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image0014.png公開年:1988年 
公開国:日本
時 間:124分
監 督:大友克洋
出 演:岩田光央、佐々木望、小山茉美、石田太郎、玄田哲章、大竹宏、伊藤福恵、中村龍彦、神藤一弘、北村弘一、池水通洋、渕崎ゆり子、大倉正章、荒川太郎、草尾毅 他




第三次世界大戦から31年後の2019年。東京湾上に建設された人口都市ネオ東京から郊外へ続くハイウェイでは、日々、暴走族同士の抗争が繰り広げられていた。金田率いるチームのメンバーの一人・鉄雄は、暴走の途中で白髪の少年と接触し重傷を負う。その少年は、政府の秘密機関から、反政府ゲリラによって連れ出された超能力者タカシだったが、捜索していた研究機関によって見つかり、鉄雄も一緒に収容されてしまう。兄貴分の金田は、鉄雄救出のため研究所に潜入するが、鉄雄は研究機関によって実験台にされており…というストーリー。

すでに22年も前の作品でありながら、現在の日本アニメとなんら遜色のないクオリティという奇跡の作品。海外から評価される日本アニメといえば色々なタイトルが挙がると思うが、本作こそ、ジャパニメーション事始の作品と言えるだろう。

今、改めて見ると、その奇跡ポイントは多々ある。
まず、原作者の大友克洋自身が監督であること。原作漫画がアニメ化決定時には未完であった点や、原作とは違った展開(どころか完全にオチやテイストが異なる点)など、『風の谷のナウシカ』と共通点は多々あると思う。しかし、なんといっても10億円とも言われる制作費が、いくらバブル期といえども特異である。
「え?これで10億?」と思うかも知れないが、背景の書き込みの細かさや、リアルな動作やバイクの疾走感はすばらしい。さらに、アニメとしてはパイオニアといってもよいプレスコという手法を用いている点(音を先に録って、後から絵を作る手法)。これから観る人は是非注目してほしい。後から絵を当てているので、台詞と口のリンクがハンパなくシンクロしている。リミテッドアニメを批判する宮崎作品よりもよく動く動く。ヱヴァの劇場版でも用いられているようだが、アニメにおいて見ている側がリアルに感じる効果としては、ヘタなCGよりもこっちのほうが大きいと思われる。で、これがセル画アニメで実現できているのだからとにかく驚きなのだ。

CG全盛時代になっても、アニメ製作はタイトな厳しいスケジュールなんだとは思うが、よりクオリティを上げて一般映画と同じレベルまでもっていくためには、仮声録音→声に合わせながら動画作成→最後に改めて録音…というプロセスを確立しないといけないような気がする。

当時、原作のファンが、複雑で重厚な原作とは異なる映画版の内容について、(あの原作を2時間にまとめられるはずもないのに)無いものねだりな文句を言っていたのを思い出す。まあ、肝心のAKIRAの扱いがぞんざいだった点など、不満を感じるのはわからなくもないけれど、それは仕方の無いことだ。でも、まるで大友克洋本人が、全部の原画を書いているのかと思うほど、原作のイメージは踏襲できており、それだけで奇跡だと私は思うのだがね。

アニメなんか普段ほとんど観ないから…という人こそ、あえて是非観てほしい作品である。アニメのくせに(というのも変なのだが)結構、容赦ない無慈悲な描写も多く、ある意味大人向けの作品と言える。

いずれにせよ、その後、大友克洋が直接手を掛けた作品(実写、アニメを問わず)は、すべて残念な内容であるという点からも、奇跡の作品といえるのではなかろうか(ちょっとイヤミが過ぎるか?笑)。まあ、いずれにせよ、このレベルに達するアニメ作品はなかなか現れないだろう。

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