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公開国:アメリカ
時 間:126分
監 督:ラッセ・ハルストレム
出 演:トビー・マグワイア、シャーリーズ・セロン、マイケル・ケイン、デルロイ・リンドー、ポール・ラッド、キーラン・カルキン、ジェーン・アレクサンダー、キャシー・ベイカー、エリカ・バドゥ、ケイト・ネリガン、K・トッド・フリーマン、J・K・シモンズ、エヴァン・デクスター・パーク、スカイ・マッコール・バートシアク、エリック・パー・サリヴァン、パス・デ・ラ・ウエルタ 他
受 賞:【1999年/第72回アカデミー賞】助演男優賞(マイケル・ケイン)、脚色賞(ジョン・アーヴィング)
コピー:そして僕は歩きはじめる
メイン州ニューイングランドにあるセント・クラウズの孤児院で生まれ育ったホーマーは、院長のラーチの助産の仕事を手伝っていた。ラーチはホーマーを息子のように愛し、ホーマーもラーチへの感謝を忘れることはなかったが、ラーチは違法な堕胎を行っており、それについてだけはホーマーは納得するができなかった。やがてホーマーは、このままラーチの元にいてよいのか、将来に不安を感じはじめる。ある日、ホーマーは堕胎手術にやってきた軍人ウォリーとキャンディの若いカップルと一緒に、孤児院を出て行くことを決める。ホーマーは、ウォーリーの親が経営するリンゴ園の仕事を紹介してもらい、収穫人たちの宿舎サイダーハウスで一緒に暮らし始める。生まれて初めて労働の喜びを感じるホーマーだったが…というストーリー。
軽妙に展開するが扱う内容は非常に重い、ハルストレム監督らしい作品。
堕胎を良しとするか否か。アメリカでは毎度 大統領選挙の争点になるほど重要な対立軸。ホーマーは生まれてくる子供の立場で大体の是非を考え、ラーチ院長は女性側の立場で考える。
やがてホーマーは自立して人生経験を増やしていくが、中盤は堕胎がストーリーの軸であることを忘れるくらい触れられない。純粋にホーマーが“社会”というものを知り、“青春”というものを取り戻していくという、グローイングアップムービーとなっている。
その中で、シャリーズ・セロンの美しさは特に際立っている。ホーマーのキャラクター設定上、堕胎という行為を忌避はするが、堕胎した女性に対して嫌悪感を持っているわけではない。しかし、結果的に堕胎した女性を愛することになるという矛盾を、シャリーズ・セロンの田舎町に不釣合いな美しさが、説得力を生んでおり、ストーリーの重要なピースになっていると思う。
最終的にホーマーは、きちんとするとかしないとかそんなレベルではない、ローズ・ローズの本人では抗いようのない運命を見ることになる。法的・宗教的には堕胎禁止は大事なことだが、はたして人々にとって、完全な善なのか。
“サイダーハウス・ルール”は、雇い主からしたら重要なルールかもしれないが、現場の人間には何の意味もない。リンゴ詰み作業の黒人たちは、字が読めないから、きっと自分たちを強く縛る戒めが書いているに違いないと思っている。しかし、ホーマーに読み上げてもらったら、なんじゃそりゃ?状態。
もしかして、同じように法や戒律も、その沿革や目的を理解すれば、それに合致しないシチュエーションなら許容されるのではないか?その法が想定していなかった事情の場合は、無効なのではないか?堕胎に関して言えば、単に快楽の結果や安易な経済事情ではなく、産むこと育てること自体が憚れるような場合は、適用除外なのではないか。
もっと言うと、法や戒律は、それだけが一人歩きすると、かえって世に害悪を及ぼすケースがあるのではないか。その段階で法は半死しているとすら言えるのではないか…とまで、言っていると思う。
で、実際の社会ではそういうことがあるでしょう…と、社会に出たくて仕方が無かったホーマーは、社会でそれを知って戻ってくる。まあ、決してこの作品がこの議論に決着を出せるほどの答えをだしているわけではないけれど、一つの重要な視点、シミュレーションになっていると思う。良作だと思う。
#ニセ免許のくだりは豪快だ。そして、ホーマーもそれに乗っかっちゃうことには、疑問を抱かないというね…(笑)。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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