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公開年:1978年
公開国:イギリス
時 間:140分
監 督:ジョン・ギラーミン
出 演:ピーター・ユスティノフ、ベティ・デイヴィス、マギー・スミス、ミア・ファロー、アンジェラ・ランズベリー、ジョージ・ケネディ、オリヴィア・ハッセー、ジョン・フィンチ、デヴィッド・ニーヴン、ジャック・ウォーデン、ロイス・チャイルズ、サイモン・マッコーキンデール、ジェーン・バーキン、ハリー・アンドリュース 他
受 賞:【1978年/第32回英国アカデミー賞】衣装デザイン賞
莫大な遺産を相続した若い娘リネット。彼女の親友ジャクリーンは、自分の婚約者サイモンが経済的に窮していたため、相談に乗って欲しいと相談する。ジャクリーンの申し出を受けて、サイモンに会うリネット。しかし、なんとサイモンとリネットは突然婚約を発表し、関係者の間で物議を醸すことに。二人は人目を避けてエジプトへ豪華客船でのハネムーン旅行へ旅立つのだが、何と船にはジャクリーンの姿が。ジャクリーンだけでなく、リネットの叔父で財産管理を任されていたアンドリュー、リネットを自作の小説のモデルにしてトラブルになっている作家のサロメ、サロメの娘でリネットにコンプレックスを持つロザリー、リネットの真珠のネックレスに執着しているバン・スカイラー、リネットに侮辱されたことを恨んでいる医師のべスナー、リネットに自分の結婚を破談に追い込まれたと思い込んでいるメイドのルイーズ、父親がリネットの祖父に破産させられた過去を持つ看護婦のバウアーズなど、関係者が多数乗り合わせていたのだ。そんな中、遺跡を観光している最中に、サイモンとリネットめがけて落石が。リネットはジャクリーンの仕業と考え、偶然乗船していた私立探偵ポアロに、彼女を遠ざけるように依頼するのだたが…というストーリー。
本作の最後の「列車内でおこったおもしろい事件の話があるのですが…」的なセリフのお遊びからも判るように、『オリエント急行殺人事件』の後の映画化作品。舞台はクルーズ船ということで、密室劇であるところは同じ。
でも、『オリエント急行殺人事件』の監督はシドニー・ルメットで別だし、主役ポアロを演じてる人も違う上にキャラクターも異なる。『オリエント急行殺人事件』では、ちょっと偏屈で感じの悪いおっさんだったが、本作では食いしん坊デブの好好爺(怪我人の食事まで喰う)。おまけに、ナイル川クルーズっていう設定もあって、開放的な雰囲気で、印象が全然違う。ミステリーなのに、どこかほのぼの感すら漂う。
印象は異なるが、古典推理ドラマというか、古臭いと言っては失礼なのかもしれないが、実に刺激の少ない演出。昨今の作品の派手な演出に馴れちゃってるからねえ。
関係者がわらわらと虫がたかるように、同じ船に大集合っていう不自然な状況が、不自然なまま未消化で話が進むことと、なかなか事件がおこらないことで、どうも前半で集中力が途切れてしまい、ヨソ見しまくりだった(大事なポイントを、かなり見落としていると思う)。
で、事件は結局ありがちなトリックだったりする。というか、アガサ・クリスティのほうが後世の作品のモチーフにされる側であって、それをありがちというのは失礼なのは百も承知。でも、そこを差し引いて観なければいけない義務もないので、素直に後世の作品と平等に比べちゃうと、やっぱりありがちな筋。犯人だって、まあ半数の人は予想を付けてたと思う。
でも、そのありがちを、単なるありがちで終わらせていない点がすごいと思うのね。一つは、発射された弾の数や、ストールの扱いなど、偽装に用いられた小道具を非常に効果的に興味深く使用していること(これは原作のすごさ)。もう一つは、役者陣が豪華&実力者ばかりで、ともすれば学芸会になってしまいがちな密室ミステリー劇に、重量感とエキセントリックさを与えてくれている。その中でも、ミア・ファローの演技は光っていたかな。
オリヴィア・ハッセーは、キラりと光る美しさを観せてくれているが、この2年後に日本映画『復活の日』なんぞに出ていると考えると、ちょっと不思議な感じ。
#マギー・スミスは『ハリー・ポッター』のマグゴナガル役ですな。若い頃から、あまり変わっていませんな…と思ったら、本作のときに既に44歳か。
私、推理小説の世界はあまり詳しくないが、推理中に事件が進行していく様や、最後、女性犯人による自殺を許してしまうところなど、金田一耕介シリーズとの共通点を感じる。もちろん、横溝正史が影響を受けているのは間違いないわけで、そう考えると、やっぱりアガサ・クリスティは偉大だな…と。
古さを差し引いても、普通に愉しめた作品。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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