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公開年:2012年
公開国:アメリカ
時 間:99分
監 督:サーシャ・ガヴァシ
出 演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、トニ・コレット、ダニー・ヒューストン、ジェシカ・ビール、マイケル・スタールバーグ、ジェームズ・ダーシー、マイケル・ウィンコット、リチャード・ポートナウ、カートウッド・スミス、ラルフ・マッチオ、カイ・レノックス、タラ・サマーズ、ウォレス・ランガム、ポール・シャックマン、カリー・グレアム、スペンサー・ギャレット、フランク・コリソン、ジュディス・ホーグ 他
ノミネート:【2012年/第85回アカデミー賞】メイクアップ&ヘアスタイリング賞(ハワード・バーガー、Martin Samuel、Peter Montagna)
【2012年/第70回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](ヘレン・ミレン)
【2012年/第66回英国アカデミー賞】主演女優賞(ヘレン・ミレン)、メイクアップ&ヘアー賞
コピー:神と呼ばれた男、神を創った女。
『レベッカ』『裏窓』『知りすぎていた男』『めまい』など数々のサスペンス映画を世に送り出したアルフレッド・ヒッチコック。1959年、『北北西に進路を取れ』をヒットさせた後、誰もが驚くような次回作の企画を探し始める中、実在の殺人鬼エド・ゲインをモデルにした小説『サイコ』に出会う。強烈に心惹かれたヒッチコックは、映画化を決意。しかし、長年彼の作品の編集に携り、脚本家でもある妻アルマには、この企画が成功するとはとても思えなかった。さらに、あまりにも陰惨な内容に映画会社も出資を拒む始末。どうしても諦めきれないヒッチコックは、自宅を担保に入れてまで資金を調達して製作を開始するも、これまで以上に演出面でも技術面でもこだわりを発揮し、資金は底を尽きかけてしまう。それでも熱意を衰えさせることのない夫に対し、表面上はいつもどおりのサポートをしていくアルマだったが…というストーリー。
『サイコ』製作の様子(というか裏話)を綴った作品。あの『サイコ』が、何でこんなテーマを扱うのか?!と批判ぷんぷんだっただけでなく、資金調達に窮したり、配給を拒否されるほどだったとは実に驚き。自由の国を標榜しているくせに、その自由さが一番発揮されていそうなエンターテイメント業界が保守的だという、おもしろい構造。
その苦労と並行して夫婦のギクシャクが語られるわけだが、正直、その下世話な内容自体は特におもしろみはない。いいおっさんとババァが、何やってんだ…って感じ。
主演女優へのパワハラとかセクハラする姿やのぞき趣味が描かれているが、相手にされる可能性すら感じない(っていうかなんで妻の前でやるのか)。よっぽど性的な魅力に欠ける男性だったのだろう。オーソン・ウェルズとは真逆。遺伝子レベルで女性に魅力を感じさせない人だったのではないか。
ただ、モテない男が食に走るのはなんとなく理解ができて、ちょっとシンパシーが沸いてしまった。で、そういう人は、名声をいくら得ても、ぜんぜん満足できない性質だったりもする。
その、ブサイクなおっさんが無駄なアプローチを繰り返すのを見る妻の、やるせなさといったら無いだろう。それも理解できる。しかし、理解できるとはいえ、浮気に走るのは別問題。挙句の果てに、どれだけ重要な仕事をやってもヒッチコックの添え物としか扱わないことが不満だった!と、妻アルマはぶちまけるわけだが、それって、よく浮気した女がいう台詞の典型例だよね(笑)。そっちが悪いってさ。
夫婦共々、才能と反比例して、かなりみっともない。有名なシャワーシーンでの惨殺のシーンで、嫉妬に狂ったヒッチコックが包丁を振り下ろしていたかと思うと、何か怖い…というか、やっぱり何かみっともないな。ただ、このように描かれている姿や、心の内証が事実か否かはよくわからん(原作が本人たちの吐露を元に書かれているのかどうか知らん)。
そのみっともない夫婦間の問題に苦悩し、それを解決していく姿と、世間から総スカンを食らった『サイコ』を製作し続け、目が醒めた(というか相手の男と別の女の情事を目撃してショックを受けた)後、本来のサポート業務に注力し、再編集⇒セルフプロモーション⇒最大のヒット作にする…という有能っぷり。みっともなさと有能さの落差と、それらが絡み合うように昇華されていく描写がとてもおもしろかった。
個人的に、厚く描写して欲しかったのは、なんで、ヒッチコックが“エド・ゲイン”に執着したのか?っていう部分。そこが未消化な気がする。元々『下宿人』という“切り裂きジャック”をテーマにした作品をつくっていたくらいなので、何か連続殺人鬼に関して、ひっかかるものがあるのだと思う。もう少し、心理学的な考察を踏まえた解釈・演出をしてほしかった。
特殊メイクだとはいえ、アンソニー・ホプキンスの成りきりっぷりも良いし、ラストの方に鳥が乗るカットも、ヒッチコックに詳しくない人でも、理解できるほどよいジョーク。まあ、絶対成功することがわかっているストーリー展開ながらも、小気味良い気持ちで観終えることができた作品。まあまあでした。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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