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公開年:1959年
公開国:フランス
時 間:107分
監 督:サーシャ・ガヴァシ
出 演:ブレノ・メロ、マルペッサ・ドーン、ルールデス・デ・オリヴェイラ、レア・ガルシア、ファウスト・ゲルゾーニ、マルセル・カミュ 他
受 賞:【1959年/第32回アカデミー賞】外国語映画賞
【1959年/第12回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(マルセル・カミュ)
【1959年/第17回ゴールデン・グローブ】外国映画賞
カーニバルを控えて熱気溢れるリオ・デ・ジャネイロに、少女ユーリディスがやってくる。彼女は、田舎町から従姉セラフィナのところにやってきたのだが、謎の男に追われ、それから逃れてきたという。ユーリディスは街に着くと、電車で従姉の住むところまで移動することに。その電車の運転士オルフェは、唄とギターの名人で、子供たちから慕われるやさしい男だった。オルフェには、派手で独占良くの強いミラという名の婚約者がいたのだが、ユーリディスの清楚な美しさに一瞬で魅せられてしまう。その夜、祭りのリハーサルで、オルフェとユーリディスは再開。ミラの目をかいくぐって会おうとするが、例のユーリディスを追いかけている謎の男が、死神の衣装で、彼女に迫っていた。死神の姿を見たユーリディスは必死に逃亡。彼女を助けるためにオルフェもそれを追いかける。何とか死神を追い払い、彼女をセラフィナの家に送り届けると、二人はそのまま愛を交わし祭り当日の朝を迎えるのだった。セラフィナの計らいで彼女の衣装で姿を隠したユーリディスはオルフェと共に踊るが、夜になった頃にミラにばれてしまい追いかけられるハメに。さらに、死神までが彼女を見つけ追い詰めていき…というストーリー。
冒頭から、しばらくの間、お気楽なカーニバルの様子が綴られる。本当にただただご陽気。ユーリディスとミラの間で恋愛ドタバタでも繰り広げられるのかしら…なんて。ジャケット映像がいかにも死んだ女性を抱いて歩いている画だったので、ヘビーなお話だと予想していたのに、ユルユルだなぁ…って。まあ、底抜けに明るくて楽しいので良いんだけど。
中盤が近づいてきたかな…ってことまで、そんなユルユルだったのに、突然登場する死神の全身タイツの男。急に眠気が覚める。マジメな娘が、こんな得体の知れない男に、田舎から追いかけられるなんて相当なこっちゃでぇ…なんて思ってハラハラして観ていたのだが、ユーリディスがなぜ追われているのか、まったく明かされない。誰も聞かないし。そして再び、お気楽な恋愛ドラマに戻っちゃう。なんだ、この構成は…と。
#マジメな娘っていっても、今日あった男とを簡単に寝ちゃうユルさなんだけどね…。
(以下、ちょっぴりネタバレ)
カーニバルが始まり夜になると、全身死神タイツさんが再登場。その流れですったもんだがあって、なんと突然ユーリディスが死亡。その後、ユーリディスの消息を追うオルフェの姿を綴ったシーンが、グダグダ。警察にいったり霊媒師のところにいったりモルグにいったりと、それらエピソードの意図が意味不明。投げっぱなし。
さすがに、そこで気付く。これはきっと、古典か神話か何かの翻案だな…と。で、ラストで、ギリシア・ローマ神話のレリーフみたいなカットで終わったので、確信。調べてみたら、ギリシア神話の“オルフェウス伝説”をベースにしたお話の模様。よく知らんが、日本神話でイザナギは死んだ妻を黄泉の国まで追いかけるエピソードと同じ話(何か共通の元になった話があるんだろうね)。ユーリディスが死んだあとは冥府の出来事ってことか。
でも、鑑賞中に「ああ、これオルフェウス伝説だな…」って気付いたからって、おもしろく感じるだろうか。何でこれが、オスカーとかパルム・ドールとか獲れちゃうのかしら。例の死神は“死”の象徴ってことなんだろうが、ただの全身タイツさんで、周囲の人にも普通に見えているからやっぱりタダの人。なんで彼女を追ってきたのか、その理由を一切明かさないのは、ミステリアスでもなんでもなく、私にとっては単なる消化不良でしかない。
明るいカーニバルと、恋愛悲劇とのコントラスト。狙った意図は判るのだが、結局は何一つ救いのない悲劇で終えているのは、けっして面白いとは言いがたい。最後なんて、嫉妬に狂ったミラに、家は放火されるは、投石で殺されちゃうわで、ちょっとコントチックだったりして、「二人は死によって結ばれたのでした…」って感じじゃないよね。
本作に対する感想を読むと、すごく評価されていることが多い。これがわからん奴はセンスが無いといわんばかりなのだが、私にはよくわからん…と素直に言っちゃう。取り立てて貶す必要もないが、手放しに褒めるレベルの作品だとは思えない。奇作だと思うけど。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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