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image1767.png公開年:1987年
公開国:アメリカ
時 間:124分
監 督:オリヴァー・ストーン
出 演:マイケル・ダグラス、チャーリー・シーン、ダリル・ハンナ、マーティン・シーン、ハル・ホルブルック、テレンス・スタンプ、ショーン・ヤング、シルヴィア・マイルズ、ジェームズ・スペイダー、ジョン・C・マッギンレー、ソウル・ルビネック、ジェームズ・カレン、リチャード・ダイサート、ジョシュ・モステル、ミリー・パーキンス、タマラ・チュニー、フランクリン・カヴァー、チャック・ファイファー、レスリー・ライルズ、ジョン・カポダイス、アンドレア・トンプソン、セシリア・ペック、ポール・ギルフォイル、アニー・マッケンロー 他
受 賞:【1987年/第60回アカデミー賞】主演男優賞(マイケル・ダグラス)
【1987年/第45回ゴールデン・グローブ】男優賞[ドラマ](マイケル・ダグラス)
【1987年/第8回ラジー賞】ワースト助演女優賞(ダリル・ハンナ)

ニューヨーク大学を卒業して証券会社に就職したバド。一攫千金を夢見ていたが、実際は電話営業の繰り返しの日々で薄給な上に、客の損金を負わされることもしばしばで、父親から頻繁に借金をする有様。そんな生活に嫌気がさし、思い切って投資銀行家として有名なゴードン・ゲッコーをオフィスに押しかける。しかし、海千山千のゴードンは、駆け出し証券マンであるバドの情報などには興味を示さなかった。そこで、バドは、航空会社ブルースター・エアラインの労組幹部である父親から聞いた内部情報を、ゲッコーに漏らしてしまう。その情報にゲッコーは興味を示し、バドに株式の売買を一任するのだったが…というストーリー。

『ウォール・ストリート: Money Never Sleeps』(2010年)を観る前に、やはり前作は観ておかないとダメかな…と思い鑑賞。

冒頭、チャーリー・シーンの馬鹿ヅラ&ポンコツ演技にうんざりさせられるものの、浅はかで無駄な上昇志向の持ち主という役柄であることが見えてきて、むしろマッチしていることに気付く。

ヘッジファンドのやっていることがよくわかる映画…という意見もあるけれど、ゲッコーもバドも、誰にでも不正だとわかる行為をやっているので、株トレードの難しさがどうのこうのという知識は要らない。単純に詐欺師とその片棒を担がされた男の話なので、シンプルでわかりやすい。人の不幸は密の味。「勝った」としたり顔をしている彼らが、どんどん堕ちていく様は、やはり愉しい。ゲッコーのキャラクターが強烈であればあるほど、そのおもしろさは増幅される。

証券が商品であり、そこに市場があるかぎり、商品を右から左に動かしたことで生じる利鞘は、基本的には“正”だとはおもう。ただ、証券(特に株式)の根本的な性格は、自分で事業をする能力はないが金だけはもっているポンコツが、その資金を有効活用するために、事業のアイデアをもっている人に活用してもらうというものである。その根本原則に従うならば、せめて株式は1会計年度は保持して、1回以上の株主総会を経なければいけない。それより短く売買して得た利益については、税金を増額すべきだと、個人的には思っている。だから、優良株は時間をかけて育つと教えるバドの直属の上司の意見には強く同意する(そういうキャラが配置されていること自体、とても巧みな脚本だと思うのね)。

資本主義は、周囲の人間に施しをして正等な対価を貰うというのが基本原則。ただ、金欲しさに、周りが金を払ってくれるような行為をすることも、周囲への施しを表面的に同じに見える…というのが、資本主義が発展した重要ポイント。つまり強欲でも社会が発展する仕組みになっているということだ。でも、周囲への施しと強欲ゆえの行動は、完全にイコールではない。似ているだけで、後者はその強欲によって次第に周囲を不幸にする。貧しいけれど、それが判っているバドの父親。それがわからない息子への感情を考えると、なかなか泣かせられる(日本にはこういう“父親”がいっぱいいるがゆえに、いまの繁栄がある。そう思うのね)。
それにしても、「欲ってのは毒にも薬にもなる。その分水嶺は中道(ほどほど)だよ…」って答えをとっくの昔に出している仏教の優位性よ…。

バドは、かすかに残っている人としての心を完全に捨ててしまうのか否か?ブルースターの従業員たちは本当に路頭に迷うことになるのか?これらが、Greed(強欲)を大罪と定義している宗教の国で、繰り広げられているというのが、実に愉しい。人間の強欲をスピード感溢れる展開で表現した名作。超お薦め。
#ただ、私がレンタルしたDVDの、音声のノイズゲートのかけ方がものすごく耳障りで、残念極まりない。

アメリカでは本作を観て、ゲッコーに憧れて、トレーダーの世界に入った人間が多いと聞く。なんで、これをみてゲッコーに憧れるかなぁ?忌み嫌うべき人種だと思うのだが。やっぱり、アメリカ人は“自由”の意味を履き違えてる馬鹿が多いな…と思う。
今のアメリカやヨーロッパの経済的凋落を見ていると、単に強欲の果てに富の再分配に失敗した国家群にしか見えない。そんな国の経済学者たちが、失われた20年だ何だと日本を蔑んでいたのが実にアホらしい(腹を切るべき経済学者だらけだな)。これは、国家(というか市場)を構成する、人間のベース部分の問題に起因することなので、10年やそこらでは解消しないだろう。すくなくとも、アメリカやヨーロッパが浮上することは60年くらいはないと思う。日本はこつこつと独自路線を進むべし。そう強く感じる作品である。

#さて、続編はいかがなものかな…




負けるな日本

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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