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公開年:2011年
公開国:日本
時 間:111分
監 督:森下孝三、(演出)古賀豪
出 演:吉永小百合、堺雅人、観世清和、吉岡秀隆、折笠愛、竹内順子、玄田哲章、水樹奈々、櫻井孝宏、観世三郎太、黒谷友香 他
ノミネート:【2011年/第35回日本アカデミー賞】アニメーション作品賞
コピー:…二千五百年前、インド。地上のあらゆる生き物から、誕生を祝福された男がいた──。




2500年前のインド。大小の王国が覇を競い合っていたが、カースト制度によって、奴隷に生まれたものは一生奴隷として虐げられ、苦しく貧しい生活に喘いでいた。奴隷の子チャプラも、愛する母親がいつ売られてしまうか気が気でなく、奴隷の身分を抜け出したいと考えていた。そんな中、コーサラ軍の侵略によって家族を殺されたタッタ少年と知り合う。二人はコーサラ軍の野営地を襲撃しようと考えるが、ひょんなことからチャプラは瀕死のブダイ将軍に遭遇。奴隷から抜け出すチャンスと考えたチャプラは、ブダイ将軍を担いで、コーサラ軍まで運んでいく。その後、快復したブダイ将軍に気に入られ、身分を隠して養子となるのだった。同じ頃、隣国のシャカ国では、王子が誕生し、シッダールタと名付けられる。祝賀に訪れた聖者アシタは、王子は世界の王となると予言するのだった。それから10年が経過し…というストーリー。

続編が公開されると聞き、そこまでの一作目はよかったのか?と、鑑賞。

私、手塚治虫ファンで『ブッダ』の原作は大好物なのだが、まず、いかにもアニメチックな絵柄に、いきなり萎えてしまう。こんなキランキランした絵柄の需要がどこにあるのか。海外か? いずれにせよ私は拒否反応。日本は、もうちょっと味のある絵が描けるキャラデザの人や原画マンはいないのだろうか。いわゆる“アニメ絵”が基本と思っているなら大間違い。こんなんじゃ日本のアニメ界は、完全衰退間近だぞ。

声優じゃない人たちの声にも萎えてしまった。残念ながら吉永小百合も吉岡秀隆も興醒めだったし、一番ダメなのがシッダールタの父役の観世清和という方。能楽の方らしいのだが、申し訳ないがあまりにもヘタ。
ただ、堺雅人だけがものすごくうまくて、ちょっとびっくり。でも、本作でご退場なので次作にはいないというもったいなさ。本当に器用なんだなぁ。

一方、ストーリーは原作に忠実。それも、短い時間の中うまく配分して、且つそれぞれのエピソードを毀損することなく描ききっていた感じる。終盤のポイントである成長したシッダールタの苦悩。そしてミゲーラの悲劇がうまく描けていた。一方、原作でもちょっと冗長で退屈に感じられた、妻とラーフラのくだりは、ちょうど良い感じではしょっていた。ユニークな見せ場であるタッタの特殊能力も幻想的でさえあった。海外の人には興味深く映ることだろう。

また、原作では、“生老病死”にかなりスポットが当たっていたが、それもない。西洋人がみたら老・病・死をわざわざ分けて、人間の4つの状態とすることに、違和感を覚えると考えたのだろう。妥当だと思う。それを判った上で取捨選択したのならば、この脚本家はかなり優秀。

ただ、唯一残念に感じたのは、チャプラの母親にくっついていた坊主をもうちょっと丁寧に描くべきだったと思う(動物の行動しかできなくされてしまうのだが、後々再登場するので)。

これは原作の段階からそうなのだが、欧米の作品にはまったくみられない奇抜なストーリー展開であること。神義論を頭に浮かべざるを得ない、理不尽ともいえる不幸、運命のいたずら、無常。苦悩して城から抜け出した主人公が、俗世から離れた…というところで終わってしまうところなど、普通なら不完全燃焼と捉えられるところだが、それを圧倒的な仏法説話の怒涛の潮流で押し切った感じ。

まあ、はじめから3部作くらいにする予定だったとは思うのだが、これなら次回作も観たい…と思た(とはいえ、レンタルで…だけど)。
#ブダイ将軍とチャプラの関係は、『火の鳥 黎明編』を彷彿とさせる。

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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