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公開年:1996年
公開国:イギリス
時 間:107分
監 督:マーク・ハーマン
出 演:ピート・ポスルスウェイト、ユアン・マクレガー、タラ・フィッツジェラルド、スティーヴン・トンプキンソン、ジム・カーター、メラニー・ヒル、スー・ジョンストン、フィリップ・ジャクソン、メアリー・ヒーリー 他
受 賞:【1997年/第10回東京国際映画祭】審査員特別賞
 【1997年/第23回セザール賞】外国映画賞(マーク・ハーマン)




1992年。イングランド北部の炭坑の町グリムリー。炭鉱閉鎖の閉鎖問題に揺れていたが、石炭需要が小さくなる中、会社と争おうという勢いもイマイチで、町の人々は生きる希望を失いかけていた。町には結成100年を誇る名門ブラスバンド“グリムリー・コリアリー・バンド”があったが、そのメンバーは炭鉱関係者。バンドリーダー兼指揮者のダニーは、全英選手権に出場し、決勝のロイヤル・アルバート・ホールで演奏することを夢見てメンバーを鼓舞するが、それぞれが問題を抱えており、練習に身が入らない状態だった。そんな中、グレムリー出身のグロリアが町に戻ってきた。彼女はダニーの親友の孫娘で、楽器持参で練習場に現れるなり難しい曲を軽々と吹いてみせて、一同を驚かせる。メンバーになった彼女に、男連中は色めきたったが、その中の一人、若いアルト・ホーン奏者のアンディは動揺していた。彼とグロリアは、子供時代のある期間、付き合っていたからだ。その後、グロリアが、会社が炭鉱の埋蔵量などを調査するために送り込んできた人間であることを知ってしまうが、なしくずしで一夜を共にしてしまい…というストーリー。

イギリスお得意の実話ベースのコメディ&ピンチ切り抜け感動物語。日本でも『スウィングガールズ』の矢口史靖監督に代表される一時期流行ったこの手の作品があるけど、結局はこれらイギリス作品の亜流(だと私は思っている)。

自分の生活基盤が無くなろうというその時、組合活動への力の入れ具合も中途半端に、バンドへ注力するバンドのメンバーたち。妻たちから「昔は戦ったのに今は戦っていない」と罵られようが、バンドに力を注ぐ。何で?単に好きだから?つらい現実から目を背けている?
暗く沈んだ町に元気を取り戻すには、バンドが優勝することだ!と、みんながそう考えているようには思いがたい。

みんながガリガリと一丸となって、目標に向かっていなければいけないと言いたいわけじゃない。むしろ、そのダラダラ具合が、非常にリアルに感じたのだ。炭鉱がその使命を終えるのは、時代の大きな潮流。それに闇雲に抵抗することが答えではないし、実際そうしても玉砕するだけである。バンドメンバーは、見えそうで見えない何かを、無意識に追っていたのかもしれない。

愛する人と結ばれるアンディだが、グロリアは会社側の人間だと知ってしまう。おそらくアンディ的にはどうでもいいことなんだろうが、仲間の手前、一線を引かざるを得ない。ある意味、金と面子のために愛も音楽も捨ててしまう。
グロリアも薄々勘付いてはいたが、そうではないと目を背けている。本心とは裏腹にバンドのメンバーから裏切り者呼ばわりされる屈辱。
父の長年の思いを遂げさせたいと思っているダニーの息子。しかしその息子は経済面で家庭を壊してしまう。そんな中、父が倒れてしまい、今までやってきたことが無になってしまう。一体自分は何をやっているのか。

それぞれの問題が、散発的に大きくなっていく中、懐中電灯で病院の外で演奏するところは名シーンだ。それぞれの思いが根底では一つであることを感じる場面。
過剰な盛り上げ演出が少ないので淡白に感じてしまうかもしれないが、この地味さがよいと感じる。最後は、ひょっこりステージの後ろから出てくるくらいでちょうど良いのだ。本番前にやっていて指揮者交代の無理なエピソードなんか差し込んだら興醒めしちゃう。

優勝したからって、炭鉱がどうにかなるわけでもない。でもそれでいいんだ。小気味良い佳作。軽くお薦め。
#見舞いは葡萄とかいうステレオタイプあるのか?

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出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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