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image1963.png公開年:2011年
公開国:イギリス
時 間:105分
監 督:フィリダ・ロイド
出 演:メリル・ストリープ、ジム・ブロードベント、オリヴィア・コールマン、ロジャー・アラム、スーザン・ブラウン、ニック・ダニング、ニコラス・ファレル、イアン・グレン、リチャード・E・グラント、アンソニー・ヘッド、ハリー・ロイド、アレクサンドラ・ローチ、マイケル・マロニー、ピップ・トレンス、ジュリアン・ワダム、アンガス・ライト 他
受 賞:【2011年/第84回アカデミー賞】主演女優賞(メリル・ストリープ)、メイクアップ賞(J. Roy Helland、Mark Coulier)
【2011年/第78回NY批評家協会賞】女優賞(メリル・ストリープ)
【2011年/第69回ゴールデン・グローブ】女優賞[ドラマ](メリル・ストリープ)
【2011年/第65回英国アカデミー賞】主演女優賞(メリル・ストリープ)、メイクアップ&ヘアー賞
コピー:世界を変えたのは、妻であり、母であり、ひとりの女性だった。
英国史上初の女性首相の栄光と挫折、そして最愛の夫との感動の物語。

亡くなった夫の幻覚を見るほど認知症が悪化している86歳のマーガレット・サッチャー。そんな彼女が、自らの人生を振り返る。雑貨商の家に生まれたマーガレットは、市長も務めた父の影響で政治家を志すが、初めての下院議員選挙に立候補するが落選。そんな失意の彼女に、実業家のデニス・サッチャーがプロポーズして、結婚に至る。子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築く一方、政治への意欲は失われることなく、やがて下院議員に当選する。男性ばかりの世界に飛び込んだマーガレットは、その強靭な意志で立ち向かい、政界での地位を高めていくが、その一方で、夫や子供たちの時間を犠牲にしていく。しかし、失墜した英国を再建するために、保守党の党首選に立候補する…というストーリー。

本作で複数の受賞をしたメリル・ストリープ。似ているのはメイク技術の賜物だが、それ以上に、皮膚がタレ気味の顔の中にある、女性的な眼差しと刺すような眼光が目まぐるしく変わる表情は、まさに本人のそれ。もうメリル・ストリープにかかったら、ちびまる子ちゃんでも演じきれるんじゃないかと思うくらいだ。そろそろ映画賞は、殿堂入りしてもいいんじゃないかと。演技が似ているかどうかなんか、観始めた途端に気にならなくなるレベル。
また、初立候補の頃を演じている女優さんも、よく似ている。こちらは演技というよりも、本当に似ているかどうかでキャスティングされているようだが、演技も決して悪くない。

ご存命ながら認知症を患っているという状況で、さらに、当然劇中に登場する子供たちは、決して品行方正とは言いがたく、よく映画化が許されたものだと思う。これは、今、サッチャーを扱うことに意味があると考えて、製作されたものと思われる。なんといっても、鳴り物入りでスタートしたユーロが、世界経済崩壊の引き金か…と騒がれるようになろうとは、誰が思ったか(私は思ってたけど)。この局面で、彼女にスポット当てることに意味があるわけだ。
本作では、夫が政策のフィクサー的な役割をしていたことは一切触れていない。むしろ、政治に没頭していく妻を我慢してささえていただけに描かれている。それは、この映画が今公開される意味とは、無関係だからオミットしたということに違いない。

劇中で、サッチャーは、ユーロ圏参加を頑なに拒否する。ポンド経済は健全であると。単なるプライドのように聞こえるかもしれないが、経済圏が巨大になったからといって、経済が健全に活発化するわけではないことを見抜いていたのだと思う。
だから、FTAだTPPだなんて、推進しようとしている輩はアホなのである。もし、日本の農業を強くしたいのであれば、補助金で保護する以外の、健全な競争力を身につける政策を実行するればいいだけのことであって、それもなしに自由経済の荒波に放りこむなど愚の骨頂なのである。あるべき経済状態を実現したいのか、国民の生活を豊かにしたいのかどっちなのだ?ということ。昨今話題の維新の会はTPP推進派らしいけど、その主張は間違い。TPPに参加して、自由競争にもまれてはじめは苦労するだろうけど、時間が経てば健全な競争力が身に付くと思っているんだろうが、それは“モデル”の中での話し。実際の人間は、“次第に健全化していく”間に死んでしまう。理論と実際の違いを理解できていない。
大体にして、大阪で再建を託された人間のくせに、それを達成しないうちに、国政に色気を出す感覚が理解できん。まず、はじめに託されたことをこなせ。愚か者どもめ。
#別に維新の会が大阪でやろうとしていることに文句があるわけではない。大阪でやっていることは賛同しているのだが、国政の舞台を見据えた彼らの行動は、途端に陳腐になっていく。

閑話休題。

日本のバブル期の国営企業の民営化などは、サッチャーの政策の真似っ子だったんだな…とよくわかる。しかし、移民政策や医療保険制度などは真似しなかった。いいとこ取り。そう意味では、70~80年代の日本の官僚は優秀だったといえる。

サッチャーも徹頭徹尾、新自由主義を振りかざしていたわけではなく、失業率に歯止めをかけられなくなると、金融緩和政策などを実施した。自由経済主義を展開していたサッチャーが、マクロ経済政策に手を染めたものだから、自由主義学者たちはサッチャーを非難する。自由主義経済学者とケインズ主義は相対してきたが、どちらが正しいということではない。経済というのは、自由主義が有効な時期とマクロ経済政策が有効な時期が、呼吸をするように繰り返すのである。
残念ながら、著名な経済学者といっても、そんなことも気付かないレベル。サッチャーがそれをわかっていたのか、肌で感じ取ったのかはわからないが、その慧眼と決断力はすばらしいと思う。

それ以上にイギリスと日本の国民性の差が大きいか。おとなしいだけかもしれないけど、その猶予というか我慢のおかげでそれなりに効果が表れるのを様子見できる期間が生まれたと思う。イギリスみたいに、ちょっと国民の負担を増やそうとしようものなら、デモなんだか暴動なんだかわからない状態になる国民とは違うからな。正直、日本に生まれてよかったなと思う。
ちなみに、彼女が掲げた人頭税だが、私は正しいと思う。多くの人は、貧しい人からも税金を取るのか!と怒るかもしれないが、国民が国民として国を担っていることを強く意識させるために、納税は絶対必要。100円でもいいから、日本国民であるならば納めるという儀式が必要だと思う。根本的に、納税と社会保障が別にすべきなんだけど、実際は徴収のコストや、控除の仕組みなんかで一緒くたにせざるを得ないんだけどね。

死に体だったイギリス経済が、フォークランド紛争によって絶頂を迎えるという、そりゃあ、アメリカが定期的に戦争を吹っかけるわけだ。さて、日本も、小島の領有権をめぐる紛争を二つも抱えているけど、どうなるかな?戦争はしなくてもいいから、海上保安隊や自衛隊の設備や人員を増加すると、景気に(それも内需に)影響があるんだろうね。

政治経済に興味がある人とない人では、まるで、面白く感じるポイントが異なる作品だと思う。正直、一女性の人生の物語と考えると、それほどおもしろい作品ではないだろう。彼女のまっすぐな思いが、一国の経済をどう変えていくのか。神でも魔法使いでもないのだから、こうすれば成功するという確信はもちろんない。でも、彼女が貫いていた“国家とはこうあるべき”という思い、そしてそれに応えたかのような世界の潮流に、改めて驚きと感慨深さを覚えた。
とにかく、この作品を観れば、日本の民主党なんぞ、箸にも棒にもかからないと思うこと必至。お薦め。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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