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公開国:西ドイツ、フランス
時 間:146分
監 督:ヴィム・ヴェンダース
出 演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー、ハンター・カーソン、ディーン・ストックウェル、オーロール・クレマン、トム・ファレル、ベルンハルト・ヴィッキ、ジョン・ルーリー 他
受 賞:【1984年/第37回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ヴィム・ヴェンダース)、FIPRESCI[国際映画批評家連盟]賞(ヴィム・ヴェンダース)、全キリスト教会審査員賞
【1984年/第38回英国アカデミー賞】 監督賞(ヴィム・ヴェンダース)
テキサスの原野を彷徨う一人の男。彼は倒れこむうにガソリンスタンドに入り、製氷機の中の氷を口にすると、そのまま昏倒してしまう。彼は医者のところに担ぎこまれるが、身分を証明するものを何ひとつもっておらず、一枚の名刺を持っているだけだった。名刺に書いてある番号に電話をすると、どうやら倒れた男の弟らしい。倒れた男の名はトラヴィスで、4年前に失踪したまま行方不明になっていたのだ。連絡を受けた弟ウォルトは、トラヴィスを引き取るために、テキサスへ向かうが、、医者のところにいくと、トラヴィスは立ち去っていた。辺りを捜索し、トラヴィスを発見するが、様子がおかしく言葉を発しようとしない。兄はどこへ向かおうとしていたのか、そしてなぜ喋らないのか。まるで記憶を失くしたような振る舞いをするトラヴィスを、弟ウォルトは自宅のあるロスに連れて行こうとする。そこには、4年前から育てている、トラヴィスの息子ハンターは暮らしている…というストーリー。
ボロボロの壮年の男が、砂漠の中で倒れ、病院に担ぎ込まれるというシーンからスタート。何も喋らないし、他人とコミュニケーションを取ろうという姿勢が見られない。ただ、どこかに行こうという強い意志だけがそこにある。
弟がやってきても特段特別な感情を表すわけでもない。まるで記憶喪失にでもなったような感じなのだが、「おまえのことは知らない」と言うわけでもないし、まったく拒絶するわけでもない。私の解釈だと記憶喪失や痴呆になっているわけではないように思えるのだが、どういう設定なのだろう。
ロスの家に着き息子に会う。記憶喪失という設定ならば思い出すシーンとかがあるはずなのだが、そういうシーンは無かったと思う。しばらく人間社会に接触いていなかったため、馴れるのに時間が掛かっただけ…のように思えた。
で、そのまま喋らずを通すのか…と思ったが、ほどなく喋るようになる。あれだけ飛行機に乗るのを嫌がったのに、普通に高いところにも登るようになる。いったい何なのか、正直よくわからなくなってしまう。なんでトラヴィスがそんな人間になってしまったのか…という所にずっと注目しえいたのだが、ずっと明かされることはない(結局ラストの独白まで明かされない)。
『パリ、テキサス』とは、フランスのパリではなく、テキサスにそういう地名の場所があるらしい。トラヴィスはそこに向かっていたのだが、そこは自分の両親の縁の土地。なんでそこい向かおうとしたのか。自分の原点に戻ろうということなのか。
冒頭はロードムービーなのかな?と思わせておいて、そうではなく、疎遠になっていた親子と、これまで育ての親をやってきた弟とその妻の葛藤の物語が展開する。
と、思いきや、ああロードムービーじゃないんだな…と思ったころに、妻(ハンターの母)を捜す旅が始まる。この先の展開は好みが分かれるところだろう(正直にいうと、私は好きではなかった)。
良かれと思って、これまでわが子のように育てたのに、この顛末。彼らにとってはものすごい苦痛。そしてその思いはベッドのハンターには聞こえているはずなのに、ハンターはあっさりと顔も覚えていない父親の旅に同行してしまう。育ての親と子・ハンターの間の、この切なくも悲しく、そして埋めがたい距離感よ。その後、作品の中には出てこないというのも、演出的にもせつない。
トラヴィスと弟ウォレス、トラヴィスと息子ハンター、ハンターと育ての両親、トラヴィスと元妻、この作品は、人と人との間の空気というか空間を描いた作品なのだ。マジックミラーごしのトラヴィスと元妻のシーンがそれを特に表しているといえるだろう。
最後はハンターと実母の抱擁と、それをビルの外から観ているトラヴィス。お前はなんで一緒にいかないのか。母子をくっつけたらといって、幸せになれるか?無理だろう?そういう性風俗の店に勤めている母親と暮らすことが幸せか?と、問いかけずには入られない。
結局最後も、まともにコミュニケーションを取らずに、正解なのか誤りなのか、なんとも判別しにくいラストで終わる。
うーん。たしかにカンヌで評価されそうな内容ではある。ただ、私の心の余裕が無かったせいなのか、本作の緩やかな展開にイマイチ耐えられず。そして消化できず。経緯はどうあれ、放置された子供をその慈愛をもって育てたのに、報われないっていう、悲しさというか理不尽さだけが、私の心に滓のように残っているだけ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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