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公開年:2008年
公開国:アメリカ
時 間:117分
監 督:クリント・イーストウッド
出 演:クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ドリーマ・ウォーカー、ジョン・キャロル・リンチ、スコット・リーヴス、ブルック・チア・タオ 他
ノミネート:【2008年/第66回ゴールデン・グローブ】歌曲賞(カイル・イーストウッド[曲/詞]、クリント・イーストウッド[曲]、マイケル・スティーヴンス[曲/詞]、ジェイミー・カラム[曲]“Gran Torino”)
【2008年/第14回放送映画批評家協会賞】主演男優賞(クリント・イーストウッド)
コピー:俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。少年は知らなかった、人生の始め方を。
急変する世の中を嘆く、孤独な人種差別主義の偏屈な老人が、隣人のアジア系移民家族と思いがけず交流を深めていくストーリー。
無冠な上に、米アカデミー賞にいたっては、ノミネートすらない。どういうことか。私は大傑作だと思うが。
まず、イーストウッド演じる偏屈老人が抱く、子供たちや隣人に対するマイナスの感情に、私とは年齢こそ違えどとてもシンパシーを感じる。社会の流れについていけていないと片付けられがちだが、そうではなく、過ちや問題が見えているのに、それについて意に介さない人々に対して、付ける薬はない…と半ばあきれているのであって、むしろニヒリストに近いかも。
昨今、外国人地方参政権付与について日本でも話題になっているので、人種差別主義者と思われると困るのだが、本作のような街の状態だったら、私もかなり苦痛に感じてしまう。アメリカにおける人種問題は、“サラダボウル”状態が理想とされる時期があったと思うが、そんなのはきれいごと。物理的な空間において、一定水準の秩序と清潔を保つためには、ある程度の共通認識を持つこととコミュニケーションが容易であることが前提であり、そのベースなくして、文化や人種の尊重など困難だということを痛感した。そういう面でも、よく考えされられる作品だ(とりあえず、今の日本が、チンピラのウヨウヨいる状態でないことはありがたい限りである。あんな状況なら、銃を所持しないと身を守れないと言うのも、思わず納得してしまう)。
主人公より印象は薄いが、特徴的に使われているのは神父だろう。事件があった後、若い神父は老人の家を訪れ、彼らを殺してやりたいという。もし老人が「さていこうか」と銃をもって家を出たなら、彼も一緒に行ったのは間違いない。しかし彼は、翌日には、そんな老人を止めようとする。一晩置いたら感情が整理できたということだ。
しかし、より年齢の若い少年は、次の日になってもその感情を抑えられず、いつ復讐にいくのかと老人を急かす。ここからはネタバレなので言わないが、要するに、人の成熟とは自分の感情とどれだけうまく付き合えるかということだといっている。感情の暴走は利己につながり、その逆は利他の行動として現れる。老人は究極の利他で人生を締めくくったわけである。
彼が重い病だったからああいう行動がとれたのかも、と考えたくもなるが、そういうタラレバの話なんか無意味に感じるくらいよくできた話。観ながら、復讐すべき!と感情を昂ぶらせた人は多いと思う。そういう人があのラストで何を思い感じるか。もう、如是我聞~から始めれば、十分高尚な仏教の説話だと思う。『最高の人生の見つけ方』も生き様を考えるという意味で共通点はあるが、トータルのデキと含蓄は雲泥の差である。イーストウッドの監督の力量は、もはや敬服の域である。ニック・シェンクという脚本家にも、今後注目していきたいと思う。
青少年が本作を観て正しく理解できるかどうかは若干疑問ではあるが、ある程度の年齢の人たち(特に子育てを経験したくらいの人たち)には、是非観てほしい作品だ。強くお薦めする。
余談。あまりいいコピーではない。なぜなら、人生の締めくくり方を明確に考え始めたのは、後半をすぎてからだし(まあ、無意識に昔から考えていたかもしれなけれど)、このコピーを読んでしまうと、オチの予想がついちゃうから。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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