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image0738.png公開年:1976年 
公開国:アメリカ
時 間:114分
監 督:マーティン・スコセッシ
出 演:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター、ハーヴェイ・カイテル、ピーター・ボイル、アルバート・ブルックス、ジョー・スピネル、マーティン・スコセッシ、ダイアン・アボット、ヴィクター・アルゴ、レオナルド・ハリス 他
受 賞:【1976年/第29回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(マーティン・スコセッシ)
【1976年/第11回全米批評家協会賞】主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、助演女優賞(ジョディ・フォスター)、監督賞(マーティン・スコセッシ)
【1976年/第42回NY批評家協会賞】男優賞(ロバート・デ・ニーロ)
【1976年/第2回LA批評家協会賞】男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、音楽賞(バーナード・ハーマン)
【1976年/第30回英国アカデミー賞】助演女優賞(ジョディ・フォスター)、作曲賞[アンソニー・アスクィス映画音楽賞](バーナード・ハーマン)、新人賞(ジョディ・フォスター「ダウンタウン物語」に対しても)
【1994年/アメリカ国立フィルム登録簿】新規登録作品
【1976年/第19回ブルーリボン賞】外国作品賞
コピー:ダウンタウンのざわめき…街の女 光のカクテル…濡れたアスファルト けだるいジャズの吐息… ニューヨークの夜が、ひそやかな何かをはらんで いま、明けてゆく…

ベトナム帰りの青年トラヴィス、夜勤のタクシードライバーをやりながら、社会の汚さに不満を覚えていた。ある日街で見かけた大統領候補者の選挙事務所に勤めるベッツィという女性が気になり、押しかけて次第に親しくなっていくのだが、彼女をポルノ映画館に誘ったことで絶交されてしまう。自分ではどうにもならない苛立ちから、闇ルートで銃を入手し、体を鍛え始める。彼の頭の中である計画が沸き上がっていたのだ…というストーリー。

スコセッシが本作のリメイクをやるとかやらないとかって情報を聞いたので、改めて観てみようかなと(本当かどうか怪しい情報だけど)。散々いろんな人々が解説しているので、今回はちょっと違った観方を。

トラヴィスは、拭いがたい社会への違和感、そして、周囲の人間がその違和感を感じていないかのように振舞っていることに対する更なる違和感を覚えている。とはいえ、自分の“正義”は周囲に理解されず、自分のコントロール下からは遠く離れた存在であると、半ば諦めている。かといって、社会への興味を失っているわけでもない。

トラヴィスがポルノを観てもさほど興奮していないことから、彼が諸々の感覚が他者よりも鈍感であることが判る。視覚的に捉えられる感覚から生じる彼の頭の中にある複雑で高尚ともいえる観念とは裏腹に、肉体的な感覚は若干麻痺しているものと思われる(だから、急に過激なトレーニングを始めても苦ではない)。この感覚の麻痺が先天的なものなのか、ベトナム従軍経験によるものなのかは、説明されていない。
痛みを感じない人間は、他者の痛みを慮ることができない。ひいては他者が感じる心の痛みにも共感することができない人間になってしまう。人間は、頭の中で社会観を形成するが、それを元に行動すると大抵は痛い目にあう。頭の中と現実との乖離を“痛み”として認識し、修正していく。ゴツゴツした岩が、川の流れにもまれて丸い石になるように、社会とのコンタクトで痛い目にあって次第に丸い人間になっていくわけだ。しかしトラヴィスはその痛みをいまいち感じない。だから、永遠にゴツゴツした岩のまま、社会にぶつかり続けることになるのだ。
他者の痛みに鈍感だから、自分の中の社会正義と異なるものを排除することに、躊躇はなくなる。彼にとって、自分の価値観と異なる政治家を抹殺することも、少女に売春させる奴らを退治することも同列なのだ。

社会とうまくやれない人も、犯罪者になってしまう人も、こういう傾向が強いな…と最近考える。

そして、本作の不思議な魅力の一因だが、徹底的に暴力に耽溺していく人物にも関わらず、なぜか聖人化されるという不思議さ。カトリック社会の文学においてはよくある手法らしいが、その発想の根源が何なのか、私には未だにわからない。でもなんともいえない雰囲気を醸し出しているのは認めざるを得ない。

昨日も名前を出したが、『ノーカントリー』のシガーも、同様の人物だと思う。しかしシガーの方はいささか人間離れした怖さ。トラヴィスの方は常人との境界があまりはっきりしていないし、よく観察すると同様の雰囲気の人はけっこう周囲にいるので、逆に怖くなる。
未見の人は是非観てほしい。とても30年以上前の作品とは思えない。お薦め。

#ジョー・ペシがポン引き役で出てくるのだが、筋骨隆々で何か笑えてしまう。



負けるな日本

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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