには及ばないみたい。
挙句の果てに、王朝を倒したプルガサリなのに、そのまま暴走はとまらず、このままでは世界中の鉄を食べてしまうわ! とか、斜め上の展開に。共産主義に振り回されてにっちもさっちもいかない国内情勢を表しているように思えるのだが、北朝鮮スタッフはピンときていないらしい。で、プルガサリを若い娘の犠牲によって鎮めておしまいというオチ。若い娘を献上してお怒りを鎮めるという、昔、同じようなことを我々は中国にしていたような…とか、そういうことに想像が呼ばないのが、これまた朝鮮クオリティ。
はじめから、まともな内容は期待していなかったが、『ゴジラ』が原水爆に対する問題提起というベースがあったことと比較すると、この何を言いたいのかふらふらしている内容は、ひどすぎる。童話というものは幾ばくか隠喩をはらむものなのだが、それが理解できていないんだろう。いっそのこと、特撮もポンコツだったらお笑い映画として、酒の肴になったものを…。北朝鮮作品という興味本位だとしても、レンタル代がもったいない作品。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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