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公開年:2013年
公開国:デンマーク、フランス
時 間:90分
監 督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出 演:ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ヴィタヤ・パンスリンガム、ラータ・ポーガム、ゴードン・ブラウン、トム・バーク 他
ノミネート :【2013年/第66回カンヌ国際映画祭】パルム・ドール(ニコラス・ウィンディング・レフン)
コピー :その復讐は 神への挑戦
表ではタイでボクシングクラブを経営、裏では麻薬の密売をしている兄弟、ビリーとジュリアン。兄ビリーは暴力的な性癖の持ち主で、ある日、売春婦を撲殺してしまう。しかし、裏社会を取り仕切っている謎の男に捕まり、売春婦の父親の前に突き出される。父親は激昂し、ビリーを滅多切りにして殺害。一方で、娘に売春させていた父親も、ペナルティとして謎の男に腕を切り落とされるのだった。息子の死を知ったアメリカで巨大な犯罪組織を取り仕切っている母クリスタルは、タイに駆けつけるやいなや、ジュリアンに復讐を命じる。彼女は、ビリーを偏愛する一方で、ジュリアンを蔑視しており、その命令は苛烈を極めるものばかりだったが、ジュリアンは母の愛情を欲しており、その命令に必死で答えようとするのだった。兄を殺した相手を調べていくと、元警官で裏社会を仕切っている男チャンの存在が浮かびあがり…というストーリー。
『ドライブ』で一部から脚光を浴びたレフン監督の次作であり、主演俳優も同じ。パルム・ドールにノミネートということだが、前作のおまけなのかコネなのか知らんが、参加しただけの作品と言い切ってよいだろう。
レフン監督の作品でいえば『ヴァルハラ・ライジング』のノりに近いと思うが、逆に言えば無用に暴力的で、象徴的なアイコンを散りばめるものの、いまいち伝わってこないというソレを現代劇にした感じ。彼の宗教的バックボーンとか、暴力表現の淵源が何なのかわからないから考察にしようもない。原題の“ONLY GOD FORGIVES”も“神のみが赦し給う”みたいな意味らしいが、何を指しているのかさっぱりわからない。
独特の色彩は、監督の目に色覚障碍があるためとのこと。そのビビットさも場面によって効果的だったりそうでなかったりとムラがあるのは、単に障碍があるからで、意図されている物ではないからなのかもしれない。
主人公ジュリアンは強度のマザコンで、理不尽な命令にも従う。それをおかしいと指摘されても逆にキレちゃうレベル。中途半端な狂人具合なのでピリっとしないキャラクターだし、もちろん共感も応援もできない。だから、彼が何をしようと興味がわかない。謎の男チャンと対峙するがボロ負け。一応山場のバトルシーンなのだろうが、まったくおもしろくない。
というか、根本的に、兄を殺したのは売春婦の父親で、復讐ならその親父にすればよい。それで完結。なんで謎の男チャンに矛先が向くのか、その流れがさっぱりわからない。麻薬ビジネス上でトラブルがあったわけでもないし、今後障壁になりうるという設定があるわけでもない。
一方、チャンを『ノーカントリー』のアントン・シガーばりに、狂気の存在として際立たせようと演出しているのが見える。カラオケを歌わせたりとかね。でも、チャンは裏のルールで裏社会の秩序を維持しようと行動してるようにしかみえない。闇が存在している以上、それに秩序を持たせて平穏を保とうとしているのだがら、必要悪的な存在。私腹を肥やしているわけでもなさそうだし、容赦なく人は殺すけど、ポリシーを持った良い人にすらみえてくる。
ネタバレしちゃうけど、最後は自我に目覚めたビリーが、母親の呪縛から解かれるという、陳腐なオチ。映像面の美しさとか編集のうまさとか、そういう雰囲気の部分を愉しむ作品なのかもしれないが、取り立てて褒め倒すレベルではない。おもしろくなかった。
出張とか入ると、投稿は遅れてしまいますわ。
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