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公開年:1972年
公開国:ソ連
時 間:165分
監 督:アンドレイ・タルコフスキー
出 演:ナターリヤ・ボンダルチュク、ドナタス・バニオニス、ユーリ・ヤルヴェット、ニコライ・グリニコ、アナトリー・ソロニーツィン、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー 他
受 賞:【1972年/第25回カンヌ国際映画祭】審査員特別グランプリ(アンドレイ・タルコフスキー)、国際エヴァンジェリ映画委員会賞(アンドレイ・タルコフスキー)
コピー:謎の惑星『ソラリス』とは…?そこには不思議な姿の生命が存在し その豊かな海は理性を持つ有機体と判明! これらの謎に挑むモスクワの近代科学陣が 宇宙船で軌道ステーションに出発する!1977年の全世界的SF映画ブームにさきがけてGWに放つ堂々3時間の超巨篇!
近未来。人類は発見された惑星ソラリスの調査を試みていたが、ソラリスの海へ接触することすらできず、失敗に終わっていた。ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーション「プロメテウス」では、その後も研究が継続されていたが、通信が途絶してしまう。調査のために科学者のクリスはステーションへ派遣される。ステーションいは3人の学者がいるはずだったが、クリスが到着すると、クリスの友人の物理学者ギバリャンは自殺をしており、残りのスナウトとサルトリウスも、挙動不審で精神的に不安定になっていた。2人はクリスに対して「ステーション内で自分達以外の人影を見ても気にするな」とわけのわからないことを言う。クリスはギバリャンが遺した自分宛のビデオを発見。ギバリャンのビデオは、海にX線を照射したことで何かが発生したことを示唆していたが、詳細はよくわからなかった。その後、サルトリウスの部屋ではいるはずのない人影を見かけたり、ステーション内を歩く少女を見かけるクリス。やがて、眠りに付いたクリスが目覚めると、そこには数年間に死んだはずの妻サリーがおり…というストーリー。
さすがドストエフスキーやトルストイの国の作品だ…と思わず唸ってしまうほど、長い。実時間より長く感じる。面白いとか面白くないとか、そういう問題じゃなく、眠くならない人がいるのか? と。4回はカクンとなったね。ソ連作品なので、商業的に客を惹き付けようとかそういう気概は一切なし。ただただ文学的に表現したいように演出をしているように思える。
冒頭の大尉のビデオのくだりから、クリスが宇宙に旅立つまでのくだりなんか、普通に考えたら、迂遠も迂遠だよね。
サリーには、過去の記憶が無く、自分が人間だと思っている(ように見える)。端々で、サリーが事情をわかっているような表情のカットが差し込まれていたので、ソラリスの人類制服の尖兵だったりして…なんていういかにもSF的な予想をしていた。しかし、他の2人の科学者が、サリーに対しておまえは人間じゃないと面と向かって蔑む。ソラリスの海から生まれた“物”だと言われ、私違うのか…と、その後、サリーの精神は一掃不安定になっていく。どうやら、ソラリスから生まれた人間は、“ただ、そのイメージのまま”で、何者かの作為とか意図というものが無い模様。
そうなってくると、SFじゃなくて、哲学のお話に変貌していく。
経過や状況を考えれば間違いなく人間じゃないけど、見栄えも同じで精神も同じ“物”(他人の記憶のイメージから人間が再構築できるか? という細かい疑問は、この際忘れようじゃないか)は、やっぱり人間なんじゃないか?と。それを殺したりするのは、やっぱり殺人なんじゃないか?と。
クリスは、サリーを受けいれて妻として扱い愛していくが、クリスの心のひっかかりが生んだサリーは、サリーの分身なんじゃなく、クリスの記憶が生んだものであって、クリス本人なんじゃないのか? 愛ってなんだ? みんな他者を愛していると思い込んでいるけど、愛なんてすべて自己愛なんじゃないのか?とか。いや~、深い深い。
さらに、生き返ったのが死んだ妻だときている。それも、自分が追い詰めて自殺させてしまったと、未だに悔やんでいる人。それが目の前にまた現れ。そして、また追い詰められて自殺する。しかしソラリス人は簡単にには死なない。自殺しては蘇る。クリスは過去の苦しみを何度も追体験させられるという無間地獄のような状態に。
もちろん、地球に連れ帰るわけにはいかない。さてクリスの選択は? というオチになるのだが、そこまで到達すると、オチなんかどうでも良い感じ。長~く感じるほどの演出のその波間で、脳みそがぐるぐるまわるほど思考が巡る。SFだけど間違いなく文学作品。でも疲れるのは間違いなし。
#冒頭から、美しい自然の風景や、ブリューゲルの絵を長々と描いているのだが、近未来を描く気があるのか?なんて思っていたら、近未来都市の風景として東京の首都高速道路で撮影されたカットが。冷戦時代でも、こんなこと可能だったんだねえ。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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